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RANDOM DIARY TOUR
鳴海諒一日記 SINCE 6/18.2000



8月31日

▼必見! 「後ろの正面だあれ? かごめかごめの謎」 9月2日に放送!

 今日、森達也監督から一通のハガキが届いた。森監督が新たに制作された番組が、
9月2日にフジテレビで放送されるというお知らせである。こりゃ嬉しい!

 もう日記に何度も書いているので簡単に紹介すると、森監督は、オウム真理教の内
部にビデオカメラを持ち込んで中から外(一般社会)を撮った問題映画「A」を制作
した監督で、映画以外にもドキュメンタリー作品を撮ってテレビ番組「NONFIX」
で時折発表している。森監督のドキュメンタリーは放送後、いつも話題になり物議を
かもし出す問題作であることが多い。

 僕が知っている過去の作品は2番組。1つは昨年5月に放送された「放送禁止歌」
で、もう1つは昨年10月に放送された「動物実験の現実」である。タイトルを見た
だけでも、放送コードすれすれのヤバそうな番組という印象をお持ちになるだろう。
今回の「かごめかごめの謎」もとても面白そうだ。百聞は一見に如かず。ぜひ御覧下
さい!

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  わらべ歌に隠された真の意味は? 謎が謎を呼ぶ「籠の中」のラビリンス。
   NONFIX 『後ろの正面だあれ?』 〜「かごめかごめ」の謎〜
         <9月2日(土)深夜27:15〜28:15放送>
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 『かごめかごめ』は、誰もが知っているわらべ歌である。「籠の中の鳥」「夜明け
の晩」「鶴と亀」「後ろの正面」など、およそ意味不明な言葉が構築するこの歌詞の
意味はなんだろう? 徳川埋蔵金の隠し場所を示した歌詞なのだとする説がある。悪
霊を封じ込めるための呪術なのだとする説もある。子供を失った母親の哀しい思いが
込められた歌詞なのだとする説もある。謎は謎を呼び、推測はさらに新たな推測へと
繋がり、このわらべ歌の解釈には未だに定説がない。

 小学校の音楽の教科書に最近のヒットソングが採用されて一時話題なった。しかし
『かごめかごめ』や『五木の子守歌』など、昔の教科書なら必ず掲載されていたわら
べ歌が、教科書からどんどん姿を消している現実はあまり話題にならない。子供たち
の環境はいうまでもなく大きく変化している。歌が変遷することは、ある意味で時代
の必然なのだろうが、ならば、『かごめかごめ』はその歌詞の意味を解読できないま
ま姿を消すことになる。

 歌詞に込められた意味を知りたい。その一念で、番組は灼熱の山形や茨城の山中ま
で、さまざまな地域を訪れる。徐々に現れる歌詞の秘密。山形県の山中に埋められた
という徳川埋蔵金は果たして発見できるのか? 黙して語らない謎の老人が明かした
『かごめかごめ』と修験道との関わり。そして、『かごめかごめ』発祥の地と言われ
る千葉県野田市に今も残される『かごめかごめ』にまつわる謎の木彫りの発見。あら
かじめ壊されていたと言う木彫りの籠は、果たして悪霊の出現を意味するのか? こ
の番組がパンドラの箱を開けてしまったのか?

 300年にわたって封印されてきた歌詞の秘密は、ベールを脱ぐのか? 紆余曲折の
末に、野田市に生まれたという伝説の人物が浮かび上がった…。
 昨年放送され、話題を呼んだNONFIX『放送禁止歌〜唄っているのは誰?規制
するのは誰?〜』を制作した森達也が新たに送る、歌をめぐるドキュメンタリーです。
                         (フジテレビHPより引用)

▼田口ランディさんが、NHKのニュース番組に出演。

 melma!発行の人気メールマガジン「田口ランディのコラムマガジン」の発行者
 である田口ランディさんが NHK、朝のニュース番組「おはよう日本」で紹介さ
 れます。最新の長編小説「コンセント」の執筆模様も含めて、ランディさんの
 創作活動が垣間見れる絶好の機会です。

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 番組名  : 
おはよう日本

 放送日時 : 9/2(土) 6:00〜、(7:40頃、放送予定)
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8月30日

▼おすすめ書籍 『われ笑う、ゆえにわれあり』 土屋賢二著

 昨日は『少年法を問い直す』をボロクソにけなした。そのことは全く気にしていな
いのだが、日記を読んだ方の中に、この本を購入していてこれから読もうとしている
方がいることを知った。その方には余計な先入観を植え付けてしまった。どうか僕の
書いたことなど気にせずお読みになり、もし面白かった部分、参考になる部分があっ
たら僕にも教えていただければありがたい。

 今日は僕が今とてもハマッている本について書いてみたい。それは『われ笑う、ゆ
えにわれあり』土屋賢二著(文芸春秋:文庫本)である。著者の土屋氏はお茶の水女
子大学哲学科教授である。

 土屋氏は『週刊文春』にエッセイ「棚から哲学」を連載しており、数ヶ月前に初め
て読んで面白すぎてぶっ飛んだ。軽妙でユーモアに富んでいて、サラッと流して読ん
でも面白いし、言葉の裏側を探るともっと面白い。土屋氏が何を言おうとしているの
かを考えながら読むと、彼の哲学がおぼろげながら見えてくる。今まで時々『週刊文
春』を読んでいたのに、このエッセイの存在に全く気付かなかったのが実に悔しい。
地団駄を踏んでしまったほどだ。心の中で、だが。

 はじめて読んだ「棚から哲学」は、土屋氏が学部長に選ばれそうになって困ってい
る様子を面白おかしく綴ったもので、およそ大学教授らしからぬ内容に度肝を抜かれ、
目が釘付けになった。こんな面白い文章を書く人がいたんだ、と驚いた。

 さっそくその日に『われ笑う、ゆえにわれあり』を買ってきた。この本は帯に書い
てある言葉から笑わせてくれる。

 【著者自身によるプロフィール:私の人となりについていえば、容貌と性格と知能
にはかなりの問題があるものの、しかしそれを除けば、これといってとくに欠点はな
いと言い切れる】

 土屋氏の切り口の基本は全て上記に凝縮されている。「下げて上げる」か「上げて
下げる」のどちらかであることが多いが、そのバランス感覚が絶妙なのである。しか
もちゃんと哲学していてタメになる。土屋氏の物事を多角的に見た考え方は、僕にと
って「真実を見極めるための頭の体操」なのである。ギャグを飛ばす時にも絶大な真
価を発揮する。

 、僕の文章力では土屋氏をこの程度しか褒め称えることが出来ない。残念でならな
い。歯がゆくてならない。

 『われ笑う、ゆえにわれあり』は「はじめに」に本書の面白さが凝縮されている。
これを読んで、ただ「おちゃらけた文章」だと思う方に、本書は向かない。しかし、
これを面白い、何かが潜んでいる、と感じた方は、ぜひ購入してじっくり読むことを
おすすめする。というか買わずにいられなくなるはずである。これがたったの438
円である。

