定着し始める多極化2016年9月10日 田中 宇9月4-5日に中国の杭州市で開かれたG20サミットにおいて、ロシアのプーチン大統領は、世界の主要な諸国の指導者たちから相次いで2者会談を望まれてひっぱりだこで、非常に忙しい時間をすごした。 (Popov on the G20: A Geopolitical Stalemate) (Kremlin: Putin to meet Turkey's Erdogan, UK's May, Saudi's bin Salman in China) 最も大きな意味があったのは、プーチンと、英国のメイ首相との会談だ。前回の記事「ロシアと和解する英国」(田中宇プラス)で書いたように、戦後の西側のソ連・ロシア敵視策の元祖・黒幕だった英国は、6月にEUからの離脱を決めた後、7月に就任したメイ首相が、70年間のロシア敵視をやめて親ロシア姿勢に転換し、今回、初めてプーチンと首脳会談を行った。英国の反露から親露への転換は、ベルリンの壁の崩壊に匹敵する大事件だ(壁とソ連が崩壊しても、英国のソ連・ロシア敵視は変わらなかった)。 (ロシアと和解する英国) わが日本の安倍首相は、9月2日にウラジオストクのアジア経済フォーラムでプーチンと会い、北方領土問題をぜひ解決したいとプーチンに訴えかけた。英国がロシア敵視をやめ、米国もシリアなど中東をロシアに任せてしまう傾向を強めるなか、日本は、できるだけ早く日露関係を改善する必要に迫られている。安倍は外務省に、できるだけ頻繁にプーチンと1対1で会える機会を作るよう命じている。安倍は、2日にウラジオでプーチンに会った後、4-5日の杭州でも会いたかったようだが、プーチンは多忙すぎて会えなかった。安倍は、9月末のNYでの国連総会や、11月のペルーでのAPECサミットでもプーチンと個別会談してもらおうとしている。安倍の、プーチンへの擦り寄りもなかなかのものだ。 (Onstage With Putin, Shinzo Abe of Japan Calls for Resolution of Island Dispute) (Japan woos Russia with deeper economic ties in face of rising China) いまや、米国の4大同盟国である「JIBS」のすべてが、先を争うように、プーチンと仲良くなりたがっている。JIBSは、日本、イスラエル、英国、サウジアラビアの頭文字をつなげた言葉で、米国覇権の衰退と多極化の中で、これから立場が不利になる国々として、米国の国際政治リスク調査会社のユーラシア・グループが2013-14年ごろに使っていた造語だ。イスラエルとサウジは一昨年ごろから露に接近している。英国と日本の転換で、JIBSはいまや4カ国とも親露傾向になった。4カ国のうち、イスラエル以外の3カ国がG20のメンバーだ。プーチンは杭州で、3か国すべての首脳から頼まれて会談している。 (Top Risks 2013) (ウクライナ危機は日英イスラエルの転機) 安倍だけでなく、イスラエルのネタニヤフ首相も、シリアやレバノンの軍事問題や自国の安全について話すため、すべての機会をとらえてプーチンと会いたがり、昨年から何度もロシアを訪問している。ネタニヤフは、パレスチナ和平の仲裁をプーチンに頼んでやってもらうことになった。サウジアラビアとロシアは、国際石油相場を操作できる体制を作るため談合を重ねている。サウジが主導するOPECは、かつて米欧のために動いていたが、最近は米欧よりロシアや中国との関係強化を重視している。 (中東和平に着手するロシア) (Russia, Saudi Arabia to set up working group to monitor oil market) JIBSの4カ国のうち、日本以外の3カ国は近年、ロシアだけでなく中国とも親密な関係を構築している。米国がいくら中国を敵視しても、JIBSの中でそれに追従しているのは、JIBSの中で一カ国だけ中国の近傍にある日本だけだ。英国は昨春、中国がAIIB(アジアインフラ投資銀行)の創設を決めた時、他の西欧諸国を出しぬいて真っ先に参加を表明した。米国に反対されても、英国は無視した。