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米露イスラエル覇権の形成

2026年5月23日   田中 宇

5月後半、トランプ米大統領(5月13-15日)とプーチン露大統領(5月19-20日)が相次いで訪中し、中共の習近平大統領(主席)と首脳会談した。その後、習近平が間もなく北朝鮮を訪問する話になっている。
これらの件は、相互にどう関係しているのか。時期的な偶然の一致に過ぎないのか?。たぶん偶然ではない。
トランプは当初3-4月に訪中する予定だったが、イラン戦争で忙しくなって延期し、プーチン訪中直前のタイミングに訪中した。露政府は「プーチンの訪中は2月に決めたもので、直前に割り込んできたのは米国の方だ」と言っている。
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米政府は「トランプは中国で大歓迎され、訪中は大成功した」と自賛したが、歓迎式典はプーチンが受けたものと大体同じだった。米中は今回の訪中で大して何も決められず、公表できる成果が少ない。
訪中は失敗だったとか、中国の優勢と米国の衰退が露呈したとか、トランプ敵視なマスコミやオルトメディアが揶揄している。トランプとイスラエルを敵視するあまり、感情的になって、中共やイランの優勢を過大に見積もる分析が多い。
Escobar On Xi's "Constructive Strategic Stability"
Why Trump's China trip signifies the end of American primacy

世の中に流布する国際政治に関する分析は最近、歪曲やお門違い、頓珍漢が激しくなっている。私から見て、納得できる分析の割合がどんどん減っている。頓珍漢が世の中を席巻し、それを軽信する人が大半になっている。
China's counter-sanctions shield: How Beijing is turning the Iran war into a petroyuan test
No Way Out For Trump On Iran

中露間はこれまで、ロシアが石油ガス鉱物食糧などコモディティ・原材料だけを供給し、その他のすべて(工業製品など)を中国が供給する「中国優勢」「ロシアは劣位」と言われてきた。
今回のプーチン訪中の主題も「シベリアのちから2」パイプラインの新設によるロシアから中国への天然ガス輸出の増加だ。
Power of Siberia deal: What is the key energy link between Russia and China?

だが今回、ロシアは以前よりも強気になっている。イラン戦争でホルムズ海峡の閉鎖が長期化し、中国は主要な輸入先だったイランやペルシャ湾アラブ産油国からの石油ガスに頼れなくなり、中国は隣接国であるロシアの石油ガスへの依存を強めているからだ。

露政府傘下メディアのRTは、プーチン訪中の直前のタイミングで「中共はもはやロシアを劣位のパートナーとみなせない」と題する論評記事を載せた。
露政府傘下のRTが、中共の優越感を逆なでする記事をプーチン訪中直前に流した。国内政治に敏感な国策メディアのRTが勝手にそんなことをするはずがない。むしろ、プーチン陣営が自分たちの意志を中共に示すためRTにやらせた可能性が高い。
Beijing can no longer treat Moscow as a junior partner

中共は開戦まで、イランの石油を国際相場の8分の1の、1バレル10ドルで輸入してきた。ロシアも2022年のウクライナ開戦後、欧州に売れなくなった石油ガスを中共に買ってもらっていた。
油田ガス田は止められない。安値でも輸出するしかない。当然、買い叩かれていた。「イランは安く売ってくれますよ。ロシアは安くできないんですか?。困ってるんでしょ・・・」。ロシアは中共に対して劣勢だった。
Russian Media's Unprecedented Criticism Of China Sets The Stage For This Summer's Game-Changer

だが、この状態はイラン戦争で大転換した。石油ガス自体だけでなく、工業製品に必要なプラスチックや、農業に必要な肥料なども、製造時に石油ガスが必要だ。
ロシア(と米国)は、石油ガスの大産出国であるだけでなく、農産物も大量輸出できる。イラン戦争はロシア(と米国)を優勢にした。対照的に、工業製品の生産大国だった中国は、ロシア(と米国)に対して劣勢になる。RTの強気記事の裏に、このような事情がある。
Trump Tells Iran 'Clock Is Ticking, Move Fast' After New Peace Proposal As Analysts Predict Likely Return To War

