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911事件関係の記事

  田中 宇

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仕組まれた9・11
 私が2002年4月にPHP研究所から出版した著書「仕組まれた9・11」の初稿の全文を公開します。

覇権転換の起点911事件を再考する
 【2014年9月11日】 謎だらけの911は「闇夜の枯れすすき」だ。実はCIA製の張り子の虎である「巨大な敵アルカイダ」が、911を起こして米国に宣戦布告し、米国は国家総動員体制を敷いて「テロ戦争」を開始した。米国は、他国の忠告を聞かない「単独覇権主義」のモードに自らを切り替えた上で闇夜のすすき野に入り込み、すべてのすすきと戦うことを宣言し、イラクやアフガン、イラン、シリア、リビア、北朝鮮、ロシア、中国などを次々と敵視した。その挙げ句、米国は国力を浪費し、経済面でも巨大なバブル膨張のみに頼ってドルの強さを維持している。この魔術は、いずれ来るドルと米国債のバブル崩壊によって解ける。米国が我に返ったとき、ドルや米国債は力を失い、米国は覇権国でなくなり、世界の覇権構造は多極型に転換している。

911十周年で再考するテロ戦争の意味
 【2011年9月14日】 911は、国防総省や軍産複合体が、米政府内での影響力を爆発的に拡大するために誘発したクーデター的な事件である。911で始まった長期のテロ戦争は、軍産複合体が仕掛けた「第二冷戦」といえる。冷戦終結後、米英は、それまでの軍事覇権から、金融自由化による経済主導の覇権体制に移行した。軍産複合体と組んで米国の世界戦略を牛耳っていた英国は、85年の米英同時の金融自由化の開始以来、経済覇権戦略に乗り換えて軍産複合体を見捨て、米国が冷戦を終結するのを容認した。クリントン政権下で軍事費は削られ、米軍事産業は縮小・合理化されていた。911は、冷や飯を食わされていた米軍産複合体による、経済覇権体制への反撃だった。

ビンラディン殺害の意味
 【2011年5月6日】 もし本物のビンラディンであるなら、丸腰の彼に向かって米軍部隊が顔面に銃弾を撃ち込んだのはおかしい。相手が丸腰なのだから米軍側に余裕があり、殺すにしても心臓などを狙うはずだ。顔面がきれいな方が、遺体の写真を世界に公開し、本当にビンラディンを殺したことを証明できる。顔を撃った(ことにして遺体の写真を公開しない)のは、人違いであると疑われることを強めてしまった。襲撃計画は何カ月もかけて練られ、海兵隊の特殊部隊は本物そっくりな隠れ家を作ってそこで襲撃の練習を繰り返したと報じられている。米当局は、ビンラディンのどこに銃弾を撃ち込むか十分検討したはずだ。

テロ戦争の終わり
 【2009年4月14日】 米政府は、政権がブッシュからオバマに代わっても、911事件に対する公式見解は変えていない。しかし、ブッシュが開始した「テロ戦争」を、オバマは、目立たないかたちで終わらせる動きを続けている。オバマは「もはやアルカイダは逃げ回っているだけの弱体化した組織なので、オサマ・ビンラディンを殺したり捕まえたりすることを最重要の目標にしておく必要はない」と表明している。ビンラディンはすでに死んでいる可能性が高いのに、オバマが「ビンラディンは死んだ」と言わず「ビンラディンを捕まえなくてもよい」と言う理由は、米国の「軍産複合体」が「テロ産複合体」に発展し、一大産業と化しているため、彼らに配慮したのだろう。

テロ戦争の意図と現実
 【2007年9月11日】 国防総省などによって周到に計画されたテロ戦争は、911を誘発して開始された直後に、政権中枢のネオコンとチェイニーによって乗っ取られ、泥沼のイラク占領や、イランやロシアを敵視しすぎて強化してしまうという、重過失的な失策とすり替えられ、テロ戦争は米英イスラエルの世界支配を強化するどころか、自滅させる結果になっている。