 『われ笑う、ゆえにわれあり』には18の作品(僕にとっては論文)が収められて
いるが、僕の一押しは「愛ってなんぼのものであるか?<懐疑主義的恋愛論>」であ
る。実は、僕は本書の3つめに位置するこのエッセイから、なかなか先に進むことが
できなかった。なぜかというと、何度も何度もこればかり繰り返し読んでいたせいだ。
それほど深い。

 その概要をここに書くことはできない。これはもう立ち読みでも何でも、実際にお
読みいただくしかない。なぜなら僕などにこのエッセイの面白さ、ニュアンスを的確
に伝えることなど出来るはずがないからだ。

 本当はこの本を御紹介したくなかった。今まで数ヶ月の間、土屋氏やこの本のこと
に全く触れなかったのは、誰にも教えたくなかったのと、この本の面白さを自分が上
手に説明できないからである。そして実際にうまく伝えられない。

 この本は僕のバイブルの一冊に加わるだろう。様々な節目に読み返すことになると
思う。本書に書かれている土屋氏の本意を理解して、一度真っ当な考え方ができる人
間になってみたい。


8月29日

▼『少年法を問い直す』について

 凶悪な少年犯罪が激増している昨今、僕は少年がらみの事件が起こる度に、それら
の事件を目に入れないようにしてきた。目を背けてきたのである。なぜなら、少年法
や、事件報道のされ方に深く疑問を抱いているからだ。新聞、雑誌、テレビなどに取
り上げられた少年犯罪事件の内容をちらりと見ただけで、猛烈に怒りがこみ上げてく
る。嫌悪感すら覚えるのだ。

 先日、雑誌の書評欄を読んでいて、一冊の本が目に止まった。『少年法を問い直す』
黒沼克史著(講談社現代新書)である。この本はジャーナリストの黒沼氏が、今まで
の少年犯罪を実例としてあげながら、少年法のあり方を問う内容になっているらしい。

 僕は少年法について、テレビや雑誌で解説しているのを見聞きして知ったこと以外、
何も知らない。ここはひとつ、「少年法を問い直す」を読んでよく勉強して正しい知
識を取り入れることにしよう、と一念発起し、『少年法を問い直す』を買ってきた。

 最初にこの本の目次を読み、巻末に少年法の61条が全て掲載されているのを知っ
た。なかなか良い本じゃないか。僕はワクワクしながら「はじめに」を読み出した。
そして幻滅した。その幻滅した箇所を書き出してみよう。

 【ノンフィクションライターの私がこのテーマについて書くことが、どれほどおこ
がましいことかはじゅうぶんに承知している。法的な無知を露呈することになるかも
しれないが、あえて専門家のアドバイスを受けるのはやめた。】

 ガ〜〜ン! おいおい、「法的な無知を露呈する」かもしれないなら、専門家のア
ドバイスを「あえて」受けてくれよ。僕はあなたがどこの誰か知らない。過去の著書
も読んだこともない。僕はあなたの私見を聞きたいんじゃない。正確な情報を得たい
んだよ。

 【その代わりに正しい批判は素直に受け入れるつもりだ。】

 もしこの本に間違った情報が含まれていたら、その正しい情報を僕はどう入手した
らいいんだい? 間違ったデータを鵜呑みにしたまま、これから生きていくことにな
るのかい? 他の書物を参照しろってことかい? それとも改訂版を買って改訂箇所
を探せっていうのかい? 

 読み終わってから違ってましたじゃ遅いんだよ! それとも、自分に間違いはない
という自信を抑えてへりくだってみたのかい? 「正しい批判は受け入れる」なんて、
少し相手を挑発したようにも受け取れる書き方だな、おい。

 【けれども私は、現行少年法は部分改正などですむものではなく、関連の法律もふ
くめて白紙の状態から見直すべきだといえる立場にはいる。】

 国民誰しも「見直すべきだといえる立場」にはいるんじゃないの? あ〜もうだめ
だ。どの文章もつっこみ易すぎる。これでは著書との信頼関係が確立できそうもない。

 このように僕は「はじめに」を読んだだけで、著書に失望の念を抱いてしまった。
それでも気を取り直して読み始めてみたものの、実にわかりにくい文章だ。相手に理
解してほしいという気持ちが伝わってこない。飲み屋で思い入れたっぷりに自己陶酔
して語っているオヤジのような文章だ。もう読む気がしない。僕は本を閉じた。

 この著者は、どうやら正しい情報を読者に提供したくてこの本を書いたのではなさ
そうだ。自分が感じたことをそのまま書いてみたかったのだ、と僕は推測する。もし
そうではないのなら、「法的な無知を露呈」する前にきちんと専門家のアドバイスを
求めるはずである。著者自身の少年法に対する意見が本当に正しいものかどうか、本
人が知りたくなるはずである。

 巷のノンフィクションものやドキュメンタリーが、制作者の持っている思想、思惑
に従って作成されているのは知っている。しかし常に真実を知る努力をし、その真実
によって軌道修正しながら作り上げていかなければ、ノンフィクション風、ドキュメ
ンタリー風にしかならない可能性がある。いま世の中には、少年法について知りたがっ
ている人が大勢いる。その流行に乗ってグッドタイミングで出版されたこの本にもし
間違った情報が含まれていたら、多くの人々を混乱させるのである。そこをよく考え
ずに本書を執筆したのだとしたら、ライターとしては失格だろう。また、自分が書い
た内容に自信があるのなら、あんな言い訳めいたことは書かないでほしい。

 僕が自信を持って言えることは、たかがバーテンダーにあれこれ指摘されるような
本じゃダメだってこと。それが言いたかった。でも、僕が書いていることが間違って
いたら、だめだめバーテンダーになっちゃうの? それとも普通のバーテンダー?


8月28日

▼原付バイクに追突された

 今日、車で買い出しに出かけた帰りに裏道を走っていた時のこと。道幅が狭くなっ
たところで対向車を先に行かせるために徐行したら、車内にドンと衝撃音が響いた。
後ろから原付バイクに追突されたのだ。前方不注意である。

 こういう時は最初が肝心だ。僕は車から威勢良く飛び出して後方へ向かった。原付
に乗っていたのは高校生だ。何も言わずにぼんやりしている。驚いて呆然としている
のかもしれないが、見ようによっては何も気にしていないようにも見える。実にわか
りにくい。

 僕は「どこにぶつかった?」と高校生に尋ねた。彼は「ここ」と車の後方左端のバ
ンパーを指さした。見てみるとバンパーの端部分のグリーンメタリック塗装が20セ
ンチほど剥がれ落ちて白くなっている。凹んではいないようだ。原付の方は、フロン
トのプラスチック部分に少しヒビが入っているが、大したことはない。怪我もしてい
ないようだ。僕はぶつかった部分を指でスーッと撫でて、それから彼の方に向き直っ
た。高校生はしょぼい顔で僕から目を逸らしたままで、一言も発しようとしない。僕
は言った。

「おい、どうでもいいけど一言謝れよ」 高校生はすぐに「すいません」と謝った。
「だろ? お前の不注意でぶつかったんだから、こんな時はすぐに謝れよ」「はい、
すいません」「よし、行っていいぞ」「えっ?」「いいよ、別にこんなの」「は、は
い」「じゃあな」 僕は彼を解放した。

 車に乗り込むと妻が「車は大丈夫だった?」と尋ねるので、「うん、塗装が剥がれ
ただけで凹んではいなかった」と答えた。「えっ、いいの?」と心配しているので、
「いいよあれぐらい。こんな時のためのバンパーだ」と事も無げに答えた。妻に高校
生とのやりとりを話したら、「きっと彼は、君が怖いんだか優しいんだかわからなく
て悩んでるね」と言って笑っていた。優しいに決まってんじゃん!