プーチン訪中前には、もう一つ意外な事件が起きた。プーチン訪中の前日の5月18日、ロシア軍の無人機が、ウクライナの黒海岸のオデッサ港に入港しようとしていた中国の貨物船「KSL Deyang」を攻撃(衝突)した。
貨物船は中国企業(南京金希普船舶管理)が所有するマーシャル諸島籍船。乗組員は全員中国人で、ウクライナの鉄鉱石を積むために空荷で航行していた。無人機の衝突で火災が起きたが乗組員が消し止めた。
Russian Drone Hits Chinese Ship In Black Sea, Less Than 24-Hours Before Xi-Putin Summit

ゼレンスキー大統領の指摘で事件が発覚したが、中国とロシアは何も発表していない。露軍は無人機群と弾道ミサイルを使い、中国船だけでなくオデッサ港を広範に攻撃しており、中国船は誤爆された可能性もある。
だが露軍は、攻撃前にオデッサ港周辺にどんな船がいるのか調べたはずだ。ゼレンスキーもそれを指摘している。
中国船攻撃は意図的で、前述のように中国と対等になったプーチンが、習近平に対して「敵国であるウクライナから物資を買うな」と警告する意味があったとも考えられる。
KSL DEYANG - Bulk Carrier IMO: 9457725

RT論評も中国船攻撃も、政治背景が曖昧だ。中露関係のバランスが中国優勢から中露対等に変わり、プーチンが強気になったという私の見方は確定的でない。
ホルムズ閉鎖が間もなく終わって石油ガス輸出が円滑に再開されれば、ロシア(や米国など資源国)の優勢が消えて元に戻る。
だが逆に、ホルムズ閉鎖が長期化するほど、資源国ロシアの優勢と、製造業中国の劣勢が進み、中露関係が対等になっていく。
ずっと続くイラン戦争

トランプは表向き、ホルムズ閉鎖を早く解除したい演技をしているが、実のところホルムズ閉鎖を長期化して世界経済の体制転換を進めたいような感じが強まっている。
トランプ政権は、イランが破壊された軍事産業を意外に早く立て直しているという、現実と反対の情報をマスコミに流し、イラン優勢・トランプ劣勢でホルムズ閉鎖が長引く構図を人類に軽信させようとしている。
Iran rebuilds military industrial base faster than US expected, report says

マスコミや専門家や外務省はトランプ敵視(英傀儡)なので、トランプ劣勢の歪曲情報を喜んで軽信して喧伝する。
(英国系は諜報界をリクード系に奪われて諜報力を失い、リクードが流す歪曲以外に情報がない)
◆計画通りのイラン戦争

最近トランプは表向きロシアと仲良くないが、以前は米露協調を模索して昨年はアラスカ会談もやった。私には、トランプとプーチンが親密さを確立した上で対立を演じつつ、裏で連絡を取り合って米露隠然同盟を形成し、世界を動かしているように見える。
トランプの背後には、米諜報界を握るイスラエル(リクード系)がいる。プーチンも、米諜報界にウクライナ戦争を起こしてもらい、戦争が長引くほどウクライナの背後にいる英欧が自滅してロシアが優勢になる状況にいるので、リクード系の仲間だ。
ウソの敵対を演じる米露

米露隠然同盟は、石油ガスと農産物を世界に供給できる資源同盟でもある。中東が石油ガスを出せなくなり、米露は世界を独占できる資源国になった。
中東はもともとイスラエル、イラン、サウジ、トルコの4極体制になるはずだったが、今回の戦争でイランとサウジが弱体化した。トルコは前からイスラエルのライバルを演じる劣位の仲間だ(かつての英国にとってのフランスみたいな)。中東はイスラエル単独の覇権になった。
イスラエル世界覇権の可能性

イスラエルは、ロシアに影響圏だったコーカサスを割譲させ、アゼルバイジャンの石油をトルコ経由で輸入する体制を確立した。(その「ご褒美」として、ロシアは優勢にしてもらっている)
トルコは、イスラエルのため欧州人を煽ってガザ支援船を次々と繰り出し、欧州がイスラエル敵視を強めて「負け組」に入るように仕向けている。
イスラエルの過激なベングビール安保相は、逮捕した支援船の活動家を意図的に虐待して動画を公開した。パレスチナ人や活動家への殺戮や虐待などの人道犯罪は、かつての英国系覇権の一部だった人道主義を無効化するための意図的な策略だ。
Rush to outrage: Ben-Gvir flotilla clip sparks predictable diplomatic pile-on

