米経済の崩壊、世界の多極化2008年9月30日 田中 宇9月25日、ドイツの財務大臣が独議会での発言で「アメリカは国際金融システムにおける超大国の地位を失う。世界は、多極化する。アジアと欧州に、いくつかの新たな資本の極(センター)が台頭する。世界は二度と元の状態(米覇権体制)には戻らない」と表明した。(関連記事) 私は、米のイラク占領が崩壊した2004年ごろから世界の多極化を予測してきたが、ドイツのような米の主要な同盟国の大臣が「世界は多極化する」と予測した話を見たのは、これが初めてだ。キッシンジャー米元国務長官のような多極主義者の疑いがある米上層部の人々が曖昧に多極化を示唆するとか、ロシアやイラン、ベネズエラなどの野心的で反米の指導者が、自国の台頭願望と絡めて米の覇権崩壊を予測するとかいったことは、これまでにも時々あった。(関連記事その1、その2) だが、これらの当事者ではなく、第三者であるドイツの議会で財務相がそれを語るとなると、もはや「たわごと」ではなく、現実味はぐんと強くなる。私が最近、何度も書いている「金融崩壊が、米の覇権衰退と世界の多極化を引き起こす」という予測は、独蔵相の発言によって、確度が高いことが裏づけられた(自画自賛で恐縮ですが)。 ▼米国債パニック売りを心配する中国 中国人民銀行(中央銀行)の元顧問(余永定、Yu Yongding)は9月25日、中国や日本、韓国といった米国債を大量保有する東アジアの国々が、パニック売りによって自滅的に米国債の価格を急落させてしまわぬよう、東アジア諸国間の話し合いが必要だと述べた。米国債の急落が避けられるなら、中国政府は今後も米国債を保有して米を助けてやっても良いと言っている。(関連記事) 米国債が急落し、米政府の手に負えなくなったら、債務不履行宣言、米国債の紙くず化があり得る。すでに米分析者の間では、将来の米財政赤字の増加を考えると、もはや米国債は最優良のAAA格ではないと指摘されている。格付け会社は政治的に、米国債の格下げを実施できないだろうから、表向きはAAA格のままで、米国債への投資家の疑念が拡大し、どこかの時点でパニック売りになりそうだ。(関連記事) 国際金融の中心である銀行間融資は、信用喪失から凍結され、金融崩壊を防ぐため、米英などの当局が前代未聞の巨額の資金供与を金融界に対して毎日行っており、綱渡り状態だ。中国政府はすでに自国の銀行に対し、銀行間市場での米銀行への貸し出しを禁じている。(関連記事) 中国は米国債を上手く売り抜けるかもしれないが、いまだに対米従属の日本は無理だろう。日本の米国債保有は6000億ドル(70兆円)で、国家予算の0・8年分だ。巨額だが、10年ぐらいかければ償却可能だ。これで日本が対米従属から離脱し、自立した国家戦略を持つ機会を得られるなら、安いものだともいえる。 ▼銀行は救済されても米国民は貧困に 米議会下院は9月29日、7000億ドルの金融大救済案を否決し、米株価はダウ平均7%の暴落となった。共和党内には「小さな政府」をめざす財政緊縮派がおり、彼らが反対した結果、否決となった。緊縮派はこれまで、ブッシュ政権と議会が財政急拡大を続けても、不満を言うだけで大して行動を起こさなかった。 それが今回、金融混乱を加速すると知りながら突然決起し、大救済案を否決した。米国を自滅に導く議会運営だ。ホワイトハウスと議会の両方にいる「隠れ多極主義者」たちが対立を演じつつ、米国を破綻に導いている感じだ。今後、救済案が練り直され、最終的には巨額の財政支出を伴う救済策が決まるだろうが、その間、米の大銀行がさらにいくつか消えそうだ(ワコビアの株価が暴落し、シティに買収されることになった。モルガンスタンレーの株価も急落している)。 金融を崩壊から立て直すため、米連銀が0・5%の臨時大幅利下げを検討していると報じられている。これが実施された場合、米国債の魅力が減って外国投資家が買わなくなる。