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ウクライナ戦争を再燃させ欧英自滅を加速するトランプ
2026年7月12日
田中 宇
6月中旬にイランとの停戦覚書を締結したトランプ米大統領は、覚書を合意した6月15日に「次はウクライナだ」と述べた。トランプは表向き「次はウクライナの停戦和平を進める」と表明し、プーチンとゼレンスキーに次々と電話した。
しかしその後トランプが展開したことは和平と正反対の方向で、ゼレンスキーをけしかけてロシアをより強く攻撃させ、独仏英など欧州を巻き込んでウクライナ戦争を再燃させた。
(Now that deal with Iran is done, US to focus on Ukraine - Trump)
(Zelensky Touts That 20 Countries Seek Ukraine Drone Deals)
ウクライナ政府(と指南役の米諜報界)は4年半の戦争で、徴兵した兵力を無駄遣いした結果、徴兵対象の年齢層の国民がほとんど残っておらず、兵力不足が深刻だ(報じられるウクライナの戦死者数は実際より大幅に少ない)。
そのためウクライナ軍は、兵力を使わない無人機での対露攻撃を主力にしている。米軍の最新の無人機技術が注入され、ウクライナは世界有数の戦争用無人機大国になっている。
(NATO Turning Ukraine Into Test Ground for Deep Strikes Into Russia - Foreign Ministry)
(Trump Privately Told Zelensky To Act 'More Boldly' Toward Russia: Ukrainian Media)
トランプはウクライナに対し、無人機でロシアの精油所や燃料タンク群、発電所、空港、黒海のタンカーなど、石油ガス関連の施設などを攻撃する作戦を推奨し、攻撃対象に関する情報を与えた。
ウクライナの無人機は、国境から2000キロ離れたシベリアの油田施設まで破壊した。ロシアは世界有数の産油国だが、ウクライナに精油所などを破壊されてガソリン不足に陥った。ダメじゃんロシア。露敵視な人々は喝采している。
(Trump Says He Supports Ukraine’s Long-Range Attacks Inside Russia, Will Allow Ukraine To Produce Patriot Missiles)
(Kremlin Confirms Rare Talks To Import Gasoline Amid Drone Strike Mayhem)
トランプはウクライナに対し、パトリオット迎撃ミサイルの生産も認めており、ウクライナを使ってロシアを潰す策を本気で進めている(かの)ように見える。
(ウクライナは技術がないので米国から部品類を送ってもらって組み立てるしかないが、露軍はウクライナ全土をミサイル攻撃できるので、ウクライナは組立工場を国内に作れない。実のところウクライナでのパトリオット製造は不可能。トランプの宣伝作戦に過ぎない)
(Ukrainian expert dismisses US pledge about Patriot missile license as `marketing move’)
米欧はウクライナ開戦時にロシアの在外資産を凍結したが、米議会は、凍結資産をウクライナに与えて戦費として使えるようにする新法の検討を始めた。
露政府は以前から、凍結資産の流用を強く嫌がって猛反対してきた。トランプは、意図してロシアを怒らせている。
(Is Trump 2.0's 'Escalation' Strategy Against Russia Starting To Take Shape?)
