田中宇の国際ニュース解説
世界はどう動いているか

 フリーの国際情勢解説者、田中 宇(たなか・さかい)が、独自の視点で世界を斬る時事問題の分析記事。新聞やテレビを見ても分からないニュースの背景を説明します。無料配信記事と、もっといろいろ詳しく知りたい方のための会員制の配信記事「田中宇プラス」(購読料は6カ月で3000円)があります。以下の記事リストのうちがついたものは会員のみ閲覧できます。


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中国の人気取り策としての経済取り締まり
 【2014年9月1日】外国に比べて自動車の値段が高いことは、中国の中産階級が持つ不満の一つだ。独禁法違反の形態をとって自動車メーカーに価格を下げさせれば、中産階級の不満をいくらかでも解消できる。中国は民主主義でなく、共産党の上層部で指導者を決めるので、指導者になった習近平らが国民に支持されるには、国民の不満を減らす人気取り策をやる必要がある。

暴動が増えそうな米国
 【2014年8月28日】 全米で中産階級が貧困層に転落する一方で、大企業や銀行の経営者など大金持ちは米当局による金融救済策でますます豊かになり、米国の多くの人々が貧富格差の急拡大に怒っている。政府の救済策の結果、米銀行界の収益は史上最高だ。そんな中で起きたファーガソンの事態は、米国市民の反乱の発祥地(グラウンドゼロ)になると指摘されている。911以来、こうした事態をあらかじめ予測するかのように、米政府は全米の警察を重武装化し、準備を整えてきた。

ウクライナでいずれ崩壊する米欧の正義
 【2014年8月24日】 米国側の姿勢の揺らぎに同期して、EUの筆頭国で最大の親露国でもあるドイツで「もう米国の馬鹿げたロシア敵視策につき合って経済難を被るのはごめんだ」という叫びがマスコミで出てきている。ドイツの経済紙ハンデスブラットは8月上旬に「米欧は間違っている」と題する社説を出した。社説は「対露制裁はドイツの国益を損なう。ドイツのマスコミはロシア敵視のプロパガンダをやめるべきだ。現実策(つまり親露策)に立ち戻るべきだ」と主張している。

イスラム国が中東諸国を結束させる?
 【2014年8月21日】 今は、サウジなどスンニ派アラブ諸国の中に、同じスンニ派のISISよりシーア派のイランを敵視して「ISISがイランと戦ってくれるのは良いことだ」と考える向きがある。しかし、ISISがサウジやヨルダン、トルコ、ペルシャ湾岸諸国などの政権の正統性を否定し、攻撃を仕掛ける構えを取るようになると、事態は一変し、アラブ諸国がISISを大きな脅威と考えるようになる。そうなると、サウジを筆頭とするアラブ諸国が、シリアやイランと和解する流れに転換する。長期的に、ISISの拡大は、イランとサウジ、シーア派とスンニ派の諸国の和解や結束につながる。

クルドとイスラム国のやらせ戦争
 【2014年8月19日】 クルド人は、イスラエルの力を借りて、米政界でロビー活動をしてきた。イスラエルは、アラブ人に対抗する勢力として、クルドにてこ入れしてきた。ロビー活動が功を奏し、米軍がクルドを守るためにISISを空爆し、米政府が直接クルドに武器支援するようになった。こうした点と、8月7日の戦闘で、クルド軍が意外に簡単にISISに対して敗退したことを合わせて考えると、クルド軍はわざとISISに対して敗退し、それを機に石油産業や軍産複合体が米政府に圧力をかけ、嫌がるオバマを再空爆せざるを得ない状況に追いやったと推測できる。

ウイグル人のイスラム信仰を抑圧しすぎる中国
 【2014年8月14日】 南新疆では、共産党幹部の腐敗、ウイグル人の民族問題に加えて、イスラム教に対する抑圧がある。抑圧の根幹には、共産党が「無神論」で、イスラムを含む宗教を迷信とみなして蔑視していることがある。イスラムは世界的な宗教であり、メッカ巡礼などを通じて、南新疆のウイグル人は自分たちの宗教的な誇りや正当性を感じている。イスラム教は、コミュニティの結束力に依拠する宗教で、イスラムのコミュニティは外部から弾圧されるほど、モスクを中心に結束を強めて対抗し、全員が命がけで戦う。当局がモスクを閉鎖したら暴動が起きるのは当然だ。イスラムは、弾圧されるほど強くなる宗教だ。ウイグル人のイスラム信仰を弾圧して宗教色を薄めて、漢人の世俗的な文化に同化しようとする共産党の政策は成功しない。

米覇権下から出てBRICSと組みそうなEU
 【2014年8月5日】 EUがロシアと敵対するか協調するかという問題は、EUが米国とBRICSのどちらを重視するか、既存の米国覇権の世界秩序と新興の多極型の世界秩序のどちらに加勢するかという問題になっている。以前は、多極型の世界体制など絵空事だと多くの人が思っていたが、いまやIMF世銀と対比されるBRICS開発銀行も立ち上がり、中露の戦略関係の強化や人民元の国際化も進んだ。半面、EU(や日本などの米国の同盟諸国)は、米国と協調していても、米企業が得するだけのTPPやTTIPに参加を強要され、ロシアやイランに濡れ衣をかけて制裁するのに付き合わされるだけだ。独仏が、EUを引き連れて中露に接近し、BRICSの仲間になることを検討しても不思議でない。