インフレがひどくなってドルへの敬遠も強まり、むしろ危険な状態が増す。(関連記事) 金融救済の大盤振る舞い議論のどさくさ紛れの9月25日、米3大自動車メーカーへの250億ドルの低利の救済融資が米議会で決定した。7000億も出すのだから、250億ぐらい気前良く出してしまえという雰囲気だ。(関連記事) 米国民の年金運用は損失がかさみ、各州政府の年金基金や健康保険基金も赤字が拡大し、自動車メーカーを救えるのなら各州の基金も救ってくれと州知事たちが連邦政府に陳情している。(関連記事) 地球温暖化の「シナリオ」とは裏腹に、最近発表されたアメリカの農暦年鑑(Old Farmer's Almanac 確度80%)は、地球の気温は下がる傾向にあると予測している。米国では今年の冬は寒くなりそうで、石油高騰や失業増と相まって、暖房費が払えない世帯が急増すると予測されている。しかし全米各州の財政は逼迫し、貧困家庭に対する暖房費補助を十分に出せない。米政府から各州政府への暖房費補助の補填金は昨年度26億ドルだったが、今年は51億ドルもらわないとやっていけないと、各州知事が要請している。今冬は米国で凍死者が増えそうだ。(関連記事その1、その2) ローン破綻、年金喪失、失業、凍死。米の一般国民の状況は悲惨になりつつあるが、その一方で、最近米の国税庁(IRS、内国歳入庁)が発表した06年度分の統計によると、米国民の中の貧富の格差は拡大を続けている。米国民の中で最も収入の多い「上から1%」の最裕福層の年収総額は、米国民全体の総収入の22%を占め、この比率は過去80年間で最大となった(05年は21・2%だった)。しかもブッシュ政権の減税政策の結果、最裕福の1%層が払う税率は、過去18年間で最低となっている。(関連記事) 米国民の貧富の格差は、以前から拡大を続けている。最裕福層の大半は、金融関係者か、自社株で儲けた企業経営者だろう。彼らはこの10年、金融の魔術で大儲けした金を貯め込む一方、金融危機となる今後のツケ払いは他の国民に押しつけて、政府から大救済を受けようとしている。ブラジルのルーラ大統領は、米政府の金融救済策を「銀行だけ救済し、貧しい国民を救済しない間違った政策」と酷評した。こんな状態が続くと、いずれ米国では「反政府暴動」や「革命」が起こりかねない。(関連記事その1、その2) ▼暴動鎮圧の準備をする米軍 米政府は、反政府暴動が起きると予測しているらしく、10月1日から、米陸軍の実働部隊を米本土に駐留させることにした。150年前の南北戦争以来、米軍(州兵以外の連邦政府軍)は実働部隊を米本土に配備することを法律(Posse Comitatus Act)で禁じられており、今回は「テロ対策」を名目に、例外として禁を破った。名目はテロ対策だが、駐留部隊は、敵を殺さずに抑制する技能や、道路封鎖など、米国民が起こすかもしれない暴動を鎮圧するための訓練をすると、国防総省傘下の「アーミータイムス」が報じた。(関連記事その1、その2) 駐留期間はとりあえず1年だが、その後も恒久的に延長される見込みだ。今後、金融危機が不況と財政難、貧困増へと波及し、米国民の怒りが拡大して爆発するころには、来年1月からの米次期政権になっている。もしオバマが大統領になったら、史上初の黒人大統領が、150年ぶりに米軍を米国内で戦闘させて黒人暴動を鎮圧し、オバマは黒人から裏切り者と非難される事態になりかねない。 米国民の潜在的な怒りは高まっているが、今のところ反政府暴動がすぐに起きそうな兆候はない。それなのに米政府は、早々と米軍の暴動鎮圧部隊を配備する。やたら手回しがよく、自作自演的だ。まるで、貧困層の怒りを高めると知りつつ銀行救済を挙行し、財政破綻を予測しつつ財政支出を拡大して、究極の軍事費拡大としての国内反政府暴動の発生を扇動しつつ、暴動鎮圧の米軍部隊を訓練しておくという隠された戦略があるかのようだ。 