「田中宇の国際ニュース解説」1996年以前の記事一覧
これより後の記事(1997年の記事)
「CITICパシフィックを中国地方政府の金儲け主義者から守れ」主義 【1996年12月31日】 香港最大の「紅い資本家」、CITICパシフィックのラリー・ユン会長(中国副総理の息子)が、パシフィックの親会社であるCITIC香港からパシフィックの持ち株16億ドル分を、市場価格の24%引きの安さで譲渡を受けた。CITICパシフィックはいずれ、香港テレコムやキャセイ・パシフィック航空などの香港の有力企業の親会社になると目されている。株の移動により、ユン会長のパシフィック持ち株比率は4%から18%に上がり、逆にCITIC香港の持ち株は42%から26%に下がった。
米国が作った北朝鮮の謝罪文 【1996年12月30日】 北朝鮮が潜水艦事件について謝罪した。だが、その謝罪文は米国政府が作った文案に沿って北朝鮮政府が読み上げたものだった。北朝鮮の存在は何だか、冬休みの宿題を親にやってもらい、自分は清書するだけという子供と似ている。宿題をやっていかないと先生=韓国が怒るから。先生には宿題を親が手伝ったということがばれているが、先生は苦笑しつつ、見て見ぬふりをしている。それにしても、どうして米国は、「どら息子」国家(本当に「首領様」のどら息子が統治している)北朝鮮をそれほどまでに支援するのだろうか。朝鮮半島の政治バランスが崩れて中国が力を持つことを恐れているからだ、との見方もある。
タイ・社屋を燃やされたくなかったらボーナスを出せ 【1996年12月28日】 バンコクでは最近、不況で激減するはずだった年末のボーナスが、意外に多く出ている企業が多いという。タイは今、不動産バブルの崩壊や、需要を上回る設備投資を続けてきたツケが出て、かつてない厳しい不況にみまわれている。その中でなぜボーナスが削られなくなったか。答えは「三洋を見ろ」である。
フジモリ大統領の光と陰 【1996年12月24日】 ペルーのフジモリ大統領は、シンガポールのリー・クアンユー元首相や、マレーシアのマハティール首相のような指導者を目指しているといわれる。ワンマン権力者ながら、積極的な経済政策により、社会を貧しさから解放し、豊かな国民生活を実現する「アジア型」リーダーを目指したのである。その試みはこれまで成功してきたのだが、最近になって陰りを見せ始めた。
中国で増える内陸から沿海地域への出稼ぎ 【1996年12月23日】 中国では農閑期を中心に、農村から沿海地域の大都市へ出稼ぎに行く人が増えている。高度成長にわく沿海地域と内陸部との貧富格差の拡大によって引き起こされたもので、潮の満ち引きのように大量の人々移動する姿をとらえて「潮流工」と呼ばれている。農村から大都市に行ったまま帰らない人も多い。
カザフスタン民営化の紆余曲折 【1996年12月18日】 ソ連が崩壊して約5年が過ぎたが、旧ソ連邦の各国では人々の生活が豊かになる希望がまったく見えず、困窮の度合いがますます高まっている。どのようなしくみでそうなるのだろうか。12月17日付けのフィナンシャル・タイムスに、そのヒントになりそうな事例が出ていたので、それを紹介する。
北朝鮮からの亡命者受け入れを渋り出した韓国 【1996年12月18日】 北朝鮮から韓国に1家族17人が逃げてきたが、彼らと同じように北朝鮮を抜け出し、中国の延辺などの朝鮮族の親戚の家などに隠れ、韓国への脱出の機会をうかがっている人々は、かなりの数になっている可能性がある。筆者の朝鮮族中国人の知り合いは延辺に住んでいるが、2年ほど前にすでに北朝鮮から親戚が逃げてきた。だが、中国の公安に見つかって帰国させられた。中国側の親戚がいろいろ取り計らったので、北朝鮮に帰ってからも、収容所などには入れられず、逃げる前と同じ生活ができているという。