ラジオデイズ・田中宇「ニュースの裏側」・・・ウクライナ情勢分析

移民危機を煽る米国政府
 【2014年7月29日】 中米3カ国から米国に大挙して流入する違法移民は、中産階級から貧困層に転落した米国民と、低賃金化する雇用と、縮小しつつある福祉を奪い合っている。米政府は、国民の失業増と貧困化を放置する一方で、違法移民の大量流入を扇動し、入国後の違法移民を公金で救済している。この移民危機は、米国の貧困拡大、財政難、行政機能の低下、社会不安増、治安の悪化、暴動などにつながる。米国の覇権衰退や、世界支配からの撤退の引き金を引きかねない。

ウクライナの対露作戦としてのマレー機撃墜
 【2014年7月28日】 ウクライナ軍にとってMH17の撃墜は、ドネツクに侵攻すべきまたとない好機を生み出している。この現状と、ウクライナ軍が撃墜して親露派のせいにしたか、もしくは親露派をだまして撃墜させたという、MH17撃墜をめぐるウクライナ軍の謀略を合わせて考えると、一つの推論が出てくる。ウクライナ軍は、膠着していた内戦を自分たちに有利なように進展させ、ドネツク陥落や内戦勝利に結びつけるために、親露派に濡れ衣を着せる目的で、MH17撃墜の謀略をやったのでないかという推論だ。

マレーシア機撃墜の情報戦でロシアに負ける米国
 【2014年7月24日】 米政府は、事件発生から4日間、ロシア犯人説を主張し続けたが、根拠となる写真などの資料を何も発表しなかった。証拠を何も発表しないまま、事件に関する筋書きの説明が何度も変化した。国務省の報道官は記者会見でロシア犯人説の根拠を問われ、ウクライナ政府が流した録音や、ユーチューブ映像など、ネットに流布する出所の怪しいものを含む情報類のみを根拠として挙げ、米政府独自の具体的証拠を示さなかった。報道官は、ネットで流布する情報の中には、ロシア犯人説以外のもの(ウクライナ軍犯人説など)もあるのに、なぜ米政府は露犯人説にこだわるのかと問われて怒り出した。

出口のないイスラエルのガザ侵攻
 【2014年7月18日】 エジプトでムスリム同胞団を権力から追い出したシシが大統領になるとともに、イスラエルはガザの武器を破壊一掃するために侵攻を開始した。しかしイスラエルのガザ政策は出口がない。エジプトにも米国にも頼れなくなる中で、イスラエルはガザを再占領するしかない事態に陥っている。

金融バブル再崩壊の懸念
 【2014年7月16日】 バブルの膨張は本来、連銀などの中央銀行が阻止すべき現象だ。しかし、連銀はこれ以上QEで自分たちの資産状態を悪化させられない。バブル膨張の扇動や看過に頼らざるを得ない。バブル膨張に依存して好況の粉飾を続ける連銀の策に対し、連銀内やBISから警告が発せられている。金融バブルが大きくなるほど、崩壊時の金融危機がひどくなる。バブルの総量は、すでに前回リーマン危機前よりもかなり大きい。

民主化運動で勝てない香港
 【2014年7月14日】 従来は香港が中国に経済的恩恵を与えてきたが、今後は逆に中国が香港に恩恵を与える。今の香港は、世界から中国に投資する勢力が拠点を置くと便利な場所、人民元のオフショア取引がしやすい市場として発展している。香港が中国投資に便利な場所であり続けるためには、香港が北京政府から政治的・政策的に大事にされ、上海やシンガポールと異なる特別な地位を維持できることが必要だ。香港が北京政府を怒らせると、経済的・政策的にどんな嫌がらせをされるかわからない。香港が北京政府と対立すると、シンガポールや上海に漁夫の利を与え、香港自身が経済的に困窮する。

習近平の覇権戦略
 【2014年7月10日】 BRICSを通じた中国の多極型覇権戦略は、国際政治上で負うべき責任を5カ国で分散する一方で、経済利益は5カ国で最大のものを得る構図になっている。BRICSの中で、米英との喧嘩はロシアのプーチンが積極的にやってくれる。インド、ブラジル、南アは米国との関係が良いので、中露が反米的でもBRICS自体は米国から敵視されない。米国覇権の後に来るであろう多極型覇権体制は、中国にとっておいしい体制だ。

米国自身を危うくする経済制裁策
 【2014年7月8日】 パリバ問題で巨額の金融制裁を科され、米国が自国の濡れ衣制裁に他国を巻き込むことに腹を立てているフランスは、ウクライナ危機を扇動されて金融制裁に直面したロシアと同じ目にあっている。フランスは、決済の非ドル化を進めるロシアやBRICSと同じ気持ちだ。米国の間違った善悪観に従わないとドルを使わせないというなら、ユーロの国際利用を増やしてドル利用を減らすしかないと、フランスは考え始めている。