やはり仕組まれていた911(1)
 【2006年5月16日】・・・結局、アメリカ、ドイツ、スペインのいずれの裁判でも、被告がアルカイダの関係者(同情者)であることは立証できても、911のテロ計画に関与していたことは立証できなかった。「911の犯人はアルカイダだ」ということは、米当局が主張し、マスコミが事実であるかのように報じただけで、実は事実ではないことが、ほぼ確定した。「アルカイダに同情すること自体、十分犯罪的なことだ」と考える人もいるかもしれないが、本末転倒だ。アルカイダが911の犯人であることが立証された上でなら、アルカイダへの同情は犯罪行為かもしれないが、アルカイダが911の犯人ではないとしたら、犯罪視する前提が崩れる。

米英を内側から崩壊させたい人々
 【2005年9月27日】 ブレア首相は、自らが臨時的に欧米協調体制の中心になり、アメリカと独仏やオーストラリアなどの間を改めて取り持つ動きをしようとした。だが、そのとたんに7月7日のテロ後の混乱や誤認殺害事件、イラクで英軍が留置所を襲撃する事件などが起こり、ブレアは世界を主導する前に、国内やイラクの被占領民から湧き起こる非難に対処せねばならなくなった。ブレアが窮地に陥ったのは、イギリス軍の特殊部隊や諜報機関の中に、未必の故意と思える失態を行う勢力がいたからである。

政治の道具としてのテロ戦争
 【2005年8月23日】 ブッシュ政権内でテロ戦争を永続させたい勢力の戦略として最も強力なのは「もう一度、米本土でテロを起こす」ということだ。米政界では最近、有事体制がどんどん強化されており、次に大規模なテロが米本土で起きたら、それを引き金に、アメリカの政治体制は、ホワイトハウスと国防総省が圧倒的な権限を持つ戒厳令的な独裁状態に移行することが、ほぼ確実になってきている。911以後、ホワイトハウスと国防総省の権限はかなり拡大したが、それがさらに強化されることになる。

アルカイダは諜報機関の作りもの
 【2005年8月18日】 ・・・トルコ警察の担当者は、アルカイダの幹部を尋問するのが初めてだったので面食らったが、当局の内部で情報をすりあわせてみると、アルカイダの幹部がアメリカなどの諜報機関のエージェントでもあるという話は、よくあることだと分かった。トルコのテロ専門家は「アルカイダという名前の組織は存在しない。アルカイダとは、テロ戦争を永続できる状況を作ることを目的としてCIAなどの諜報機関が行っている作戦の名前である」と述べている。

怪しさが増すロンドンテロ事件
 【2005年7月19日】 911事件に対する米当局のやり方は、国内を「戦時体制」に移行させることで、マスコミに肝心なことを何も報じさせない荒っぽさだったが、今回の英当局はもっと巧妙だ。しかし、事件から2週間たって、英当局の発表には作り話が混じっているのではないかという疑いが、しだいに強くなってきた。米の911、スペインの311、そして今回のイギリスのテロと、欧米先進国で起きた3つのテロ事件はいずれも政治的に利用され、もはや「アルカイダ」とは、米英などが政治的な企てのためにテロをさせる道具と化した感がある。

ロンドンテロ:国際協調派のための911
 【2005年7月8日】 7月7日のロンドンのテロに対するブレア政権の主張は、911を機に当初アメリカの国際協調派が発動しようとした対応と似ている。911は単独覇権派を強化したが、今回のテロは国際協調派を強化しそうである。ロンドンのテロを機に、テロ戦争は立て直され「バージョンアップ」されるのかもしれない。

サウジ滞在記(3)911の功罪
 【2005年4月26日】 言論統制があるサウジでは、国内で銃撃戦や爆破事件が起きても、その背景や犯人像について詳細に報じられることが少ない。人々は、事件の背景が分からないことに慣れている。だから911事件が起き、その責任をアメリカからなすりつけられても、おかしいなと思って執念深く調べる土壌がないので、濡れ衣を容認してしまっている。とはいえ911はサウジ人の心情に影を落としている半面、サウジ経済に思わぬ好景気をもたらしている。