民営化で矛盾抱える世界の電話会社 【1996年12月2日】 それまで株を買ったことがなかったドイツ人たちが、11月18日に上場したドイツテレコム株の購入申し込みに殺到したという話を聞いて、かつての自分たちのようだと苦笑した日本の方々も多いのではないか。ドイツテレコムが公開した株式は120億ドルで、欧州で過去最大の株式公開である。ドイツではこれまで、株は投機だから良くないと考える風潮が強かった。それが欧州経済統合を前に、ようやく金融多様化の時代に入った、との論調も欧州では目立つ。だが、ひと足先にNTT株の下落で痛い目に遭った日本人からみると「電話会社の株は危ないよ」と、かつての同盟国の人々に言いたくなる。
国家体制の危機しのび寄るサウジアラビア 【1996年11月28日】 豊富な石油収入で豊かな生活を謳歌してきたサウジアラビアの人々に、貧困への不安が広がっている。湾岸戦争による軍事出費の増大と石油価格の下落が主因だ。サウジ政府に巨額の軍事出費を強いたアメリカに対する反感も強まり、米軍施設への爆弾テロが相次いでいる。その真の標的は、成金体質で腐敗している王室だともいわれている。
軍隊にも給料支払えないロシアの危機 【1996年11月25日】 経済が混迷するロシアで今年初めから国営工場、学校、病院、軍隊など公務員への給料や年金の支払が滞っている。生活に困った労働者たちによるストライキがロシア各地で続いており、今年7月には沿海州の炭坑と発電所でソ連崩壊後最大のストがあったほか、10月末にはモスクワの政府庁舎前で10万人規模のストがあり、不満の高まりを恐れた政府は資金をかき集めて未払い賃金の一部を支払った。だが、企業からの税金徴収が思うように進まない政府は財政難で、40兆ルーブル(7000億円)に上る給料と年金の遅配分をすべて支払うにはほど遠い状態となっている。
世紀末の中国でキリスト教が大流行 【1996年11月19日】 中国でキリスト教が大流行している。12億人を束ねていた中国共産党の権威が弱まり、人々は新たな心の支えを求め、あるいはキリスト教の奇跡に引かれ、教会へと集まっている。
危機忍び寄るベトナムの経済政策 【1996年11月10日】 経済開放政策で市場経済社会の仲間入りを果たし、低賃金で識字率の高い労働力が魅力のはずのベトナムへの進出に対し、海外企業が二の足を踏むようになっている。1980年代から経済改革を進めたベトナム政府が今年に入り、政府や国営企業の権益を守るため、改革の速度を落としているからだ。そのやり方は日本の官僚のやり口とも似た、行政運用上の不公正、不透明さを維持する方法で行われているため、外から見えにくいかたちで進行している。
北朝鮮への対応めぐりきしむ米韓関係 【1996年11月8日】 9月中旬、北朝鮮の兵士が潜水艦を使って韓国に侵入した事件を機に、韓国と米国の間の北朝鮮への対応をめぐる食い違いが明らかになった。ことの起こりは、9月18日に潜水艦事件が起きた直後、米国のクリストファー国務長官が「双方の当事者は、問題を冷静に解決してほしい」との声明を発表したこと。これに対し韓国政府は「同盟国である韓国の側に立って北朝鮮を非難すべき立場の米国が善意の中立者を装った上、韓国が北朝鮮と同様に好戦的な国であるかのような言い方だ」と反発し、韓国のマスコミも米国非難を展開した。
泥沼化するアフガン内戦 【1996年10月31日】 アフガニスタンでイスラム教の聖職者を中心としたゲリラ組織「タリバン」がゲリラどうしの内戦に勝ち、首都カブールを占領したことで、アフガン内戦は区切りを迎えた。だがアフガンでは以前から、戦争が終わると間もなく次の戦争が始まる、という歴史が繰り返されており、今回もそのパターンから逃れることは難しい。
南アフリカでストライキ多発 【1996年10月25日】 南アフリカ共和国で、このところストライキが多発している。一九九四年に人種差別のない選挙が実施されてアパルトヘイトは完全に終わり、国民の七四%を占める黒人たちは豊かな生活ができるようになるはずだったのが、現実は甘くなかった。