(先日、中国でのG20サミットの開催直前に、G20のメンバーであるカナダがAIIBへの加盟を表明した。米同盟諸国の中でAIIB未加盟は、米国と日本だけとなった) 日本から中国に交代するアジアの盟主 http://tanakanews.com/150322china.htm (Trudeau says Canada seeking to join Chinese investment bank) 米国主導の中国敵視策といえば、今年7月に中国に不利な国際裁定が出た「南シナ海問題」だが、サウジアラビアを代表してG20に参加するサルマン副皇太子(事実上の最高権力者、瀕死の国王の息子、摂政)が、出国前にサウジの有力紙アルワタンに対し、南シナ海問題で中国の立場を支持し、米国のやり方を批判したと報じられている。 (Did Saudi Arabia just side with China on the South China Sea?) (تصريحات خطيرة للأمير محمد بن سلمان قبل توجهه إلى الصين) サウジは、7月に国際裁定が出た後、中国の主張を支持し、裁定の内容を批判した31カ国の中に入っている。南シナ海はサウジから遠い。南シナ海の問題で、最大級の石油輸入国である中国を支持しても、サウジに不都合なことは少ない。南シナ海は、中国だけでなく、中国敵視の日本がサウジから石油を輸入する際のタンカーの通り道でもあるが、それはサウジにとって大したことでないのだろう。 (逆効果になる南シナ海裁定) (中国—阿拉伯国家合作论坛第七届部长级会议多哈宣言) JIBSの4カ国は、米国との同盟関係を気にして、米国が敵視する国々と関係改善しにくい。米国が敵視する国々としてロシア、中国、イランがある。ロシアに対しては従来、英国と日本が適敵視をやめられなかったが、英国が覆ったので、日本も和解を加速している。中国に関しては、在日米軍を引き止めておく策として、日本だけが敵視を続けている。イランに関しては、近傍のサウジとイスラエルが敵視したままだが、日英は関係を改善している。 (ロシア・トルコ・イラン同盟の形成) JIBS以外の親米諸国では、シリア内戦で負け組に入りたくないトルコが、最近急速にロシアに擦り寄っている(7月のクーデターの発生を最初にエルドアンに伝えたのはプーチンだったという話が出ている)。トルコがロシアとの関係を劇的に改善した後、中国政府の代表がトルコを訪問し、戦略関係を強化した。中東において、中露は連動して動いている感じだ。EU(独仏)はまだロシア敵視をやめず、対露制裁を半年延長した。独仏の対露敵視は、EUの軍事統合を進める口実となる「仮想敵」であり、EUは、軍事統合が一段落するまでロシア敵視の演技を続けそうだ。だが、その先はEUも露敵視が必要なくなる。 (Turkey’s New Relationship with Russia – and Assad) (After the Failed Coup: A New Dawn for China-Turkey Relations?) (中東を反米親露に引っ張るトルコ) (英離脱で走り出すEU軍事統合) ▼現実主義のプーチンは中東支配に手こずるなら放棄するかも 米国の同盟諸国の間で、米国の中露敵視策に追従せず、中露と和解する傾向が広がっているのは、これまで一極的に世界の問題を解決してきた米国の国際解決能力が低下し、代わりに中露の解決能力が上がりつつあるからだ。米同盟諸国が中露を敵視してきた最大の理由は、諸国にとって中露が脅威だからでなく、米国が中露を敵視している以上、同盟国もそれにつき合う必要があったからだ。米国が圧倒的な強さを持つ覇権国として、世界の諸問題を全て解決できていた間は、それでよかった。しかし911後、米国は多くの国際問題において、問題を解決するどころか逆にひどくしてしまっている。イラクやリビア、シリア、パレスチナといった中東問題、アフガニスタンや北朝鮮の問題は、いずれも米国が介入しない方がましだった。 (すたれゆく露中敵視の固定観念) 経済面でも、FRB(連銀)などの米当局は、リーマン危機で壊れた債券金融システムを、蘇生させるのでなく、QEやマイナス金利によってバブルを再膨張させて不健全に延命させており、今や延命策も行き詰まりが顕在化し、いつバブル大崩壊が起きても不思議でなくなっている。