テロ戦争のずさんさの裏にあるもの
 【2004年9月14日】 テロ戦争に対する米政府の対応を見ていると、テロ戦争をなるべく長く続けたい意図が感じられる。「アメリカの言うことを聞かなければ、悪の帝国ソ連の味方とみなす」という善悪二元論でアメリカが世界に対する支配を40年間続けたのが「冷戦」だったと考えることができるが、911後のテロ戦争はこれの「ソ連」を「アルカイダ」に変えただけの構造になっている。だが、米当局のあまりにずさんなやり方を見ていると、米政府はもっとスマートにテロ戦争の永続化を演出できるはずなのに、なぜわざと失敗してばれるような事態に陥るのか、という新たな疑問が湧いてきた。

「華氏911」とイスラエル
 【2004年7月16日】 マイケル・ムーア監督の映画「華氏911」に象徴される、サウジアラビアを過度に非難する論調は、真剣に受け止めない方がいい。サウジ王室とブッシュ家、中道派、石油業界とが談合して儲けてきたのは事実だが、それはこのテーマの話全体の半分にすぎない。残りの半分にはイスラエルとネオコンがあり、全体像としてイスラエルとサウジアラビアとの米政界での勢力争いがある。話の半分にだけ人々の注目を集めることで、残りの半分を見えなくする仕掛けがある。

石油大国サウジアラビアの反撃
 【2004年5月28日】 国民の反米感情と、アメリカからの非難の板ばさみになったサウジアラビア王室は、親米的なスタンスを離れ、アメリカが困っても石油価格を下げない方針に転換した。原油価格の高騰分は政府収入増につながり、それを国民の生活向上に回すことで、反政府感情をなだめることができる。サウジの石油高騰戦略はこうしたナショナリズムに基づいたものだと思われる。

911事件と空港セキュリティ
 【2003年9月14日】 911事件のハイジャック犯が拳銃や爆弾を機内に持ち込んだということと、空港に出入りする職員や業者の検査が甘いということを合わせて考えると、犯人たちは業者になりすまして空港に入り、機内に入り込んだ可能性もある。アメリカの空港には、以前から麻薬を旅客機に乗せて運ぶ犯罪組織が巣くっていると指摘されてきた。問題は、このような麻薬取引組織に対し、捜査当局が見て見ぬふりをしてきたということである。

見えてきた911事件の深層
 【2003年3月27日】 インドとパキスタンのいくつかの新聞は「ISIのマフムード長官の指示で、911事件の実行犯のモハマド・アッタに10万ドルが送金されたことが分かった」と書いている。パキスタン当局であるISIは、もともと組織的にタリバンを支援しており、タリバンとアルカイダは一心同体であったが、ISIはタリバンやアルカイダを支援していただけでなく、911事件の黒幕でもあったことになる。

ビンラディン逮捕劇の怪しさ
 【2003年3月15日】 ブッシュ政権は今、イラク侵攻することも撤退することもできない袋小路に入っている。そこから脱するための突破口として「ビンラディンの逮捕もしくは死亡確認」というニュースが使われる可能性がある。

激化するアメリカ権力中枢の戦い
 【2002年12月2日】 ブッシュ大統領が、敵視していたはずのキッシンジャーを911事件の真相究明委員会のトップに据えた。米政権内のタカ派の関与が疑われる911事件の真相究明に、中道派と目されるキッシンジャーがあたることになったのは、アメリカ中枢の権力闘争で、中道派が有利になっているということではないか。対イラク国連査察団の団長への中傷問題などからも同様の傾向が感じられる一方、再び本土テロが誘発されれば、一転してネオコンが有利になる可能性もある。

サウジアラビアとアメリカ(上)
 【2002年11月19日】 サウジアラビアは石油危機のときは、石油相場をつり上げて、イスラエルを支援するアメリカなどに圧力をかけたが、その後はアメリカの敵になることを避け、逆に石油価格を安定させることで、アメリカに恩を売るようになった。サウジ王室は国内に新しい軍事基地を作り、アメリカから高価な設備を気前良く買い込み、軍需産業を喜ばせた。後に大統領を2人輩出したブッシュ家と、サウド家やビンラディン家との家族づきあいも深まった。

サウジアラビアとアメリカ(中)
 【2002年11月26日】 1993年の世界貿易センタービル爆破を計画したFBIの諜報員や、95年のオクラホマ爆破事件に関与した中東系の男たちから、911事件の実行犯やアルカイダまでの一連の人々が、アメリカ本土でテロ活動を行えるようにするには、テロリスト予備軍ともいうべきアラブ系やパキスタン人が、自由にアメリカに入国できる体制を作っておくことが必要で、そのルートとしてサウジアラビアが使われた。