日本は中国に戦争を仕掛けるか
 【2014年7月6日】 日本政府は、意図して米当局にすべてをさらけ出し、米国側が日本のすべての機密情報を好きなだけ見られる体制を積極的に作ってきた。日本が米国に黙ってこっそり中国と戦争しようとしても、必ず事前に米国に察知される。米国上層部の暗闘を考えると、米国の軍産複合体が安倍をけしかけて戦争させる可能性はあるが、この場合、軍産に出し抜かれたオバマは、開戦後の政治計略によって米軍が出ていかなくてすむようにするだろう。日本は短期間に停戦せざるを得なくなる。

集団的自衛権と米国の濡れ衣戦争
 【2014年7月3日】 米国を動かして世界に軍事駐留させるには、純然たる自衛だけでは不十分で「米国が世界を民主化するんだ」「世界の人々の人権を米国が守るんだ」といった、米国人が好む思想信条に基づく戦争の論理が必要だ。米国の戦争は構造的に、常に「悪」の誇張がつきまとう。誇張の度合いや過激さは、911で一気に強まった。世界の同盟諸国は近年、その誇張にふりまわされ、へとへとになっている。日本は、そんな状況の中に、のこのこと「うちも集団的自衛権を持ちました」と出ていくことになる。

クルド独立機運の高まり
 【2014年6月30日】 トルコもイランも、イラクのクルド地域が独立することを歓迎しない。今は、クルドが国家以下の「イラクの中の自治区」でしかないので、トルコはクルドより上位の存在で、有利な立場でクルドと関係を持っている。だが今後もしクルド国家が独立して世界から認められると、トルコとクルドは対等な国家関係になり、クルドがトルコの言うことを聞かない傾向が強まる。トルコの政権は、口でこそクルド人を喜ばせようと独立容認を示唆してみせたが、本心では、クルドが国家以下の自治区のままであることを望んでいるはずだ。

世界の決済電子化と自由市場主義の衰退
 【2014年6月27日】 現金と現金決済の廃止が、イスラエルや米国の覇権運営者の構想であるとしても、現金の廃止が最大の意味を持つのは、米国や欧日などの先進国においてでない。中国など、新興諸国にとって、現金の廃止はより大きな意味を持つ。匿名性が高い現金決済は、覇権国をしてきた英米が掲げる自由市場経済システムの基盤だった。米英が覇権を失うとともに、市場主義は、BRICS主導の国家主義に取って代わられ、現金を廃止してかまわない素地が生まれる。

中東分割支配の主役交代
 【2014年6月25日】 ISISは総兵力が2万人を超えず、強い勢力でない。旧バース党勢力と組んでいるイラク西部と、内戦で混乱するシリア東部以外の地域に拡大していく可能性は低い。ISISがもたらす広域の影響は、もっと概念的な、政治運動や外交、諜報の分野で大きい。サイクスピコ条約で作られた国境線の改変は、喧伝されているものの、実際のところ起こりにくい。起きそうなことは、国境線の改変でなく、サイクスピコ条約で作られた中東諸国の国際政治システムを維持する主役が、米英から、イラン、サウジ、イスラエルといった地元の有力国に交代するという、裏の支配構造の転換(多極化)だ。そこにおいて、アラブの諸国や諸勢力は依然として受け身だ。

イランの台頭と中東政治の行方
 【2014年6月22日】 イラクがシーア、スンニ、クルドの3分割、シリアがISISとアサドに2分割され、米欧がそれに介入する意志を失う半面、イランがイラクとシリアの分裂状態を保持しつつ両国への影響力を拡大しそうだ。このイランの台頭に対し、米欧や中露、周辺のサウジアラビア、イスラエル、トルコがどう対応するかが、今後の注目点になる。英国がイランとの外交を正常化したのが、世界の対応の表れの一つだ。

麻薬戦争の終わりと米国の孤立主義
 【2014年6月19日】 米当局は大麻の合法化に関し、麻薬の常習者を増やし事態をいっそう悪化させると反対してきた。しかし実際は逆だ。大麻の合法化によって麻薬の相場が急落し、メキシコの麻薬組織の利益が急減して、米当局の「永久の麻薬戦争」が終わるメドが見えてきた。中南米に対する米国の麻薬戦争は、世界戦略をめぐる米国上層部での暗闘の反映だった。英国やイスラエルなど、米国の世界戦略を自国好みにねじ曲げてきた国々は、米国の孤立主義や多極主義を脅威と感じている。メキシコが麻薬戦争から逃れて安定して発展すると、米墨の経済関係が強化され、米国が米州重視の孤立主義でかまわないと考える素地が作られる。

隠然と現れた新ペルシャ帝国
 【2014年6月16日】 今回の事件でイラクは隠然と3分割されたが、イランはそのすべてに影響力を持つ。イラクの南半分のシーア派地域は明らかにイランの傘下だ。イラク中部のスンニ派地域では、ISISが表向きイラン(シーア派)を敵視しているが、ISISの実体が旧バース党勢力であるとしたら、彼らの目的はスンニ派地域の自治と発展であり、シーア派と無益な戦争をすることでない。イラク北部のクルド人も、自治をくれるなら(少なくとも当面)イランに対抗しない。イランがISISと話をつけた上でモスルが陥落したのなら、イランはシリアでもISISと何らかの話をつけており、シリア内戦の和解が近い。そうなるとレバノンからシリア、イラクまでの「シーア派の三日月」地域におけるイランの覇権が強くなる。これは「新ペルシャ帝国」とも言うべきものだ。

