米諜報界が中国のために作る世界政府2022年12月7日 田中 宇
この記事は「コロナと中国」の続きです。 2020年2-3月、コロナ危機が始まると同時に、WHOや国連が世界各国に対し、都市閉鎖やマスク義務、国際渡航など移動の制限、店舗閉鎖、ワクチン強要など(最初から効かないとわかっていた超愚策な)コロナ対策を強制し始めた。強制的なコロナ対策(超愚策)を間違いなく推進するために、WHOは、政府をしのぐ権力を持つ「コロナ皇帝(コロナツァー)」を各国に配置した。各国政府は、WHOやコロナツァーが進めるコロナ対策が、経済を自滅させるだけで医療面で効かない超愚策だと知りつつも(もしくは米英の医学の権威の詐欺的な言葉を妄信して超愚策と知らぬまま)、ツァーの指示に従って自滅を進めた。インチキな理論に基づくコロナ対策を口実に、WHOや国連が各国の国家主権を剥奪する「世界政府」「コロナ覇権」の構図が作られた。 (世界の国権を剥奪するコロナ新条約) コロナより前からある地球温暖化問題も、インチキに基づいて国連が各国の主権を奪って経済自滅策を強制する世界政府や覇権の構図だ。(実は存在しない)温暖化を止めるため、各国の石油ガスの使用量などを国連が強制的に減らす構図が作られている。コロナ危機の開始後、世界のエリートを集めるダボス会議が、年次会議の主題を「大リセット」に設定した。大リセットは、コロナや温暖化などの(捏造された)世界危機を理由に、人類の生活様式を恒久的に悪化させる経済自滅策だ。国連が各国に自滅策を強要する世界政府や覇権の構図が組み込まれている。 (人類を怒らせるための大リセット) (大リセットで欧米人の怒りを扇動しポピュリズムを勃興、覇権を壊す) 大リセットや世界政府、コロナ覇権、インチキな温暖化などの構図は、ひっくるめて世界政府と呼ぶべきものだ。この構図はなぜ必要なのか。誰の利得になるのか。覇権国は米国だから、米国が国連やエリート組織を動かしてやらせているのか?。だとしたら奇妙だ。国連はもともと米国(ロックフェラー系)が世界大戦への参戦と引き換えに英国から譲渡された世界覇権を機関化するために作った組織だが、国連では途上諸国や非米諸国の主張が強くなり、その後の米国は国連が嫌いだ。米国は911後、国連やG7、NATOさえも無視して「単独覇権主義」に突っ走った。それはイラク戦争などで(未必の故意的に)大失敗したが、その後も米国は国連を嫌っている。見下している。米国が国連を動かして各国に経済自滅の超愚策を強要するという図式は考えにくい。今のように覇権が低下した米国が国連を動かそうとしても、中国やBRICSなど非米諸国が言うことを聞かないので無理だ。国連はすでに米国でなく、中国主導の非米諸国のものだ。 (米諜報界の世界戦略としての新型コロナ) 2020年のコロナ開始後、超愚策を利用して国権を剥奪する世界政府の体制を作る動きが進んでいると知った時、私は、そんなのうまくいくわけないと思った。米国(欧米)が他の諸国の国権を剥奪しようとしても、たとえば非米諸国群の雄であるBRICSは、隆々とした国権を持つ大国の集まりであり、誰かに覇権を剥奪・制限されることはあり得ない。BRICSや上海機構など非米側の国際組織の内部は、他の加盟諸国の国権を尊重する形で運営されている。非米側では国権が大事にされている。中国は覇権を隠然と行使する。 対照的に、米国側では日本やドイツが米国の言いなりであるなど、米国(米英)が同盟諸国を傀儡化し、国権を剥奪し放題になっている。NATOやG7など米英覇権を体現する国際組織は、同盟諸国の国権を剥奪して対米傀儡化するために存在してきた。考えてみると、米国側の諸国の国権は昔から米国(米英)に剥奪されており、いまさら追加で剥奪される国家主権など残っていない。米国がちょっと示唆するだけで日独などはすべてを差し出す。これ以上、何を剥奪したいのか。世界全体を見ると、非米側は国権の剥奪など許さない。米国側ではすでに全部剥奪されている。だから、いまさら国権剥奪用の世界政府など作っても機能しない。 (米諜報界を乗っ取って覇権を自滅させて世界を多極化) この話はそこでいったん終わり、それから3年近くが過ぎた。依然として、米国側の諸国の国権はすべて米国に剥奪されたままだし、非米側の国権は何も剥奪されていない。