尖閣諸島は誰のものか 【1996年10月4日】 このところ、香港の新聞では、釣魚台(尖閣諸島)についての反日的な記事を見ない日はないほどだ。しかし一方、日本のマスコミではこの問題は事実だけ簡単に伝えられるだけで、産経新聞など「保守主義」を看板にしている一部のメディアが、反中華の観点に立って報じているだけだ。どうしてこのような温度差が生じるのか。この問題では、香港、台湾、中国の人が「反日」で大同団結しているようだが、中国人の民族意識が高まりつつあるといえるのだろうか。
五百年の歴史につぶれる大蔵省改革 【1996年9月】 日本の中央官庁が立ち並ぶ霞ヶ関。ある日、ここを歩いていて、ふと気づいたことがあった。並んでいるビルが、皇居に向かって姿勢を正して並ぶ家臣たちのようにみえたのだ。皇居の桜田門から向かって右には旧内務省ビル、外務省、大蔵省、文部省。内務省は戦後GHQに解体され、自治省、建設省、運輸省、警察庁などになっている。そして左には法務省、農水省、通産省、郵政省。戦前にこの区割りを作った時、重要な官庁ほど皇居に近いところに置くという考え方で、順番に並べたのではないか。「天子南面」というが、皇居にいる天皇が南を向くと、官僚たちが並んでいるという格好になっている。戦前は今ほど経済重視ではなかったから、大蔵省や通産省が後ろの方になったのかも知れない。その真ん中を貫くのは国道一号線。国家の大動脈は皇居を出て霞ヶ関の官庁街を抜け、全国につながっている。この形が表すところの構図は戦前に作られたものとはいえ、今も変わっていない・・・
世界各地の労働者に嫌われる韓国企業 【1996年8月21日】 先日、ある在日ベトナム人学者の講演会に出席した。講演はベトナムの政治経済の現状についてだったが、話は日本企業のベトナムでの行動に及び、講演者は「日本企業は地元への技術移転に消極的だし、労働者を大切にしない」「日本人ビジネスマンはカラオケや売春などで評判を悪くしている」といった指摘をした。講演の後、疑問に思ったので個人的に講演者に尋ねてみた。「ベトナムで評判が悪いのは日本企業だけですか。韓国や台湾の企業はどうですか」。すると講演者は「実は、韓国企業が一番ひどい。日本企業よりずっと労働者を虐待しています」との返事・・・
台湾で暴力団が結成準備中の政党の名は「正義党」 【1996年8月13日】 3月の総統選挙で台湾に実現した民主主義政治を崩壊に導くかも知れない最大の要因は何だろうか。総統選挙を武力の脅しで粉砕しようとした中国政府だ、と思う人が多いかも知れない。だが、それに負けずに脅威となっているのが、政界進出をもくろむ暴力団である。中国語では暴力団などの秘密結社を「幇(パン)」と呼ぶ。台湾には現在「竹聯幇」「天道盟」「四海幇」「松聯幇」の4大暴力団がある。8月7日付けの台湾の新聞「中国時報」によると、この4つが最近、連合して政党組織を作る準備を進めている。その名も「正義党」。
台湾のモンゴル独立承認は「台湾独立」への観測気球 【1996年8月5日】 台湾(中華民国)の李登輝総統7月12日、国民大会(国会)で、モンゴルが独立しているという事実を認めることを表明し、議会がこの問題について十分に討議すべきだと述べた。このことに端を発し、「大陸への反攻、再統治」という台湾の国家目標の見直しが公式に議論される可能性も出てきた。モンゴル独立承認は、中国政府や台湾の統一派から「隠れ独立派」と呼ばれている李登輝総統が、中国との再統一を防ぐために打ち上げた観測気球ともいえる。
マンション買ったら上海居住権をプレゼント 【1996年8月4日】 上海市では、最近マンションが作り過ぎで売れないので、売れ行きを上げるため、マンションを買った人は、もれなく上海市の戸籍(正式居住権)をあげます、というキャンペーンを始めることにした。