米政府は、以前からこのパターンの策略を展開してきた。2005年にハリケーン「カトリーナ」が米南部を破壊した時、浸水して混乱するニューオリンズで略奪や暴動が起きているという誇張報道が流され、誇張情報に基づいて米政府は軍隊を派遣し、有事を理由にホワイトハウスが州知事から権限を剥奪した。派遣された米軍は、貧困層の市民の怒りを扇動する言動を繰り返した。同時に米政府は、詳細を決めずに「ハリケーン復興予算」として前代未聞の2000億ドルの支出を計上した。だが、ハリケーンと全く関係ない分野に財政の大盤振る舞いをした挙句、カトリーナから2年がすぎても、被災地はろくに復興しなかった。(関連記事その1、その2) 「有事」が誇張され、暴動が扇動されて、禁制のはずの米国内への軍隊駐留が挙行され、同時に無関係な分野にまで財政の大盤振る舞いが行われる。このパターンは、今回と、05年のカトリーナ、それから01年の911事件後の事態にも共通している。911後、イスラム教徒だというだけで無実の米市民が当局に拘束されて怒りを扇動される一方、テロ対策の名目で財政の無駄遣いが続けられた。(関連記事その1、その2) この傾向は現ブッシュ政権のみならず、90年代のクリントン政権時代にもテロ対策の名目で貧困層の米市民に対する抑圧が行われたし、80年代のレーガン政権時には「麻薬戦争」の名目で、似たような抑圧と予算支出拡大が行われた。米政府による、国内有事体制の誘発と、財政破綻を招く異様な浪費の傾向は、以前からのものだが、ブッシュ政権になって急拡大した。有事体制の誘発で政府の権限を拡大し、財政拡大によるキックバックで私腹を肥やすという腐敗の構図なのかもしれないが、こんなことを続けていると、いずれ米国は社会的にも経済的にも崩壊する。 ▼今ひとつ進まない多極化 1970年代のニクソン政権以来、米中枢では、覇権を自滅させようとするかのような行動が何回も行われてきたが、米国が自滅しかかるたびに蘇生させてきたのが英国の策略だった。たとえば71年にニクソンが財政難を激化させてドルを崩壊させた後には、英が日独など他の先進国に働きかけ、金持ちとなった日独などにドルを買い支えさせるG5の協調介入の体制を作り、ドルを蘇生させた。(関連記事) 200年前から欧州の外交を漁夫の利的に動かしてきた英国は、国際会議の事務局を隠然と操ることで、国際社会を動かす技能を持っている。国連傘下のIPCCを動かして「二酸化炭素のせいで地球が温暖化している」という単なる一つの仮説を「議論の余地のない事実」に仕立てることに成功しているのが好例だ。ドルが崩壊しても、敗戦国である日独にドルを買わせるのは、英にとって十分に可能だった。(関連記事その1、その2) 70年代にドル崩壊を演出した多極主義者(NY資本家?)たちは、ドルを崩壊させれば米英中心の世界体制が崩壊し、日独など米英を恨んでいるはずの国々が覇権の多極化を画策してくれると思ったのかもしれない。しかし、戦後の日独は牙を全部抜かれていた。英国は、対米従属を好む日独を動かしてドルを買わせ、米英覇権体制を立て直した。 70年代の教訓から、ここ数年の多極化の策略は、ロシア・中国・アラブ産油国といった次世代の地域覇権諸国をテロ戦争や単独覇権主義によって意図的に怒らせ、米国が財政破綻などによって覇権を自滅させた後、英国が中露アラブに接近して米国立て直しに協力させようとしても失敗する状況をあらかじめ作ってある。米国は、90年代から欧州諸国にEU統合を奨励し、欧州諸国が「米の傘下にいるより独自の地域覇権になった方が得策だ」と思うようにも仕向けた。 これらの多極化の準備作業は進められたものの、完全には成功していない。ロシアは今夏のグルジア戦争後、事実上「米英中心体制に協力するのはやめた」と宣言した。