トランプとイスラエルは、プーチンも誘って、多極型世界における「米露イスラエル覇権体制」を形成している。この体制は「(米諜報界を握る)リクード系覇権」とも言えるが、今後のイスラエル選挙でリクードが負けて下野するとリクード覇権の名称がお門違いになるので使いにくい。
なぜこの体制が形成されるのか。イスラエルが、米諜報界から英国系を追い出してトランプの米国を傀儡化して世界支配する。そこまではわかりやすい。ホルムズ閉鎖を長期化し、イランだけでなくサウジも潰す。それもわかる。
アラブ産油国の没落

だが、ホルムズ閉鎖によって米露など資源大国を優勢にして、英欧や中国や日韓など、資源輸入国(製造業立国)を劣勢にしている。AIや金融も、石油ガス鉱物食糧がなければ立ち行かない。
英欧(英国系)は、米露イスラエルが潰したい敵だが、中国や日韓はどうなのか??。

先に書いておくと、この策の中心的な標的は中国だ。日韓は「とばっちり」を受けている。日韓は足りない分の石油ガスを米国から売ってもらうが、同時にロシアからもスポットで石油を買っている。
日韓は中期的に、この記事の後半で分析する北朝鮮との和解に絡んでロシアとも和解し、ロシアから石油ガスを長期で輸入するようになる。
トランプは、日韓をロシアと和解せざるを得ない状況に追い込み、ロシアを強化する策として、ホルムズ閉鎖を長期化している。

そして中国。私の見立ては、英国系が自滅させられていく中で、英国系が戦後に構築した米英覇権体制を中共に移譲して託し、英国系から覇権を移譲された中国が、米国を取り込んだイスラエルと対峙する世界体制が形成されていたので、イスラエルは米露を強化しつつ中国を弱め、英国系からもらった覇権を手放させている、というものだ。
UAEのOPEC離脱、サウジ中共の急落

中共の覇権のピークは2023-24年だった。この時期に習近平は、イスラエルに脅威を与えるイランとサウジの和解を仲裁し、中共主導の非米的な多極型覇権体制であるBRICSを拡大した。
だがその後、2024年からイスラエルが中東覇権拡大の動き(アサド転覆、ヒズボラ潰し、イラン攻撃、ソマリランド取り込み、コーカサス奪取、クルド見捨てによるトルコ懐柔など)を始めるとともに、中共は覇権運営を縮小し始めた。
コーカサスをトルコに与える

中共は、アフリカの石油ガス利権を自主的に手放した。西アジア覇権策だった一帯一路も言わなくなった。トランプが多極化の一環で中南米に覇権拡大して中国企業を追い出しても、中共は黙認した。
米諜報界は昨年来、日本で自民党リベラル派や外務省など英傀儡勢力(反トランプ派)が中国にすり寄るのをやめさせる高市政権を作った。この時も、中共は米諜報界に協力し、高市と喧嘩することで高市を強化する策をやっている。中共は、日本が中国と対峙する勢力になることを容認している。
日本が高市化した意味

中国は明らかに覇権を縮小している。イラン開戦後、イランに懇願されても中共は口だけの支持を表明するばかりで、具体的にイランを助けていない。
中共(やロシア)はイランを見捨てている。「中露がイランを助けて米イスラエルを打ち負かす」といった構図は妄想の産物だが、米諜報界はホルムズ閉鎖を長期化するために、妄想の流布を意図的に加速している。
Inside The Moscow Meeting That Laid Bare Iran's Weak Hand

習近平は、弱体化した英国系から世界覇権を移譲され、一時は受け取ったものの、リクード系からにらまれるとあっさり放棄している。
リクード系と英国系というユダヤ人どうしの暗闘に巻き込まれて儲かるはずがない。これは罠なのだ(かつて日本は、資本と帝国のユダヤ暗闘に巻き込まれて惨敗した)。
中共は、自国の儲けが拡大する前提で覇権拡大したのであって、米諜報界やイスラエルと対立して覇権を運営しても損するだけだと判断したのだろう。
ユダヤ人の下にいるアングロサクソンは、民族的に「支配」が大好きだが、漢民族は「カネ」の方が好きだ、ということもある。
リクード系の覇権拡大