イラク混乱はイランの覇権策?
 【2014年6月14日】 イランは、レバノン、シリア、イラク、イラン、ペルシャ湾岸南岸でシーア派が多い地域までをつなぐ「シーア派の三日月」地域を、自国の影響圏(覇権下)として確立しようとしている。その際、三日月の内部に不安定要素として残っているのが、イラク西部とシリア北部で反抗的なISISなどスンニ派武装勢力と、イラク北部で独立をめざすクルド人だ。イランは影響下にあるイラクの政権を操作し、スンニ派を懐柔するためにモスルを、クルド人を懐柔するためにキルクークを与えたのでないか。

嵐の前の静けさ続く金融システム
 【2014年6月11日】 昨今の金融市場の静けさは、リーマン危機発生前の平静さと似ている。いずれリーマン危機のようなバブル崩壊につながる、危険な、嵐の前の静けさだ。当局と金融界が金利高騰の悪夢を先送りしようと平静を演出するほど、金あまりと低金利の中で投資家が高リスクな金融商品を高く買い、バブルを膨張させる。このバブルは最終的に破裂し、金融危機を引き起こす。延命の期間が長いほど、バブルが大きく膨張し、金融危機の規模がリーマン倒産時よりひどくなる。

米国覇権の衰退を早める中露敵視
 【2014年6月9日】 シャングリラ対話やG7での米国主導の中露敵視は、中国の海上拡大や中露結束、多極型露呈に拍車をかけ、米国の覇権体制を自滅に誘導する効果を持っている。日本は、米国の覇権が減衰したら国是の対米従属ができなくなって孤立弱体化するのに、安倍首相は米国に命じられて中国敵視の発言を繰り返し、中露結束や多極型世界の出現と米国覇権の減衰を早める皮肉な役割をさせられている。

欧州極右の本質
 【2014年6月4日】 ロシアのプーチンと欧州の極右が仲が良いのは一見、奇妙な現象だ。右派が望む、欧州が各国バラバラな体制下で、ロシアは味方といえず、むしろ脅威だ。しかし視野をもう少し広げ、米国の覇権体制の現状から考えると、別の構図が見えてくる。米国は911以来、自国を批判する諸国を武力や野党扇動による政権転覆で潰したがる単独覇権主義を掲げ、世界を不安定化、不正義化している。ロシアと欧州のナショナリストの視点や利害が「米国の覇権を抑制すべきだ」という点で一致する。

拉致問題終結の意味
 【2014年5月30日】 米国がずっと北朝鮮問題解決の主導役をしていたら、日本政府は拉致問題をずっと「解決」しなかっただろう。拉致問題は、北方領土や尖閣問題と同質の、日本が対米自立へと押し出されるのを避けるための「外交防波堤」だった。しかし米国が中国に北朝鮮問題の解決役を押しつけ、中国が習近平政権になって解決役に本腰を入れるに至り、拉致問題に対する日本政府の姿勢が変化した。米国が北朝鮮と和解して日韓を対米従属から押し出す見通しが消えた以上、拉致問題を使って日本が独自の北敵視策を続ける必要はない。

プーチンに押しかけられて多極化に動く中国
 【2014年5月26日】 中国は、今回プーチンが駆け込んで来なければ、今後もしばらく米国の覇権に楯突く姿勢を見せなかったかもしれない。中国だけでなくBRICSは全体として、米国の覇権が低下しつつあるので代わりの多極型の世界体制が必要だとの共通認識を持ちつつも、米国の代わりに覇権を負担するのもリスクがあるので、多極化は急がずに進める姿勢をとってきた。しかし米国が起こしたウクライナ危機で、プーチンが米欧との対立に追い込まれ、中国に対して「多極化を予定より早く進めよう」とさかんに誘っている。その対価はガスの安売りだけでなく、もともとロシアの傘下にあった中央アジア諸国において、中国が優先して経済利権を得ることをロシアが黙認することも含まれているという分析も出ている。

いずれ和解するサウジとイラン
 【2014年5月20日】 サウジアラビアがイラン敵視をやめる最大の要因は、米国がイランの台頭を誘発する形で、イランに対する核兵器開発の濡れ衣を解いていることだ。サウジの外相がイラン外相に招待状を送ったと表明した日は、ちょうど米国からヘーゲル防衛長官がサウジを訪問し、GCC諸国の防衛相を集めてイランに対抗する戦略を話し合う安全保障会議が開かれるタイミングだった。ヘーゲルはこの日、サウジなどGCC諸国に「団結してイランの脅威と対決しよう」と呼びかけた。だがサウジは「米国自身が、イランと対決する意志などないくせに」と皮肉るかのように、イランに和解を提案した。

金融世界大戦の実態
 【2014年5月16日】 米連銀がQEを減らしたら、米国債の信用が落ちて金利高騰の悪夢になる。連銀は表向きQEを減らしていると言いつつ、裏でベルギーの名義を借りて買い支えている。連銀はこうした「裏QE」により、中露が米国債を売り放っても金利の上昇を防いでいる。だが、それを永久に続けられるわけでない。