 数ヶ月前にも、BMWが後方不注意でバックしてきて、僕の車の後部にドスンとぶ
つかったことがある。その時は驚いたことに互いの車は全くの無傷だった。BMWに
乗っていたチンピラ風の若者が車から飛び出してきて、「私の後方不注意でした! 
すみません! 申し訳ありません!」と平謝りで謝るのが可笑しかった。「いや、何
ともないんで全然オッケーだよ」と言ってすぐに和解したのだが、相手の車に傷を付
けないBMWってすげえ、と僕は感心してしまった。当たり所が良かっただけかもし
れないが。

 このように僕は車に関しては寛大だ。僕にとって車なんてただの移動のための道具
なのだ。あちこち走っていれば、こんなこともあるだろう。車体が大きく凹んだり、
ライトが割れたりしたらちょっと困るが、軽く擦ったり少し凹む程度なら全然許せて
しまう。そんなのそのうち車のコーティングをし直せば全く目立たなくなるからだ。

 以前、イタリアへ行ったときに、ローマ市内を走っている車が皆、ボコボコに凹ん
でいて驚いたことがある。どうやらイタリア人は車を平気でぶつけるらしい。停車す
るときに前の車に少々オカマを掘っても、「Scusi!(スクーズィ!:失礼!)」で済
んでしまうと人に聞いた。すげえ国だ、と思った。これは「寛大」ではなく「アバウ
ト」という意味でだ。

 日本では車をいつもピッカピカに磨いて、まるで大切な調度品のような扱いで乗っ
ている人が多い。もし万が一そんな車にぶつけてしまった日には、これは悲惨な目に
遭うんだろうな。「ここ、ここ! ほら、ちょっと擦ってるじゃない! キ〜〜ッ!
どうしてくれるんだ! 修理代を出せ! いや、車を弁償しろ!」なんて目くじら立
てて怒られたら嫌だなあ。一応、穏便に済ませるためにペコペコ謝り続けるだろうけ
ど、心の中では「なんでえ、そんなぐらい。ケッ、くだらねえ」と思うに決まってる。

 あまりにしつこく罵られて逆ギレしないように、今からイメージトレーニングをし
て、いざというときのために心の準備だけはしておこう。


8月27日

▼我が愛すべき部下について

 6月18日から毎日休まずに書き続けた日記だが、とうとう25日は休んでしまっ
た。なぜならその日、耳鳴りがひどくてめまいを感じ、とても体調が悪くて店を休ん
でしまったからである。この耳の病気はめまいや吐き気を覚えるとかなり重症で、場
合によっては治らないかもしれないということをあるサイトで読んでいたので、怖く
なってしまい、大事をとって休ませてもらったのだ。

 店に電話をかけて夏休み明けの副店長に話したら、「店は大丈夫ですから、どうぞ
休んで下さい。明日も体調が悪かったら遠慮しないで休んで下さい」と勧めてくれた。
彼の後ろでは女性バーテンダーのSさんが、「店長、私、明日出勤しますから、明日
もどうぞ休んで下さい」と言ってくれている。しかし次の日は貸し切りパーティーが
あるので、1日だけ休みをもらうことにして礼を言い、電話を切った。

 25日といえば巷では給料日だ。おまけに金曜日だから店が凄く忙しくなるのはわ
かっているにもかかわらず、2人とも快く僕が休むことを承諾してくれた。これには
胸がジーンとなるほど嬉しかった。僕だったらこんなに素直に相手に「休んでいいよ」
と言えるだろうか。心から心配できるだろうかと考えたら、少し自信が無かった。彼
ら2人にはとても感謝している。思いやりに溢れている部下がいてくれて、本当に良
かった。あらためてそう思った。

 電話で副店長から「店長、今日はコンピューターを立ち上げちゃだめですよ。ちゃ
んとゆっくり休んで下さいね」と釘を刺されてしまった。なんか信用されてない、と
いうか、読まれている。ギクッとして「うんわかったよ(メールチェックだけね)」
と答え、カッコ内は心の中でつぶやいた。でもその日はたっぷり睡眠を取って安静に
して過ごした。ホントだよ。汗・・・ だから日記は書かなかったのだ。

 次の日は出勤し、耳栓をしてパーティー料理の準備をした。その日のパーティーは
めちゃめちゃ盛り上がってとても騒がしかったので、ずっと厨房で出来る仕事をした。
パーティーが終了して通常営業を開始してすぐ、副店長が「店長、お疲れさまでした。
今日ももう大丈夫ですからどうぞお帰り下さい」と早退を勧めてくれた。申し訳ない
と思ったが、せっかくそう言ってくれてるのだからと、遠慮せずに上がらせてもらい、
僕は副店長に何度も礼を言った。

「今日はホントにありがとう。オレはさあ、早く治して生まれ変わるよ、来世は」

「はっ?・・・」

「生まれ変わって羽ばたくよ、鳥になって」

「えっ?・・・」

「飛び回るよ。渡り鳥になって、どこまでも」

「・・・」

「昨日今日と、どうもありがとう。このお返しに、必ずお前に幸あらんことを願う」

「って?・・・」

「いや、お前に絶対に素晴らしい未来が待っていることを、猛烈に祈るよ」

「すいません。言ってることがよくわからないんで、とっとと帰って休んで下さい」

「すいません。帰ります・・・」

 こうして副店長を讃えて、僕は早退した。

 ちょうど今日からは3連休で夏休みを取っているので、ゆっくり静養するつもりだ。
耳の方は昨日の夜からスコンと抜けたように具合がいい。今まで飲んでいた薬がやっ
と効いてきたのかもしれない。過信して逆戻りしたら困るので、どこにも出かけずに
のんびりと過ごそうと思っている。


8月26日

▼自己防衛について

 ヤマザキ製パンの「北海道チーズ蒸しケーキ」の中から、また虫が出てきた。そし
てまた自主回収である。ヤマザキは今月14日以降、毎日混入騒ぎを起こしている印
象になってしまった。

