田中宇の国際ニュース解説
世界はどう動いているか

 フリーの国際情勢解説者、田中 宇(たなか・さかい)が、独自の視点で世界を斬る時事問題の分析記事。新聞やテレビを見ても分からないニュースの背景を説明します。無料配信記事と、もっといろいろ詳しく知りたい方のための会員制の配信記事「田中宇プラス」(購読料は6カ月で3000円)があります。以下の記事リストのうちがついたものは会員のみ閲覧できます。


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安倍イラン訪問を狙って日系タンカーを攻撃した意図
 【2019年6月15日】 トランプは、安倍を誘導してイランに行かせたうえ、安倍のイラン訪問中に起きた日本系タンカーへの攻撃を無根拠にイランのせいにしたことで、日本を従来型の対米従属一本槍から引き剥がし、ロシアやイランや中国がつどう多極型の陣営に押しやったことになる。安倍は、最後までトランプの米国に楯突かないだろうが、それと同時に、ロシアやイランや中国の側とも静かに協調を深めていくことになりそうだ。

米国の覇権を抑止し始める中露
 【2019年6月13日】習近平がロシアを訪問してプーチンとの結束を誇示した。これは「トランプが米国の覇権を放棄するなら、中露が米国以外の主要諸国を誘って、経済と安保の両面で、米国抜きの国際協調的な新世界秩序・多極型覇権体制を作ろう」という宣言だ。経済面では今後、米国から経済制裁や懲罰関税を課せられる諸国に対し、中露が「対米従属の経済構造をあきらめてこっち側と協力しませんか」と誘う。安保面では、イラン核問題、パレスチナの中東和平、北朝鮮核問題など紛争解決の主導役を、米国に任せず露中が手がける傾向が増す。

米中百年新冷戦の深意
 【2019年6月9日】 トランプは、中国を勝たせ、従来の米覇権体制を自滅的に解体して多極化するために、米中新冷戦をやっている。今年のビルダーバーグ会議で、ポンペオら米国勢は「中国と百年の冷戦をやる」と欧州側に通告したようだが、米中新冷戦は百年も続かない。今から5年後のトランプの2期目の終わりぐらいには、米連銀の再QEが限界に達し、ドルと米国覇権が崩壊し、多極化が進んで米中新冷戦が終わりそうだ。

中東インド洋の覇権を失う米国
 【2019年6月7日】米軍がインド洋の支配権を失いかねない事態が起きている。非米化する国連総会が最近、インド洋最大の米軍基地があるディエゴ・ガルシア島から米軍を追い出そうとする決議(英国にモーリシャスへの周辺諸島の引き渡しを求める要請)を行った。島はインド洋の真ん中にあり、米軍がアジア太平洋地域と中東インド洋地域を行き来する際に必須の場所だ。アフガニスタン侵攻やイラク戦争でも活用されてきたこの島を使えなくなると、米軍はインド洋の最重要拠点を失い、軍事覇権の低下に拍車がかかる。

貿易世界大戦
 【2019年6月1日】 トランプは突然、中国だけでなくメキシコに対しても貿易戦争を吹っかけ、貿易戦争の戦域を大きく広げた。米政府は同時に、EUとの貿易交渉も頓挫させている。ドイツや日本、韓国などを含む、対米貿易黒字が大きい諸国に対し、懲罰関税をかけていく。トランプは貿易戦争の相手を全世界に広げていく。「トランプ対世界」の「貿易世界大戦」が起こりつつある。

先進諸国は国民の知能を下げている?
 【2019年5月28日】 90年代から、先進諸国の経済構造は、産業主導から消費主導に転換した。世界は米英中心の債券化による金融システムの大膨張・バブル化の30年間を経験し、人々の高いIQが望ましい製造業など産業の利潤による経済発展でなく、世界的な金融バブルの分配を受けた消費の増加が経済成長を支えるようになった。消費者は、高いIQを必要としない。宣伝に乗せられて消費を増やす低能な人が多いほど、消費社会が繁栄する。90年代以降、先進国の支配層にとって、国民のIQは高くない方が良いものになった。だからIQが低下傾向になったのでないか。

