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欧州覇権の決戦 ポーランド編

2026年11月4日   田中 宇

東欧ポーランドの政府上層部で、親トランプ派(リクード系)の右派(PiS)のナブロツキ大統領と、親EU(英国系)のリベラル派(POやKO)のトゥスク首相との間で、憲法裁判所の判事の人事をめぐり、猛烈な権力闘争が起きている。
ポーランドは2023年末の総選挙で、それまでの8年間の右派政権が負けて下野し、今のリベラル派のトゥスク政権になった。だが、来年秋(10-11月)の選挙で再び右派が勝ちそうだ。
(Poland Is The Symptom And Europe Is The Patient)

この対立は、司法の頂点である憲法裁判所にも及んでいる。右派の判事はポーランド法の優勢を主張し、リベラル派の判事はEU法の優勢を主張している。互いに、敵方の政権が立案した法律に憲法違反の判定を下して潰そうとする。
(Polish President Seen Physically Pushing Way Into Top Court Amid Pro-EU Tusk's 'Judicial Coup')

右派が政権を取っていた間は、右派の判事が任命され、ポーランド法を優勢にする転換が「司法改革」の名で行われていたが、リベラルが政権を取るとリベラル派の判事が任命され、EU法を優勢にする転換が「司法改革」として行われた。
欧米日のマスコミ権威筋やAIは、リベラル反トランプ英傀儡なので、ポーランドに関してもリベラル派を正義、右派を邪悪とみなす偏向報道を続けている。
(A Not ‘Very Elegant’ Coup In Poland)

今年3月、リベラル過半なポーランド議会がリベラル派を中心に憲法裁の判事6人を任命したが、ナブロツキ大統領はリベラルな4人の宣誓を拒否した。大統領の前で宣誓するのが法制になっているので、4人は憲法裁判事になれないと、ナブロツキと傘下の憲法裁長官が宣言した。トゥスク首相と議会与党は、大統領が宣誓を受け入れなくても就任できると反論し、対立が始まった。
(Tusk’s Attempted Judicial Coup Is Similar To Zelensky’s Earlier Successful One)

9月から10月にかけて、議会が他の判事を新たに任命したが、ナブロツキは再び宣誓を拒否した。リベラル側は強行突破を決意し、10月31日、ナブロツキに拒否された判事たちが憲法裁判所に乗り込み、右派の憲法裁長官と副長官を1か月の職務停止にし、自分たちが裁判所を運営すると宣言した。(長官と副長官は、2023年までの右派政権が任命した人物)
(Tusk’s Judicial Coup Amounts To An Attempted German Takeover Of Poland By Proxy)

これは、リベラル派による憲法裁判所の「乗っ取り」「司法クーデター」だった。外国訪問の途上だったナブロツキは急遽ワルシャワに戻り、味方を連れて憲法裁判所に直行した。双方の勢力が憲法裁の建物内で乱闘する中、ナブロツキはリベラル派判事たちの行為を無効だと宣言した。その後、憲法裁判所は機能不全が続いている。
(Poland’s Attempted Judicial Coup Will Shape The Post-War European Order)

ポーランド憲法裁の紛争は、欧州全体で続いている英国系(リベラル派)とリクード系(右派、極右)との覇権争いの一コマだ。ポーランドの周辺では、英国系がプーチン(リクード系)を潰そうとしたウクライナ戦争が、ウクライナと英国系の負けになりつつある。
リクード系のトランプとプーチンは、これまで英国系が扇動してきた米露対立によって敵対させられてきたのを乗り越えて結託しようとしている。
(Europe Is Now Seriously Rethinking Its Oil Refinery Phase-Down)

温暖化対策、コロナ愚策、違法移民受け入れ、ロシアからの石油ガス輸入拒否など(リクード系が英国系を騙してやらせてきた)数々の大間違いの超愚策によって、西欧を支配してきた英国系は自滅しつつある。
このままリクード系が勝つと、ポーランドは来秋の選挙でトランプ傘下のナブロツキの右派政権に戻り、トゥスクら英国系リベラルは下野する。来年にはウクライナ戦争も終わり、独仏も極右化(リクード化)し、全欧的に英国系が衰退していく。(楽観的すぎる?)