 テレビで「ヤマザキパンにまたも虫が混入」というニュースを見ると、最近では思
わず笑いがこみ上げてくる。「またかよ。懲りないなあ」「よっぽど管理が悪いんだ」
そう思ってしまうが、笑いの原因はそこではない。毎日ヤマザキパンに何かが混入し
ているのに、それでもヤマザキパンを買う人がいる、食べる人がいる、それはなぜだ、
なぜなのじゃ〜と考えると、つい笑いがこみ上げてきてしまうのだ。買わなきゃいい
だけなのに、と思う。

 確かに笑っている場合ではない。由々しき問題である。ヤマザキの管理責任をとこ
とん追求すべきだ。しかし、それはそれ。自分の身は自分でも守らなければならない。
毎日これだけ様々な混入騒ぎが起こっているのだ。テレビや新聞を見なくても、学校
や職場で話題に上るだろう。それでも「知らなかったから買っちゃった」ではもう済
まされない。知るように努めるべきだろう。

 雪印が牛乳製造を再開したときに、昔からの雪印ファンの主婦がすぐに雪印牛乳を
以前のように買い求め、飲んでいる様子がテレビに映し出された。「心配じゃないで
すか」とレポーターに尋ねられ、「あんなに騒ぎになったんだから、もうきっと大丈
夫でしょ。ああ美味しい。やっぱり雪印よね」と言っていた。この主婦はいったい何
を根拠に雪印に対する信頼を回復したのか。大好きな雪印製品がつまはじきにされて
いるので同情したのだろうか。しかし、雪印は大樹工場製造の脱脂粉乳騒動で再び揺
れてしまっている。これは直接牛乳には関係ないが。

 僕にはこんな短期での信頼回復は考えられない。自己防衛と、騒動を引き起こした
リスクを負ってもらうために、微力ながら製品を買わずに抵抗する。怒りを持って不
買措置をとる。

 雪印食中毒事件以後、当店では一切の雪印製品を廃棄し、それからは購入していな
い。たまにアルバイトが間違って雪印牛乳を買ってきても、誰も見ていないところで
捨てている。断じて使用しないつもりである。雪印は食品会社としての管理を怠り信
用を落とし、消費者を裏切った。当店でも我が家でも、いくらかの損害を被った(微
々たるものだが)。しかしこの損害を雪印が負担してくれるわけでもない。雪印製品
を再購入するようになるのは「もうそろそろ許してやっか」と思わせるような誠意と
努力が目に見えた時である。それがなければ僕の中での信頼回復は一生ない。

▼元・山崎パン製造アルバイトの暴露話

 あるサイトで下記の話を見つけた。ホントかウソかわからないけど、ものすご〜く
リアルだね。他にもあちこちで似たような話を読んだけど、食品製造工場ってこうな
んだなって思っておいた方がいいのかも。

<発言要旨:不衛生なパン工場の改善を求む>

 私は以前、山崎パンの工場でバイトをしていたことがあります。そのときのことを
少々お話します。

 巨大なアンコを機械に入れ小さくする作業をしていたときに見た風景です。ゴキブ
リがその機械の中に飛び込んで、餅菓子を包むそのアンコに粉々になった足や触覚が
入りました。「あっ」とは思いましたが、まぁバイトなんでどうでもいいかとそのま
まにしました。検閲は甘いです。何せ同じようなものがいっぱい流れてくるので、そ
んな小さなモノまで誰も見れませんし、そのまま袋詰めされ出荷されていきました。

 工場内はパンを焼いているんでムチャクチャ暑く、しかも食べ物なのでゴキブリや
らガみたいなちっちゃい虫が飛んでます。バイトの志気もめちゃくちゃ低く、社員に
何か注意されたりするとその腹いせで、鼻クソやらタンやらをアンコやパンに平気で
混ぜていました。

 トイレから出ても、手も洗わないで直にパン粉をこねたりは日常茶飯事です。カメ
ラで監視はしていますが、見ている方もバイトやパートなんで何てことありません。
あのバイトやめてからも当分山パンが食べられませんでした。あんな不衛生な会社の
パンがこんなに売れているのは、そういう実体を皆さんが知らないからだと思い、発
言させていただきました。山パンは安くておいしく、どこでも買える手軽さがありま
す。だからこそ改善して欲しいと思います。

▼異物混入:マクドナルドのジュースにハエ 女児がおう吐  

 【日本マクドナルド(本社・東京)の「奈良からもも店」で先月、小学4年の女児
が買ったグレープジュースに、生きたショウジョウバエが混入、ジュースを飲んだ女
児がおう吐などの症状を訴え、病院で手当てを受けていたことが26日、分かった。
マクドナルド側は混入の事実を認め、両親に謝罪した。】 (毎日新聞Web8月27日)

 よおし!今だ!ドムドムバーガー! 最近、怖いくらい店がガラガラだぞ。この記
事の効力があるうちに、巻き返しを計ってくれ〜。何か最近、コーヒーの味が落ちた
ような気がするぞ。もしかして、コーヒー豆の質を落としたか?もしそうなら、それ
は終わりの始まりだぞ。注意せよ。


8月24日

▼ケンウッドからクラシックを忠実再現するコンポ発売

【ケンウッドはジャズやクラシックなどの微少な信号を忠実に再現するアコーステ
ィック系の音に力点を置いた
一体型コンポを9月中旬に発売する。価格は9万800
0円、当初月産台数は3000台。】       [8月24日/日経産業新聞Web]

 お手ごろ価格で本格サウンドが楽しめる機種の発売は嬉しいものだ。僕は一時期、
限られた予算の中で自分に合った最も良い音が楽しめるオーディオセットを探すのに
苦労したことがある。僕のオーディオ購入条件は「ドラムスのハイハットやシンバル
を忠実に再現」「ピアノが透き通って聞こえる」、この2点だった。あまり条件を広
げてもキリがなくなってしまう。予算も限られている。

 どんなオーディオを買ったのかは、いささかマニアックなことなのでここには書か
ないが、かなり満足を得られるセットを購入することが出来た。

 ここからが本題なのだが、僕のオーディオはジャズやクラシックは比較的忠実に再
現できるのだが、流行している音楽(ジャパニーズポップス、ロックなど)のCDは
全くしょぼしょぼで、聞くに耐えない音質なのだ。それはなぜかというと、流行音楽
のリスナーの多くは、ミニコンポ、CDラジカセ、ウォークマンなどで聴いているた
め、CDそのものの音質・バランスが、それらの機器で聴いたときに最も良い音で聞
こえるように作られているからなのだ。

 どのCD制作現場(スタジオ)でも、必ずCDラジカセが置いてある。レコーディ
ングのミックスダウンまではスタジオの高級スピーカーを使用するのだが、最終チェ
ックはCDラジカセで行っている。

 松任谷由美(ユーミン)のCDは、ドライブしているときに聴く人が多いので、カ
ーステレオで聴いたときに最高のサウンドが鳴るようにミックスダウンされていると
いう話を聞いたことがある。B’zやサザンもきっとそうだろう。