今春にウクライナ戦争が始まり、米国側の諸国は半強制的にロシアからの石油ガスの輸入を止めねばならなくなり、その分のロシアの石油ガスは中国インドなど非米側に安く輸出され、非米側の繁栄になっている。サウジアラビアなどOPECは丸ごと非米側に寝返った。これらも、温暖化やコロナの構図と似ている。 (産油国の非米化) しかしその一方で、3年経っても、コロナ危機を利用して国権剥奪の世界政府の構図を作る動きは続いている。G20は「次のパンデミック」が起きたら国際的な人の移動にワクチン旅券の提示を義務づける体制を世界的に強制する方向性を、先日のサミットで決めた。コロナはワクチンで乗り越える病気でないのだからワクチン旅券は超愚策の一つで、国際的な移動に関するワクチン旅券の義務づけは「世界政府」の構図だ。変異による重篤性の低下と感染力の上昇により、新型コロナは既存の風邪と同様、すべての対策が全く無意味になっている。それでも、まだ起きてない「次のパンデミック」まで持ち出して超愚策が続けられ、国権剥奪の世界政府の構図が描かれ続けている。これは何なのか??。 (The politics of a WHO pandemic treaty in a disenchanted world) (G20は世界政府になる) 考えているうちに出てきたのが「これは中国が非米諸国を主導して世界政府の構図を運営し、欧米諸国を、米国の傀儡から、中国主導の世界政府の傀儡に強制的に転換させる多極化の動きでないか」という仮説だった(日本はすでに安倍晋三による米中両属化で隠然転換)。大リセットも世界政府もコロナ覇権も温暖化もウクライナ戦争も、構図を作ったのは米諜報界だが、それを牛耳っているのは、米覇権(欧米)をいったん自滅させて覇権構造を米単独から多極型に転換しようとする「隠れ多極主義者」である。多極派は、テロ戦争などを通じて諜報界を乗っ取った。世界政府など一連の構図は、米諜報界が、中国(が主導する非米側)のために作ってやったのでないか。 (コロナ帝国と日本) 温暖化もコロナも世界政府も、最初に構図を作ったのは米国(諜報界)だったので、米傀儡の米国側諸国はこの構図を全面的な支持し、喜んで自滅の道を進み始めた。しかし途中からいつの間にか、これらの構図の主導役が米国から中国に移譲され、中国の言いつけに従わない国が国権を剥奪される構図にすり替わっている。温暖化問題の主導役は、2009年のCOP15の時に米国から中国に移譲されている。 米国覇権の黒幕は英国であり、英国系のカナダや豪州は米覇権の構図を強化・恒久化することに熱心だ。独仏EUも冷戦が終わって対米自立するどころか逆に米傀儡色を強めた。これらの国々は全て、コロナと温暖化の超愚策を猛烈にやって自滅している。中国が直接WHOや国連を牛耳ってコロナや温暖化の超愚策を英国系やEUに強要したら、それは拒否されるだろう。今のところまだ米諜報界が超愚策を強要しているのだろう。しかし、国連でもG20でも中国の影響力が強まるばかりだ。すでに、中共が米諜報界の皮をかぶって欧米に自滅策を強要している可能性もある。「次のパンデミック」が起こされるころには、中国の覇権がさらに強まっているだろう。米諜報界は積極的に、中共を内部に入り込ませているのでないか。 世界政府(大リセット、新型コロナ、地球温暖化)は米諜報界が中国(主導の非米側)のために作ってやった隠れ多極化策だという考え方・仮説は、私の思いつき(妄想、仮説)である。田中宇の妄想なんて誰も読みたくないぞ、という人は読まない方が良い。イラク戦争は多極化のための策だったというのも私の思いつきの仮説・妄想であり、当初は権威好きの人々(軽信者たち)からボロクソ言われた。しかしイラク戦争が今に続く多極化の急進の開始点だったことは、今や確定的なことになっている。これから何年かしたら、世界政府的ないろんな構図が、中国主導の非米型・多極型の世界を推進していることが、今よりも顕在化しているだろう。妄想は、あらゆる分析や研究、開発、発明、哲学など知的行為全般の母である。妄想を現実とすり合わせていくと新しい知的財産になる。権威が好きな人々は大体、妄想から出発する知的行為が苦手な人だ。 ウクライナ戦争の構図もずっと続き、欧米のさらなる自滅と、非米型の世界体制の形成に資することになる。日本は自滅を回避している。自民党政府は隠然と親中国であり、安倍晋三が敷いた米中両属体制が今後の日本を救うことになる。