バブルな米国覇権を潰しにかかるBRICS
 【2014年5月13日】 米国は、世界の基軸通貨であるドルを持つ覇権国なのに、不健全な経済運営を続けて世界を不安定化しており、覇権国としてふさわしくないと、中露などBRICSが考える傾向を強めている。911以来、米国は外交も過度に好戦的で、世界の安定を守る役目を果たさなくなっている。米経済は不健全な運営で弱体化し、BRICSが押せば倒せる状態になっている。

御しがたい北朝鮮
 【2014年5月9日】 中国は、貿易面から北朝鮮の生殺与奪権を握っている。しかし中国が北朝鮮を経済制裁すると、北の人々の生活が悪化して中国に経済難民が流入し、悪影響の方が多い。北は強度の独裁体制で、冷戦直後に示されたように、外国からの経済支援を絶たれて市民が大量に餓死しても政権打倒につながらず、政権や軍部は延命し、結束はむしろ強くなる。だから、中国は北朝鮮を本格的に経済制裁できないし、米韓日が北を経済制裁しても中国は本気で乗らない。中国は北の手綱を世界で最も握っているが、その力は強くない。クリントン政権時代、米国も原発建設などをえさにして北に言うことを聞かせようとして失敗した。北は御しがたい国だ。その意味で「主体思想」は成功している。

シェールガスの国際詐欺
 【2014年5月7日】 シェールの石油ガス開発は、詐欺の構図を持っているだけでなく、国際政治と絡んだ詐欺になっている。シェールの詐欺の構図に最初に乗ったブッシュ政権が、石油ガス産業と軍事産業という、外交を道具として世界中で儲けようとする2つの利権が合体したものだったことが、シェールの詐欺が国際化した背景にありそうだ。ポーランドやウクライナなどでは、いったん米欧の大手がシェール石油ガス開発を受注したが、調査したら有望でないとわかり、いずれも撤退している。しかしその後、2月末からのウクライナの政治危機で、状況が再び変わった。

量的緩和をやめさせられる日銀
 【2014年4月28日】 2月のウクライナ危機発生以来、BRICSの中でもロシアが特に、ドルの基軸性低下による米国覇権の崩壊を誘発したがり、BRICSの影響力が強いG20は、ロシアに引っ張られる形で、米国だけでなく日本に対してもQEを縮小するよう圧力をかけ始めた。覇権転換を賭けた世界規模の戦争を世界大戦というが、第三次世界大戦の主戦場は、核などの兵器によるものでなく、金融システムの主導権や金融兵器(愛国法311条)、QEなどドルの延命策をめぐる、金融の問題だ。第三次世界大戦は、金融戦争としてすでに始まっている。日銀がQEをどう縮小するか、日米のQE縮小が債券金融システムの延命にどう影響するかは、金融戦争(第三次世界大戦)の一部である。

時代遅れな日米同盟
 【2014年4月23日】 日本も米国も経済が衰退している。米国は、衰退する日本と組むより、何億人もの貧困層が中産階級になって消費が急拡大しつある中国やインドなどBRICSと組んだ方が良い。日本も、衰退する米国に従属し続けるより、BRICS、特に近くにある中国との経済関係を強化するのが良い。オバマが訪日する日本では、日米同盟(対米従属)こそ日本の繁栄の基礎と喧伝するが、世界の現実は全く違う。

内戦になりそうでならないウクライナ
 【2014年4月18日】 ウクライナ東部の町では、ウクライナ空軍の戦闘機やヘリコプターが威圧的な低空飛行を続けている。それだけを見ると、今にも本格的な鎮圧が行われて内戦に突入しそうだが、鎮圧行動に不可欠な地上軍は、奪われた装甲車の部隊以外には目撃されていない。空軍は威圧飛行するだけで空爆せず、心理戦に徹している。ウクライナ政府は、本格的な東部襲撃を躊躇しているのでなく、襲撃を試みたものの失敗し、装備や兵士など地上軍の戦力をかなり失い、襲撃を拡大できない状況だ。

中東和平の終わり
 【2014年4月16日】 近代の百年は、英米だけが覇権の草案を考えていた。パレスチナ国家建設案は、英米の覇権策の一環だ。多極化が進む今後の新しい覇権の枠組みの決定者には、露中などBRICSが加わる。覇権草案の決定者が変わる以上、英国が70年前に決めたパレスチナ国家創設案やエルサレム分割案にこだわる必要はない。米英の覇権が崩れるとともに、パレスチナ国家に対するこだわりが薄れていく可能性が増す。イスラエルにとって今の時期は、英米(資本家ユダヤ人)が自国に押し付けたパレスチナ問題を振り払う好機だ。

ウクライナ内戦の瀬戸際
 【2014年4月10日】 東部住民の決起でウクライナは再び緊迫している。東部のロシア系住民、ウクライナ極右政権、米軍産複合体といった、対立する各勢力の中には、緊張が激しくなって内戦化することを求める傾向が強い。ロシア系住民の中には、ウクライナ当局が弾圧を行って東部が内戦化し、ロシアが軍を侵攻させざるを得なくなる方がロシアに併合してもらえて良いと考える者がいる。ウクライナ新政権には、東部が内戦化してロシア軍が侵攻してくると、米国が軍事的にウクライナに肩入れを強めざるを得ず、米欧がウクライナを守る傾向が強まるとの考え方がある。ウクライナの政権転覆を誘発した米国の軍産複合体やネオコンは、東部が内戦になって露軍が侵攻した方が、米露の軍事対立が激化し、米政府が軍事を財政緊縮の例外として扱わざるを得なくなり、軍産複合体が儲かるので良いと考えている。