だが中国は「米国がまともな国に戻るなら、米英中心体制が復活するのが一番良い」と、いまだに思っている。EUでは、今年6月に政治統合の「リスボン条約」がアイルランドの国民投票で否決され、統合推進はしばらく棚上げとなった。(関連記事その1、その2) アラブ産油諸国の盟主であるサウジアラビアは、911以来、米に濡れ衣で悪者扱いされ、国内世論は反米化したものの、政府(王室)は、米英中心の世界体制が崩れてイスラム主義が強くなるとサウジ王制も倒されかねないと懸念し、親米英の姿勢を続けている。たとえばアフガニスタン関係では、米国が過激な軍事偏重のアフガン占領政策を展開し、NATOによる占領が自滅的に失敗しかけている中、サウジは英国に頼まれて、タリバンと米傀儡カルザイ政権との和解を仲裁しようと動いている。米が失敗させているアフガン占領を何とか立て直したい英の策略に、サウジは協力している。(関連記事) 世界は19世紀初頭以来200年間、英もしくは米英の覇権体制で回ってきた。世界の近代・現代は全期間が英米覇権体制だった。人類は、英米覇権以外の近現代を知らない。この200年、英米、特に英が演出(ねつ造や歪曲も含む)した価値観や発想法は、人類全体の知識や気持ちの中に深く根ざしており、簡単に変えられない。英は、自国に都合が良い価値観を世界に定着させ、軍産複合体やイスラエルを使って米を操り、米英中心の世界体制を維持してきた。 これを壊そうとする米中枢の勢力は「軍事侵攻による民主化」に象徴される、英が演出する価値観を「やりすぎ」によって化けの皮をはがす戦略を展開し、米英の支配に対する人々の評価を「善」から「悪」に転換し、破壊しようとしている。しかし、世界の多くの国々の指導者は、米英中心体制を脱却して「次の体制」に踏み出すことなど思いもよらないので現状維持を希望し、米自体が崩壊感を強めても、世界は多極化しそうでしない「覇権のババ抜き」の状態が続いている。(関連記事) それなら世界は米英中心体制の再強化の方向に戻るかといえば、それも考えにくい。現在の金融危機に対し、米政府が財政破綻につながりかねない大救済策を検討し始めた後、英のブラウン首相が9月26日に急遽ホワイトハウスを訪問し、ブッシュ大統領と金融危機対策について会談した。ブラウンは、米英協調で国際的な金融規制の新制度を作ることを構想しており、70年代に米ニクソンがドルを崩壊させた後の米英協調(事実上の英主導)の立て直しのようなやり方を再現し、米の金融自滅を防ごうとしているのかもしれない。(関連記事) これがうまくいけば、中国やアラブ産油国に金を出させて米英金融機関の不良債権を買わせるようなやり方も可能かもしれない。しかし、米の金融危機は急ピッチで悪化しており、もはや対策を講じて食い止められる段階ではなさそうだ。80年代後半以降、英の金融体制はほとんど米のコピーで、米が大儲けした従来は英も大儲けしたが、今では逆に、米連銀や財務省の失敗する対策の悪影響が英に感染し、英金融界も崩壊寸前だ。 ▼しばらくは残る英演出の善悪観 従来、先進国が途上国を従える米英中心の世界体制にとって必要なことの一つは、先進国が最貧諸国を経済支援し、世界的な貧富格差を縮小し、世界を安定させることだった。英のブレア前首相は数年前、G8などで「世界の貧困救済」「アフリカ救済」をさかんに取り上げ、先進各国から最貧諸国への援助金を増やそうとした。だが、米ブッシュ政権はこれを拒否し、対米従属の日本など他の先進国も援助増額に消極的で、先進国から最貧国への援助は増えなかった。今では、アフリカに最も食い込んでいるのは中国やアラブ諸国、ロシアなどだ。アフリカ諸国は反欧米の傾向を強めている。(関連記事) 前回の記事に書いたように、国連での影響力も、欧米より非米・反米的な諸国の方が強くなっている。来年民主党のオバマ政権ができ、米英協調の再強化が図られた場合、共和党側がネオコン系のプロパガンダ装置を発動して邪魔するのを乗り越えて、米英中心の世界体制のある程度の立て直しが可能かもしれない。