日本が高市化した意味
2026年2月11日
田中 宇
2月8日の衆議院議員選挙で、高市早苗の自民党が大勝した。その理由についてマスコミや権威筋は、高市自身の人柄と手法などが若者に受けたからだとか言っている。私から見るとそうでない。
高市の大勝は、米諜報界を握るリクード系(トランプ政権の黒幕)が、これからの多極型世界で日本を中共に対抗できる強国に仕立てる策として進めた。
高市の自民党は衆議院で戦後最多の圧倒的多数を獲得し、交戦権放棄の憲法を改定することに道を開いた。これは、おそらくリクード系の意図でもある。
(日本も韓国も核武装しそう)
米諜報界は日本を操作できる。インターネットのSNSのほとんどは米国企業であり、米諜報界はSNSを通じて日本人(やその他の米傘下の諸国の人々)の好き嫌いや世論を簡単に操作できる。人々は、操作・洗脳されていることにすら気づかない。
(日本国産の検索エンジンやブログ、独自OS開発などの諸システムは、米支配の邪魔になりうるので2010年ぐらいまでに潰された)
日本は国家も国民も企業も労組も市民運動も、戦後ずっと米国(を動かす諜報界=英国系)の傀儡(気づかないまま動かされる人々)であり、反米を叫ぶ左翼や「中道(=リベラル派)」も(うっかり)米傀儡である。
日本はシステムとして、通信の安全面(セキュリティ)も米諜報界に筒抜けだから、誰が何を画策しているのかバレている。
米国は、日本の政治を動かせる。日本の上層部(政官財界)は、それを知っているので、米国(諜報界)に気に入られようと、進んで競って米傀儡になりたがる。
米諜報界は戦後ずっと、大英帝国を継承する英国系=単独覇権派が握ってきた。米国自身が、英国の傀儡だった。
(米国はもともと国連P5など多極型世界を望む多極主義だったが、英国系に上書きされ、多極派はベトナム戦争など、英国系の策を過激に稚拙にやって失敗させる策しかやれなくなった)
英国系は、日本が永遠に弱いまま再台頭を模索しない米英傀儡であることを望んだ。日本の上層部もそれに大賛成だったので、日本の政治体制は不安定な連立与党が続き、政治家より官僚が強かった。
英国の諜報力は、諜報の元祖であるユダヤ人に依存してきた。英国はイスラエル(ユダヤ人国家)の建国を許しつつも、イスラエルが台頭して英国系の世界支配を邪魔せぬよう、パレスチナ問題などを作ってイスラエルの国土を半分(広義には4分の1、8分の1)にした。
イスラエル左派の労働党は英国の謀略に従ったが、右派のリクードは従わず、戦争で占領したヨルダン川西岸地域をパレスチナ人の土地と認めず入植地を拡大し、その運動でイスラエルの政権をとった。
リクード系の勢力は米政界や諜報界に入り込み、2001年の911テロ事件を起こしてクーデター的に米諜報界を乗っ取り始めた(多極派が英国系を潰すためにリクード系に911をやらせて米中枢に招き入れた)。
(リベラル世界体制の終わり)
米諜報界は、英国系とリクード系の暗闘となった。英国系の政党である米民主党のオバマは巻き返しを試みたが失敗し、史上初の全面リクード系であるトランプ政権になった。
(トランプの2期の間にあったバイデン政権は、英国系を自滅させるためにリクード系が民主党に選挙不正をやらせて勝たせ、就任させた。これから、2000年の大統領選などで民主党が郵送投票制度を悪用して不正に勝ったことがトランプのFBIに捜査されて暴かれ、民主党が弱体化して惨敗していく。米国は、トランプ化した共和党の事実上の一党独裁になる)
(FBI Raids 'Ground Zero' Fulton County Election Office In 2020 Voter Fraud Probe)
リクード系は、英国系を追い出して、世界覇権の運営役である米諜報界を乗っ取った。リクード系を招き入れた多極派は、英国系が維持してきた単独覇権体制を潰し、中露を力づけて世界を多極型に転換していった。