ここまで考えてトランプとプーチンの相次ぐ訪中を見ると、米露は習近平に対し、中共の自主的な覇権放棄を礼賛し、米露イスラエル覇権に入りませんかと持ちかけに行ったのでないかと感じられる。
中共がBRICSを率いて、戦後の米英単独覇権体制を英国系から移譲されて継承する流れは潰れた。流れを潰したリクード系(米露イスラエル)は、物わかりが良い習近平を評価し、米露イスラエルの世界体制への加入を勧めている。これが現状でないか。
イスラエルと中国の暗闘

米イスラエルは、中共に加入を勧める前にホルムズ長期閉鎖を確立し、石油ガス輸入国である中国の力を弱めた。中共は、米露よりも優勢なかたちで新たな世界体制に入ることができなくなった。
プーチンはRT論評や中国船攻撃を使って「中国優位でなく中露対等です。良いですね?」と習近平に念押ししつつ訪中した。
トランプは、覇権縮小に応じた習近平を礼賛しつつ、米企業のトップたちを引き連れて「南北米州と取引したければ米国の了承が必要です。まず米企業を儲けさせてくれますね」と言いにいった。とか。
"Taiwan Loses Its Strategic Importance In 18 Months,"

習近平がトランプに念押ししたことは「(覇権縮小を容認しても)台湾独立だけは容認しません」だった。中共にとって台湾は国内問題だ。(覇権は外国との関係を指す)
その他、以前から中共が覇権としてこだわる問題は、中国に隣接する諸国(ラオス、ミャンマー、モンゴル、カザフスタンなど)に米国などの外国が介入してくることだ。
China's Foreign Minister To Rubio: Taiwan Is 'Biggest Risk Factor' In US-China Relations

これについては、トランプとイスラエルが作った「ガザ平和評議会」にモンゴルやカザフスタン、ベトナムといった中国の隣接諸国を加盟させ、中国包囲網を形成している。
これは、米イスラエルから中共への「嫌がらせ」の範疇なのか、それとも具体的な中国潰しの動きにつながるのか??。今のところ、平和評議会の有名無実さから考えて、嫌がらせの範疇と思われるが、今後の動きが注目される。
トランプの平和評議会はイスラエル覇権機関

中共が主導してきたBRICSは、5月中旬に印度で開かれた外相会議でイスラエル寄りのUAEとイスラエル敵視のイランが対立したまま終わった。BRICSは分裂し、加盟国を増やして世界の非米側の団結を誇示した2023年ごろとは様変わりした。
議長国の印度は、中共と和解しているものの、親イスラエルで、米露イスラエル隠然同盟の一味なので、BRICSの弱体化にこっそり満足している。中共主導の世界は解体しつつある。
BRICS Summit Can't Muster Joint Statement On Iran War Amid Deepening Division

習近平の中国は、経済が拡大したものの、国際政治的に拡大した分の覇権をリクード系に求められるままに放棄し、トウ小平時代(胡錦涛)までの影響圏設定に戻った観がある。
その「ご褒美」として習近平は、米朝和解を提案する栄誉を与えられ、朝鮮半島の安定化を得る流れになっている。習近平は、6月初めまでに北朝鮮を訪問し、米朝和解の仲裁を金正恩に提案する予定だと報じられている。
これは突然出てきた話でない。4月に中国の王毅外相が訪朝した。中共は、外相の訪朝で北朝鮮の意志を確認した後、今回のトランプ訪中で米国の意志を確認したと考えられる。
China's Xi Jinping expected to visit North Korea as early as next week

北朝鮮は、すでに3月の憲法改定で、韓国との祖国統一の原則を削除し、領土的に南側は大韓民国と接すると明記した。北朝鮮は、これまで否定してきた韓国を国家として認め、北朝鮮が韓国を併合する形での南北統一の目標も放棄した。
北朝鮮は、米韓が北敵視をやめて核保有を黙認すれば和解して国交正常化できる状況を作っている。トランプは以前から、在韓米軍を縮小して撤兵していきたいと考えている。
トランプの米政府は最近「北を対話に引き出すため」と称して、核武装の放棄を求めなくなった。米政府は表向き「北に核廃棄を求める原則は不変だ」と言っているが、実際は北の核武装を黙認する可能性が高い。
Rethinking North Korea diplomacy