フィリピンは400年間の宗教戦争を解消できるか 【1996年8月2日】 フィリピン南部で400年間にわたり続いてきたイスラム教徒とキリスト教徒の戦争が、経済発展という共通の目標を前に、解消に向け正念場にさしかかっている。フィリピン政府とイスラム教徒のゲリラ組織「モロ民族解放戦線」(MNLF)は6月23日、ミンダナオ島南部にイスラム教徒の自治区政府を作ることで合意し、暫定的な組織「南部フィリピン和平・開発委員会」(SPCPD)を設置することを決めた。
産み分けで崩れる中国の男女バランス 【1996年7月29日】 子供を育てるなら、男の子と女の子、どっちがいいですか。と尋ねられれば、昔は迷わず「男の子!」だったが、最近は「女の子もかわいいかな」てなもんで、男女どっちがいいかという傾向は、日本の社会全体としてはなくなりつつある。だが中国では、今も断然「男の子!」だ。女だと結婚して家から出ていってしまうが、男なら農作業を手伝ったりできるから、という、日本の少し前までと同じ理由による。
半失業続く中国の国営企業従業員 【1996年7月25日】 中国の都市労働者1億5000万人の7−8割を占める国営企業の従業員の多くが、半失業状態を続けている。中国に30万社ある国営企業は、工業生産の約半分を作り出しているが、海外製品の市場参入と、社会主義市場経済システムが抱える構造的な矛盾から行き詰まっているところが多い。中国政府の発表によれば、今年上半期には約45%の企業が赤字となり、国営企業全体の損益合計が赤字となった。全体の累積赤字は1000億元(1兆2000億円)を超え、、政府は毎年、国家予算の約3分の1を国営企業対策にあてている。
北京でも失われる近所づきあい 【1996年7月19日】 日本でも、大都市のマンションや新興住宅街が増えてから、昔ながらの近所付き合いがなくなったといってこぼす人が多いが、資本主義風の高度経済成長が始まって10年もたたない中国でも、早くも同様の変化が始まっている。
リビアでカダフィ政権への反発高まる 【1996年7月18日】 アフリカ北部の国リビアでは、最高実力者カダフィ大佐の独裁政治が続いているが、54歳のカダフィ氏には、アル・サイディという名前の20代中ごろの息子がいる。サイディは、あるサッカーチームのパトロンをしているが、7月9日、首都のトリポリで、そのチームが別のチームとの対戦中、レフリーが彼のチームをひいきする審判をたびたび下した。これを見ていた観客たちが、同じくこの試合を見に来ていたサイディと、父親のカダフィを非難するスローガンを叫び始めた。
広州市の「養犬税」は汚職の温床 【1996年7月16日】 中国では何年か前から、各地の自治体がいろいろな名目で住民から税金や手数料を取り立てるので問題になっているが、香港に近い広州市では最近、犬を飼う市民から税金を取ることを決めた。問題は、その税額がかなり高く、飼っている市民全員から徴税するというより、汚職の一形態として税制が用意されたのではないかと考えられることだ。
実現性が増す欧州通貨統合 【1996年7月15日】 昨年暮れ、通貨統合の前提となる財政赤字の削減を目指したフランス政府の社会保障費抑制策に反対して、フランス全土でゼネラルストライキが実施され、国じゅうが麻痺してしまったころは、1999年に予定されている欧州の通貨統合は、とてもではないが実現不可能と思われていた。だが、それから半年、最近では通貨統合の実現性はかなり高くなっているように見える。通貨統合に参加できるための財政赤字の削減は、多くの国で実現できそうもないが、立派な通貨統合地域を作ることよりも、あまり立派でなくてもいいから、とにかく通貨統合を実現させたい、という考えに、各国の政治家や官僚たちの考え方が変わってきている。それは、このままでは欧州は、急速に経済力を増しつつあるアジア諸国にも抜かれてしまい、世界の2流地域になってしまうのではないか、という不安が増しているからだ。