リクード系は(多極派との約束通り)パレスチナ抹消や、仇敵イランの影響力の縮小を実現し、イスラエルは中東に覇権国になりつつある。
昨年からトランプの2期目に入り、リクード系は、多極派のもともとのシナリオになかった勝手な動きをし始めた。シナリオでは、世界が多極型に転換するとともに、米国の単独覇権体制、それを動かしていた米諜報界や債券金融システム(ドルのバブル)などが崩壊していくことになっていた。
債券金融システムが崩壊すれば、それを資金源とする諜報界も崩れ、諜報界が動かしてきた米覇権体制も消失するはずだった。
(Netanyahu-Trump meeting moved forward to Wednesday amid fear Trump backing off red lines)
だが、リクード系が諜報界を乗っ取るとともに、リクード傘下のトランプが米連銀(FRB)を加圧して隠然QE(通貨発行による債券買い支え)を再開して債券金融システムを長期に延命させていく流れを構築した。
世界は多極化し、トランプは多極派のシナリオに沿って米州主義や米欧分裂化を進めている。しかし同時にリクード系(トランプ)は、乗っ取った米覇権構造(諜報界と金融界)を潰さずに延命し、世界的に「リクード覇権体制」のようなものを運営し始めている。
トランプが年初に作った、ガザの停戦や再建を名目上の目的とする「平和評議会」がその一例だ。
平和評議会は、アラブやイスラム諸国をイスラエルに迎合させると同時に、中国の周辺にあるカザフスタンやモンゴル、ベトナムなどが加盟し、中国に対する隠然包囲網にもなっている。トランプは、平和評議会が国連を代替しうるとも言っている。
(トランプの平和評議会はイスラエル覇権機関)
BRICSの中で、ロシアと印度はリクード系と仲が良い。ロシアは、リクード系(米諜報界)が誘発したウクライナ戦争で勝たせてもらい、仇敵の英欧を破滅させてもらった見返りに、リクード系の覇権拡大に協力している。ヒンドゥー主義になった印度は国内やパキスタンのイスラム勢力が敵なので、リクード系と親和性が高い。
リクード系は同時に、これまでイスラエルを敵視してきたインドネシアやパキスタンといったイスラム諸国をも取り込んでいる。
リクード系は、近代国家の世界体制を構築したユダヤ人(諜報界、元大英帝国)の発展形であり、世界の諸国の内政を裏から動かせる。リクード系(イスラエル)と親しくする国や勢力は強化、安定、繁栄する。だからイスラム諸国も、表向きイスラエルを批判しつつ、裏でリクード系と仲良くしている。エルドアンのトルコが好例だ。
パレスチナ問題にこだわって本質的にイスラエルを敵視し、リクード系に立ち向かう国や勢力は自滅、不安定化、崩壊させられる。近年の英欧とくにリベラル派がその好例だ。
(中東に再招待されるロシア)
リクード系は、生成された多極型世界を容認(それが多極派との約束)しつつも、世界に対して「イスラエルを敵視するな」という「踏み絵」を強要している。
リクード系(トランプ)が平和評議会において隠然と中国包囲網を形成していることから考えて、多極型世界の主導役である中国(中共)は、リクード系の踏み絵を拒否している。
中共は昨夏以来、パレスチナ問題でイスラエルを非難しなくなったし、米イスラエルとイランとの対立の中でイランを支持してきた態度も消して中立化している。トランプがベネズエラ転覆などで中南米支配を強めても、中共は米国をほとんど非難せず、言われるままに中南米から企業などを撤退して利権放棄している。
中共はリクード系に狙われていることを知っている。だから沈黙や譲歩、放棄を重ねている。しかし中共は、印度やロシアと異なり、リクード系と仲良くすることも拒んでいる。リクード系は中共を疑っており、長期に監視と包囲が必要だと考えている。
(リクード系の覇権拡大)
かつての英国系の米単独覇権体制は、台頭しうるあらゆる諸国を抑圧制裁し続けてきた。英国系は多極化を敵視してきた。対照的に、リクード系は多極化を容認している。親イスラエルな諸国を強化し、反イスラエルの国を潰す。この点が英国系とリクード系の違いだ。しかし、背景が違うものの中国を抑圧している点は同じだ。
