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多極派に転換する英国

2016年10月16日   田中 宇

 英国のテリーザ・メイ首相が、EUからの早期の本気の離脱をめざして動き出している。10月初めの労働党大会で、来年3月末に離脱をEUに正式申請することを発表した。正式申請すると、離脱を取り消すことができなくなる。 (Theresa May Will Trigger EU Divorce In Q1 Of 2017) (Theresa May walks into a Brexit trap

 英国は、6月末の国民投票でEUからの離脱を決めた。英国の政財界、金融界、マスコミ、当時の保守党キャメロン政権など、エリート層の大半は、EU離脱に反対する「残留派」だった。彼らは、マスコミによる世論操作などで全力を尽くして国民投票を離脱否決・EU残留の結果に導こうとした。英経済は、EUの統合市場との関係で持っていたから、エリートのEU残留希望は当然だった。 (London Mayor Sadiq Khan warns against 'irresponsible hard Brexit'

 だがエリート層の中には、残留派を出し抜いて世論を離脱支持の方に持っていこうとする「離脱派」もいて、国民投票は彼らの方が勝ってしまった。キャメロンは引責辞任し、7月にメイが首相になった。キャメロン政権の閣僚だったメイは残留支持だったが、国民投票をふまえてEU離脱を実現する任務を帯びて首相に就任し、それ以来、政財界からの強い反対を押し切りつつ、離脱の実現に向かって動いている。 (Theresa May's Conservative conference speech on Brexit

 残留派は、国民投票による離脱決定を乗り越える戦略を考えている。一つは「国民投票は4%の僅差であり、EU離脱のような重要方針をこんな僅差で決めるのはよくない。改めて議会での票決が必要だ」といった主張だ。だがメイは「国民投票は意思決定として十分なものだった。議会の追加票決は必要ない。あとは政府(つまりメイ自身)が、決定に沿って実際のEU離脱を進めていくだけだ」と突っぱねた。 (Theresa May holds all the cards on Brexit – including the jokers

 残留派からは「離脱してもEUの統合市場と有利な関係を保てるよう、離脱の正式申請前にEUと時間をかけて交渉し、新たに特別な経済関係を構築してから軟着陸的に離脱すべき」という「ソフト離脱」の主張も出ている。EU側は、離脱する英国と新たに特別な関係を結んでしまうと、他のEU加盟国も、英国を真似て離脱した方がEU加盟国としての厳しい義務を守らなくてすむと考えるようになり、悪しき先例を作ってしまうので、英国と新たに良い関係を結ぶことを拒否している。 ('Global Britain' Is a Tactic, Not Just a Slogan) (Battle lines harden over competing visions of Brexit

 EUのトゥスク大統領は「ソフト離脱など存在しない。ハード離脱か、ノー離脱(残留)しかない」と言っている。英国側が手練手管を使って、EUの厳しい建前的な態度を裏で崩し、こっそり交渉する道があり得るかもしれないが、メイはその道をとらず、来年3月末に正式離脱申請することを決めてしまった。 (`Hard Brexit' or no Brexit, Donald Tusk warns UK

 EUとの交渉は多岐にわたるので、メイ政権は大人数の交渉団を編成する必要があるが、交渉団の人事はまだ途上で、準備が遅れている。離脱を正式申請すると、その2年後には、離脱後の経済関係についての交渉がまとまらなくてもEUを離脱せねばならないという趣旨(延長もできるが英欧関係からみて困難)が、EUの憲法にあたるリスボン条約の50条に明記してある。メイは準備不足のまま離脱交渉に入り、英国は良い経済協定を新たに結べないまま、2019年3月にEUを離脱し、経済が大打撃を受けるだろうと、残留派が批判している。メイは、それらの批判に耳を貸さず、離脱に向かって動いている。 (Sadiq's business chief slams May over Brexit strategy