サウジアラビアとアメリカ(下)
 【2002年12月9日】 サウジアラビアの執政者アブドラ皇太子は、ネオコン=イスラエル側からかなり追い詰められた状態にあるが、実は追い詰められている状態はブッシュ大統領も同じである。もともと石油利権を使って政界のトップまで登りつめたブッシュ家は、サウジと縁を切ると政治資金を失い、トップの座を維持できなくなる可能性が大きくなる。

「仕組まれた9・11」と中国
 【2002年3月25日】中国共産党はかつて貧農と労働者のための党だったが、いまや国家制度を早く資本主義化して全体を豊かにしようとするあまり、貧しい人々を最も苦しめる結果となっている。党大会前の微妙な人事抗争、失業者の反乱、そしてアメリカによる台湾を使った軍事対立の扇動が重なり、中国共産党は存亡の危機を迎えている。

バリ島爆破事件とアメリカの「別働隊」
 【2002年10月24日】 バリ島爆破事件は、テロの首謀者が本当にアラブ人勢力なのか、それともアメリカがアルカイダという名の「別働隊」を使って世界支配の一環として行っている「作戦」なのか、そのあたりに対する疑問が残るだけに、日本人にとっても、以前よりさらに不気味な時代が始まったといえる。

アメリカで秘密裏に稼動する「影の政府」
 【2002年3月4日】アメリカで911事件の直後に作られた「影の政府」は、議会に全く知らせないまま稼動し、存在そのものはマスコミにすっぱ抜かれても、日々どんな業務を展開しているかは一切明らかにされていない。911事件は大統領府やCIAなどが誘発して起こした可能性が大きいことを考えると「大統領府による独裁政治が可能になる有事体制を作り出すために911が誘発された」という解釈が成り立つ。

オクラホマ爆破事件と911(2)
 【2002年2月25日】・・・9月11日の朝、最初のハイジャック機が世界貿易センターに激突する15分前、デービス記者のところに中東系の訛りがある男の声で電話がかかってきて「テレビをつけてみろ」とだけ言って切れた。またテロ事件が起きた後、かねてから情報源にしていた海軍の諜報担当者からも電話があり「このテロ事件は、オクラホマの事件を起こしたのと同じ連中がやったんだ」と伝えてきた・・・

オクラホマ爆破事件と911(1)
 【2002年2月18日】・・・シッパーズは連邦ビル爆破事件で真実が語られていないことを議員たちに伝えたが、反応は鈍かった。その一方で彼が知ったのは、爆破テロを警告する報告書が事件の2カ月前に議会で作られていたのに、無視されていたことだった・・・

テロの進行を防がなかった米軍
 【2002年1月28日】 アメリカでの911の事態は、米軍の失態というより、ふつうなら機能すべき防空システムの重要な部分、たとえば連邦航空局から国防総省への連絡機能などが、この日に限って正常に作動しなかった可能性が大きい。

テロをわざと防がなかった大統領
 【2002年1月24日】 911以降のアメリカでは調査報道ジャーナリストに対して「陰謀論者」というレッテルが貼られがちである。しかし、ネット上の記事をいろいろ調べていくと「911のテロを阻止するためのFBIの捜査をブッシュ政権の最上層部が妨害していた」ということは、ほぼ事実だと思われる。

テロリストの肖像
 【2002年1月7日】 911のテロは、ビンラディンの命令に応じて若者たちが実行したというよりも、エジプト人留学生モハマド・アッタを中心とするハンブルグのアラブ系の若者たちが自爆テロを計画し、実行に必要な人員や資金を集めていくうちに、アルカイダからも支援やアドバイスを受けた可能性の方が大きい。

ソマリアの和平を壊す米軍の「戦場探し」
 【2001年12月24日】 アメリカは、長い内戦を乗り越えて国連の協力下で民主的な国づくりを始めているソマリア暫定政府に言いがかりをつけ、「やらせ」の戦争を起こして破壊しようとした。その理由は、アメリカがアフガニスタン平定後もどこかで戦争を続けなければ、ブッシュ政権に都合が良い戦時体制を維持できないからだろう。

