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リベラル全体主義・リベ全の強まり
2024年9月13日
田中 宇
西欧で「リベラル全体主義(リベ全)」が強まっている。多くの西欧諸国やEUの上層部は、リベラル派(左派)とグローバリストが権力を握ってきた。彼らは10年ほど前から、(無根拠な)温暖化人為説に基づく石油ガス利用の強制的な減少とか、中東アフリカなどからの移民・(偽装)難民の大量受け入れなど、間違った政策を、リベラル主義の名のもとに積極的に進めてきた。
彼らは、2020年に新型コロナが広がると、効果がないのが事前にわかっていたのに都市閉鎖策(ロックダウン)を強行して経済を自滅させ、効かなくて有害なmRNAワクチンの接種を市民に強要し、従わない人々を制裁・懲罰した。リベラルが、本来の定義(寛容派)と正反対の、全体主義の本性を見せ始めた。これがリベ全だ。
(欧州エリート支配の崩壊)
(エスタブ自滅策全体主義の実験場NZ)
(今夏は暑いけど、その原因が石油ガス利用などの人為であるという根拠は、英米の「専門家」が係数の不正操作を入れたシミュレーションモデルしかない。温暖化人為説は巨大な詐欺である。気候変動の大きな要因は太陽活動の変化でないか)
(気候危機の捏造)
(歪曲が軽信され続ける地球温暖化人為説)
2022年にウクライナ戦争が始まると、彼らは、米英NATOがウクライナ政府を傀儡化してウクライナ国内のロシア系住民(民族的にロシア人)を弾圧殺害させてロシアの正当防衛・邦人保護的な反攻(侵攻)を誘発した経緯を無視し、米国の言いなりで強烈にロシアを敵視し、ウクライナを軍事支援する愚策を開始した。
(ロシアでなく欧州を潰してる)
西欧を含む米国側のエスタブ権威筋やマスコミは、ウクライナ軍が負け、露軍が勝っているのに、正反対の「露軍が惨敗している」という言説を撒き散らしつつ深入りし、2023年秋以降、ウクライナの敗北が決定的になっているのに戦争構造を解かない失策を突き進んでいる。
最近では、米国発の多様性の詐称、DEI策の一部であるジェンダー歪曲策もひどくなり「人間には男と女しかいない」という生物的な事実を表明したり、「生物的な男性が女子スポーツに出場すべきでない」と正しい主張をすると、リベラルな当局や権威筋から処罰・潰される事態にもなっている。
(Biologist Richard Dawkins Says Facebook Nuked Account After Posting That Male Boxers Shouldn't Fight Women)
(Almost Half Of UK University Scientists Refuse To Say Sex Is Binary)
温暖化、移民、コロナ、ウクライナ、ジェンダーなどの分野で、リベラル派とグローバリストの権力層が推進したリベラル政策は、相次いで失敗している。
だが彼らは、政策の失敗を認めず、失敗や行き詰まりを無視して政策を強行し続け、批判・反対する人々を言論的・法的に攻撃・処罰して潰すことで、失敗策の強行を続けている。
最近、英国やドイツやスイスで、移民が起こした殺人・乱射事件などに対して激怒した市民が、移民を攻撃する言説をネットに書き込むと「ネット安全法」違反とか、人道犯罪とみなされ、刑事罰を受ける事態が多発している。
(Switzerland: The End of Free Speech)
("It's Not OK Any More": UK Free Speech Crack-Down Targets "Extremist Ideologies")
リベラルの人々は、移民を攻撃する人々は極悪な極右なのだから処罰されて当然だと言うだろうが、激怒している市民は、起こされた犯罪のひどさに怒っているのであり、極悪なのはリベラルの移民政策である。
リベラルの諸政策は、間違いであることがわかった時点で撤回・転換されるべきだった。人為説も移民大量受け入れもコロナ愚策もウクライナも、最初から間違い・詐欺だとわかっていた。市井の私でさえもが記事にしている。
(欧米の自滅と多極化を招く温暖化対策)
(米諜報界の世界戦略としての新型コロナ)
途中で間違いに気づいたら、その時点で転換すべきだった。だがリベラルらの為政者たちは撤回も転換もせず、反対派を弾圧する全体主義を導入した。リベラルはリベ全になった(米国の右派・トランプ支持者たちに言わせると、リベラル派が全体主義の本性を露呈した)。
(The blueprint to end free speech on the internet)