 近頃はCDショップでいろんなCDを試聴できる。CDショップの試聴システムは
音圧が高い。したがってド迫力サウンドが楽しめる。思わずそのCDを気に入って買
ってしまう。しかし、家に帰って聴いてみると、CDショップで聴いたときの臨場感
がまるで無くなってしまっているのに驚く。予想していてもさらに驚く。

 いささか強引に結論づけてしまうと、最近の日本の商業的音楽のCDは、実はCD
ショップで最高の音質で聴けるように設定されているのではないかと思うのだ。全く
商魂たくましいぜ。

▼難聴日記

 昨日は耳の調子が少し良かったのに、今日の仕事中はまたぐわわんぐわわんと耳鳴
りがして気分が悪かった。ちょっと良くなったと思ったら逆戻りだ。がっくり。

 今日は副店長が夏休みをとっているので早退できない状況だったのだが、女性バー
テンダーのSさんが僕を気遣って早退をすすめてくれたので、お言葉に甘えて1時間
だけ早く帰ってきた。

 Sさんは「店長は安静にしないといけないんですから、今日は日記なんか書かない
で早く休んで下さいね」と言っていた。「はい、わかりましぶつぶつぶつ」と言葉を
濁して、こうして今日も日記を書いているのであった。

 Sさん、すみませんでした。あなたが明日この日記を読んで、はあ〜〜〜っと溜息
を漏らす姿が目に浮かびます。おまけにこの後、メルマガを仕上げて配信する予定で
す。恩を徒で返すとは、たぶんこういうことを指すのでしょうね。こうやってみんな
の信頼を失っていくのかしらん。とほほ。


8月23日

▼実録・ああ勘違い

 数年前の今日のような暑い日の出来事。お客様が当店のバーテンダーに尋ねた。

「すみません、お電話ありますか」

 バーテンダーは「ああ・・・」と声を漏らし、哀れみの表情を浮かべて申し訳なさ
そうに、しかし毅然とした態度でお客様に言った。

「申し訳ありません・・・ “おでん”は置いてないんです」

 お客様は絶句、である。

「あの・・・ おでんわ、でんわ、電話です」

「あわわ〜っ!申し訳ございません! 申し訳ございません! お電話はあちらでご
ざいます!」

 ば〜か。このクソ暑い日に、ましてやバーで“おでん”を注文する客がどこにいる
んだ。このまぬけな話は「電話事件」として未だに当店で語り継がれている。ってい
うか、僕が語り継いでいる。

▼お知らせ

 お待たせしてしまっているメールマガジンですが、あさって(8月25日)早朝に
配信する予定です。どうぞお楽しみに。


8月22日

サントリーから1本50万円、新世紀限定ウイスキー発売へ

 【サントリーは22日、21世紀を迎えるのを記念して、一本50万円の高級ウイ
スキー「ザ・センチュリー40年」(700ミリ・リットル入り)を300本の限定
で発売すると発表した。40年間熟成させた原酒だけを使ったのが特徴で、サントリ
ーが発売するウイスキーの値段としては、93年に皇太子さまと雅子さまのご成婚を
記念して発売した「ロイヤルマリッジスペシャル」(30万円)を上回り、最高にな
るという。

 同社によると、原酒は60年3月末に蒸留し、北海道産のミズナラのたるに詰めら
れていた。「長期熟成ならではの香りと重厚な味わいがある」としている。特製のガ
ラス容器を使い、希望者にはイニシャルも刻印する。同社は「個人だけでなく、話題
づくりに購入する飲食店にも期待している。完売できるでしょう」と強気の見通しを
立てている。】                (読売新聞Web 8月22日21:41)

 当店で取り扱っているサントリーウィスキーは「山崎12年」1種類だけである。
当店では基本的に国産品は扱っていないのだが、「山崎12年」は雑誌に掲載してい
る広告量がハンパではなく、お客様の商品認知度が極めて高い。従って「山崎12年」
のオーダー率も比較的高いため、置いていないとお客様ががっかりされてしまうこと
がある。そのため取り扱うことにしたのだ。

 すると今度は「なぜ国産品は山崎12年しかないのだ」と御指摘を受けた。そのた
め「山崎12年」と同価格のニッカ「北海道12年」を取り扱うことにした。当店に
置いている国産ウィスキーはこの2種類のみである。

 僕にはこの2つのウィスキーのどちらがいったい美味しいのかはよくわからないが、
ニッカ「北海道12年」の方が優れているとの話を時々耳にする。

 今度発売される50万円のウィスキー「ザ・センチュリー40年」は、いったいど
んな人が購入するのだろう。店で出す場合、原価で計算してもシングル(30ml)
で約2万2千円である。売値を60万円にして10万円の利益を出そうとすると1杯
の値段が2万6千円である。これではそうそうオーダーされることはないだろうし、
ボトルは開栓すると味や香りがどんどん抜けていく。管理がとても大変だ。このウィ
スキーはいったいどんな優れた味がするのだろうか。飲んだ人の感想を聞いてみたい
ような気も少しだけしている。

▼三菱自動車リコール隠ぺい問題

 先ほど、三菱自動車のHPでリコール隠ぺい問題の記事の見出しを見て驚いた。な
んと「平成12年8月22日届出のリコール・改善対策・サービスキャンペーン一覧」と
書いてある。

 ばっきゃろー。サービスキャンペーンだと。ふざけんな。今までに当然やらなきゃ
いけないことを隠ぺいして、今更、サービスキャンペーンなどと綺麗ごとを抜かして
んじゃねーぞ。サービスってのは「相手のために気を配って尽くすこと」なんだよ。
お前らに「サービス」なんて言葉を使う権利はない。「サービス」って書いてる段階
で、ダメージを少しでも和らげようって魂胆がプンプン臭ってくるぜ。まだまだ反省
が足りないな。こりゃ再建は無理だな。っていうか、させちゃだめだ。

 多くの三菱自動車系の関連会社の皆様、この度は御愁傷様でした・・・ 今日はち
ょっと辛口すぎたかな。

▼難聴日記

 昨日まで左耳がぼわんぼわんと耳鳴りがひどかった。それが今日になって耳鳴りが
急になくなった。しかし、今度は右耳が詰まったような感じでキ〜〜〜ンと耳鳴りが
している。これは今まで左耳の耳鳴りがひどすぎて、右耳が目立たなかっただけなの
か。それとも新たに右耳に移行したのか。どちらかよくわからない。しかし、何とな
く快方に向かっているような気がして、ちょっとだけ気分がいい。

自分の病気を日記に書いているせいで、多くの読者様から励ましのおたよりを頂戴し
た。どうもありがとうございます。鳴海はもうすぐ治ります。治ってやります。とい
う気持ちで頑張ります。頑張りたいです。あっ、ちょっと弱気になった。いかん、頑
張るのだとも!