スパイゲートで軍産を潰すトランプ
 【2019年5月27日】 ロシアゲートが濡れ衣であることが確定した以上、濡れ衣の元となった諜報をでっち上げた米諜報界は、大統領であるトランプを敵視する不正な態度を持っていたことになる。トランプは、米国の諜報界をまるごと不正な存在とみなし、彼らを無力化する「改革」を断行しようとしている。軍産がトランプを潰そうとした「ロシアゲート」は、トランプ側の巻き返しと今回の反撃開始により、トランプが軍産の反逆・不正行為(自分への濡れ衣攻撃)を取り締まって「改革=無力化」する新段階に入っている。この新段階は「スパイゲート」と呼ばれている。

習近平を強める米中新冷戦
 【2019年5月24日】 習近平の独裁を嫌がる中共中央のリベラル派はこれまで、米国と対立すると経済成長が鈍化するので良くないと言い、貿易交渉の不成功をやんわりと習近平のせいにしてきた。だが今や、米国に譲歩すべきだと主張するリベラル派は「利敵行為をするスパイ」と言われかねない。米中が新冷戦になったおかげで、中共内でリベラル派が弱まり、習近平が棚ぼたで毛沢東の衣をかぶって強くなっている。トランプは習近平を強化している。

「ドル後」の金本位制を意識し始めた米国と世界
 【2019年5月19日】 トランプが指名した5人の連銀理事候補のうち3人が、金本位制を提唱していた。金本位制が良い、と表明することは、今の金融システムはインチキです(王様は裸です)と表明するのと同じであり、米議会・金融界・マスコミにとって仇敵・反逆者である。トランプ自身、バブルを過激に膨張させて崩壊を前倒しし、バブル崩壊や覇権喪失・多極化を早めたい。トランプはこの魂胆の一環として金本位制論者を連銀理事に就けようとしてきた。金本位制論者は、膨れ上がっている金融バブルのさらなる膨張を扇動し、ドル崩壊後に金本位制を導入せざるを得なくなる事態を作ろうとする。

イラク戦争の濡れ衣劇をイランで再演するトランプ
 【2019年5月16日】 イラク戦争は、やるべきでない濡れ衣の戦争をやってしまった「悲劇」だった。対照的に、今回のイランとの戦争劇は、濡れ衣の戦争をやろうとしてやらないで終わり、軍産を巻き込んだ政治的なドタバタ劇にするトランプ流の隠れ多極主義の「喜劇」として演じられている。「歴史は繰り返す。最初は悲劇として、2回目は喜劇として」とマルクスが書いたそうだが、トランプはまさに「2回目の喜劇」を担当している。トランプは、北朝鮮やベネズエラに対しても同種の策略で、好戦的かつ喜劇的な歴史劇をあちこちで繰り返している。

まだ続くシェール石油のねずみ講
 【2019年5月14日】 世間は、楽観的なシェール革命の神話をまだみんな信じている。だが昨年来、世界は実体経済が不況の様相を強め、金融システムもバブル膨張がひどい。今後、世界が不況になるほど石油が下がり、シェール石油は赤字になる。いずれ金融バブル崩壊も起き、シェール産業の調達金利が高騰する。シェール石油のねずみ講は、破綻する運命にある。だが、破綻はまだ先だ。トランプはイランと敵対して石油下落を防ぎ、FRBをQEに引き戻して金利上昇を防ごうとしている。

戦争するふりを続けるトランプとイラン
 【2019年5月12日】 トランプは、イランを潰す気がないどころか、イランを中露とくっつけて台頭させる隠れた目的のためにイラン制裁を強めている。イランは、制裁で失う分より多くのものを中国や周辺諸国との関係強化によって得ていく。米国の覇権が低下するほど、米国の脅迫を無視してイランから石油を輸入する国が増え、それがまた米覇権低下と多極化を加速させる。トランプもイランも、この流れを踏まえた上で、好戦的な演技を続けている。

世界経済を米中に2分し中国側を勝たせる
 【2019年5月10日】 トランプは、これまで米国を中心に一体的だった世界経済から中国とその影響圏を除外し、世界経済を米国側(米国と同盟諸国。米欧日など)と、中国側(中国と非米・反米諸国)とに2分して、米国側が中国側を敵視する新冷戦の戦略を採り始めている。これは表向き、米国のライバルで、一党独裁や人権侵害の問題を抱えている中国を経済制裁して封じ込める戦略だ。しかしトランプの裏の意図は、世界経済を2分した後、巨大な金融バブルの崩壊を誘発して米国側を覇権ごと潰す一方、中国側の実体経済をできるだけ無傷で残すことで、米単独覇権体制とそれを動かしてきた軍産複合体を消失させ、世界の経済成長(バブルでない部分)を維持したまま覇権体制を多極化する「隠れ多極主義の戦略」にある。