(欧州の難民危機を煽るNGO)
諸愚策を強行して失敗し、批判者が増えると言論弾圧する西欧の支配層。リベ全化した彼らの政策に反対してきたドイツのAfDやフランスの国民連合(ルペン)などの右派政党が、選挙のたびに支持を増やしてきたのは当然だ。
マスコミなどのリベラル勢力は、AfDやルペンを「極右」と呼んで極悪視してきたが、それは歪曲報道で、その歪曲自体が不正なリベ全の一部だった。
(AfD is not a problem for Germany - it’s the solution)
(German Elites Call For "Firewall" To Prevent Conservative Governance After AfD Election Win)
ドイツでは昨年から、既存左派・左翼党の連邦議員だったザーラ・ワーゲンクネヒトが、有権者の要望なのに左派が拒否し続けてきた移民増加反対、石油ガス利用抑止反対、ウクライナ支援反対、グローバリゼーション・対米従属反対など反リベ全の諸政策を掲げて作った新政党「ザーラワーゲンクネヒト同盟(BSW)」も、人気を急速に集めている。
9月1日にドイツのチュリーリンゲンとザクセンの旧東独2州で行われた州議会選挙では、AfDとBSWが議席を急増した。チューリンゲンではAfDが第一党になった。
(AfD: How Germany's far right won over young voters)
(Bundnis Sahra Wagenknecht - Wikipedia)
ドイツでは、冷戦終結とともに統一ドイツに併合された旧東ドイツの人々が、経済的・雇用的に、旧西ドイツより劣位に置かれている。
石油ガス使用制限(無根拠な人為説に基づく温暖化対策)や、移民流入による福祉や雇用市場の逼迫、ウクライナ支援での財政支出増、効かないコロナ対策の都市閉鎖など、リベラルの超愚策(リベ愚)の数々による経済自滅で、最も大きな被害をドイツで受けたのは旧東独の人々だった。
だから「リベ愚」とその強行である「リベ全」に反対するAfDやBSWが最も支持されるのは旧東独になっている。西独の人々は戦後「正しい」リベラル教育を受けたが、東独の人々は受けていないので極右やネオナチになるのだという話は、リベ全なマスコミのウソ解説だ。リベ全はネオナチより悪性が強い。
ドイツでは、若者がAfDやBSWを支持する傾向だが、これも、若者が熟練者よりも雇用市場から外されやすく、リベ愚策による独経済の自滅の被害を受けやすい背景がある。
(Scholz urges German parties to exclude far right as AfD poised for state election victory)
(German state elections: what to make of AfD and BSW successes?)
世界経済は今後さらに悪化していく。ドイツは石油ガス使用制限をやめられない。対露制裁も続き、資源類の輸入価格も下がらない。独経済は今後さらに悪くなる。リベ全に固執するSPDやCDUなどの人気が低下し、リベ全反対のAfDやBSWが議席を増やす傾向が続く。
SPD主導の独政府は、移民政策の不人気に対処するため、違法移民を母国に送還し始めたり、ずっとやめていた国境検問を再開して違法移民の入国を止めたりする策を急にやり出した。だが、人々の不満はおさまらないだろう。
(Draghi Says Europe In Existential Danger Without Massive New Spending And Joint Debt; Germany Immediately Says "Nein")
(Germany Suspends Schengen, Immigration Repercussion Across The Entire EU)
ドイツの支配層は、AfDの台頭を抑える「裏の方法」を米国から導入したりもしている。その一つは投票日の「投票機の故障」だ。ザクセン州では、9月1日の投票日に投票機の故障が起こり、AfDとCDUの議席が1つずつ減り、SPDと緑の党の議席が増える結果になった。
これにより、AfDはザクセン州議会の多数派形成を妨害されることになった。「投票機の故障」による選挙不正は、昔から米国で頻発している。
(Germany's AfD Party Calls For End To Mail-In Ballots, Launches Probe Into Suspicious Software Error)