炭疽菌とアメリカの報道
 【2001年12月13日】 多くの人々が「イスラムのテロリストがやったに違いない」と思い込んでいた炭疽菌事件に対して「いや、そうではないかもしれない」と事実を提示して主張するのは多大な勇気が必要だ。そういう人々が存在しているだけでも、アメリカはまだ理想の国として立ち直れるかもしれない、と私には感じられる。

炭疽菌と米軍
 【2001年12月10日】 大規模テロ事件が起きる1週間前の9月4日、ニューヨークタイムスは、アメリカ国防総省が生物兵器として炭疽菌の開発を行っているとする記事を載せた・・・

アメリカで考える(1)
 【2001年11月26日】 なぜアメリカ国民が世界貿易センターの崩壊現場を見る必要があるかといえば、それは「悲しみ」を記憶しておくためではない。むしろ「テロとの戦争」のために国民が一致団結しなければならないからで、テロの現場はその象徴だからだろう。世界貿易センターの跡地は、悲しみの象徴であると同時に、戦争遂行の象徴、「敵」を明示するための象徴でもある。

米英で復活する植民地主義
 【2001年11月14日】 9月11日以降、アメリカとイギリスの右派陣営が主張している論調からは、イスラム世界と、アメリカを中心とする欧米(プラス日本など)が対立を深め、欧米がイスラム世界を再び植民地支配する新しい世界が成立すれば良いと考えていることが読みとれる。

オサマ・ビンラディンとCIAの愛憎関係
 【2001年11月5日】 1996年、スーダン政府がアメリカに「ビンラディンをアメリカで引き渡したい」と持ちかけたが、CIAは断ってしまった。このときアメリカがビンラディンを引き取っていれば、9月11日の大規模テロ事件は防げたわけだが、実はCIAは98年にもビンラディンを捕捉するチャンスを自ら逃している。

アメリカ自由主義は終わるのか
 【2001年10月29日】 9月11日の大規模テロ事件はアメリカの自由主義体制を破壊した。テロ防止は自由の尊重よりも重視されるようになり、経営危機に陥った航空産業に公的資金を投入することがすんなり決まった。規制緩和が進んでいないと日本などを批判していたアメリカは、一日にして変質した。いずれアメリカは「戦争」を一段落させて平時に戻っていくだろうが、もはや自由主義の絶対視が行われることはないだろう。

テロの証拠を示せないアメリカ
 【2001年10月27日】 ブッシュ大統領はテロ組織との「戦争開始」を宣言したが、実はこの戦争は宣戦布告などないまま、遅くとも米大使館爆破テロが起きた98年8月には始まっていた。この戦争は9月11日を境に第二ラウンドに入ったといえるが、第一ラウンドでは、犯人を特定する証拠を明示できなかったアメリカ側の負けであった。

アメリカを助けるオサマ・ビンラディン
 【2001年9月27日】 オサマ・ビンラディンやサダム・フセインがいるばかりに、中東では自立した穏健な政治体制が育たず、常にアメリカに頼らざるを得ない不安定な政権ばかりになっている。中東で安定が続けば、イスラム教の考え方に基づきつつ西欧合理主義を取り入れた経済的に豊かで自由なイスラム社会が作れるかもしれない。しかし、オサマやサダムと、アメリカの右派とが結託して中東の発展を防いでいる。エジプトの知識人はそう考えていた。

「戦争」はアメリカをもっと不幸にする
 【2001年9月18日】 ソ連軍が侵攻してきた20年前からずっと戦場であり続けたアフガニスタンは、さらなる攻撃を受けても、人々はペシャワールに戻るだけで、新たに失うものが比較的少ない。それに比べ、アメリカは今回の「戦争」によって失うものがあまりに大きい。

米大規模テロの犯人像を考える
 【2001年9月13日】 今回の事件を機に、アメリカの世論が自国の対イスラエル政策に疑問を持った場合、ブッシュ政権がそれに呼応して外交政策を微妙に変える必要が出てくるが、そんな動きは強力なイスラエルロビーからの圧力を受けて潰れる可能性がある。その矛盾を避けるため、早々と「悪役」をオサマ・ビンラディンに設定したのではないかと勘ぐれる。

アメリカのテロ事件を読む 【2001年9月11日】



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