多極化への寸止め続く北朝鮮問題
 【2019年5月6日】 北朝鮮問題の解決には、国連安保理が、中国とロシアの主導により、直通列車や工業団地再開に必要な対北経済制裁の一部解除を決議するとともに、米国にも国内法で規定している北制裁の一部解除を求めることが必要だ。イランなど他でのトランプの覇権放棄的なやり方からして、米国は、国内法による北制裁を一部解除するのを拒否するだろう。米国は、国連安保理の北制裁一部解除には反対しない。その結果、国連は米国を無視する形で南北間の直通列車や開城工業団地の再開に道を開く。これが今後のありうべきシナリオだ。

多極化の目的は世界の安定化と経済成長
 【2019年4月29日】 今後しばらく、軍産による最後っ屁的な混乱策が続き、きたるべき米金融界のバブル崩壊で世界経済もしばらく混乱するが、長期的に見ると、世界は多極化によって安定に向かう。非米諸国の成長が世界経済を牽引するようになる。

英国をEU離脱で弱めて世界を多極化する
 【2019年4月21日】 最終的には、英国がEUからの離脱を撤回するか、今よりソフトな離脱で終わる可能性が高いが、そこに至るまでにはまだ時間がかかり、その間に米国ではトランプによる覇権放棄が進み、ロシアや中国、イランなどの台頭が進展して覇権の多極化も進む。英国が離脱騒動を卒業できるころ、世界は今よりずっと多極化が進んでいる。

アサンジを米国に連行し民主党と戦わせるトランプ
 【2019年4月15日】 米国に連行されるアサンジは、誰がDNC(民主党本部)のメールの束をウィキリークスに持ち込んできたかを知っている。持ち込み者がロシア当局でないことは米諜報界も認めている。ロシアでないなら、残るは米国側しかいない。義憤に駆られたDNCの内部者、トランプを潰したい軍産・諜報界とかだ。アサンジがDNCメール事件の真相を語ることで、この件でトランプの無実が確定するとともに、トランプに濡れ衣をかけようとしてきた軍産・民主党側の謀略が露呈していく。民主党や軍産との交渉でトランプの優勢が強まる。トランプは、アサンジを政争のエージェントとして使う気だ。

イランの自信増大と変化
 【2019年4月12日】79年のイランのイスラム革命は、ソ連との冷戦体制が終わりそうだったので、代替的な第2冷戦の創設のため、米イスラエルの軍事諜報勢力(軍産)が誘発したものでないか。弱体化が予測された左翼でなくイスラム主義勢力に米国の敵を演じさせる必要があった。スンニ派は当時、米国の傀儡で敵になりたがらないので、イスラムとして異端なイランにやらせるしかなかった。米イスラエル諜報界は革命前のイランにかなり食い込んでおり、誘導策や意図的な政権破壊と転覆をやれた。

株はまだ上がる!?
 【2019年4月4日】金融崩壊は簡単に起きない。なぜなら、金融危機が起きたら、米日欧の中央銀行群が通貨を増刷して崩れ出した債券や株式を買い支えるQEを再発動し、2-3週間以内に相場を再上昇させるからだ。QEは麻薬中毒のような出口のない金融政策だが、米日欧の合計で一定額以上のQEが行われている限り、バブルが維持され、粉飾記事を出しまくるマスコミの協力もあり、バブルなど存在しないかのような仮想現実を人々に信じこませられる。これは短期的な延命にすぎず、最終的には大崩壊になる。

大統領の冤罪
 【2019年4月2日】 ニクソンは、ウォーターゲートビルへの不法侵入を指図した刑事犯罪があるので弾劾されたが、トランプは刑事犯罪が何もない。ロシアゲートは破綻した。軍産は、選挙前から今まで3年間トランプを精査したが訴追できる罪を見つけられないでいる。ニクソンは「大統領の犯罪」とされて辞めさせられたが、トランプは「大統領の冤罪」であり軍産に勝利している。トランプは、軍産支配や米国覇権の破壊というニクソンの遺業を継いでいる。

ロシアゲートとともに終わる軍産複合体
 【2019年3月29日】「ロシアゲート」は、トランプが犯罪者にされていく疑惑だったが、それが濡れ衣だったとわかった今、次は、米民主党本部やクリントン陣営・オバマ政権・米中枢の諜報界に巣食う軍産複合体・マスコミといった「軍産エスタブ民主党」の勢力が、ロシアゲートをでっち上げてトランプを潰そうとしてきたことが問題になりそうだ。「スパイゲート」と呼ばれているこの疑惑は、これまでの軍産の悪事を暴き、軍産が犯罪者にされていくものだ。ロシアゲートは今後、スパイゲートに変身していく。