 来年5月にはフランス大統領選挙があり、EUに反対する極右のルペンが勝つかもしれない。来夏にはドイツの議会選挙があり、今の中道右派(メルケル)と中道左派の大連立が崩れるかもしれない。いずれも巨大な政治転換で、独仏は英国との交渉どころでなくなる。EU自体が体制転換し始めるかもしれない。英国が3月に離脱申請して2年間のタイマーが動き出しても、早くとも来秋までは本腰を入れた交渉にならず、時間が浪費される。メイが離脱申請を3月にやると決めたのは全くの愚策だと、残留派が批判している。 (Article 50 "Perfectly Timed" For Turmoil

▼欧州分割、EU統合阻止が英国の基本戦略だったが・・・

 残留派と離脱派を比べると、残留派の意図がわかりやすい半面、離脱派の意図は(かなり深く分析しないと)不可解だ。EUは、国家統合が成功すると、ドイツの影響力の拡大になる。EUの主導役は「独仏」だが、フランスよりドイツの方が経済力がずっと強い。EUは事実上「ドイツの地域覇権事業」である。ドイツは、英国のライバルだ。2度の世界大戦も、本質は英独の覇権争いだった。英国はこれまで、EUの国家統合に参加し、統合された市場からの経済的な恩恵を享受する一方で、政治面の統合については、何だかんだ理屈をつけて進行を遅らせてきた。 (Theresa May should publish a clear blueprint for Brexit

 国家統合のブレーキ役だった英国が離脱すると、統合市場からの経済恩恵が失われるだけでなく、ドイツなどEU中枢の統合加速を望む人々が力をつけ、EU統合=ドイツの台頭が進み、英国は国際政治的にも不利になる。米英は戦後、ドイツを対米従属に幽閉しつつ、米欧がロシアと長期対立する戦略をとってきたが、EU統合によるドイツの台頭を放置すると、ドイツはロシアと和解し、独露で組んで米英に対抗する新たな図式に移行する。その状況下で米国が孤立主義に入っていくと、英国は悲惨なことになる(第二次大戦前の再演)。英国がドイツの再台頭を抑えるには、しつこくEUに残留し、東欧諸国などを傀儡にして身勝手な要求をドイツにつきつけ、統合を失敗させてEUを弱いままにしておくのが良い。 (英国の投票とEUの解体

 だが英国は、すでにEU離脱を国民投票で可決し、その後出てきたメイ首相が、エリート多数派の反対を押し切り、できるだけ早くEUから離脱してしまおうとしている。しかもどうやら、これはメイの個人プレーでなく、エリート層の最上層部による戦略に沿って動いている。

 国民投票の直後にキャメロンが辞意表明し、7月初めにメイが後任首相として浮上するまでの間、ボリス・ジョンソンら何人かの首相候補が取りざたされたが、それは保守党内の有力議員たちが次期首相の座を競い合ったというより、議員以外の最上層部が適任の人を探した結果、メイを選んだ感じだ。ジョンソンは不まじめな印象なので外されたようだ(外相にして研鑽を積ませ、いずれ首相に?)。メイがもともと残留派なのに離脱を主導する首相になることが問題にされなかったのも奇妙だ。国家戦略の根幹を決める、失敗が許されない国民投票なのに、エリートが結果をうまく統制できなかったのも、実はおかしい。 (NATO And The UK: Safe With Boris (For Now, At Least)

 英国は民主主義だが、昔から「ロスチャイルド支配」みたいな感じのことがよく言われている。近代世界の国際政治システムを考案し、世界に敷設したのは英国だ。中近東アフリカや中南米を、無数の国々に分割したのは英国だ(フランスなど他の列強は便利な相棒として誘われただけ)。ナポレオン退治後、欧州大陸が多くの国に分裂する状態を永続させるため、ドイツやイタリアを統一国家にすることにしたのも英国だ。これらの英国の世界戦略は、民主的に決められたのでなく、英国の最上層部が民意と関係なく決めたものだ。その後、英国の最上層部は消失したか?。多分していない。今も存続している。 (覇権の起源

 最上層部には、いくつかの戦略が対峙的に存在している。以前に書いたモデルは「資本と帝国」の対立だ。「帝国」は、地政学的な「国益」にあたる。「資本」は、国益よりも、国際化(グローバル化)された(市場)全体における利益の最大化を優先する。 (資本の論理と帝国の論理) (資本主義の歴史を再考する

