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気候危機の捏造

2024年4月30日   田中 宇

10年以上前から私にとって国際情勢は「自分の見立て・分析・理性が、世の中の常識・主流分析と正反対・大きく食い違っていても、間違っているのは自分でなく世の中の方である場合が意外と多い」というものになっている。
「常識と理性が対立したら、理性の方が正しい」という考え方は、子供や社員や国民に対する教育(洗脳)の観点からよろしくないが、事実である。「教育」自体が、理性を潰す洗脳行為である。
どっちが妄想なのか?

私にとって「世の中の方が間違っていた」最初の案件は、911やイラク戦争前後からの「テロ戦争」だった。アルカイダやISは米諜報界が育て、米国の敵を演じさせられてきたが、世の中の常識(正しい見方)は、ISカイダを本物の敵として心底恐れ、米国に頼って退治してもらうべき、というものだった。
ハマスはイスラエルが敵として育て、今ではパレスチナ問題を丸ごと潰してエジプトとヨルダンをハマスの国に転換するためにガザ戦争が行われている。エジプトの諜報長官がイスラエルと密談したので、間もなくラファ侵攻が行われるのでないか。
IDF Shelling Hammers Rafah As Egypt Sends Top Intel Official To Avert Ground Offensive
911とコロナは似ている

今回の題材である地球温暖化問題・気候危機も、世の中の大間違い案件の一つだ。
世の中では四半世紀前から「人為排出のせいで、数年後には異常な温暖化で大惨事になる」と言われ続けてそうならず、気候変動は太古からの循環の範囲内で人為の影響はとても少ないのに、無根拠な人為説が「確定的な事実」としてまかり通り、反論が許されないままま、排出削減・化石燃料利用制限の強制が欧米中心に進んでいる。
歪曲が軽信され続ける地球温暖化人為説

非米側は表向き人為説を信奉しつつ化石燃料の制限はやらず、制限して経済を自滅させているのは欧米側だけだ(日本は米国側だが制限策に消極的)。石油ガス利権は世界的に、米国側から非米側に移転している。捏造された気候危機は、既存の米覇権体制を自滅させ、中露など非米側を台頭させて世界を多極化する効果をもたらしている。
‘No science’ behind calls to phase out fossil fuels – COP28 President
欧米の自滅と多極化を招く温暖化対策

近年では新型コロナ対策が大間違いだった。事前に効果がないとわかっていたのに都市閉鎖やワクチン強要が広範に行われた。PCR検査も、無用な混乱を起こすと指摘されたのに無視され濫用。武漢の研究所で開発中にウイルスが漏洩したのに、それも隠蔽。米欧日は中国の「敵」なはずなのに隠蔽に積極協力。
世界に超愚策を強要したWHO(中国主導)が、次のパンデミックでも超愚策をやれるよう国権剥奪のパンデミック条約を進めている。これらの意図的な超愚策を見ると、世の中は全く間違っていることがわかるが、それに気づくことは禁じられている。政府マスコミ権威筋、偉い人ほど大間違いの軽信を強要される1984的な「新常態」。
米諜報界の世界戦略としての新型コロナ

ウクライナ戦争の善悪も、米国側は逆転を強要。米国は2014年にウクライナを露系住民を殺す政権に転覆し、8年がかりでロシアを怒らせて侵攻させ、露軍が勝っているのに惨敗していると米国側が大誤報を続け、ウクライナ側が捏造した「露軍による虐殺」も鵜呑みに。
開戦後、露中印など非米側が結束し、世界の資源利権が非米側に取られ、世界の中心がNATOやG7からBRICSに移る非米化・多極化が進んでいるのに、米側は自分たちの自滅を無視。
欧露冷戦の再開

欧米は無理してもウクライナを勝たせねばならない(欧米の自滅を加速せねばならない)という策が強要され、とくに西欧の衰退が加速している。米国の策が(わざと)超稚拙なので、欧米がいくら頑張ってもウクライナの敗北が進むだけ。
欧州のエリートたちはその構図を知っているはずなのに、米国から方向転換を禁じられている。米国の超稚拙策のせいで、ウクライナ人がどんどん徴兵され開戦以来50万人が戦死した。まだ生きている国民は徴兵を逃れたいが、厳しい新法が作られ忌避不能に。戦線に送られて殺される運命。
ウクライナを戦争させている欧米日の権威筋や常識人たちこそ極悪な人道犯罪者なのに気づいてない。今年ウクライナ軍の崩壊が進むが、戦争はまだ続く。
Ukraine Has Lost Almost Half Million Soldiers Since Beginning of Special Military Operation