失敗するためにやるベネズエラの政権転覆の策謀
 【2019年3月26日】 トランプがベネズエラの政権転覆にこだわるほど、ロシアや中国などが現政権への支持を強め、転覆を不可能にしていく。トランプは、ベネズエラを政権転覆するそぶりを見せ続けることで、ロシアや中国などがベネズエラの現政権をテコ入れせざるを得ないように仕向け、露中などが米国を押しのけてベネズエラの問題を解決していく多極化の流れを意図的に作っている。

ドルを犠牲にしつつバブルを延命させる
 【2019年3月24日】 米連銀がQEを再開したら一時的に金融と経済が再浮揚するが、やがて連銀のQEの威力が低下し、日欧ももうQEできず、大不況と金融危機が再来する。すでに自動車の売れ行きが世界的に悪化しており、世界不況再来の暗雲が立ち込めている。QEに向かわないと世界不況が必至だ。外国人投資家がドル建て資産を買わなくなる傾向も拡大している。救済策はQEしかない。QEとQTの間の行ったり来たりはこれで終わりだ。これからは「最期のQE」の時期に入る。

世界経済のリセットを準備する
 【2019年3月19日】 米単独覇権の意図的な崩壊と多極化・新世界秩序について、私と似た見立てをしている分析者が米国にいることに気づいた。alt-market.com を主宰するブランドン・スミス(Brandon Smith)だ。

世界からの撤兵に拍車をかけるトランプの米国
 【2019年3月10日】 トランプの今回の「費用プラス50」政策は、タイミング的に見ても、北朝鮮問題の解決や、米欧間の経済安保の亀裂拡大の中で出されている。これは、ドイツや韓国の対米自立心を扇動する、隠れた覇権放棄・多極化・世界からの撤兵策に見える。この策は、見てみぬふりをし続けている日本以外の国々に対して効き目がある。

トランプが米中貿易交渉を妥結?。その意味
 【2019年3月7日】中国との貿易品に高率の懲罰関税をかけて戦うぞと息巻いていた米トランプ大統領が、3月末に予定されている米中首脳会談を前に態度を急に緩和している。米中双方がある程度ずつ譲歩し、貿易戦争がとりあえず妥結することが内定しつつあると報じられている。対中貿易で好戦的だったトランプが、急に態度を緩和した理由は何か。一説には「中国との貿易戦争が米株式相場を下落させるので、株価をつり上げて大統領再選につなげたいトランプは、中国敵視をいったんやめて貿易で和解したのだ」といわれている。

ロシア、イスラエル、イランによる中東新秩序
 【2019年3月5日】イランやイスラエルは、中東覇権が米国からロシアに移る流れに呼応した動きを続けている。サウジアラビアやトルコなど他の諸国も同様だ。トランプが中東覇権放棄を進めているのに呼応してネタニヤフが米国よりロシアを安保的な提携先として選ぶ傾向を顕在化しているため、軍産(諜報界)がイスラエルの捜査当局を動かしてネタニヤフへの司法圧力を強めている。プーチンは、イスラエルとイランに挟まれて困ったりふりを演じつつ中東覇権を拡大している。

ハノイ米朝会談を故意に破談させたトランプ
 【2019年3月2日】 トランプの最終目的が覇権構造の多極化(米単独覇権体制の解体)であると考えると、トランプが米朝首脳会談を意図的に破談させた理由について深い読みができる。それは、金正恩が米国だけに頼って世界に敵視を解かせようとする今の米国中心の流れを、もっと多極型のものに変えるため、トランプはハノイ会談を破談させ、米国に頼れないので中国や韓国、ロシアなどに頼らざるを得ない状況に金正恩を追い込んだのでないかという考え方だ。今後、中国や韓国やロシアは、何とかして北制裁の一部解除を米国に了承させようとする。中国や韓国などががんばるほど、北問題の解決は米国主導から、多極型、とくに中国主導の体制に転換していく。