 たとえば「中国分割」について考えると、帝国としては巨大な中国が台頭すると脅威なので他の列強を誘って線引きして分割したい。いったん分割されると、分割された諸国内で個別のナショナリズムが扇動され、諸国間で延々と戦争や対立を続け、経済発展が恒久的に阻害される。中東アフリカや印パが好例だ。資本の側としては、中国を分割せず、巨大市場として育てて儲けを増やしたい。最近の言い方をするなら、中国を分割せず、巨大な経済主体として残し、世界経済の牽引役に育てた。結局、中国は分割されず、百年後、世界経済の牽引役、世界最大の経済大国になっている。 (600年ぶりの中国の世界覇権

 1900年前後、中国分割を止めたのは、米国だった。「最上層部」は、英国一国だけの中にあるものでない。とくに戦後、英国が、英米同盟(英国が黒幕として米国の覇権戦略の立案に介入する体制)を最重要戦略としてからは、英国の最上層部は「英米の最上層部」になっている。「覇権中枢」と呼んでもよい。この戦後の最上層部において「帝国」の役を演じるのが「軍産複合体」だ。そして、主流分析者の間でほとんど存在が指摘されないが、「資本」の役を演じるのは、私が「(隠れ)多極主義」と呼んでいる勢力だ。 (覇権の起源:ロシアと英米

 1989年にレーガンの米国がソ連と和解して冷戦を終わらせたのは(隠れでなく明示的な)多極主義的な動きだったが、その後、米国が、躊躇する西ドイツをけしかけ、東西ドイツ統合と、独仏主導のEU国家統合に踏み切らせたのも、ドイツを台頭させて米覇権下の幽閉から解放し、世界体制を多極型に転換させる動きであり、多極主義だった。欧州統合は、ナポレオンやヒットラーが(英国に阻止されて)果たせなかった強くて巨大な超国家(帝国)的な欧州の誕生につながり、英国にとって大きな脅威だ。英国は、欧州の統一や結束を阻止するため、200年間、外交技能を磨いてきた。 (多極化の本質を考える

 米国が欧州にEUを作らせてドイツを台頭に誘導するのを見て、サッチャーの英国は脅威を感じたが、米国を阻止できないため、次善の策として、EUに加盟しつつ、内側からEUを弱体化に誘導したり、統合を遅らせたりする策を開始した。ギリシャや東欧など、経済が弱い国々を次々にユーロ圏やEUに組み入れたのは英国の発案で、その結果ギリシャ金融危機が起き、EUの弱体化に成功した。EUをめぐっては、米国が多極主義、英国が軍産の立場でやってきた。 (多極化に圧されるNATO

▼米覇権の完全崩壊前に多極派に鞍替えしておく

 今回、英国がEUを離脱していくことは、英国がこれまでの軍産の立場、EU統合によるドイツの台頭を阻止しようとする姿勢を捨て、ドイツの台頭を容認する立場に転じたことを意味している。英国がEU離脱を可決した後、EUは、これまで英国の反対で止まっていた軍事戦略の統合を進める計画を発表した。ドイツとオランダ、ドイツとフランスなど、軍どうしの組織の統合もあちこちで進められている。軍事統合が進むと、EUは、米軍主導のNATOに頼る必要がなくなり、対米従属から解放される。 (英離脱で走り出すEU軍事統合

 米国が世界にとって信頼できる覇権国なら、従属の必要なくなってもEU(など世界各国)は、対米従属に安住し続けるかもしれないが、今のように米国が軍事外交的に稚拙で、経済的にも超緩和策などによって危険が拡大していると、EUは不必要に従属を続けず、対米自立していくだろう。