リクード系が中共を監視包囲するには、中国の周辺にリクード傘下の(傀儡)諸国を作る必要がある。そして、中国の周辺でそれをやってくれる最適任な国は、日本である。
多極派から見ても、いずれ米覇権が失われて米国が日本から撤退する時、日本が中共の傘下に入るのでなく、日本(もしくは日豪亜)が独自の「極」になる方が良い。日本を傘下に入れると、中国(中共圏)は大きくなりすぎて多極型世界の均衡を崩しかねない。
(日本を多極型世界に引き入れるトランプ)
中共自身、国内政治の安定策として、米国が西太平洋から退潮して台湾が中共に併合されることを実は好んでいない。台湾問題が残っているおかげで、中共は内戦の有事体制を人民に強要し続けられ、独裁と国内の安定を維持しやすい。
多極化によって米国が西太平洋から退潮しても、替わりに日本が西太平洋の「極」となって、中共の傘下に入らず自立を維持しつつ、中共の台湾併合を防いでくれれば、中共としてもこっそりありがたい。
(日本に台湾支援を肩代わりさせる)
それらの背景の中で、リクード系は昨夏、日本を中国監視の「極」に仕立てていく動きを開始した。それまで英国系の政権が続いてきた自民党で、石破茂を辞めさせ、トランプやリクード系と親しくできる極右の高市早苗を首相に据えた。
高市は就任早々、台湾問題で中共を激怒させる発言を発し、中共は高市を口汚く攻撃する発言を連発し、日本国内での高市支持と中国敵視を強めさせる策略を続けた。中共は、日本社会の迷惑になっている中国人の日本への渡航を止める動きもしてくれて、高市化し始めた日本をこっそり支援した。
(敵対扇動で日本を極に引っ張り上げる中共)
日本のマスコミや外務省、左翼リベラルなどは、高市を敵視し、中国と仲良くしなきゃダメだとか、爆買いしてくれる中国人がいなくなると日本経済が潰れるとか言い募ったが、そうした彼らの言動は、日本人がマスコミや左翼リベラルを嫌うことに拍車をかけただけだった。
これらの動きを誘発してきたのも、SNSなどを動かせる米諜報界リクード系だといえる。これらの結果、2月8日の衆議院選挙で高市の自民党が圧勝し、中道(リベラル)や左翼の野党が惨敗することになった。
(高市を助ける習近平)
結局のところ、高市や日本の若者はリクード系の傀儡なだけじゃん。ダメじゃん。そんな批判が来そうだが、そもそも高市を敵視するマスコミ官界リベラルなどは英国系の傀儡であり、英国系が世界的に惨敗して傀儡たちの自滅を加速していることを考えると、同じ傀儡なら、リクード系の傀儡の方がはるかにましだ。
今後の多極型世界においては、極となる国だけが国家主権を持ち、その他の諸国は近くの極の国の傘下に入り、傀儡となる。放っておくと、日本は中共の傀儡になっていた。日本外務省は、高市の就任まで、英国系の消失後を見据えて中共に接近して傘下入り・傀儡化の流れを作ろうとしていた。高市(とリクード系)はそれを潰した。
(高市潰しの日本国債危機)
英国系や中共の傀儡だと、日本は経済的にも文明的にも劣悪になっていくばかりだ。リクード系の傀儡になることで、日本は極になる道を歩み出し、経済的、文明的な再興を模索し始めた。傀儡に対する縛りは、英国系や中共よりもリクード系の方がはるかに弱い。
これまでの英国系の傘下だと、日本は独自のエネルギー開発も許されなかった。今後の日本は、海底エネルギーの開発などによってエネルギー面の自立も可能になっていく。いろんな可能性がある。英傀儡のマスコミやリベラル左翼には、そういう現状が見えていない。惨敗して消失していくのが良い。
(Japanese PM laments lack of peace treaty with Russia)
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