間にはさまっている韓国は拒否できない。米朝が和解したら、日朝も和解せざるを得ない。近年、北朝鮮を最もテコ入れしてきたのはロシアだが、中東からの石油ガスを絶たれている日本と韓国は、石油ガス大国であるロシアとも同時に和解する可能性がある。
North Korea drops reunification goal from constitution

この動きは「いずれ」でなく、間もなく始まる。習近平が訪朝して米朝和解を提案すると、習近平の外交得点になるが、実際に数年がかりでお膳立てしたのはトランプとプーチンだ。習近平は、米露イスラエル覇権体制に協力した見返り・ご褒美として、最後の部分の米朝和解の仲裁役になる名誉を与えられている。
トランプは1期目に、金正恩と繰り返し会談した。それは、当時まだ強かった米諜報界の英国系が、隠れ多極主義者(反英系)のトランプを妨害する策として北朝鮮と米韓の戦争を起こそうとしていた謀略に対抗するためだった。
板門店で電撃の米朝首脳会談

トランプは2期目に入って米露隠然同盟を形成し、北朝鮮を世話する役割をプーチンに委ねた。プーチンはウクライナ開戦後、米欧から猛烈に敵視されたおかげで、米欧に気兼ねなく北朝鮮と付き合えるようになった。
北朝鮮は、軍需工場をフル稼働して露軍がウクライナで使う旧ソ連型の弾薬を大量生産し、ロシアが望むクルスクの戦闘に北の兵士を派遣し、GDPの1年分に近い130億ドルを得た。
プーチンは北朝鮮に感謝し、核武装を容認して核兵器やミサイルの技術を与え、安保協定を締結し、食糧も安く売った。ロシアは北朝鮮を、軍事・経済・国際政治の全面で強化した。
North Korea Has Reaped $13Bln From Military Aid to Russia, South Korean Intelligence Says
非米側の防人になった北朝鮮

ロシアに強化される前、北朝鮮は中共からの経済支援に頼っていた。中共は、北敵視の米国と対立したくない(中共を北の同盟国とみなして米国が敵視を強める)ので、北に核兵器を作るなと加圧していた。
北はそれに不満で、中共から食糧や燃料をもらいつつ、核兵器やミサイルの開発をやめず、米韓を敵視して南北統一の国是を掲げ続けていた。中共は、支援をやめると北が過激化するので、しぶしぶ北を支援していた。
御しがたい北朝鮮

ロシアは、この行き詰まりを打破した。北朝鮮はロシアから今後ずっと大事にされ、国家的な問題が大幅に減った。中共に頼る必要もなくなった。
トランプの米国は、本質的に北を敵視しておらず、ロシアともこっそり仲良しだ。今回のタイミングで習近平が米朝和解を提案しないと、近いうちに米朝が勝手に和解しうる。
中共は米露の動きを見て、それまでの慎重な態度を崩し、4月の王毅外相の訪朝を機に、北の核武装を容認する態度に転換した。
Why China now embraces a nuclear North Korea

米露は中国も誘って、核武装したままの北朝鮮を国際的に容認する流れを作っている。対米従属の日韓も、核武装したままの北朝鮮を国家として承認していかざるを得ない。
朝鮮半島の問題は、南北の統一でなく、北朝鮮と韓国が別々の国家として併存する形で解決していく。問題の解決後、米軍が日韓から出ていく流れになる。日本も韓国も、独自防衛の強化が必須になる。
What happened to denuclearizing North Korea?

多極型になった世界における今の米露イスラエル覇権の形成は、英国系が背乗りしようとした中共中心のBRICS世界体制を崩し、副産物として(北が核武装したままの)朝鮮半島の問題解決をもたらす。ホルムズ閉鎖は長期化する。
転換の規模が大きく、既存の世界観の常識から離れた理解と説明が困難な流れも多い。うまく説明できず、妄想として扱われがちだが、めげずに考えて書いていく。
South Korea to Seek Peace Despite North’s Revised Constitution



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