 対米従属の姿勢が強いメルケル独首相が続投し続けると、EUは英国が抜けても急いで対米自立しないが、来夏の独議会選挙でメルケルの中道右派政党CDUが縮小してメルケルが下野すると、ドイツの次期政権が左に行ってももっと右に行っても、対米自立の傾向を強めそうだ。CDUはすでに地方選挙で苦戦し続けている。EUは今後、さらなる内部混乱に見舞われそうだが、これは英国の謀略によって無理に肥大化した加盟国を整理して現実的な規模に縮小し、シェンゲン条約など無理な体制を放棄して刷新する再建作業へとつながるもので、短期的に弱体化だが、長期的にはむしろ強化になる。 (The Brexit vote pushes Europe to redefine itself

 すでに書いたように、ドイツ主導の欧州統合は、英国にとって大きな脅威だ。だからこそ、英国エリートの大半は、英国の外交機能を駆使してEUの弱体化と統合遅延を画策し続けられる「EU残留」を望んできた。だが、もっと上層部は、国民投票を意外な結果に誘導し、メイを首相にして英国をEUから離脱させ、英経済が悪化するのもかまわず、国益を無視して、仇敵ドイツが主導するEUが統合を加速して世界の極の一つに成長することを扇動している。なぜなのか。 (Ditch the 'Hard Brexit' Fallacy

 この疑問をめぐって5日ほど考察し、記事を何度も書き直したが、結局、自分の以前からの分析に落ち着いた。それは「世界運営を200年やってきた英国(英米)の上層部は、ふつうの諸国の上の方と異なり、自国のことだけでなく、世界の政治経済システム、覇権構造の改善を考えて実践しているのでないか」というものだ。EU統合の加速と、もっと広域的に見た場合の「多極化」は、短期的に英経済の損失や米英覇権体制の喪失というマイナスを生むが、長期的には世界を安定させ、(今のような金融バブルでなく実体的な)経済発展につながる。すでに説明した「帝国と資本の暗闘」の「資本」の機能にあたる。 (Former Bank of England chief Lord Mervyn King 'welcomes' pound's plunge

 現実を見ると、米英覇権体制は、911以降、軍事外交的に失策続きで信用が失墜して崩れているし、リーマン危機以降、経済面もいずれ再起不能に再崩壊する不健全なバブル膨張に依存している。外交も経済も、覇権延命のためのウソや歪曲解説が増え、情報の信用の面でも米英覇権は壊れている。すでに米英覇権は、維持・延命させる価値がかなり減っており、英国としても覇権の維持に見切りをつけやすくなっている。英国が、覇権が完全に崩壊する前に、次の世界体制の構築に協力する側に転向するのは、賢いともいえる(日本は、変化に気づかず最期まで対米従属するだろうが)。

 ナポレオン戦争後、欧州で多くの国民国家が誕生した過程を、英国の演出の結果と考えると、それは中東アフリカ中南米、中国の分割と同様、欧州大陸を細かく分割して相互に対立させて弱体化し、英国の優位を恒久化する「帝国(=国益)」的な目的のためだった。これを逆回しし、欧州大陸を統合・結束させて強化するのがEUの政治経済統合だ。 (欧州の対米従属の行方

 EUの統合が成功すると、それを模範として、世界の他の地域でも、分割・恒久戦争体制からの逆回し、再強化、安定化が進むだろう。この十年ほど、EUに見習って、アフリカや中南米、ASEAN、中央アジアなどでも国家統合の計画がある。それらの多くは足踏み状態だが、それは統合を阻止する米英覇権体制が(意外としぶとく)まだ延命しているからだ。これまでの米英覇権は、世界を分割し弱体化させて支配してきたが、これから来そうな多極型覇権は、分割された世界の各地域を再統合し、BRICS+EU+(西半球化した)米国などが、それらの統合を主導する「極」になる。 (Stop moaning and back 'global Britain', urge City heavyweights

