北朝鮮からの亡命者受け入れを渋り出した韓国

(96.12.18)

 北朝鮮から韓国に1家族17人が逃げてきたが、彼らと同じように北朝鮮を抜け出し、中国の延辺などの朝鮮族の親戚の家などに隠れ、韓国への脱出の機会をうかがっている人々は、かなりの数になっている可能性がある。
 筆者の朝鮮族中国人の知り合いは延辺に住んでいるが、2年ほど前にすでに北朝鮮から親戚が逃げてきた。だが、中国の公安に見つかって帰国させられた。中国側の親戚がいろいろ取り計らったので、北朝鮮に帰ってからも、収容所などには入れられず、逃げる前と同じ生活ができているという。

 韓国はこうした事情をかなり知っており、朝鮮族中国人の親戚を通じて北京の韓国大使館などに亡命を打診する人もいるのではないかと推測される。だが、韓国にとって、軍人などではない普通の北朝鮮の人は亡命を認めても韓国政府にとって宣伝効果がない。どんどん来られたら、亡命後の就職や住宅の世話をするのも大変だ。
 だから韓国政府は中国国内に亡命希望者がいても無視している。韓国が中国政府の許可を受けて(それには中共の要人に金を払うことが必要だろうが)中国国内までやってきた亡命希望者を探せば、100人や200人はすぐに出てくるかもしれないのに、放置している。
 韓国ではすでに、北からの亡命者の受け入れに関して問題が起きそうな状態だ。韓国の新聞に「北からの亡命者が韓国での生活難を苦に自殺」「亡命者が政府保障を要求して役所の前で座り込み」などという見出しが踊る日も近いのかもしれない。

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