TPPやTTIPといった貿易の新体制づくりも、日本などの同盟国が米国に譲歩を重ねて実現に協力したのに、米議会など米国自身が消極的で、TPPもTTIPも廃案に追い込まれそうだ。ドイツの副首相(左派。Sigmar Gabriel)は先日、TTIPの交渉決裂を宣言した(右派のメルケルはまだ未練があるようだが)。 (さよなら先進国) (いずれ利上げを放棄しQEを再開する米連銀) (腐敗した中央銀行) (Germany's Vice Chancellor Gabriel: US-EU trade talks 'have failed') (US Faces Major Setback As Europeans Revolt Against TTIP) このように米国の覇権運営が、ひどく稚拙なやり方の末に行き詰まっているのと同時並行的に、中露が国際問題の解決を手がけるようになっている。軍事面の先駆的な試みはシリアだ。シリア内戦は、米オバマ政権が途中で関与を減退させてロシアに丸投げしたもので、ロシアはイランの協力を得つつアサド政権をテコ入れし、昨秋から本腰を入れてテロ退治の空爆を進めて成功した。今後は、北部の大都市アレッポをISISやヌスラ戦線から奪還することと、内戦後のクルド人の独立機運をどうするかという問題が残っている(ロシアに擦り寄ったトルコがさかんにシリアのクルド勢力を越境攻撃し、クルドの独立傾向を阻止しようとしている。クルドの味方だったはずの米国NATOは、今やトルコの越境クルド潰しを支持している)。 (シリアをロシアに任せる米国) (NATO `Welcomes' Turkish Invasion of Syria) 米国はシリアにおいて、表向きロシアと別の道を行くように見せつつ、実質的にロシアに協力している。ロシアは、シリア内戦を終わらせつつあることで、中東全域における影響力が格段に増大した。イラン、イラク、トルコ、サウジ、イスラエル、エジプト、ヨルダン。あらゆる勢力がプーチンと良好な関係を持とうとしている。国際マスコミはロシアのシリア介入を悪しざまに歪曲して書く傾向が強いが、ロシアはシリア内戦を少ない犠牲でうまく解決しつつある。 (US and Russia agree `turning point' plan for Syria) (Jordan stresses intensified US-Russia cooperation on Syria) (中東を多極化するロシア) ロシアは、シリア内戦の解決にメドをつけつつ、次はイラクのISを潰すテロ退治に移行しようとしている。このほか、シリアで成功した外交の枠を拡大するかたちで、ロシア、イラン、トルコの協調によるナゴルノカラバフ紛争の解決や、イスラエルから頼まれているパレスチナ和平の仲介なども始まりそうな感じだ。その先には、米国(クリントン元国務長官ら)がカダフィを殺し、国家の枠組みを破壊したまま放置してあるリビアの国家再建を、伊仏主導のEUとロシアが主導し、米国やエジプトも協力する形で進めることなども、いずれ俎上に登るかもしれない。 (Russian Realism in the Middle East) (Russia and Qatar sign military cooperation agreement) (Netanyahu tells Putin envoy he may be willing to meet Abbas in Moscow) 米国が無茶苦茶にした中東を、ロシアが主導し、イランやアラブ諸国も協力して再建することが期待されているが、うまくいくかどうかわからない。たとえばイスラエルは、西岸における入植地拡大をやめていないし、いずれロシアの仲裁でアサドのシリアと敵対を解消する前にシリア側のゴラン高原に軍事占領を拡大してしまおうとしている。イスラエルが占領拡大の態度を変えないと、誰が仲裁しても和平は実現しない。うまくいかないとわかったら、現実主義のプーチンは、米国に代わって中東の覇権をとることに対し、消極的な態度に戻るかもしれない。彼は、もともと米国に頼まれてシリアに進出しただけだ。 (Israel Starts Home Demolitions in Syrian Golan, Plans Illegal Annexation, Opens “Corridor” for Syrian Al Qaeda) (Israelis scheming to replace Aqsa Mosque with `third temple': Report) ▼強欲すぎる中国、好戦的すぎる米国 中国とロシアの結束は、目立たないが、かなり強い。ロシアが良い関係を構築したイランやトルコ、シリアは、中国の国際インフラ投資の「シルクロード計画(一帯一路)」の範囲に組み込まれ、中国から経済援助や投資が入るようになっている。中央アジアから西アジア、東欧の広い範囲にわたって、ロシアは戦闘機と油井(軍事とエネルギー開発)、中国は資金や新幹線、高速道路(経済開発)を担当している。これら地域は、米国勢がしだいに入りにくくなっており、多極化の「解放区」になりつつある。 (China, Russia, and the 'Concert of Eurasia') (加速する中国の優勢) 中東ではロシアが軍事、中国が経済の担当だが、中国が軍事も経済も担当しているのが、核兵器開発を中心とする「北朝鮮問題」だ。北朝鮮が何回核実験をしようが、米国は、もう北核問題の解決を主導する気がない。米国は03年以来、北の問題を中国に任せきりで、北朝鮮が核を手放さないのは中国のやり方が悪いからだと批判するだけだ。日本も、米国の態度を真似るばかりだ(虎の威を借る狐で、国家の姿勢として下劣)。 (いずれ始まる米朝対話) 北朝鮮は、核実験を繰り返すことで核保有国としての実体を作り、国家的な安全(米中韓が攻撃できない状態)を確保しようとしている。隠し持った核兵器を提出させ破壊することは非常に困難(不可能)だ。中国や米国が構想している解決策は、北が核兵器を隠し持つことを黙認し、これ以上の核実験や核技術輸出をしないと約束させることだ。北が約束したら、米朝和解、南北和解、朝鮮戦争終結、在韓米軍撤退に道が開ける。この構想は昨年から出ているが、中国は最近、何の動きも見せていない。北が、金正恩政権の権力を強化・確定するまで話に乗ってこないからでないかと私は分析してきたが、現状がいつまで続くかわからない。 (北朝鮮に核保有を許す米中) 北核問題が解決に向けた動きを再開するなら、それは中国主導の6カ国協議になり、米韓は中国に協力するだろう。米国が協力姿勢を見せれば、日本も追従する。こうしたシナリオは見えているが、北がそれに乗る決断をするのか(敵対が低下すると政権崩壊の危険あり)、協力すると言った米韓が途中で態度を硬化して対北和解や在韓米軍撤収を渋った場合、中国はどうするかといった懸念が山積している。もし、北核問題と、米朝・南北の和解、在韓米軍撤収がうまく進めば、朝鮮半島は米国の影響圏から、中国の影響圏に移行する。世界の多極化が進展する。北が、金正恩政権の延命を優先し、このシナリオに乗ることを拒否し続けるかもしれないし、米国がこの進展を遅延させるかもしれない。だが、朝鮮半島問題が解決するとしたら、このシナリオしかない。トランプが米大統領になったら、あっさり進むかもしれない。 (北朝鮮の政権維持と核廃棄) 中国は、ミャンマーの内戦の解決も仲介している。北朝鮮やミャンマー、ラオスといった、中国と国境を接する比較的貧しい国々は、以前から中国の経済覇権下に完全に組み込まれている。中国の商人は、これらの国々でかなりあこぎに利権収奪をやっており、その点で、これらの国々の人々や政府は、中国に良い感情を持っていない。ミャンマーや北の軍事政権よりも、さらに中国は「ワル」だ。 (China–Myanmar relations From Wikipedia) 中国人(漢民族)は、民族的に、強欲すぎる。強欲すぎて、自国の民主主義化すらできない。中国で自由選挙をやると、選挙の買収から始まり、できた政権が利権をカネに替えようとする腐敗が横行し、内紛や分裂、国力の低下を引き起こして終わりかねない。中国は、アジアの覇権国になることが確定しており、習近平はそれを意識した政治をやっているが、地域覇権国としてうまくやっていくには、強欲さを自律的に抑制し続けることが必要だ。 