乱闘になる温暖化問題
 【2014年4月7日】 学界自身、温暖化がプロパガンダであると露呈していく中で、態度を変えざるを得なくなっている。米国の物理学会は、温暖化問題に対する組織としての姿勢を劇的に転換し、温暖化懐疑派として著名な3人の学者を、広報委員会の委員に加えた。米国の物理学界では、人為的温暖化を確定的だと言う学者は、気候変動をめぐる不確定要素を過小評価しているという見方が広がり、その結果、学会を代弁する広報委員会に懐疑派が入ることになった。学界における誇張派の「主流派」としての地位が揺らぎ出している。

NATO延命策としてのウクライナ危機
 【2014年4月4日】 2月に起きたウクライナの政権転覆は、米国の右派が誘導したものだ。米国が、なぜウクライナを政権転覆して米露対立を誘発する必要があったのかという問いに対する答えになりそうなのが「米覇権構造の一部であるNATOを存続させるため」である。

国際情勢の四月馬鹿化
 【2014年4月2日】 国際情勢に関する米政府などの発表やマスコミ報道は近年、誇張や意図的な事実誤認が目立ち、大真面目に書かれた記事の方がエイプリルフール的だ。ロシア軍がウクライナに侵攻しようと国境に数万人の軍を結集していると大々的に報じられたが、これはウクライナ極右政権の誇張を米欧勢が(わざと)鵜呑みにした結果だった。米国の経済制裁は、プーチンが試みたができなかった独自金融システムの実現を棚ボタ的に早めている。ロシアの独自システムは、中国やブラジルの独自システムと連携し、米国抜きの世界システムに発展しうる。

ウクライナ危機は日英イスラエルの転機(2)
 【2014年3月25日】 唯一の後ろ盾だった米国が弱さを見せるので国家戦略を転換せざるを得ないのはイスラエルだけでない。日本も同じだ。日本は、戦後の国是だった対米従属を延命させるための策として、尖閣紛争などで中国や韓国との敵対を煽ってきた。しかしウクライナ危機で米露対立が激化するのと前後して、日本政府は中韓朝との敵対を緩和する動きを開始している・・・

バブルでドルを延命させる
 【2014年3月25日】 連銀がQEをやめることを発表しても、債券の金利が上がらず、株価も史上最高に近い水準を保っている。そのからくりは、連銀がQEを縮小するのに合わせて、米金融界が債券発行時の担保の掛け目を低くした高リスク高利回りの商品の売れ行きを煽るなどして債券バブルの膨張を加速し、QEが減った分を民間のバブル膨張で補うことで、金融崩壊を防いでいる。

アルジャジーラがなくなる日
 【2014年3月24日】 サウジアラビアが、カタールに対し、同国政府が運営する衛星テレビ。アルジャジーラを廃局するよう迫った。サウジの敵視が公然化したのを皮切りに、カタールはイランに接近する動きを加速した。カタールは以前から、ムスリム同胞団やガザのハマス、アルカイダ系の諸勢力など、武装勢力やテロリストを含むスンニ派のイスラム主義運動を支援してきた。一方イランは、レバノンのヒズボラやイラクのマフディ軍など、武装したシーア派のイスラム主義運動を支援してきた。両者はレバノンやシリア、イラクなどで対立する勢力を支援していた。イランとカタールが政治的な結束を強めることは、中東全域の武装勢力の敵味方関係に大きな変更をもたらす。

露クリミア併合の意味
 【2014年3月20日】 米欧とロシアの関係史をよく見ると、米欧の方が横暴なうそつきで、ロシアの方が被害者だ。冷戦後、米国はNATOを東欧に拡大しないと約束してロシア軍を東欧から撤退させたが、その後米国は約束を守らず、東欧をNATOに加盟させた。今回の危機直前の昨年11月、ロシアはEUに対し、ウクライナも入れた3者間でウクライナの安定について協議しようと提案しが、EUは無視し、逆にウクライナに「EUとロシアとどちらにつくか」と二者択一を強要した。当時の親露的なウクライナがロシアを選択すると、EUは米国と協力してウクライナの政権を転覆した。米欧のロシアに対する横暴やウソは、ソ連崩壊後のロシアが弱く、米国の覇権が圧倒的に強かったからだ。しかし今、米国の覇権は自滅的に崩壊する一方、ロシアは強さを取り戻すプーチンの長期戦略が成功し、今回のウクライナ危機で形勢の顕在化している。

ウクライナから米金融界の危機へ
 【2014年3月17日】 ウクライナ危機が米国債やドルの危機につながりそうな点は、ロシア勢が制裁を逃れるために米国債を売った件など最近の出来事によるものでない。もっと長期的で目立たないが本質的な動きによる。今の米国の濡れ衣的なロシア敵視の強化は、こんご米国が自滅的に経済崩壊する際、BRICSが米国の延命を助けたり傍観するのでなく、隠然と米国が覇権を失ってBRICSの世界支配を強める方向の動きをすることにつながる。

JERSEY KING 作品集(YouTube)
 田中宇の近所の人(子供の学童の父母会仲間)、JERSEY KINGのビデオ作品集です。国際情勢と関係ありませんがリンクします。仕事募集中だそうです。

