新型コロナでリベラル資本主義の世界体制を壊す2020年11月21日 田中 宇英国の与党である保守党の国会議員の間で、自分たちの仲間であるはずのジョンソン政権の英政府の新型コロナウイルス対策としての都市閉鎖策に反対する動きが広がっている。都市閉鎖は、人々に不自由を与え、経済を破壊して失業が増えるばかりで、コロナの感染拡大を防ぐ効果が少ない。それなのに、英政府はコロナの状況を悪い方向に歪曲誇張して「第3波」を演出して都市閉鎖を再開している。こうした間違った政策をやめるべきだと考える保守党の国会議員たちが集まって「コロナ復興グループ(Covid Recovery Group)」を結成し、無意味な都市閉鎖策をやめるようジョンソン政権に要請し始めた。364人の保守党下院議員のうち100人以上が新グループに参加もしくは参加検討している。メイ前首相がまとめ役をしている。 (Boris Johnson faces growing Tory revolt over coronavirus strategy) (Tory MPs form group to oppose future lockdowns) 英保守党の新集団結成からは、コロナをめぐるいくつもの本質が見えてくる。その一つは、都市閉鎖が超愚策であるという指摘が、私など市井の分析者の「妄想」でなく、英国の議員・エスタブたちも認める「正しい事実」であると確定したことだ。私は、先進諸国が都市閉鎖策を開始した今年4-5月から、都市閉鎖はコロナの感染拡大への効果が薄いだけでなく、経済を自滅させ、人々に不自由や精神的苦痛を与えるばかりのひどい愚策だと考えてきた。英米など多くの国々の政府やマスコミは、PCR検査を悪用してコロナの感染状況を誇張した上、都市閉鎖を強行し、世界経済を自滅させ、人類全体に無用な苦痛を与えてきた。英保守党の新集団の人々の考えは、こうした私の分析と大体一致しているように見える。 (コロナの歪曲とトランプvs軍産の関係) (Don’t believe the COVID case numbers; it’s a scam) 見えてきたコロナの本質の2つ目は、英議員たちが都市閉鎖をやめるべきだと正しい指摘を開始したのに、ジョンソンの英政府は少し譲歩しただけで、ほとんど無視して都市閉鎖策を続けていることだ。英政府は、都市閉鎖が愚策だと知りつつ続けていることになる。英国だけでなく、世界の多くの国々が、愚策と知りつつ都市閉鎖を続けている。当初から、各国の感染症に詳しい医師ら専門家の間から、都市閉鎖は効果が薄く害悪ばかり大きいとの指摘が出ていたが、各国政府やマスコミは、こうした正しい指摘を全く無視してきた。各国政府が自滅的な超愚策をバラバラに延々とやっているとは考えられない。各国政府に都市閉鎖をやらせている、影響力のある国際的な司令塔があり、。覇権的黒幕たちがいるはずだ。新型コロナは本質的に、医学の問題である以上に、国際政治・覇権的な謀略である。先進諸国を相手に国際政治の謀略をやれるのは、米英の中枢にいる、軍産複合体(深奥国家)とか諜報界とか、隠れ多極主義勢力とかの勢力ぐらいしかない。(イスラエルはもう弱い。中露は先進諸国を動かせない) (New Study Proves Lockdown's DON'T WORK, Cause Too Much Harm, Do NOTHING To Stop The Spread of Coronavirus) 今回、英国の中枢にいる保守党の議員団が、都市閉鎖をやめろとジョンソン政権に要請したのに無視されている。保守党の議員団は、軍産やMI6など英諜報界の仲間であるはず。だが保守党の議員団は、コロナの自滅策を立案しやらせている側でなく、やめさせようとして無視されている。英保守党やMI6の主流は、コロナを使った国際政治謀略の遂行者・黒幕でない。遂行者はほかにいる。 (COVID-19 Is "The Greatest Hoax Ever Perpetrated On An Unsuspecting Public") 保守党議員団の要請を無視して都市閉鎖を続けているジョンソン政権が遂行者なのか?。それも多分違う。ジョンソンは当初(今年3-4月)、都市閉鎖でなく集団免疫策によってコロナ危機を乗り越えようとした。だが、1-2週間もしないうちに、どこか外部(国外?)から圧力がかかったらしく、都市閉鎖策に転換した。この経緯は当時の安倍政権の日本と似ている。安倍の日本は「隠然集団免疫策」と呼ぶべき姿勢をとっていたのを外部(国外=米国)から見とがめられて都市閉鎖をやれと3月後半に加圧され、4月初めに準閉鎖策として非常事態宣言を出した。