 英国は、こうした多極型の新世界秩序の中で、EUという極の一部になるのでなく、どこの極にも属さない「(覇権運営の老舗としてのノウハウを使った)顧問役国家」を目指しているのかもしれない。英国の今後の国家戦略は、そのぐらいしかない。英国は中国との関係改善に力を入れている。英国と中国を結ぶ飛行機便は、従来の1日40便から100便へと、枠を増やしている。メイ首相は就任早々、ロシアとの関係改善を打ち出した。その後、英露関係はシリア情勢をめぐって悪いままだが、これはおそらくEUからの離脱を実現するまでの仮の姿だ。 (The number of flights between the UK and China are to soar from 40 each way to 100 in new boost for 'global Britain' after Brexit) (ロシアと和解する英国

▼メイとトランプは同じ戦略

 メイは10月5日の保守党大会の演説で、英中銀の金融救済策であるQEやマイナス金利を「貧富格差を拡大する不健全な政策」と批判し、やめていく方針を表明した。日欧の中銀が主に手がけているQEやマイナス金利は、リーマン危機後、本当はすでに死んでいる米国中心の債券金融システム(=金融覇権体制)を無理やり延命させる策だ。英中銀はリーマン後3年続けていったんやめたQEを、今年8月に再開した(QEが限界に来ている欧州中銀を助けた)が、今年じゅうにまたやめていく可能性が高まっている。 (Government expected to announce shift away from quantitative easing

 EU統合を邪魔して米英覇権を延命させるのを放棄し、多極型覇権に賭けることに転換したメイ(や英上層部)としては、もはやドル米国債の延命につきあう必要もない。英国がQEをやめると、それが債券金融システムの危機再燃の引き金を引く可能性がある。すでにメイは、金融界や米当局から猛反対されているはずだ。それを押し切って本当に英国がQEをやめるかどうかは、まだわからない。だが、QE中止=米覇権延命への協力中止、というメイの基本方針が見えたのは重要だ。 (Theresa May makes bid for centre ground with shift away from QE

 メイは10月5日の党大会演説で、自分たちは中産階級や労働者階級のための政権だと宣言し、英国の大金持ちが不正をやって貧富格差を拡大させていることを非難した。労働者=労働党、金持ち=保守党という従来の英国2大政党制の構図から見ると驚きの宣言だ。 (Theresa May's ethos of more state, a little less `anything goes'

 だが、エリート(金持ち)の多数派が支援するEU残留から英国を引き剥がし、EU離脱・多極化支援の側への転向を目指すメイ政権としてはむしろ、超緩和策によって貧富格差が拡大して階級闘争(に似たもの)が再燃する傾向の中で、労働者や中産階級を味方につけて数の力で民主的に政権を維持しつつ、EU残留に固執する金持ち層からの反撃を打ち破るには、メイがやっている草の根ポピュリズムへの依拠が、格好の戦略だ。 (U.K. Prime Minister Theresa May Pivots Party Toward Working-Class Voters) (Theresa May heralds the return of the activist state

 米国では、トランプが草の根ポピュリズムに依拠して選挙戦を進め、クリントンを擁立し、さまざまな情報歪曲手法を使ってトランプを蹴落とそうとする軍産マスコミなどエリート層に対し、互角な健闘をしている。トランプとメイは、米英覇権体制を延命しようとする既存エリート層を、草の根ポピュリズムを使って無力化し、多極化の容認へと道を開こうとしている(ように見える)点で一致している。米英間の政治風土の連動性を感じさせる。 (Theresa May's agenda is not as right-wing as some would have you believe

 米元高官のブレジンスキーは08年に「大衆の政治覚醒によって覇権構造が転換する」という趣旨の予言を発したが、それが8年後の今になって現実化している(覇権をめぐる予測は具現化が遅延しがちだ)。 (世界的な政治覚醒を扇るアメリカ

 EU離脱投票の前に「英国で離脱派が勝ったら、米国ではトランプが勝つだろう」とBBCなどが報じていた。トランプは、マスコミの針小棒大的な中傷報道を受け、支持率が下がったと(歪曲的に)喧伝されているが、米国民の多くは歪曲にはげむマスゴミにうんざりしており、中傷報道の効果は低い。投票に関してよっぽどの選挙不正が行われない限り、トランプが大統領になるだろう。英国のEU離脱も、メイが表明したとおりに進められていくだろう。 (英国が火をつけた「欧米の春」



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