米露相互制裁の行方
 【2014年3月15日】 ロシアだけで米欧と金融戦争的な相互制裁を行っても、世界的に大した影響はなく、最終的にロシアの負けに終わる。しかし中国、ブラジル、インドなどのBRICSや他の新興市場諸国の中で、ロシアの側につく国が増えてくると、話が違ってくる。BRICSはリーマン危機後、相互の貿易決済で、基軸通貨として弱体化するドルを使わず、相互の通貨や金地金を使う新体制を構築してきた。ドルが基軸通貨として何とか使える限り、ドル崩壊を誘発する気はBRICSになかった。しかし今や・・・

ウクライナ危機は日英イスラエルの転機
 【2014年3月11日】 ウクライナをめぐるロシアと米国の対立で、日英イスラエルのJIBS3カ国が、米国の強硬策についていけない傾向を露呈している。3カ国とも表向き米国のロシア制裁に賛成しているものの、実体面で、ロシアに対して強硬な姿勢をとりたがらない。たとえば英国は、米国の対露金融制裁に賛成したものの「英金融界を制裁対象から外すなら対露制裁に賛成する」との条件をつけた。これは事実上「制裁反対」の表明だ。

プーチンを強め、米国を弱めるウクライナ騒動
 【2014年3月9日】 ドイツと米国はやり方こそ違え、プーチンのロシアを有利にしている。米国はウクライナの極右に政権をとらせ、クリミアに駐留権があるロシア軍の行動を「侵略だ」と言って騒いでいる。ロシアの行動は問題でないと中国やインド、発展途上諸国が言い出し、過激策を弄する米国の国際信用が昨夏のシリア空爆騒動に続き、今回も失墜している。半面、プーチンの冷静な対応が注目され、国際社会でのロシアの信用が拡大している。ウクライナ問題は、現実的な対応をとるドイツと、ウクライナの安定に不可欠なロシアとの協調で回避されそうだ。米国抜きで、BRICSやEUによって世界の運営が行われる「多極化」が進行する。

危うい米国のウクライナ地政学火遊び
 【2014年3月5日】 米国がロシアの覇権拡大を阻止するために引き起こした今回の政権転覆は、ウクライナを国家分裂の危機に陥れた。親米の新政権は、極右ネオナチが治安維持や軍事を握っており、彼らはロシア系国民を排除してウクライナ人だけの国にする民族浄化を目標に、政権樹立直後にロシア語を公用語から外した。ロシア系住民が、極右の政権奪取を見て、ロシアに助けを求めたのは当然だった。

ドイツの軍事再台頭
 【2014年2月27日】 日独のような敗戦国が、再び大国になろうとするなら、濡れ衣であっても東京裁判史観やホロコーストの「罪」を受け入れるしかない。その点、ドイツは賢い。国家として、戦勝国が決めた「史実」をすべて受け入れ、独仏が二度と戦争できないよう国家統合までやって、再びドイツが欧州の中心で、世界の極の一つである状態へと、そろりそろりと向かっている。

金融システムの地政学的転換
 【2014年2月24日】 金融市場の主な話題は昨年、米連銀がQEを縮小するかどうか、縮小しても金融システムが持つかどうかだった。今年は、加えて中国が米国債やドルを見放さないかどうか、投機筋が新興市場からの資金流出を煽って金融危機を誘発しないかといった、地政学的な転換が注目されそうだ。中国は米国の覇権を潰す前に、自国経済を内需主導に転換したいだろうから、米国が中国との敵対を煽っても、中国がそれに乗って今年中にドルや米国債の崩壊を試みるとは限らない。しかし数年内には、中国が米国の経済覇権を引き倒す地政学的な転換の可能性が高まる。

韓国台湾を取り込む中国
 【2014年2月19日】 中国が描いた道筋を久しぶりに北朝鮮が歩み始めたのを見はからうかのように米国のケリー国務長官が中韓を訪れた。米政府の方針は03年から変わらず「北朝鮮問題の解決は中国に任せる。米国が先に北と和解することはない」というものだ。米国が中国を包囲する気なら、朝鮮半島を中国の傘下にするのは自滅的だ。米国の中国包囲網策は茶番である。

金融システムを延命させる情報操作
 【2014年2月17日】 米連銀は、金利や増刷といった道具が「弾切れ」だ。実体経済は中産階級の没落で悪化している。それらの悪化を埋めるため、権威筋は「今年は米英経済が蘇生する」「バブル崩壊しても大したことにならない」と喧伝したり、雇用が増えないのに、求職活動をやめて統計上の失業者から外れる失業状態の人が減ったので見かけの失業率が下がっている雇用統計を重視したりして、イメージ上のみで米経済の回復が演出されている。

不合理が増す米国の対中国戦略
 【2014年2月10日】 人類の繁栄にとって中国経済の発展が不可欠なときに、米国を支配するNYの資本家が中国包囲網を本気でやるはずがない。米国から威嚇されるほど、中国は太平洋の西半分を支配する意志を強め、米国が中国に持ちかけて断られた「米中G2」の状態へと自然に近づく。中国包囲網は、中国を強化するための茶番劇だ。日本は、その茶番劇の一時的な道具として使い捨てにされている。