同盟諸国を難渋させるトランプの中東覇権放棄
 【2019年2月22日】トランプは、シリアやアフガニスタンからの米軍撤退を進める一方で、イランやアサドを敵視する策を続け、イスラエルやサウジアラビア、EUなどの同盟諸国に対し、イランなどを敵視しろとけしかけている。同盟諸国は、米国に頼れない状態でイランなどを敵視することを強要されている。米国が撤兵するなら危険なイラン敵視などやりたくないイスラエルやサウジは、目立たないように露中との関係を強化している。同盟諸国を難渋させるトランプの戦略は、米国の覇権縮小と多極化を加速している。

安倍がトランプをノーベル平和賞に推挙した理由
 【2019年2月20日】日本の軍産マスコミ官僚側は、安倍を揶揄中傷しつつも、安倍の独裁を認めざるを得ない。その理由は、安倍がトランプにすり寄り続けることで、日本は経済・貿易の面でトランプからあまり攻撃されず、今のところトランプは日本でなく中国やEUやカナダなどに貿易戦争を仕掛けている。日本の政権が安倍でなくもっと軍産官僚傀儡系だったら、日本はもっと早くトランプの貿易戦争の本格的な標的にされていた。

トランプの米露軍縮INF破棄の作用
 【2019年2月14日】 トランプのINF破棄は、EUを対米自立させたり、NATOを過激に運営して自滅させたりするための、覇権放棄・多極化のための策だ。EUが、軍事統合してNATOから自立しつつある今のタイミングで、トランプはINFを潰して米露の軍事対立や軍拡競争を再燃させ、その一方でNATO諸国に対し、軍事費を増やして米国と一緒にロシアと戦えとけしかけている。INFは、米国がロシア敵視の中距離ミサイルを欧州に配備することを禁じ、欧州が米露戦争の戦場になることを避けるための仕掛けだった。そのINFがなくなって米露対立が再燃する一方、欧州自身は対米自立に動いている。この状況下で米国が対露敵視を強めると、EUはそれに従わず、米国を見限って対米自立し、ロシアとの敵対を避けるようになる。

米朝と米中の首脳会談の連動
 【2019年2月8日】 朝鮮戦争を終結させるには、米国、北朝鮮、中国の3首脳が集まっている場所で、トランプが「戦争終結を望む」と提案するだけで良い。北と中国は、前からそれに賛成しているので、じゃあ今すぐここで終結を宣言しよう、という話にできる。朝鮮戦争は1953年に米国、北朝鮮、中国の3か国で休戦を調印している。休戦を終戦に切り替える署名を行えば朝鮮戦争は終わる。習近平が2月27-28日に本当にダナンまで来るのなら、そこで朝鮮戦争が終結する可能性が高い。米国との貿易戦争を終わらせるためだけなら、習近平はわざわざダナンに来ない。

次期大統領選:勝算増すトランプ、泡沫化する軍産エスタブ
 【2019年2月6日】 資本主義の権化だった米国で「共産革命」が起きている。大企業と資本家が政治家に敵視されている。民主党は「共産化」している。2大政党から追い出さる軍産エスタブは「野党」以下の「泡沫候補」にされていく。それを2大政党の外側で吸収しようとするのがスタバのシュルツの戦略だ。シュルツは20年の大統領選で負けるだろうが、同時に2大政党制の外側にシュルツの「軍産エスタブ中道党」が作られる。米政界は、草の根右派・孤立主義的な「トランプ共和党」と、左翼リベラル・反戦的な「左翼民主党」の2大政党と、シュルツの「軍産エスタブ中道党」が競い合う多党制に転換していく。

国民国家制の超越としての一帯一路やEU
 【2019年2月4日】 中国の「一帯一路」は前近代的で曖昧な「ネオ冊封体制」であり、現時点ですぐれた国際秩序でない。しかし現実の流れとして、このまま米国覇権が衰退していくと、中国から西アジア、南アジアにかけての国際秩序は一帯一路が支配的になる。それに、今のウェストファリアの国民国家体制には、英国とその後継覇権である米国・軍産が世界の多くの国々の政権中枢に入り込んで隠然と介入できる間接支配の機能が付帯されている。国民国家が世界の統一的な体制である限り、人類はテロ戦争や冷戦型の対立や戦争・軍拡から逃れられない。EUの国家統合は法治的で洗練されており、前近代な中国の一帯一路と対照的だ。しかし両者は、ウェストファリアの縛りから人類を解放する多極型の新世界秩序の試みであるという点で同類だ。