AfDはまた、郵送投票制度を使ってAfDを不利にする選挙不正が行われる(行われた)懸念があるので、郵送投票制度を停止すべきだとも言っている。
米国でリベ全を突っ走る民主党は、郵送投票制度や投票機を悪用した不正をやって、2020年の大統領選でトランプを不正に落選させ、2022年の中間選挙で共和党の議席増を抑止している。選挙不正をやって批判者たちを落選させるのも、米国のリベラルが手掛ける全体主義の一つだ。
対米従属のドイツ上層部は、米国にならって選挙不正をやってAfDの台頭を抑えるつもりかもしれない。
(ずっと続く米国の選挙不正)
大した選挙不正がなければ、ドイツはSPDやCDUなどリベ全の諸政党が弱くなり、AfDなどが台頭してリベ全の諸策が撤廃されていく。
フランスでも、7月の議会選挙で反リベ全のルペンの国民連合(RN)が優勢になり、リベ全推進のマクロンは、左派と組むことで何とかRNの与党化を防いだ。
だがその後、首相の任命などをめぐってマクロンと左派の対立が始まり、マクロンは2027年の任期満了前の来春に辞任しそうだと言われ始めている。マクロンが辞めるとRNの政権入りが見えてくる。
(French Left Calls For Mass Protest Against Macron After He Blocks Its Choice For French PM)
(Ex-French PM believes Macron will leave office early)
欧州を主導する独仏で、既存のエリート支配層が超愚策を撤回せずリベ全化した挙げ句に人々の支持と政権を失い、代わりに超愚策やリベ全を拒否する右派政党などによって非エリート層の政権ができる流れになりうる。
これは欧州にとって、冷戦終結以来、いや世界大戦以来の大事件だ。欧州において、イタリアやハンガリー、オランダなど、いくつかの国はすでに右派政権だ。
独仏が非エリート化(右傾化)すると、EU上層でも既存エリート層が権力を失う。EUなど欧州全体が、対米従属をやめることになる。欧州は非米側に転じる。温暖化対策も、ウクライナ戦争も、終わる。
(Time To Rebel: We Are Now Entering The Total Censorship Stage Of Global Tyranny)
そんなことがあり得るのか。大いに疑問だ。すんなりいくはずがない。既存の支配層は、あらゆる手を使って右派の台頭を妨害し、全力で権力保持を試みるのでないか。
米国では、民主党がリベ全で、トランプが右派・反リベ全だ。トランプは大統領だった時にmRNAワクチンなどコロナ超愚策を推進したが、温暖化や移民政策、ウクライナに関しては反リベ全だ。
(This Election Is A Referendum On Free Speech)
11月の米大統領選挙でトランプが勝つと、トランプは欧州諸国の右派と連携して欧米のエリート潰しを進める。すでにハンガリーのオルバンが、トランプに連帯を申し込んでいる。
ハリスの民主党は、全力で選挙不正をやるだろう。マスコミは「ハリス優勢」を喧伝するがウソだ。ハリスは無能で人気がない。ハリスが勝つとしたら、選挙不正が成功した場合ただけだ。
ハリスが大統領になったら、欧州の既存支配層と組み、トランプからAfDやオルバンまでの欧米の右派勢力を潰しにかかる。リベ全の弾圧手法が思う存分発揮される。
(Tucker warning: Desperate deep state will throw entire world into chaos to stop President Trump…)
(トランプと今後の世界)
11月の米大統領選は、とても重要だ。ハリスが勝つと、欧米全体でリベ全が強化され、失策が確定しているリベラル諸政策に対する不満や反対が全力で取り締まられる。言論の自由は失われ、オーウェルの1984みたいな正邪反転の世界になる。
対照的に、トランプが勝つと、欧米全体で反リベ全の右派勢力が強まり、リベラル(リベ全)な既存のエリート支配層が人々の支持を失って下野する。オセロの終盤みたいに全体がひっくり返る。
(Kamala Harris says climate slavery means “freedom” and “patriotism”)
この件は話が巨大なので、もう少し考える必要がある。書き切れていない材料がたくさん転がったままになっている。意味づけが必要だ。あらためて書く。
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