トゥスクら英国系は、何とかして敗北を回避して逆転したい。それが憲法裁乗っ取りの意図だったが、策謀は憲法裁の機能不全を引き起こしただけで成功していない(まだ途中だが)。
トゥスクらは次の策として、ポーランドと国境を接するロシアの飛び地カリーニングラードをめぐり、ロシアを挑発して事態を戦争に近づけている。
ポーランド政府は11月3日、ロシアがカリーニングラードからポーランドに向けて挑発行為をやりそうだという(無根拠な)予測に基づき、警察と治安部隊をカリーニングラードとの国境地帯に派遣した。
(Slouching toward Kaliningrad, NATO dismisses a nuclear threat)

ロシアがNATOを試すため、カリーニングラードから隣接するポーランドとリトアニア(いずれもNATO加盟)を軍事挑発しかねない、という警告が、以前から英国系の「専門家」らによって喧伝されてきた。(私も一時は鵜呑みにした)
(CIA長官訪露と欧露戦争の拡大)

だが実のところ、ロシアがそんな挑発行為をする可能性はとても低い。挑発に乗ってNATOがカリーニングラードとロシア本土を結ぶリトアニアの鉄道など「スワウキ回廊」とバルト海を閉鎖したら、カリーニングラードはロシア本土から物資が入らなくなって飢餓状態になり、ロシア自身が危機に瀕する。
カリーニングラードが飢餓に瀕したら、ロシアは欧州との核戦争を覚悟・警告せざるを得なくなる。いま現実に起きているのは、ロシアでなくポーランドがカリーニングラード国境で挑発行為を始めたことだ。どちらからの挑発でも、これはとても危険だ。
(Poland Launches Security Operation Along Kaliningrad Border, Fearing Russian 'Sabotage')

トランプ(リクード系)は、ポーランドを右派に戻して傘下に入れてロシアと和解させたい。英国系はそれを阻止するため、カリーニングラードを挑発してポーランドとロシアの関係を戦争の方向に動かしている。
英国系はこれまで、ロシア敵視を使って独仏EUなど欧州をまとめ、傀儡化してきた。トランプの謀略が成功して欧州がロシアと和解すると、英国系は疎外されて無力化する。英国系は露敵視の構図を維持せねばならないので、ウクライナが終戦する前に、欧露の戦争をポーランドやバルト三国に拡大したいとも考えられる。
(トランプの2層化した欧露戦略)

英国系は、ウクライナを終戦させるトランプの動きも必死に妨害している。米諜報界の英国系は、軍事情報の収集や管理の分野をリクード系に奪われている。リクード系(イスラエル)は、イランやヒズボラの最高幹部をピンポイントで殺してきたが、英国系(ウクライナ)はロシアの最高幹部を殺せない。
英国系はウクライナに無人機を作らせてロシア本土の精油所などインフラ施設を次々に攻撃し続けているが、インフラ施設の場所は公的な地図に載っている。ウクライナの背後にいる諜報界の英国系は、作戦遂行力があるが、情報収集力を断たれている。
トランプやリクード系は、英国系の作戦遂行力を潰せない(米国でなく英国の諜報界がやっているから?)。もしくは意図的に黙認している。
英国系はウクライナに無人機でロシアのインフラを次々と破壊させ、ロシアを怒らせている。この状態を放置したまま、トランプが米露を和解させていけるのか。懸念がある。
(米露が和解していく)

諜報界のリクード系はこの20年近く、中東から欧州に流入し続けた違法移民の中に多数の犯罪者や諜報要員を紛れ込ませている。リクード系は、違法移民たちが西欧の高福祉社会を食い物にしたり、犯罪や暴動を多発するように仕向け、20年がかりで欧州の英国系諸国を自滅させてきた。
(覇権争いの乱闘化)

その総集編としての暴動が、フランスからドイツへと広がっている。フランスでは「学生」、ドイツでは「地元の若者(Z世代)」たちが、社会の歪みに対する不満の表明として抗議行動していることになっている。だが実のところ、暴動で主導的な役割を果たしているのは、リクード系が潜り込ませた違法移民の「犯罪のプロ」たちだ。
(Looting And Chaos Erupt In Germany As Europe Slides Deeper Into Crisis)

リベラル派(うっかり英傀儡)のマスコミ権威筋は、この手の指摘を「極右がばらまくニセ情報」と見なして無視している。(日本の都会の住宅価格の高騰を中国人が起こしたことを意図的に無視したように)
(As France Burns, Media Insists It's 'Mostly Peaceful'; Blames Right-Wing Influencers)

西欧は、リクード系の策略に沿って自滅させられている。日本は(リクード系とトランプが画策してくれた)高市化によって、リベラル英傀儡が誘導ないし容認した中共の傀儡になる「自滅の道」から逆転できるかできないかの瀬戸際が続いている。
ポーランドから欧露戦争が始まるかもしれないし、回避できるかもしれない。こちらも瀬戸際だ。政権転覆後のセルビアがどうなるかも注目点だ。
(覇権争いな選挙の季節:セルビア編)

イスラエルの選挙後の組閣をめぐる政争は、アラブ系が外されている限り自滅方向にならない。米国の中間選挙は、民主党がかなり勝ってもトランプに対する決定的な妨害力にならない(トランプ敵視な日本のマスコミ権威筋は大喜びだけど)。だから今日は欧州の話を書いている。




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