安倍が積極的に日本を非米的な路線に引っ張っていくことを恐れた日本の対米従属派(官界やマスコミ権威筋)が、米国(諜報界の非主流派に転落した軍産系)からそそのかされて、安倍の殺害と、その後の自民党への攻撃(今さら統一教会との癒着を出してくるなど)を続けている。 ▼以下は、上の記事を書く際にボツにしたもの。上の記事の詳細解説を含んでいるので掲載する すでに書いていることだが、新型コロナ(や今後のパンデミック全般)、地球温暖化問題、大リセット、ウクライナ戦争、米国のインフレ利上げQT問題は、いずれも中国の覇権(国際政治力)を拡大している。これらは中国の覇権拡大のために続けられている。これらを画策してきた米諜報界は、欧米(米国側)の覇権を自滅させるやり方で中国の覇権拡大と多極化を模索してきた。中国自身(習近平より前の中国共産党)は覇権拡大を望んでいなかったのに、米諜報界が米覇権を自滅させたので、その空白を埋める棚ボタで、中国は習近平になるとともに覇権拡大に乗り出した。習近平は、米諜報界に背中を押されて覇権を拡大している。米諜報界は米覇権の運営者だ。運営者自身が覇権を壊して押し売り的に中国に移転させている。覇権運営の担当は今まさに、米諜報界から中国共産党に移っている。 新型コロナは、米国政府が中国に研究費をわたして武漢ウイルス研究所でやらせていた、コウモリのコロナウイルスを他の哺乳類に移植してヒトに感染するウイルスを作ってみる機能付加実験で試験的に作られたウイルスが研究所の外に漏洩して発祥した。米国側は、武漢研究所の中国人研究者たちの中にスパイを作り、ウイルスを漏洩させてコロナの感染拡大を引き起こした可能性が高い。漏洩は、米国側が中国経済を破壊するための謀略だったのだろうが、実際にコロナウイルスが世界に拡大してみると、欧州や豪州など欧米諸国が(コロナ対策として無意味な)厳しい都市閉鎖(ゼロコロナ策)をやらされて経済が自滅する結果になった。 欧米諸国に超愚策を厳しく行うよう要請したのはWHOや国連で、欧米諸国の政府は、WHOや国連が欧米(米国側。米覇権)の支配下にあるので欧米の損になることは言わないと思って要請に従った。だが実際には、すでにWHOや国連は米国側よりも中国の言うことを聞くようになっており、中国は米国側の経済や覇権を自滅させるために、WHOや国連を通じて欧米に、厳しい都市閉鎖など無意味な超愚策をコロナ対策として採らせた。 人々の動きを監視・抑制できる都市閉鎖(ゼロコロナ策)などは、コロナによる被害を減らす効果がほとんどなく、経済を自滅させるマイナス面だけが大きい半面、政府権力の維持拡大には役立つ。中国(習近平)は、敵である欧米諸国に対して経済を自滅させる意味で都市閉鎖をWHOなどを通じてやらせた一方、中国国内では習近平の独裁強化のために都市閉鎖を延々と続けている。 米国が欧州を引き連れて中国敵視を強める策をとらず、中国と仲良くし続けていたら、中国は欧米経済を自滅させなかっただろう。だが米国はトランプもバイデンも中国敵視を強め、欧州の同盟諸国にも中国敵視をやらせている。米国(諜報界)は、中国に喧嘩を売ることで、自分たちの覇権を壊して中国に移転させている。 前回の有料記事に書いたように、中国はWHOや国連、G20などを動かして、「次のパンデミック」が起きた時にWHOや国連などが世界の諸国に強制的に厳しい対策を採らせるための「パンデミック条約」の国際体制を作りつつある。世界のどの諸国に厳しい(自滅的な)対策を採らせるか決めるのは、WHOや国連を裏から動かしている中国になる。新型コロナを引き起こしたのは米諜報界だったが、次のパンデミックを引き起こす黒幕は中共だろう(そのころには米諜報界も衰退している)。すでに「パンデミック」は医療用語でなく国際政治用語である。 (コロナと中国) 地球温暖化問題も、中国の覇権拡大と米国側・欧米の自滅的な覇権低下を引き起こしている。2009年に温暖化対策の主導役が米国(欧米)から中国(非米側)に移転し、それ以降、非米側は温暖化対策をやらない(やるふりだけの)一方、欧米は石油ガス使用の強制的な削減などの温暖化対策の強化で経済的に自滅し続けけている。「地球が急速に温暖化している」という温暖化問題の根本シナリオは、米英の権威筋がコンピューターのシミュレーションによって捏造したものだ。