米中心の金融システムや、米覇権の状況、非米側の動きなどについても、世の中の常識が大間違いしている。一つずつ説明していると、それだけで終わってしまうので今は書かない。
これらの案件に共通していることは、専門家の業界の中で「上から」の圧力や言論統制によって「(実は大間違いな)正しい見方・常識」が形成され、それに沿わない専門家は、権威を剥奪されたり、出世や論文発表を阻まれて敗北させられる。
金融システムの詐欺激化

(テロはそれ以下で、専門家の多くが米軍や諜報界の関係者であり、インチキなテロ戦争の遂行者の一味だった。圧力で専門家をねじ曲げたのでなく、専門家たち自身がもともとねじ曲がっていた)
専門家の業界で言論統制が確立した後、専門家以外の人が異論を主張しても「素人が間違いを言ってる」と却下無視攻撃されて負け、大間違いな常識が席巻していく。
英米覇権の一部である科学の権威をコロナや温暖化で自滅させる

気候危機の場合、大間違いによって欧米が自滅させられていくのを看過できない気候科学の専門家たちの間から昨年来、「地球の気候は危機的状況でなく、平常の気候循環の範囲内。危機だと決めつけて化石燃料制限などの策をとるのは大間違いだ」という指摘が相次いでいる。
Climate Change Data Is Based on Fraud, and Scientists Around the World Are Pushing Back Against the Narrative

地球の気候は太古から常に変動しており、長期や短期のいくつものサイクルで、温暖化と寒冷化、湿潤と乾燥などの循環を繰り返している。9世紀以降の千年間は大きな温暖化の傾向にある。もっと短期的には150年前ぐらいにやや寒冷な時期があり、それ以降ゆるやかに温暖化している。
今の温暖化の傾向は危機でなく、人為と無関係な、昔からの気候循環によるものだと専門家たちは指摘している。
Climate Scientist Says It's 'Unreasonable' To Call Climate Change An Existential Threat

米国のNOAA(海洋大気庁)など、各地の気温を測定発表する組織が、測定機(百葉箱)が置かれなくなった地点の気温を概算で発表する手法の中に意図的な歪曲があるのでないか、という指摘も出てきた。
都会にある測定地は、暖房や自動車などからの熱で気温が高めに出るので修正が必要だ。だが、数十年間の都市化による測定値の上昇に対する修正が世界的に不足しているとも指摘されている。
地球温暖化問題は1990年代から四半世紀にわたって政治的に誇張され続けてきたが、その間ずっと米欧などの政府が傘下の気象測定機関に、数式や係数をいじって温暖化傾向を不正に誇張させてきたとしても不思議でない。
'Very Bizarre': Scientists Expose Major Problems With Climate Change Data

地球の気候については、3つの特性がわかっている。1つ目は、気候変動の理由は多様であり、測定も昔にさかのぼると年輪や地層など間接的な手法しかなく、気候変動の理由を確定的に言うことができないこと。
人為説は気候変動の仮説の一つであり、全否定できないが、人為の排出が今の気候変動の主な理由だと断言もできない。今の温暖化対策(石油ガス使用制限)や、気候危機の喧伝・政治運動は、人為説が気候変動の主因だと断定した上で成立している。断定は不可能なのだから、気候危機の喧伝や石油ガス制限は間違った政策だとわかる。
気候変動の原因は不確定性が大きい上に、人為説の根拠はインチキなコンピュータープログラム(気候モデル)だけだ。「温暖化の原因はすでに人為説で確定し、議論はもう終わっている」という主張も大間違いだ。
'Pure Junk Science': Researchers Challenge Narrative On CO2 And Warming Correlation

2つ目の特性は、地球の気候が常に変動しており、大きな動きはだいたい循環していること。何十年、何百年か温暖化しても、その後また寒冷化する循環を繰り返してきた。今回だけは温暖化一方向、という可能性も皆無ではないが、簡単に循環を否定している点で稚拙な考察である可能性の方が大きい。
3つ目の特性として、それらを勘案した上で、どうやら現状は既存の気候変動の範囲内だろうというのが、気候危機を疑問視する専門家たちの結論だ。
Imagine That: Global Warming Data Grossly Exaggerated in Most Climate Models