しかし、次の大統領が誰になろうと、米の金融崩壊や財政破綻は阻止できる見込みは薄いから、やはり米英中心の世界体制は崩れる方向だろう。 米英中心の体制が崩れると、英が演出して全人類の頭の中に根ざしている人権や環境などの価値観に沿った国際政治がなされなくなるので、価値観的には「暗い時代」「悪がはびこる時代」となる。英米中心主義の残党は、米欧日のマスコミや官僚などの中に今後も居残り、しばらくは旧来の善悪観を扇動し続けるだろう。しかし、これらの価値観はそもそも英の都合に合わせて世界の人々を200年洗脳してきた成果でしかないのだから「善悪」の「悪」がはびこっても、実は大して悪いことではない。 経済的には、発展途上国の経済発展を抑止してきた体制が消えるので、世界の貧困は減りそうだ。途上国の人々は生活向上が大事なので、この方が良い。BRICの成長によって、先進国の産業の輸出先も拡大するだろう。米経済の消費が減る分を、中国の消費が穴埋めすることは可能だとFT紙の記事は書いている。(筆者は例によって多極主義のゴールドマンサックスだが)(関連記事) ▼多極化に乗る北朝鮮、乗れない日本 ロシアが今夏の戦争を機に米英覇権を尊重するのをやめ、国連が反米諸国に乗っ取られる中、これらと同様の方向に進みだした国の一つが北朝鮮である。北朝鮮の金正日書記は、このところ公式の場に全く出てこなくなり、病気説が根強い。だがその一方で、その後も北朝鮮は、寧辺の核施設を再起動させて米との約束を破棄したり、韓国との話し合いを再開したいと韓国政府に連絡してきたりして、金正日自身しか決定できないような新しい外交戦略をとっている。(関連記事) もしかすると金正日は重い病気になどなっておらず、8月に米がテロ支援国家リストからの除外を行わなかったため米朝間の約束が破綻し、9月に入って米金融崩壊によって米覇権体制が崩れ出す新事態の中、金正日は公式な場から姿を消して謎を倍増させる策略をとり、事実上の宗主国である中国政府とは裏で連絡を密にしつつ、もはや米を相手にせず、反米非米諸国のネットワークの中で生きていく新戦略を開始したのではないかとも思える。ベネズエラなど中南米の反米諸国は近年、北朝鮮との友好関係を強調している。平壌では最近、これまで止まっていた各所でのビル建設が再開されている。(関連記事) 世界は、米の同盟国であるドイツの財務相が、米覇権の崩壊と世界の多極化を独議会で公言するような事態にある。BRICや北朝鮮、中南米、イスラム諸国なども、米覇権の崩壊をにらんで動き出している。それなのに、日本はいまだに対米従属一本槍で、世界の多くの人々がインチキと感じている米の「テロ戦争」に全面協力したいと今さら麻生新首相が国連で演説したり、自民党も民主党も自衛隊のアフガン派遣を検討したりして、えらく頓珍漢である。米がNATOを自滅させようとしているアフガンに、今から自衛隊を派遣するのは、犬死を強いる大愚策である。 米共和党系の分析者(元レーガン政権顧問)であるダグ・バンドウは最近の論評で「在日米軍、在韓米軍が駐留している限り、日本や韓国は怠慢な気持ちを捨てず、国際社会で自立しようという気が起こらない。日韓を覚醒させて自立させるため、日本と韓国に駐留する米軍はさっさと撤退すべきである」と主張している。(関連記事) 米覇権が崩壊していく中、日本は早く対米従属後の国家戦略を考え始めなければならない。日本の将来を考えるなら、バンドウの言うとおり、在日米軍に早く撤退してもらうべきである。対米従属の永続化が省益になる外務省などは、米軍撤退を阻止するだろうが、狭い了見で動くのは、もういい加減にやめた方が良い。
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