急速な温暖化は現在起きていない。人類が排出する二酸化炭素などが温暖化を引き起こすと主張する人為説も根拠が薄い。米国側は1990年代から人為説の温暖化問題を言い出した。 (失効に向かう地球温暖化対策) (地球温暖化の国際政治学) 問題の本質は当初、すでに経済成長が低下した米国側が、これから成長する中国など非米側(新興諸国、途上諸国)に「温暖化対策費」の口実でカネを出させる「ピンはね作戦」だった。だが2009年のCOP15で米国が中国に主導権をわたし、それ以降は米国側だけが石油ガスの使用削減を厳しくやって非米側はやらなくて良いと同時に、非米側が米国側からカネを出させる逆ピンはねの構図になった。最近の有料記事に書いたように、先日のCOP27でこれらの構図がさらに進んだ。 (温暖化対策で非米化の加速) コロナ対策も温暖化対策も、米諜報界がウソの構図を作って進めてきた。当初は中国や非米側を弱める策略だったのが、途中から欧米が自滅して非米側が台頭する多極化を加速する策略に転換した。中国は、米諜報界が作ったウソの構図を壊さず維持したまま、対策の中身だけ米国側の自滅と非米側の強化につながるように変質させた。その後2020年ごろから、ダボス会議を主催する世界経済フォーラム(WEF)が、コロナや温暖化やその他の欧米自滅につながる諸策を束ねて「大リセット」としてやり出した。WEFはジョージ・オーウェルのディストピア小説「1984」を地で行くような「温暖化対策として欧米が家畜の飼育を減らし、欧米市民は肉を食べるのをあきらめて昆虫や人造肉を食べなさい」といった、欧米市民を怒らせるような話を流布している。 (「大リセット=新常態=新しい生活様式」のからくり) ・・・ここまで書いたところで、すでにたくさん書いた記事群の繰り返しに過ぎないことに気づき、いったんボツにした。 追記。習近平は、WEFがやっている「1984ごっこ」に参加している。コロナの都市閉鎖の規則を守らなかった人を文化大革命の人民裁判みたいに街頭引き回しの刑にしたり。共産党大会の席上、世界が見ている前で習近平が、前任者でトウ小平派の胡錦涛を強制退去させる「粛清劇」を演じたこととか。胡錦涛は何かの罪を着せられたのでなく「健康問題」から退去したことにされた。その点が、あの「粛清」が本物でなく「劇」であることを示している。習近平は、毛沢東という歴史の悲劇を意図的に繰り返している。「二度目は茶番として」。中国のゼロコロナ策も、習近平の権力強化と、WEF系の1984ごっこの両方を兼ねている。 (ひどくなる大リセット系の嫌がらせ) 追記2。中国がこれから主導しそうな非米かつ多極型の覇権体制は、明清までの中国がやっていた「冊封体制」を模していると感じられる。冊封体制は、やんわりした覇権体制で、琉球王国のように「両属」も許されたし、足利義満が冊封体制に便乗して「日本国王」を名乗って明朝と勘合貿易して儲けることも許された。近代の英米覇権のように、明清の冊封体制も傘下の諸国の動向をさぐる諜報活動をしていたはずだが、両属も僭称貿易も大目に見て、現実的に対応していた。近代の米英覇権が、傘下の諸国を完全に傀儡化したがったのと対照的だ。アングロサクソンは、支配欲や正義を演じたがる欲求が強く、偽善者が多い。中国人は支配欲より金銭欲が強いので支配や正邪の体制維持よりも現実的な儲けを重視する、ということなのかもしれない。 (国民国家制の超越としての一帯一路やEU) (沖縄から覚醒する日本) 自民党政権の日本は琉球を見習って、すでに「両属」をやっている(倭の右翼は、琉球人を脅すのをやめて尊敬すべき)。日本は、一方でアングロサクソン向けにゴリゴリの対米従属を演じながら、他方で親中国な政策をとり続け、やんわりな中共王朝の「新冊封体制」に入っている。米国は日本が両属をやって非米化しつつあるのを知りつつ黙認している。この黙認は、支配欲のアングロサクソン的でなく、現実利益重視の華人的でないか?。米国(諜報界)を牛耳っているのが隠れ多極派だから、日本は許されているのかもしれない。両属体制を作った安倍は殺され、日本のマスコミ権威筋・左翼リベラルは安倍の死を冒涜する愚行を続けているのだが。 (安倍元首相殺害の深層)
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