8月21日

▼ジャーナリスト・田中 宇さん

 ジャーナリストの田中 宇(さかい)さんが本日配信されたメールマガジンで、ま
た僕のHPの宣伝をして下さった。もう何度も宣伝して下さっている。とてもありが
たい。

 田中宇さんはマイクロソフト社のMSNジャーナルの元編集者で、現在はフリーの
ジャーナリストである。
「melma!」から配信されている彼のメルマガの読者数
はなんと15万3千人で、これは個人で配信しているメルマガでは日本一多く読まれ
ているメルマガなのだ。

 田中さんは、激動する世界情勢をわかりやすくまとめたメルマガ「田中宇の国際ニ
ュース解説」
を週に2度配信されているのだが、これがとてもわかりやすくて面白い。
国際情勢死ぬほどオンチの僕にも理解できるように噛み砕いて説明してくれるのだ。
おまけに新聞やテレビで報道されないネタも書いてくれるので、田中さんのメルマガ
の方がよほどタメになる。

 以前、僕は酔った拍子に「田中さんのメルマガは僕には難しくてよくわかりません」
と言ってしまい、「わかりやすく書いているつもりなんだけどな」と気にさせてしま
った。しかしその後、「鳴海諒一に理解できるように書く!」をポリシーに、更に噛
み砕いてお書き下さっているそうで、とても恐縮している。おかげで国際情勢アホの
僕にとって、とても楽しく読めるメルマガなのだ。

 田中さんの最近配信されたメルマガは、「陰謀うず巻くメコンの秘境ラオス」、 
「捕鯨をめぐるゆがんだ戦い」「債務帳消しでアフリカを救えるか」など、全てが
とても興味深い記事だった。へ〜っ、そうなんだ〜と驚いてしまう内容である。

 その田中さんが今月15日にアメリカへ旅立ってしまった。ボストンに1年滞在さ
れるそうである。とても親しくさせていただいてたので、なんだかとても淋しい。で
も田中さんは、「何を言ってるんだ。僕たちはTCP/IPでつながってるじゃない
か」とマニアックなフォローをされるので、思わず笑ってしまった。田中さんのギャ
グはいつも知的で面白い。「今度ぜひ国際情勢ギャグのメルマガを書いて下さいよ」
とお願いしておいたので、そのうち配信されるかもしれない。とても楽しみだ(とプ
レッシャーをかけておこう)


8月20日

▼ミュージシャン・角松敏生について

 僕は今とてもエキサイトしている。それはなぜかというと、18日にWOWOWで
放送された
角松敏生のライブ「シークレット・ギグ・FLOW・IN・TOKYO 
TOWER」のビデオを見たからだ(耳に悪いのでちょっとだけ)。このライブは8
月2日に発売された
ニューアルバム「存在の証明」の曲を、12日から始まったツア
ーに先駆けて10日にトーキョータワーで行ったものだ。

 ニューアルバムは副店長が買ってきて、営業前に聴いていたので曲の方は知ってい
たのだが、このライブを見て、あらためて角松の音楽性の高さと一流ミュージシャン
によるツアーバンドの演奏レベルの高さを見せつけられた。凄いぞ、角松!!

 角松は、その辺のアーティストと呼ばれてテレビでカラオケをバックにアテレコし
ている商業主義的ミュージシャンとは一線を画している。さすが村上ポンタ秀一をし
て、「最後のアマチュアミュージシャン」と言わしめただけのことはある。ポンタは
かつて、無人島に持っていく10枚のレコードに、角松のデビューアルバム「
SEA
 BREEZE
」を選んでいた(ポンタも参加している)。

 ニューアルバム「存在の証明」は、今までの角松路線から更にパワーアップしてい
る。「プラグドだけど限りなくアンプラグドに近いバンドサウンドを聴かせたかった」
と彼が言うように、フォークロック、ファンク、ロックンロールを角松サウンドに乗
せて、NEW角松ワールドを構築している。このアルバムの音楽性はとても高い。

 「存在の証明」には、ドラムスの神様スティーブガッドと、スーパードラマー・
ィニーカリウタ
が叩いていて驚いた。よくまあ参加してくれたものだ。しかしツアー
メンバーの石川雅春(Ds)と青木智仁(Bs)のコンビネーションも素晴らしい。
さすがDIMENSIONやSOURCE(どちらも2人が参加しているバンド)で
培ったコンビだ。

 僕が20歳の頃、角松のアマチュア時代に一度、同じライブに出演したことがある
(別バンドで)。その後、角松がプロデビューし、彼のアマチュア時代のドラマーと
僕は一緒に活動していた。角松にはその後ちらりと数回会った程度で、さしたる面識
はない。

 当時、角松のデビュー前のデモテープを聴いたときのクオリティの高さには驚かさ
れた。その後の彼の音楽性の高さに全くひけをとらないものだった。彼のファースト
アルバムには、彼が憧れていた日本人のトップミュージシャンが多数参加していたの
だが、そのほとんどがデモテープと同じような演奏だった。デモテープの質の高さと、
デビュー直後から自分のポリシーを決して曲げない角松の意思の強さを感じた。

 と、今回角松のことはこのくらいにしておく。そのうち彼の秘話をお届けするかも
しれない。

▼難聴日記

 耳の状態に変化がない。相変わらず左耳が聞こえにくい。今日は店が暇で、常連客
を1時間半ほど接客したので、自分の声がかなり耳に負担になったような気がする。
やはり安静にするためには、働いていては無理かもしれない。でも医者には仕事を休
めとは言われてないしなあ。

 最初の一週間は、ステロイド剤を飲まなくてはならないのだが、薬のせいか時々、
「のぼせ感」や「動悸」がする。顔がカッカすることがある。果たして大丈夫なのだ
ろうか。少々不安だ。


8月19日

▼ちょっと損した(せこい)話

 今日の午後10時すぎ、小腹が空いた(ジジくさ〜)ので従業員全員にマクドナル
ドのハンバーガーを奢ってあげることにした。終業後に少人数で御飯を食べに行って
御馳走することはたまにあるのだが、全員に奢るのはひさしぶりだ。なぜひさしぶり
なのかというと、いつも御馳走しているとバイトが奢られ慣れてしまうからだ。奢ら
れるのが当たり前だと思ってしまうその態度に嫌気が差して、しばらく奢らずにいた。

 マックは今、ハンバーガー半額セールを行っている。ハンバーガー65円、チーズ
バーガー80円、マックシェイクが110円だ。バイト4人全員に奢ってもタカが知
れている。この中から選んでもらうため選択の余地はないが、みんなに聞いて回った
ところ、チーズバーガー8個(640円)とマックシェイク4個(440円)で、計
算すると合計1080円(税込み1134円)だった。安い。これなら痛くもかゆく
もないぞ。

 バイトの女の子に2千円を渡して買いに行ってもらった。帰ってきたらお金が足り
なくてシェイクが2個買えなかったという。「なんで?」「今日は平日じゃないから
半額じゃなかったんです」 がっび〜ん! 今日は土曜日だった。

 マックは土日はチーズバーガーが160円になるんだ。なんでえ、損したじゃん。
僕はバイトと2人でキッチンでチーズバーガーを食べながら、平日と週末の料金の格
差を計算した。「今日はチーズバーガーが1個160円の8個で1280円だろ。げ
げっ、もう平日の倍じゃん(当たり前だ。平日は半額なんだから)。シェイクは週末
も110円だから4個で440円だろ。あれ、あの子お金が足りなくてシェイクが2
個しか買えないって言ってたけど、全部合わせても1720円だから2千円あれば足
りるじゃん。税込み1806円じゃん」

「お〜い、なんで足りなかったんだよお。2千円で全部買えたじゃん」「10時を過
ぎてたので、深夜料金がプラスされたんです」「ええっ! 何それ?」「店長、知ら
なかったんですか」「んなもん知らん! で、深夜料金って何パーセント?」「20
パーセント増しです」 ひょえ〜〜〜っ!