(Russian Oil Refinery Over 1,200 Miles From Ukraine Attacked In Another War First)
トランプはこれまで、昨年8月アラスカのアンカレッジにプーチンを招待して米露首脳会談するなど、ロシアと親密な関係を構築していた。
だが今回のウクライナ戦争再燃策で、トランプは「アンカレッジ精神」の親密策を捨て、ロシア敵視策に転じたと、米国のシンクタンクや露プーチン側近ら、米露両方の勢力が宣言する状況になっている。
(Why the Alaska understandings no longer matter)
(Russia's Lavrov Admits That Anchorage Only Bought Time For Ukraine To Rearm)
トランプは、緩和していた対露制裁も再強化した。これで、いよいよロシアが潰れる・・・。開戦時からマスコミを鵜呑みにして、洗脳されて露敵視になっている人々は、早々と(糠)喜んでいる。
トランプが本気で親露から反露・ロシア敵視に大転換したのなら、ロシアは潰れうる。だが、私が見るところ、そうではない。
(The last exit from the Ukraine conflict may already be closing)
トランプは以前から、ウクライナ戦争の構図を長期化・固定化し、米国でなく欧州(英EU)がウクライナ戦争を主導して米国は手を引く流れを作ろうとしてきた。
ウクライナ戦争にはロシア敵視の固定化が必要だ。米国がロシアと和解するのは、欧州が米国に頼らずウクライナを支援してロシアとの代理戦争の構図を確立した後だ。その前に米国がロシアと和解すると、米抜きの単独でロシアと戦えない欧州もウクライナを見捨て、対米従属でロシア敵視をやめてしまう。
(米露首脳会談を今やる意味)
トランプは欧州の対米従属と、それを利用した英国系による米諜報界=DS=米上層部の支配をやめさせたい。だからウクライナ戦争を続けつつ欧州に主導役を肩代わりさせ、米国を足抜けさせようとしている。
トランプは本質的に親露だが、ウクライナ戦争を使った英国系(欧州)潰しのために露敵視を演じている。
(偽悪戦略で世界秩序を創造的に破壊するトランプ)
これは911以来の、リクード系が英国系を追い出す諜報界の暗闘でもある。ウクライナ戦争は、米諜報界のリクード系が米バイデン政権や英EUといった英国系を騙して起こした、米欧にとってとても効率の悪い戦争だ。
(リクード系はマスコミを動かし、今にもロシアが滅亡しそうな大ウソを喧伝し続け、諜報力を失った英欧や日本のエリートと市民が軽信している)
実際は、トランプとプーチンというリクード系の2人がこっそり組んでウクライナ戦争を長期化するほど英国系の大本山である英EU(かつて英国系の大本山だった米民主党は極左化してすでに事実上滅亡)が軍事費や国力を浪費して自滅していく。
(米露イスラエル覇権の形成)
今回のトランプのウクライナ戦争再燃策は、私の見立てである上記の構図に、まさに当てはまっている。トランプが進める「NATO3.0」は、上記の構図を推進するためにある。NATOのうち、欧州はウクライナ戦争でロシアを打ち負かすことに専念し、米国は中国包囲網やイラン潰しに専念する。
(NATO1.0は米国が欧州を率いてソ連=ロシアを封じ込める冷戦体制。NATO2.0は冷戦後のNATO世界化。そして今回のNATO3.0が欧米間の分業体制)
ウクライナ戦争は開戦以来、欧州の安全保障の大部分を占めている。NATO3.0を達成するには、トランプの要求通り、欧州諸国はGDP比3-5%の防衛費を計上し、軍事産業をフル稼働し、徴兵制を敷かねばならない。しかもウクライナ戦争を英欧だけで背負うと、英欧の自滅が加速する。大馬鹿だ。
(NATO 3.0: Report Details 'Fundamental Restructuring' Of US Commitments)
最良の解決方法は、英欧がロシア敵視をやめて和解し、ウクライナにドンバスやクリミアの割譲を認めさせることだ。
ドンバスやクリミアはロシア系(母語がロシア語=ロシア人)が多数派で、ソ連時代の国内境界線の引き直しなどの結果であり、冷戦終結・ソ連崩壊時にウクライナからロシアに帰属変えすべき地域だった。
当時はロシアが弱く、米英はウクライナを加勢したので、ドンバスやクリミアはウクライナ領のままになった。
2021年からウクライナが米英(すでにリクード系の諜報界)にけしかけられて国内の露系住民(分離独立派)への弾圧や殺害を強めたので、ロシアは正当防衛的な邦人保護策としてウクライナ侵攻(特殊軍事作戦)を始めた。