ドルを犠牲にしつつ株価を上げる
 【2019年2月1日】 今後、米連銀がQTをやめてQEに戻るほど株価は上がるが、同時にドルと米国の経済覇権の低下に拍車がかかり、金相場も上昇する。株価上昇と、米国覇権=ドルの維持の、どちらか一方しか選べない状況が、今年になって見えてきた新体制だ。エリート層など米国だけの長期の国益を考える人々は、株価よりドル覇権の維持を優先したい。半面、世界を多極化したいトランプは、米国のバブルを早めに潰すため株価を優先したい。投資家の圧倒的多数である、短期の株価で儲けたい強欲な人々も、株価優先だ。全体的に、ドルを犠牲にして株価上昇を維持する傾向が強くなっている。

英国のEU離脱という国家自滅
 【2019年1月28日】 戦後の冷戦は、英国の諜報界が米国に入り込んで米国の世界戦略をねじ曲げ続けた。2001年からのテロ戦争は、イスラエルの諜報界が米国に入り込んで米国の世界戦略をねじ曲げ、これに対抗して米国の諜報界の一部(ネオコンやトランプ)が親イスラエルのふりをしてテロ戦争を失敗させ、主導権を米国側に奪還した。これらと同様、英国がEU離脱で自滅しているのは、米国の諜報界が英国に入り込んで英国の戦略をねじ曲げている策略だと理解できる。英国を自滅させ、トランプによる世界多極化の動きを英国が邪魔できないようにしていると考えられる。

2度目の米朝首脳会談の意味
 【2019年1月16日】 トランプは、お得意の「軍産の覇権維持目的の敵視戦略を過激にやって軍産側をビビらせ、軍産側との暗闘で自らを優位にする」策略で中国の対米輸出品に懲罰関税をかける姿勢をとり、軍産の恐怖心を煽っている。トランプ政権は昨年末から、ベトナムで北朝鮮と首脳会談の準備交渉を行うと同時に、北京などで中国と貿易交渉を行なっている。米中貿易交渉の中で、中国側が譲歩する姿勢を見せたと報じられている。中国は、貿易交渉での譲歩の見返りに、米国が北の核廃棄より先に経済制裁を緩和することを認めるよう提案したのでないか、というのが私の推測だ。

米国「国境の壁」対立の意味
 【2019年1月15日】 トランプが米墨国境の壁建設にこだわるのは、3つの戦略の組み合わせだ。(1)米経済覇権体制の破壊。NAFTA潰しやTPP離脱、米中貿易戦争ともつながる経済的孤立化戦略。(2)民主党と共和党主流派(軍産エスタブ)が政府閉鎖の長期化を嫌って壁建設問題でトランプに譲歩した場合、トランプの政治力が強まり、次期大統領選挙でトランプの勝算が高まる。(3)民主党が譲歩せず政府閉鎖が長期化すると、米政界の混乱がひどくなり、米国(軍産)は覇権運営どころでなくなり、同盟諸国の米国離れや中露イランの台頭など多極化に拍車がかかる。

トランプのシリア撤兵戦略の裏側
 【2019年1月10日】 トランプはいったんシリアとアフガンからの撤兵を宣言した後、軍産やイスラエルからいろいろ言われて撤兵策を後退させ、「撤兵する」「やっぱりしない」「条件がある」「ゆっくりやることにした」「いや、やっぱり撤退したいんだ」「いやいや、やっぱり無理かも」と、姿勢を意図的に揺るがせている。こうすることで、軍産イスラエルとの決定的な対立を回避しつつ、敵方であるロシアやイランが「今が好機だから米国を追い出し、われわれの中東覇権を拡大しよう」と思うように仕向け、露イランをがんばらせて、中東の米覇権放棄と覇権多極化を進められる。

トランプと米民主党
 【2019年1月8日】 軍産はトランプとの政争に負けて弱体化した。そのため、民主党の政治家は軍産の傀儡になりたがらなくなった。こうした状況を作ったのは、軍産に果たし合いを挑んで勝っているトランプだ。民主党議員たちは、大嫌いなトランプのおかげで軍産の傀儡状態から解放された。民主党は、次期大統領選を戦う前からトランプの影響を受けている。

トランプは金融バブルを維持できるか
 【2019年1月2日】 トランプは軍事外交分野で覇権運営勢力である軍産複合体から実権を奪ってシリア撤兵など自分流を強行しているが、これと同じことが金融分野でも起きている可能性がある。トランプが連銀筋から金融政策の実権を奪い、トランプ流のバブル再膨張を進めるなら、今後再び株や債券が上昇しようとする動きになる。トランプは20年の次期大統領選で再選を果たすまで、株や債券の金融バブルを持たせたいと考えている。


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