 なんでえ、なんでえ、マックはそんなにボルのかよ〜。20パーセント増しってこ
とは、チーズバーガーが1個192円もすんの? 何だよ、平日の2.5倍じゃん。
許せね〜〜。安いからマックにしたのになあ。ぶつぶつぶつ。

 ちょっとむかついたんで、皆様に提言しちゃお。マックは今、ハンバーガー半額セ
ールをやってるけど、ハンバーガーをテイクアウトしちゃうと、マックは全然儲から
ないのだ。そのためにメニューにはセットメニューがどっか〜〜んと目立つように表
示してあって、単品の値段がどこに書いてあるのかわからないほど小さく書いてある。

 これは単品でオーダーさせない策略なのだ。以前、日記にも書いたのだが、「セッ
トで儲けさせてもらってます」とマックの人も言っている。店でも「お得なセットは
いかがですか?」と店員が言っているが、これは客がお得なのではなく、店が得をす
るという意味なのだ。騙されてはいけない。マックは一見安く感じさせておいて、セ
ットで値段を吊り上げて売り上げを上げている。皆さん、ついその手に乗ってしまう
手乗り文鳥ではいけない! 単品を買って公園で食べよう!(街角でもいいけど)。
そして、2回に1回はドムドムバーガーへ行こう! (多過ぎるって?) 

 僕の地元のドムドムは近くのマックに食われて客がスカスカだ。かなりのじり貧状
態だと見た。このままでは潰れちまう〜。もひとつ、ドムドムはホームページをつく
れ〜〜! 僕がどんどん宣伝したる。バナーも無料で貼ってやる。メルマガにも広告
を載せてやる。 企業努力が足らんぞ!バーロー! もっと宣伝しろ〜〜!!

▼トピックス

 今日、仕事の帰りに歩いていると、駅の近くで2人組の大学生の1人が「ちょっと
小便してくる」と言って「自動証明写真機」に入って行った。おぞろじ〜〜。

▼難聴日記

 今日も耳が詰まったような感じがする。薬を飲み始めたのだが、昨日までと症状は
全然変わらない。出勤して掃除を始めたのだが、いろんな物音が耳にガチャガチャと
響いてめちゃめちゃイライラする。この病気はストレスが原因で発病するというのに、
病気が原因でストレスが止まらないというラビリンスに陥ってしまった。

 物音に耐えられなくなり、近所の薬局に耳栓を買いに行った。数種類の耳栓を見て、
名前の良さに惹かれて買ったのが、その名も「
ノイズストッパー」。これがとても良
かったのだ。

 素材はシリコン製で、粘土かゴムかガムの噛みカスのような感じだ(汚ね〜)。こ
れを耳の穴の中に入れるのではなく、穴の入口にペッタリとフタをする。するとさあ
どうでしょう。外部の音がほとんど聞こえなくなった。聞こえてくるのは骨を伝わっ
てくる振動音だけだ。90%ぐらいカットしているのではないだろうか。素晴らしい!
掃除をしている間に聞こえてくるのは自分の足音の振動音ぐらいで、耳がとても安静
状態を保っている。おかげでしばしの間、とてもリラックスすることができた。

 掃除を終えて耳栓を外したら、エアコンや換気扇の音がグオオオオオ〜〜〜〜〜ン
と響いてきて、まるでどこかの工場の中にいるのかと思ったほどだ。いつもこんなに
ノイジーなところにいたんだ。知らなかった。びっくりした。

 帰りの電車の中に騒がしい人たちがいたのでこの耳栓を装着したら、あ〜ら不思議。
何を喋っているのかはわかるが、声がほとんど気にならなくなり、おかげでビッグコ
ミックオリジナルを集中して読むことができた。今まではウォークマンを装着し、そ
の時に聞きたくない音楽を無理に聴いて、周りの騒音をシャットアウトしていたのだ
が、いかんせん音楽も邪魔だったりしていたので、この耳栓の登場はとても嬉しかっ
た。

 「ノイズストッパー」はアメリカ製で、米国国防省の射撃訓練用耳栓としても使わ
れているらしい。「米国国防省」という言葉の響きが心地よい。この「ノイズストッ
パー」は耳が治ってからも、僕の必須アイテムになることは間違いない。電車内での
ジジイやババアやコギャルのデカ声とガキの容赦ない甲高声の防止には最適だ。あと
加齢臭を嗅がずにすむ方法を考えたい。

追伸:御存知かと思いますが、日記中の黄文字は全てその言葉の関連サイトにリンク
   しています。


8月18日

▼神尾記念病院へ行ってきた

 今日の午後、お茶の水にある「神尾記念病院」へ行った。この病院は「医師がすす
める病院」という本に載っている有名な耳鼻咽喉科医院で、数年前に一度行ったこと
がある。やっぱ近所の町医者じゃなくて、ちゃんとした病院で診てもらった方が安心
かなと思ったのだ。耳が聴こえなくなって後悔しても遅いもん。

 僕の耳鳴りは、ストレス、疲れ、寝不足が引き金になって起こったようだ。パソコ
ンに向かう時間が長く、眼精疲労から軽い結膜炎を起こしていたので、それが原因か
もしれない。Yahoo!で病名を検索したら、次のことが書いてあった。

「予防は睡眠を十分取ることと昼夜逆転の生活はどんな事情があっても連続して長期
間行わないこと。昼間の睡眠は十分とれたつもりでも、気づかないところで体には負
荷がかかっているのです」

 があん!「昼夜逆転の生活は行わないこと」って、もう死ぬほど逆転生活が続いて
るっつーの! 逆転人生だっつーの! 逆転の意味が違うって。

 せめてこれからはもっと生活パターンをきちんと考えて、夜更かしするのを控えよ
う。パソコンに向かう時間も減らさなきゃ。「睡眠時間は減らせる」といって、いい
気になってどんどん減らしたツケが回ってきたのかもしれない。もう若くはないのだ
から・・・

 通院後、店に着いた途端に病院から電話がかかってきた。「財布と保険証と薬の一
部をお忘れですよ」 どひゃ〜っ、マジかよ、何やってんだオレ。耳鳴りで頭がボケ
ボケだったとはいえ、全財産を病院に忘れてきてしまった。こんなこと生まれて初め
てだよ。ああ、人間はいつどうなっちゃうかわからない。今まで財布を落としたり無
くしたりする人を、自己管理が悪い、と軽蔑視してたのに。落とす人にもいろいろ事
情がおありだったのね。