(Sweden Sees Russia-NATO Conflict In 'Relatively Near Future')
(ロシアの冤罪)
この歴史を見ると、悪いのはロシアでなく、米英とウクライナだ。だからトランプから主導権を肩代わりさせられた英欧の最良策は、ロシアと和解し、ドンバスやクリミアを露領と認めることだ。
だが、英欧はエリートから市民まで、諜報界(リクード系)に洗脳され、ロシアは極悪なので絶対に和解すべきでないし、ウクライナは勝てると軽信している。
(Britain targets Putin’s shadow fleet, seizes oil tanker)
(市民虐殺の濡れ衣をかけられるロシア)
現実を見ると、ウクライナ戦争が長期化するほど、英欧は自滅が加速する。洗脳を乗り越え、本質を理解する人々も増えている。しかし、なかなか多数派にならない。
ドイツのAfDや、フランスのルペン派といった非エリートの「極右」勢力は、ロシアと仲良くした方が良いと主張して人々の支持を集め、中道左右のエリート諸政党を超える人気を獲得している。
独仏は、次の総選挙で極右が与党になるのが当然だ。だが、延命に必死なエリート政党側は、各種の汚い手法を使って極右政党に政権を取らせないようにしている。
(French Bond Yields Rise After Le Pen Cleared To Run In 2027 Presidential Election)
独仏のエリートが延命のために選挙不正など汚いことをやるほど、いずれ不正が暴露され、欧州の民主主義が朽ち果てていく(米民主党はすでに2020年に選挙不正しており、被害者であるトランプがこれから暴露していく)。
民主主義は、英国系の世界覇権の源泉の一つだった。それが自滅していく。独仏エリートに選挙不正をやらせるのも、トランプやプーチンの背後にいるリクード系の策略だろう。
(ずっと続く米国の選挙不正)
EU加盟のハンガリーは今年4月まで、極右で親露なオルバン首相が政権を持ち、EUの露敵視やウクライナ支援の政策に対し、拒否権発動などで抵抗していた。だが、オルバンは4月の選挙で負けて下野した。
イタリア議会は対露和解を模索している。それを潰すためなのか、最近トランプはイタリアの極右系のメロニ首相に対する嫌がらせを加速している。
(Trump posts 'restraining order' jab at Italian PM Meloni, Italy says she’s done responding)
(Italian MPs vote for resolution gradually lifting anti-Russia sanctions post conflict)
トランプ政権は、英国系との暗闘の一環として、欧州諸国の極右勢力を支持してきた。だが、NATO3.0でウクライナ戦争を「欧州化」して米国が離脱して英欧の自滅を加速するトランプの新戦略は、極右が頑張って欧州が対露和解に転じることを歓迎しない。トランプと欧州極右の関係は変わりつつある。
(Hegseth Orders Review Of US Force Posture In Europe, Warns NATO Laggards Of Consequences)
スペインの左翼政権は反戦系で反イスラエル、反トランプだ。スペインは、嫌々ながらも防衛費をGDPの2%以上にしたが、それでもトランプはスペインと縁を切ると宣言し続けている。
こういうのは伝統的なトランプと欧州の関係性だ。左翼は昔から、敵役を演じさせられる(うっかり)英傀儡である。
(Trump says he doesn’t want anything to do with Spain: ‘Cut off all trade’)
かつてドイツを筆頭とする欧州経済の強さは、ノルドストリームのパイプラインなどでロシアから輸入する格安な天然ガスや石油に依存していた。ウクライナ開戦とともに、欧州はロシアを敵視して石油ガス輸入を減らし、経済がどんどん悪化している。
欧州はロシアを敵視しながらも、安い石油ガスへの依存をやめられず、目立たないようにロシアからの輸入を続けている。
ウクライナ開戦後にノルドストリームを爆破した犯人は米諜報界なのだが、ドイツ人はそれを口にすることを許されておらず、犯人はウクライナの個人ということになっている。ドイツ人は大馬鹿。自業自得だ。
(Germany now treats Nord Stream attack as ‘war crime’)