いろいろ書いてきたが、中露による国際運営、つまり多極化は、まだ始まったばかりだ。これからこんなシナリオがありうるということを書いたが、これらがどのような速さで具現化するかわからない。何十年も停滞し、多極化が進まない事態(マスコミが喧伝する無極化)もありうる。 米国の単独覇権が最強化される可能性は非常に低い。金融面で、米連銀(日銀、欧州中銀)が膨らませたバブルが大きくなりすぎており、これを軟着陸させてドルや米国債の金融覇権体制を長期延命させることが不可能に見えるからだ。軍事外交面でも、米国は、自国の覇権を粗末に扱い続けている。 (万策尽き始めた中央銀行) たとえば、オーストラリアは、経済面の中国との関係強化と、軍事安保面の米国との関係維持(中国包囲網への参加)との間で揺れているが、そんな迷える豪州に対し、米軍の幹部(US Army Assistant Chief of Staff Col. Tom Hanson)が「豪州は、米国か中国か、どちらかを選べ。両方と親しくするのは許さない」と、豪州のラジオに出演して発言した。全く「いじめ」としか言いようがない。米国は、そのうち豪州を失うだろう。米国は、この手の「いじめ」「ジャイアン」的な態度を、ドイツなど欧州、日韓などに対して発し続けている。 (Australia must choose between United States and China: U.S. Army official) (Pacific grim: Australia torn between US and China) 中国もロシアも、自分から米国の覇権を倒して奪取しようと動いているわけでない。米国が中露を敵視し続けつつ、好戦的に世界秩序を壊し続けるので、仕方なく「もうひとつの国際秩序」を構築しているだけだ。米国が中露敵視をやめて、中露の協力も得つつ、米国覇権体制を維持する動きをもっと早くやっていたら、多極化など必要なかった。しかし、もう遅すぎる。すでに米国の巨大バブル崩壊は不可避だし、中露は、米国が変わるのを待つより、多極型の世界体制を維持拡大した方が早道だと考えている。 停滞や遅延があるにせよ、長期的には、米国の覇権が崩れて世界が多極型に転換していくだろう。米覇権中枢にいる人々の何人もが、折に触れてそのようにうそぶいている。かつてソ連を強烈に敵視していた米民主党の戦略家ブレジンスキーも最近、米国は県の衰退を指摘し、ロシアや中国と和解すべきだと言い出している。 (Once a Hawk, Brzezinski Sees Hope for U.S.-Russia Relations) (Toward a Global Realignment) そのような中、対米従属にのみ固執し、対米従属策の一環として中国を敵視し続ける外務省主導の日本の戦略は、転換すべき時代遅れなものになっている。中国は、日本にとって脅威でない。尖閣紛争を激化したのは日本の側だ。中国が独裁体制であることが日本にとって脅威だという人がいるが、大間違いだ。独裁体制は、中国の「脆弱さ」を示すものだ。すでに書いたように、漢民族が強欲すぎて安定的な民主主義体制を築けないので、中国は民主体制よりも不安定な、時代遅れの社会主義を掲げた一党独裁に固執せざるを得ない。実は官僚の隠然独裁制なのに、国民にそれを気づかれず、形だけ民主主義体制を敷けている日本の方が、政治的にはるかに安定している。 (日本の政治騒乱と尖閣問題) (尖閣問題と日中米の利害) 弱点や国民性をよく理解してつきあえば、中国はまったく脅威でない。脅威だという人は、マスコミの歪曲報道を軽信している。中国が脅威でないなら、日本は対米従属に固執する必要もない。親米は良いが対米従属は下劣で間抜けだ。日本では最近、愛国心が喧伝されているが、多くの場合「愛国心=対米従属・中国敵視」の構図で、実のところ愛国心でなく「売国心」の涵養になっている。世界が多極化していく以上、対米従属を軽減し、近隣の中国や韓国、ロシアなどと協調を深めていくことが、長期的に日本を発展させる戦略になる。詐欺的な愛国心喧伝を疑った方が良い。
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