 今日の仕事は辛かった。お客様の声や様々なノイズが頭の中にぐわんぐわんと響い
て目が回った。オーダーされても聞き取れず、復唱が必須だった。自分の声も頭に響
いてうるさくて仕方ない。とても疲れた。僕の耳鳴りは治るのだろうか。メルマガの
配信はさらに遅れてしまうのだろうか。ぐっすん。


8月17日

▼突発性難聴

 数日前から右耳が少し聞こえにくく、何かが詰まったような感じがする。また「突
発性難聴」になったらしい。今までに数回、同じ症状になったことがあるのだが、い
ずれも風邪をひいたときの発熱のせいで、ウイルスが内耳の細胞に感染したために起
こっていたと考えられる。しかし今回は発熱していない。

 今日の朝、起きたときから右耳がボワ〜ンと耳鳴りがして、あまり音を聞き取れな
い。今日は特にひどい。クーラーや騒音などのノイズを拾って、右耳だけずっと耳鳴
りが続いている。まるで片耳サラウンドシステムだ。平衡感覚もちょっとおかしい。

 いつものように仕事に出かけたのだが、副店長が心配して早退をすすめてくれたの
で、その言葉に甘えて帰ってきた。帰りにかかりつけの耳鼻科に行ったのだが、あい
にく今日の午後は休診だった。明日もう一度行こう。

 初めて「突発性難聴」になったのは8年前のことだ。風邪をひいて40度の高熱を
出し、寝込んでいるうちにだんだん両耳が聞こえなくなってきた。3日ほど起きあが
れなかったので、4日後に耳鼻科医院へ行って診てもらったら「突発性難聴だと思う
から数日間安静にするように」と言われて薬をもらって病院を出た。その足で書店へ
行き、「突発性難聴」について書いてある本を読んでびっくりした。

 なんと「10日以内に治療を開始しないと完治しない場合がある。治療しても必ず
直るとは言い切れない」と書いてあるではないか。目の前が真っ暗になってしまった。
一生このままだったらどうしよう。やだやだやだ、そんなのやだよお。

 家に帰ってから、買ってきた「突発性難聴」の本をよく読んだ。「耳と目の安静を
心がけ、テレビや読書を控え、ただボーとするのがよい。ストレスもよくないので、
精神的な安静も心がけること」と書いてある。僕は騒音防止用のイヤーパッドをして、
ひたすら安静にした。自分の声も響くので、ほとんど喋らないようにして薬を飲んで
寝まくった。熱もまだ下がっていなかったので、3日間ほどひたすら寝た。その結果、
すぐには完治しなかったが、少しずつ元に戻り、最終的には完治した。ホッとした。

 その後今までに何度再発しただろうか。3〜4回は再発したと思う。もう慣れっこ
と言ってもいいかもしれない。またかよ、って感じである。でも今回の症状は今まで
に比べて重い。嫌な予感がする。前回発病した時に飲んでいた薬の残りがあったので、
少し飲み続けてみたのだが、全く改善しない。

 さっきYahoo!で「突発性難聴」を検索したら、いくつかのHPが見つかった。なん
「突発性難聴」のことだけが書いてあるHPもあるんだね。読んでみたら、だんだ
ん不安になってきた。発熱せずに再発するのは今回が初めてだから、今までとは状況
が違うかもしれない。焦る。

 発病を自己診断すると、パソコンに向かっている時間が長く、眼精疲労からきてい
るように思われた。平均1日4時間、休みの日は7〜8時間、モニター画面を見続け
ている。最近、眼精疲労がひどく、結膜炎になりかけていて目がかゆい。病院でもら
ってきた目薬をさしながら、しかし生活パターンは全く変えていないのだ。睡眠時間
も少ない。昨日は2時間半しか寝ていない。これじゃ病気にもなるか。自己管理の欠
如だね。

 明日は仕事前に病院へ行くことにする。業務連絡:当店の女性バーテンダーSさん、
昼間のバイトの時にこれを読んでいたら、少し早出をお願いします。でもこんな時に
限って読んでないんだろうな。


8月16日

▼イタリア流パラサイト

 本日の朝日新聞朝刊のコラム「イタリア流パラサイト」が興味深い内容だった。

 イタリア人口問題研究所が、20〜30代の4500人に調査して「巣離れしない
若者たち」というレポートをまとめた。それによると、イタリアの20〜24歳では
88%、25〜29歳では51%、30〜34歳でも20%の若者たちが親と同居し
ている。とくに25〜29歳の男性では、60%前後が「実家に残りたい」といい、
ドイツやフランスの25%前後と比べて、高い割合を示すという。働いていても家に
生活費を入れるケースはまれ。恋人を泊めて親密な関係を結ぶことに対しても47%
が何の問題もないと答えている。     (「イタリア流パラサイト」より抜粋)

 本で読んだり人に聞いた話では、イタリア人は「マンマ(母親)の料理」が最高な
のだそうだ。別に住まいを持っていて、平日にマンマの料理を食べることが出来ない
人は週末になると必ず帰ってくる。家が遠くても夜行列車に乗ってでも帰ってくるそ
うだ。これは僕みたいに親との結びつきが薄い者にとって、驚異としか言いようがな
い。イタリア人はみんなマザコンかよと言いたくなるのだが、そうではないのだろう。

 カトリック上の理由もあるのだろうが、イタリア人は特に親子の絆が深いんだ。僕
などにはわかるはずもないが、きっとそうだ。ある意味、とても羨ましいことだ。

 それにしてもこのコラムのタイトルに使われている「パラサイト」という言葉には
少々違和感を覚える。「パラサイト」=「寄生」である。寄生を辞書で弾くと、

1)異種の生物が一緒に生活して一方が利益を受け、他方が害を受けている生活形態。

2)自分で生活できずに、他の者を頼って生活すること。

と書いてある。イタリアの若者が寄生虫扱いされているが、この書き方はどうなんだ
ろう。相当な侮辱ではないか。日本人だって同居していて生活費を大して家に入れて
いない人は多いだろう。月に1〜2万円入れたとしてもそれぐらいじゃ、あまり威張
れたものじゃない。その人たちにもパラサイトと呼ぶのだろうか。

 「君は旦那のパラサイトだね」とか「お前は会社のパラサイトだ」などと言われた
ら、どうだろう。喧嘩になるよね。これからは考えて「パラサイト」という表現を使
わないと、とんでもないことになるかも。

 僕はパラサイトと呼ばれているイタリア人の、どこがそんなにいけないのかが知り
たい。同居していると大人になれないのか。自立が出来ないものなのか。「ずっと親
と一緒に住みたいなんて言うのは子供みたいだ」などといってみても、それは他国の
人の主観であって、イタリア人には余計なお世話ではないだろうか。自立できないせ
いで経済が成長しなくたって、「今日を楽しむ」イタリア人にとっては大した問題じ
ゃないのかもしれない。


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