中国の知的所有権が日本に侵されている!? 【1996年7月14日】 米国流のヒステリックな攻撃に始まり、結局米国側の本来の目的である中国市場への食い込みをあまり達成できずに終わった米中知的所有権紛争であったが、その動きに目覚めたのか、中国政府は6月上旬、「中国の有名ブランド名だって海外の人々に盗用されている」との意志表示をした。しかも、特に日本における侵犯が目につくというのだ。一体何のことだ?。実は、中華料理レストランの名前や中国茶、中華風味のお菓子の名前などの登録商標を無断で盗用しているという話である。
中国で頻発する人さらい 【1996年7月13日】 子供のころ、日没後も外で遊び続けていると、大人から「早く家に帰らないと人さらいにさらわれるよ」などと言われたことのある人は多いはず。今の日本では「人さらい」という言葉自体が死語になり、どういうことを意味しているのかさえ、イメージしにくくなっている。ところが中国では今、人さらいが深刻な社会問題の一つになっている。犠牲者のほとんどが、10代後半の女性だという。
国際通貨基金も中国には物言わず 【1996年7月12日】 米国ワシントンにある国際通貨基金(IMF)の本部に勤めていた中国人職員が、昨年12月に中国出張中に収賄の疑いで逮捕され、6月28日に懲役11年の判決を受けたのだが、その職員は無実の可能性が高い。同僚たちがIMF本部内で抗議の活動を行うなどしたのだが、IMF上層部としては大国になりつつある中国に慮って、何の行動も起こしていない。
家内工業の街から頭脳都市に変わりゆく香港 【1996年7月11日】 来年に迫った中国への返還を前に香港では、小規模な家内工業など製造業中心の経済から、貿易やマーケティング、金融などのサービス産業が中心へと変わりつつある。
中国のパレスチナ、新疆の悲劇 【1996年7月10日】 中東にあるパレスチナは非常に有名だが、中国にもパレスチナのように、イスラム教徒が圧倒的な異民族の権力の前に、絶望的な戦いを続けている場所がある。中国西北部の新疆ウイグル自治区である。ここに住むウイグル人たちは、80年代の終わりから分離独立運動を盛んにやるようになったが、中国全土で人々の間に共産党離れが進んでいる最近になって、中国政府は特に運動への弾圧を強めている。イスラム原理主義の影響でウイグルの方も爆弾テロ、漢民族の幹部やウイグル人で当局寄りの幹部を狙った暗殺事件を起こすなど、テロ化の傾向を強めている。
再び政治色を強制される中国映画 【1996年7月9日】 中国映画はかつて文化大革命のころ、革命を題材にしたものばかりで、面白くなかった。映画界の人々はそういうものを作らないと、右派というレッテルを貼られ、大変なことになった。その後1980年代の開放政策で、張芸謀(チャン・イーモウ)や陳凱歌(チェン・カイクー)など、国際的にみても非常にすぐれた作品を作る映画監督が登場し、中国の映画文化は大きく花開き始めた。
売れない中国の国債 【1996年7月8日】 中国政府は国債が売れなくて困っている。中国財政部(大蔵省)が5月に発売を始めたした5年もの国債約300億元(約3900億円)分のうち、5月末までの段階で21%しか売れていない。国債の利回りは銀行の預金金利より1%高い13.6%に設定したにもかかわらず、である。(中国ではまだ預金金利が当局によって統制されている)
台湾の無名企業が経営難の中国企業群を立て直し、中国一にした話 【1996年7月7日】 台湾の木材加工メーカーで「大福集団」という小さな会社がある。これまでほとんど無名だったが、ここ7年間に、大陸の木材加工メーカーで経営不振に陥っていた国営企業13社に次々と資本参加し、全ての経営を立て直し、中国最大の木材加工グループを作り上げた。このことは最近、中国や台湾で話題となり、「資本神話」と呼ばれ、ほめ称えられている。
