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米中露首脳会談が世界を変える

2026年10月20日   田中 宇

トランプ米大統領が、米中露首脳会談をやって、ウクライナ戦争の停戦や、世界的な核廃絶について話し合うんだと表明し始めた。
(Trump Favorable On Trilateral Meeting With Xi, Putin: "I Would Do It")

11月18日に中国の深圳で開かれるAPECサミットの傍らで米中露首脳会談が開かれることは、すでにほぼ決まっている。ロシアが最も熱心で、中国と何度も協議し、中国の了承を得ていた。プーチンはトランプとの電話会談でも話を出している。
これまで表向き、トランプの態度表明が欠落していた。今回トランプが決意表明したことで、史上初の米中露首脳会談の開催が確定的になった。
(Putin proposes summit with Trump and Xi to discuss Ukraine deal, WSJ says)

トランプは核廃絶を進めたいと言っているが、核保有国は米中露だけでない。核兵器の削減は、多くの試みが頓挫している。今のような乱世には特に難しい。トランプ自身が中東の核問題を悪化させた現実もある。
トランプが核廃絶を持ち出しているのは「見掛け倒しの看板」だろう。もしくはイランなど特定国の核問題だけ話したがるとか(それをやると習近平が敬遠する)。
(Trump says he would be open to trilateral meeting with Putin, Xi)

トランプの本音は、ウクライナ和平だろう。ウクライナ和平そのものでなく、ウクライナ和平を実現することで自分とプーチンの米露結束を(これまでの隠然関係から)公式なものにして強化したい。
トランプは最近、ゼレンスキーを挑発して喧嘩している。ゼレンスキーは売られた喧嘩を買ってトランプとの関係を最悪に引き下げてしまった。トランプの謀略が奏功した。
(Trump and Zelensky’s relationship close to breaking down)

トランプは、ウクライナ(と、その背後の英EU)抜きで露中と話し合い、ウクライナ戦争を終わらせていきたい。
トランプの主眼は、ウクライナ終戦そのものでなく、英EU(英国系)を疎外した米中露中心の新たな国際社会を作ることだ。そのために、米中露だけでウクライナ和平して実績を作りたい。
(英傀儡であるマスコミや外交官群、既存の国際社会は、当事者のウクライナを外した大間違いな大国主義だと非難する)
(米露が和解していく)

トランプは、米国の軽油不足を解決するためにやむを得ないと言って、ロシアに対する経済制裁を一部解除し、ロシアから米国と世界への軽油の輸出を再開した。米国の軽油不足の主因は、米国内で長年精油所の増強が見送られ、もともと需給が逼迫していたからだ。
トランプは、軽油など燃料費の値上がりで米政府に不満を持つ人が増え、中間選挙で共和党が不利になっているのを解消すると言いつつ、かねてからやりたかったロシアとの和解を進めている。
米議会は今年も共和党主導で新たな対露制裁を可決し、トランプはいったん承認した。だがその後トランプはそれも、軽油不足解消やウクライナ和平のためにやむを得ないと言いつつ、大統領令で制裁免除してしまった。
(Russia Celebrates 'Historic Moment' After Trump Formally Waives Graham Act Sanctions)

11月18日の米中露首脳会談に向けて、トランプはロシアにどんどん接近している。外されたゼレンスキーは英EUにすり寄り「トランプに嫌われたので、代わりに英欧がもっとカネを出してくれ」とせびっている。フランスは財政破綻寸前で暴動が広がるばかり。ドイツは親露なAfDが強くなっている。英欧は財政難でウクライナに追加資金を出せない。自滅傾向が増す。
(‘Great progress’ in Ukraine peace talks - Trump)

ウクライナ和平(や核軍縮)の話は、一回の会談で終わらない。トランプは、米中露首脳会談を繰り返し開こうとしている。11月18-19日の中国深圳APECサミットの次は、おそらく12月14-15日の米国マイアミG20サミットの傍らで米中露首脳会談を行う。
9月末の習近平訪米の段階で、習近平はマイアミG20サミットに参加するが、プーチンはG20サミットに行かないと露政府が言っていた。この時点では、G20サミットが米中首脳再会談の場になりそうだった。
(Putin plans to attend Xi’s Apec summit and skip G20 with Trump)
(習近平訪米の意味)

だがその後10月19日に露政府は、プーチンがG20サミットに行くかどうかまだ決まっていないと言い出した。プーチンが参加して、マイアミG20サミットが米中露首脳再会談の場になる可能性が出てきた。
トランプ提案のウクライナ和平はロシアにとって利得が大きい。プーチンは、米中露首脳会談が繰り返し開かれてウクライナ和平が進むことを望んでいる。
(No decision on Putin’s potential visit to G20 summit in Miami - Kremlin spokesman)

以前の記事にも書いたが、米中露首脳会談が行われることで、深圳APECサミット自体の機能がかなり損なわれる。主催者である中共は、閣僚会議をオンライン化し、首脳たちの自由談義(レトリート)を不開催にした。
英国系のAPECサミットの機能が、反英的なトランプとプーチンが集う米中露によって破壊されている(習近平は本質的に反英だが、現実面は非英)。
12月のマイアミG20サミットも、プーチンが参加して米中でなく米中露の首脳会談が開かれたら、深圳APECと同様に、反英的な米露が英国系の国際会議を(リクード側に)変質させる画策が行われそうだ。
(トランプ式のヤルタ2.0になる世界)

米中露は今の政権のまま、今後10年は首脳会談を続けていける(米国は2029年からトランプ継承のJDバンスか誰かになる)。
米中露は首脳会談を繰り返し、そのたびに英国系のいろんな首脳会議にずかずかと乗り込んで中心に陣取って会議の機能を破壊し続け、英国系の覇権を低下させていく。
来年11月には英国でG20サミットが開かれる。そこにも3人が乗り込んで乗っ取り、大本山である英国の機能を上書きするとか。G20やAPECの機能が破壊されていく。

BRICSには中露が参加しているが米国が不参加だ。もし今後、中露がBRICSサミットにトランプを招待すると、BRICSもトランプにずかずか乗り込まれて非米覇権としての機能を阻害される。習近平がそれを許すかどうか。
そこまでいかなくても、習近平は、トランプの米中露首脳会議に出続けることで、非米覇権を放棄し、リクード側に取り込まれる。習近平は、中共と中国統合の延命(リクード系による破壊の防止)のために、それをやっている。
米中露首脳会談が繰り返されるほど、非米側と英国系の国際的な意思決定機能が、トランプ(リクード系)主導の米中露に乗っ取られていく。

最終的に国連も乗っ取られるかもしれない。国連は、英国系が動かし、非米側が権限を拡大しようと動いてきた。英国系は冷戦構造で国連を分裂させ、米国は英国系に乗っ取られて冷戦体制(冷戦後も中露敵視)に押し込められてきた。
トランプは、リクード系のもとで、それを破壊しようとしている。これまでの米国の各政権は、米国に多くを求めすぎる国連を敬遠し、意図的に超強硬派を国連大使に送り込んでコワモテにやってきた。トランプはそれをさらに進め、国連の費用負担を拒否する姿勢だ。
しかし今後、米中露の首脳が直接連携する体制ができたら、それを国連に持ち込み、来年から極右(親リクード、反英非英的)なルペン政権になる常任理事国のフランスも取り込んで、国連を乗っ取っていける。米中露首脳会談を始めるトランプの最終目的は、国連の乗っ取りかもしれない。



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