中東諸国の方向転換
 【2014年2月6日】 トルコのエルドアン首相は、米欧がシリアに軍事侵攻してアサドを倒すだろうと考え「アサド後」のシリアに対する影響力拡大をねらい、反アサドの陣営についた。背景には、エルドアンの「新オスマン帝国主義」があった。しかし、米国がシリアへの侵攻やイラン敵視を放棄した今、エルドアンはもくろみが外れ、方向転換を余儀なくされている。方向転換はエジプトやイスラエルでも起きている。

世界的な取り付け騒ぎの予兆
 【2014年1月31日】 英国系の銀行HSBCが、預金者による預金の引き出しを制限していたことが報じられ、銀行に対する信用を国際的に失墜させる懸念が出ている。今後、米英主導の国際金融システムが崩壊していった場合、銀行預金が引き出せなくなったり、財政難の各国政府が預金に課税するかたちで金融救済の原資を作る策(預金の一部没収)が起こりうる。銀行に預金するのは、以前のような無リスクな行為でなくなっている。世界的に銀行預金は、金利がゼロなのにリスクが高い損な投資先になりつつある。昔のソ連のように「たんす預金」の方が安全だという話になりかねない。

地球温暖化の終わり
 【2014年1月29日】 昨今の世界的な大寒波の原因について、太陽の活動が劇的に低下していく傾向の始まりであり、世界はこれから17世紀後半に起きたような「小氷河期」になる可能性が高まっているという指摘が、学者の間から出ている。地球温暖化は、温度上昇の停止や太陽活動の低下といった現実面と、先進国が途上国との綱引きに負けたという国際政治面の両方において、終わりになりつつある。

強まる金融再崩壊の懸念
 【2014年1月27日】 世界経済の事態は、米国の経済難や金融バブル崩壊が先か、米国発の資金が一気に引き揚げることによる新興市場諸国の破綻が先か、という状態になっている。いずれにしても、世界経済を再び不況に引き戻す懸念が大きい。

中国の金融がまもなく崩壊する?
 【2014年1月23日】 中国で1月31日に「リーマンショック」的な金融崩壊が始まると予測されている。大手ノンバンクが発行し、世界最大の銀行である中国工商銀行が販売した財テク金融商品が、1月末の満期日に償還できずデフォルトしそうで、それを機に23兆ドルの中国のバブルが崩壊し、金利が高騰し、社会不安が広がって中国の共産党政権の崩壊につながるかもしれない、と米日などで報じられている。しかし事態を詳細に見ていくと・・・

金地金不正操作めぐるドイツの復讐
 【2014年1月20日】 ドイツが米連銀に金地金の返済を求めたのに、一部しか返済してもらえないことは、独金融監督庁のケーニヒ長官が、金相場の不正操作について欧米当局が操作に入っていることをあえて暴露したことと関係していそうだ。金相場を犠牲にしてドルを守る連銀の策略のせいで、ドイツは「敗戦国」として連銀に預けてあった地金を返してもらえない。もう地金が戻ってこないなら、連銀の不正操作の策略を暴露・捜査して潰してやれという復讐策が、ケーニヒ発言の真意かもしれない。

「田中宇と愉快な仲間たち」(OpenSession♪)
田中宇・茂野俊哉・中村和利。障害福祉と多極化世界、経済システムなどについての鼎談。

タイ政治騒乱の背景
 【2014年1月16日】 米国中枢で、新興市場の安定を重視する勢力は、タイでタクシンやインラックの政権が保たれることを望む半面、新興市場を潰して米国を延命させようとする勢力は、インラック政権を倒してタイを混乱させ、アジア通貨危機を再来させたい。タイの政治騒乱の背景に、米諜報界内部の暗闘がある。

米国依存脱却で揺れるサウジアラビア
 【2014年1月10日】 サウジが最近打ち出した、米国に依存せず独力でやる反アサド・反イラン戦略は、成功しない見通しが強い。シリア内戦でサウジが支援してきたイスラム主義の反政府武装勢力は仲間割れが激化している。イラクやイラン、シリア、レバノン、エジプトなどがアルカイダ掃討で結束する中で、サウジだけがアルカイダを容認しており、サウジは突っ張るほど逆に孤立を深めてしまう。

中国を隠然と支援する米国
 【2014年1月8日】 米陸軍と海兵隊の役の奪い合いから垣間見えるのは、米国の中国包囲網策の本質が、軍事力を使って中国の台頭を防ぐ本気の戦争でなく、中国を包囲する姿勢をいかに仰々しく演じるかという茶番劇にある点だ。本気で中国を壊滅させるつもりなら、目立たず静かにやるはずだ。米国が包囲網策を劇的にやるので、中国側は警戒を強め、全速力で軍備を拡大し、外交で味方を増やして国連を乗っ取り、米国を不利にしている。

安倍靖国参拝の背景
 【2014年1月6日】 小泉も、米国に批判されながら靖国参拝を続けていた。対照的に、米国に批判されるので靖国参拝しなかったのが、最初に首相になったときの安倍だった。安倍は、前に首相になったときに靖国参拝しなかったことを後悔していると表明したが、後悔の本質は、小泉のように米国に批判されても靖国参拝を敢行すれば良かった、ということだろう。今の安倍にとって、米国の批判は恐れる対象でなく、乗り越える対象になっている。


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