上海で吹き出すミネラルウォーター戦争 【1996年7月6日】 上海の夏は暑い。大都会の熱気は夜中になってもおさまらず、人々は家が狭いこともあって、家の前の路地に簡易ベッドを出して寝る。毎年夏の間に、暑さに負けて何人かのご老人が亡くなるという。その上海では今夏、ミネラルウォーターが人気を呼んでいる。「蒸留水」「鉱泉水」「純水」「超純水」はたまた「太空水」(宇宙の水)など、水の呼び名だけでいくつもある。ブランド名となると「雪碧」(真っ青な雪。確か「スプライト」と同じ漢字)「雪菲」「碧康」「碧純」と、紛らわしい名前のものや、「青春実」「正広和」「■柏克林」(「スパークリング」と読む)など、数十種類もある。メーカーの数だけでも国内企業、外資との合弁企業あわせて20社以上の企業が売り出している。
中国から香港への密出国者が急増 【1996年6月30日】 香港のメディアなどではすでにかなり報道されていることだが、香港返還を控え、広東省から香港への密航者が、今年初めから急増している。広東省の国境警備当局は、例年よりも警戒態勢を強めており、摘発者が増えている。
資本主義に毒された文字が好き! 【1996年6月26日】 中国の広州市当局は5月末、広州市内に事務所を持つ中国企業が会社登記をする際、海外の地名、人名を社名に用いたり、アルファベットを並べた社名で申請することを禁止する通告を出した。同時に、旧字体(繁体字)を使った社名も禁止し、中国で公式の文字となっている簡体字で登記することを義務付けた。通告は「今後は、中国企業が植民地文化の色彩を帯びた文字を使った社名で登記申請した場合、国家の利益と尊厳をそこなう恐れがあるので受理しない」としている。
中国でもイベントバブル 【1996年6月25日】 このところ中国では、経済発展の影響で、全国各地でいろいろな展示会、商品コンテストが開かれているが、山東省の新聞「大衆日報」が5月末に報じたところによると、中国政府の国務院は最近、国営企業がこれらのイベントにあまり参加しないよう、通達を出した。その理由は、イベントに参加するという名目で、企業幹部が会場となる都市に出張に行き、実際の参加はそこそこに、あとは宴会、観光、買い物、果ては売春に走っているからだという。
インドネシアで始まった民主化への胎動 【1996年6月21日】 インドネシア第2の野党、インドネシア民主党(PDI)は6月20日から5日間の日程で、西部のスマトラ島メダンで党大会を開いた。この党大会は実は、事実上、与党ゴルカルのスハルト大統領がPDIの反主流派に働きかけて開かれたもので、PDI総裁のメガワティ・スカルノプトリ女史を総裁の座から降ろすためのものだ。
小船で欧州に向かう中国人 【1996年6月20日】 インドネシアの新聞が6月3日に報じたところによると、インドネシアのスマトラ島南部の港に先日、中国人86人が乗った船が入港した。乗っていた人々は、食料と燃料がないので援助してほしい、と求め、近くの町に駐屯しているインドネシア軍の部隊がそれに応じた。中国人たちは広西省の住人だったが、「中国政府の鎮圧を受けた」ため5月15日に中国を出港し、欧州に向かう途中だと説明した。乗客、乗員は誰もパスポートを持っておらず、船の船籍などを証明する書類も何もなかった。船はしばらく港に停泊した後、欧州の方向に出港していったという。
東南アジア庶民経済紀行 【1995年12月】 この文章は、95年9−10月に会社の出張で取材旅行した東南アジアについて、会社の原稿を書くだけではもったいないと思い、本にしようと書き始め、途中で挫折している作品です。
ブルネイについて 【1995年10月】 この文章は、作者が95年10月にブルネイを旅行した際の体験を書き残そうとした旅行記の一部です。イギリスで発行されている格安旅行ガイドブック「HANDBOOK」の歴史解説などを参考にしました。
台湾の原発 【1989年】 この文章は、1988年に休暇で台湾を旅行した際に、反原発運動について取材らしきことをしたので書きました。1989年に完成しましたが、ニフティサーブ以外のところには発表できなかった作品です。データは古いです。
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