2009年に、人為説を主張する米英の権威ある(好戦的な)学者たちが、今後の気候変動を予測するコンピューターモデルの数式を操作して、人為説が正しいかのような結論を出す不正な歪曲をやっていたことが暴露される「クライメートゲート」が起きた。
だが、この事件はほとんど報道されず、その後簡単に忘れ去られた。今でも、人為説や気候危機の根拠はコンピューターモデルしかない。気候危機は捏造されたものだ。
それを知らない軽信者たちが、気候危機を本気にして騒ぎ、その歪曲構造に基づいて欧米が経済自滅的な化石燃料制限を進めている。
地球温暖化めぐる歪曲と暗闘

欧米の温暖化対策は、化石燃料の使用を制限する替わりに、風力や太陽光など自然エネルギーの発電を増やして穴埋めする。内燃車を減らして電気自動車に替えていく。ドイツのショルツ首相は先日「化石燃料の時代は間もなく終わる」と宣言した。
ドイツはウクライナ開戦前、ロシアから安い天然ガスを大量に輸入して使い、これがドイツ経済の強みの一つだった。開戦後、ドイツはロシアからのガス輸入の急減を決めた。温暖化対策として化石燃料の利用が減るとともに、ロシアのガスは不要になるはずだった。
米国(諜報界)が2022年秋に、ロシアの天然ガスをドイツに運ぶノルドストリームパイプラインを爆破して犯人不明のままにする完全犯罪(笑)を挙行したが、自然エネルギーで代替するのでノルドストリームなんて不要なはずだった。
Fossil fuel era ending - Scholz
潰されていくドイツ

だが、現実は違っている。自然エネルギーはコストが高いうえ、気象状況によって発電状態が変動する。高価で不安定で使い物にならない。そのことは業界関係者の間で以前から知られていたが、マスコミ権威筋はそれを無視し、報じないので市民も知らなかった。
ドイツなど欧州はウクライナ開戦後、ロシアからのガス輸入を減らそうとしたが、減らせなかった。
自然エネルギーで代替しきれず、ドイツなど欧州各国は、ロシアのガスを目立たないように輸入し続けている。欧州は石油も、ロシアからでなく印度などから買うようになったが、印度の石油はロシアから買って精油したものだった。
Macron First Threatens Russia With Troops, Then Buys €600 Million Of Gas From Moscow In Q1 2024

「化石燃料の時代は間もなく終わる」というショルツの宣言は大ウソだ。化石燃料の時代は今後もずっと続く。自然エネルギーは大幅な効率改善が必要で、可能だとしても何十年もかかる。そもそも人為説は根拠薄弱だから、人類がずっと化石燃料を使っても問題ない。
プーチンは最近(含み笑いしつつ)「石油産業は今後(少なくとも)百年以上、繁栄し続ける」と指摘している。ここでも、プーチンが正しく、ショルツは間違っている。
Oil industry will be swamped with work ‘for another 100 years’ - Putin

ショルツ発言の少し前、ドイツの交通相が「(2030年までに二酸化炭素排出を65%減らす目標達成のために)ドイツ国内で週末の自家用車の使用を恒久禁止する必要があるかもしれない」と発言した。これは国内から猛反発を招き、他の官庁(環境省)が「実際の禁止は必要ない。(交通相は)国民に自家用車の使用を自粛してもらうために衝撃的な発言をしただけだ」と後退させた。
German transport minister threatens public with ‘indefinite driving bans’

電気自動車はコストの多くがバッテリーで、電池交換は新車購入と大差ないカネがかかる。電気自動車は中古車がジャンクだ。それが(今ごろ)判明し、世界的に電気自動車が売れなくなった。電気自動車の人気も、情報歪曲に基づく詐欺だった。そもそも人為説は根拠薄弱なのだから、週末に内燃車を運転しても大丈夫だ。
The EV Graveyard Reckoning, Hardly Anyone Wants to Buy a Used One
Mr. Bean Was Right – And So Was Toyota