ドイツなど欧州は、それ以前から、無根拠な温暖化人為説を軽信させられて石油ガスの利用を無理やりに減らされ、反原発運動を扇動されて原発もどんどん廃止し、不安定でコスト高で使い物にならない自然エネルギーに依存する経済自滅策を延々とやらされてきた。
(自滅させられた欧州)
(潰されていくドイツ)
中東などからの野放図な移民受け入れを「人道主義」の名のもとに進め、福祉コストと犯罪の急増を引き起こしている。
人道的に守るべきとされる、中東などから欧州(スペイン)に難民として来た「大人に連れられていない子供」の7割が、実は18歳以上の大人だったことも判明。欧州は、エリート諸政党によるリベラル人道主義として、ずさんで大間違いな移民歓迎策を続けた。
今や欧州市民の過半数が、移民に帰国してほしいと思っている。だが、エリート政党はそれを無視。温暖化対策も大間違いだったが、エリート政党はそれも継続。強かった欧州経済は自滅。当然ながら、エリート政党は不人気が加速し、反移民を掲げる極右政党の人気が増している。
(Spain: 70% Of Tested 'Unaccompanied Minor' Immigrants Are Actually Adults)
欧州は今後、トランプのNATO3.0の謀略に乗せられ、防衛費や徴兵制など、国民の軍事負担も無意味に増していく。
エリートはさらに不人気になり、極右の政権化を阻止するために選挙不正に手を染めていく。だが、いつまで延命できるものか。NATO3.0の具現化と、独仏などの極右化と、どちらが先かという感じだ。
(Russia as long-term threat and obligations to Ukraine: NATO summit declaration)
英国の改革党(リフォームUK)も含め、独仏英の政権の全てが極右化し、エリート政党が下野すると、世界的に、英国系の諜報勢力の居場所がなくなる。極右は、英欧を英国系から離脱させていく。
トランプは米国を非米化した。英改革党は英国を非英化する。諜報界の英国系が消滅する。覇権運営機関である諜報界は、完全にリクード系のものになる。
習近平は脅されて動きを止めている。ブラジルはいずれ右派政権に戻る。世界的に、米露イスラエル覇権体制が確立する。これが、トランプのNATO3.0やウクライナ戦争長期化の目的だ。
(Farage Resigns As MP To Force 'People Vs. The Establishment' By-Election)
英傀儡のエリート諸政党が下野し、英国系が消滅すると、その後の欧州は世界覇権的に重要でなくなる。ウクライナはドンバスとクリミアを手放し、ロシアの影響圏に戻る。
極右諸政党が政権についたら、欧州は対露和解する。それを理由に、トランプ(もしくはその後の米国)がNATOを離脱し、NATOを終わらせるシナリオかもしれない。
欧州極右の諸政党はおおむね親イスラエルなので、高市化した日本と同様、米露イスラエル覇権体制にやんわりと入っていく。
(日本が高市化した意味)
ウクライナ戦争の目的は、この流れを作ることだ。欧州は低下し、ロシアは台頭していく。プーチンのロシアは今、ウクライナにやられているが、この戦争が長期化するほど、最終的なロシアの台頭と勝利が確定的になる。プーチンが「やられる演技」を延々と続けていることは意外でなく、むしろ当然だ。
(ロシア敵視が欧米日経済を自滅させ大不況に)
ウクライナ開戦以来、米欧日のマスコミ権威筋は、今にもロシアが負けて潰れそうな歪曲話を喧伝し続けた。ロシアはそれに対して通りいっぺんの否定をするだけで、極悪の濡れ衣を着せられた状態を事実上黙認してきた。
このプーチンの偽悪戦略は、欧州がロシア壊滅のウソを軽信してウクライナ戦争を長期化して自滅する流れを作っている。プーチンは、最終的に勝つ側だ。
(プーチンの偽悪戦略に乗せられた人類)
(悪いのは米国とウクライナ政府)
もしかするとロシアやソ連は、今回のウクライナ戦争だけでなく、第二次大戦のナチスや、19世紀のナポレオンの対露侵攻の時も、負けそうな感じを醸成して独仏に勝利を軽信させ、最終的な勝利につなげたのかもしれない。情報操作を握る英国のユダヤ人は、ナチスやナポレオンを阻止するこっそり親露だった。
今回は、ユダヤ人の中でもリクード系がロシアや米国と組み、ライバルである英国系を潰すユダヤ人どうしの暗闘としてウクライナ戦争(や地球温暖化やコロナや移民受け入れやリベラル極左化)が展開している。
(英国系からリクード系に変わる世界)
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