屋根に太陽光パネルを取り付け、家で使い切らない発電分を電力会社に売る。その収入で、何年かすると太陽光パネルの取り付け費用を回収できて儲けが出る。夢のような話だ。しかし実のところ、これも現実にならない夢物語だった。
天気の良い日は、多くの家が使い切らない発電分を電力会社に売ろうとする。ブームが始まってしばらく経つと、電力会社は晴れた日に供給過剰になり、電力を買わなくなる。話が違う。ふつうに電力料金を払った方が安い。米カリフォルニア州では、太陽光パネルの売れ行きが90%減った。
Daytime Solar Power Glut In California, Rooftop Sales Plunge 90%

温暖化問題の構図自体、開始以来の四半世紀で大きく転換した。京都議定書のころは、最初に先進諸国が排出削減して模範になり、その後中国印度などこれから発展排出する新興諸国に排出削減を義務付け、削減できない新興諸国に国際炭素税を支払わせ、先進諸国が新興諸国の今後の経済成長からピンハネする策略だった。
当初は、排出権取引などカネと経済の話が温暖化問題として注目されていた。
地球温暖化は政治と投機の問題
失効に向かう地球温暖化対策

だがその後、国連などで政治力をつけた中国が途上諸国を引率して(中国+G77など)米欧に反論し、途上諸国の温暖化対策にかかる資金を先進諸国が支援する逆ピンハネの構図に転換しようとした。
先進国と途上国、米国側と非米側の紛糾になる中で、非米側をこっそり支援する隠れ多極主義の米諜報界が、うっかり傀儡な左翼リベラルを扇動して温暖化問題の国際政治運動を活発化し、欧米だけが温暖化対策を厳格に履行させられる新たな構図が定着した。
新興諸国に乗っ取られた地球温暖化問題
地球温暖化問題の裏の裏の裏

たとえば、米諜報界が台本を書いて操ってきたグレタ・トゥーンベリは、欧米諸国の温暖化対策の不足を常に非難する一方で、中国など非米側が排出を減らさないことを批判しない多極派傀儡である。
温暖化対策は、経済問題から政治問題に変質し、ピンハネによって欧米を繁栄させる米覇権策から、欧米を自滅させる多極化策に変わった。
同時に、ESGなどの枠組みを作って温暖化対策をしている企業の株価をつり上げつつ投資金を集める経済の策略も終息し、ESGは儲からない構図になって資金流出し、時代遅れになっている。
"Peak Coal? Hmm, How To Put It: No"
Corporations Are Losing The ESG Battle, Forcing Them To Hide Advocacy

国際政治の主導役は、すでに米国でなく中露だ。プーチンのロシアは鉄砲玉で、習近平の中国が黒幕だ。中露主導の非米側は、温暖化問題を捏造と知っているから馬鹿にしつつ、欧米の自滅を進める策略として使っている。
産油国であるUAEのドバイで昨年末、温暖化対策の国連会議COP28が開かれ、UAE国営石油会社Adnocの会長スルタン・アルジャバーが議長をつとめた。
彼は石油会社の人にふさわしく「国連が出している、化石燃料の利用を減らすと地球の気温上昇を1.5度にとどめられるという話には科学的根拠がないし、人類が生活水準を大幅に落とす(石器時代に戻す)のでやるべきでない」と、正鵠を射る人為説否定の議長声明を出した。
COPには、欧米などから人為説軽信の国際運動家が出席しており、彼らや欧米マスコミが口々に非難し激論になったが、アルジャバーは主張を変えず、会議は紛糾のうちに終わった。
COP28 President: There Is "No Science" Behind Calls For Fossil-Fuel Phase-Out

非米側は、温暖化問題を潰す気はなく、気候危機を、事実としてでなく政治策略として肯定している。化石燃料制限などの温暖化対策が欧米を自滅させて非米側を優位にするからだ。非米側は化石燃料制限をやらない。すでに中国や印度が宣言している。制限をやるのは欧米だけだ(日韓などはいないふり)。
その構図を作るため、UAEのCOP28は有効だった。UAEなど非米諸国は、産油国のUAEで温暖化対策の会議をやり、その議長に地元石油会社の会長アルジャバーを据え、石油業界を代弁する形をとりつつ、温暖化問題の捏造性を暴露し、温暖化対策を推進する欧米側との無限の論争構造を作った。
非米側は、COP28での論争に依拠して今後も化石燃料制限をやらない。欧米だけが、化石燃料制限を過激化して自滅していく。それが温暖化問題の隠れた本質になっている。
US, EU Politicians Demand Withdrawal Of COP28 Chief



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