安倍自身は愚策の責任をとりたくないので、小池都知事が独走したことにした。ジョンソンも安倍も、外国=米国から動かされただけだ。こんな風に日英を動かせるのは米国しかない。ジョンソンも安倍も、トランプの子分みたいな存在だ。トランプ自身は都市閉鎖に反対する演技を続けてきたが、トランプが怪しい。 (都市閉鎖の愚策にはめられた人類) (英国式の現実的な新型ウイルス対策) 英米ともに、労働党=民主党の側は、都市閉鎖に賛成している。保守党=共和党=トランプは、都市閉鎖に反対する傾向(演技)だ。労働党や民主党は、人々の権利や政治的自由、プライバシーを重視する「リベラル派」だ。国際政治謀略としてのコロナの都市閉鎖は、人々の行動の自由を無意味に剥奪し、接近監視アプリなどでプライバシーを猛烈に侵害しており、リベラルと正反対の政策だ。だがその一方で、英労働党や米民主党は世の中を社会主義的にしたいと考える「左翼政党」でもある。その観点で見ると、コロナで先進諸国の経済が自滅して、二度と就職できない失業者が大勢出て、UBI(ユニバーサル・ベーシックインカム)など社会主義っぽい政策をやらざるを得なくなることは、左翼が望む社会主義体制が棚ボタで出現することに等しい。米英の民主党と労働党が都市閉鎖に賛成し続けているのはそのためと考えられる。 (通貨デジタル化の国際政治) (人類の暗い未来への諸対策) とはいえ左翼は、米英の覇権運営を握る軍産諜報界・深奥国家の仲間でない。民主党や労働党で軍産の仲間なのは「左翼(容共・親社会主義)」でなく「リベラル(反共・反社会主義)」を標榜する「中道派」だ。中道派は、保守党・共和党の中道派と同様、完全雇用システムに基づく既存の「リベラル資本主義」を信奉している。これは、戦後の米英覇権の根底にある世界体制でもあった。コロナの危機は、このリベラル資本主義の体制を自滅的に破壊していく。コロナの感染拡大防止を口実に、人々の自由が奪われてリベラル社会が滅亡し、ガチガチに管理された共産中国に似た社会主義・全体主義的な新体制が世界的に敷かれていく。自由市場と完全雇用をめざす資本主義は、コロナが人為的に作り出した世界恐慌によって破壊され、政府のほどこしで人々が生きるUBIやMMTが横行する社会主義的な経済が出現する。コロナの都市閉鎖は、リベラル資本主義を破壊していく。「先進諸国の中共化」が起きる。力なく笑うしかない。 (China and Germany heading for superpower status as U.S. influence wanes, says Putin) (国際政治劇として見るべきコロナ危機) 米国で(万が一)トランプによる共和党結束の策が失敗して民主党のバイデン政権ができると、バイデン自身は中道派だが、コロナ危機の流れからして民主党内の左翼が勃興し、左翼のハリス副大統領がバイデンをしのぐ政治力を持つようになり、中道派が弱体化させられて左翼政権になっていく可能性がかなりある。そうなると左翼は、コロナを使った先進諸国の「社会主義化」が願ってもないことなので、コロナの誇張された蔓延の演出を長期化し、コロナ危機が来年も再来年も続く。ワクチンはなかなか完成しない。 そもそも新型コロナは、発症者のほとんどが体内にもともと存在する自然免疫で治る病気なので、ごく一部の重篤な症状になった人だけに獲得免疫が作られ、それも体内に長く存在しない。獲得免疫であるワクチンを接種しても、しばらくすると体内の抗体が消えてしまう。新型コロナがほとんどの人にとって大した病気でないからそうなるのだが、コロナ危機を長期化したいマスコミや各国政府筋はここぞとばかりに「ワクチンは効果の期間が短くてダメだ」「打つ手がない」「永遠の都市閉鎖を覚悟するしかない」と騒ぎ続け、リベラル資本主義潰しが徹底され、社会主義万歳的な事態になっていく。 要するにコロナは左翼の陰謀なのか??。実はそうでもない。UBIやMMTといった社会主義的な、政府が人々に施しものを配り続ける新体制の資金の出どころは、究極的にすべて中央銀行の造幣つまりQE策である。コロナ危機の長期化で、先進諸国は大量生産・大量消費・完全雇用・みんなで納税のリベラル資本主義体制が破壊され、政府は税収が激減したまま戻らず、QEによる国債買い支えに依存するしかなくなる。しかし、QEで造幣した資金を人々に配って消費させると、商品と通貨の量的なバランスが崩れてインフレが激化し、国債など債券金利が上昇して金融が破綻していく。QEに依存する米欧の新たな社会主義体制は長続きできない。ドルやユーロが破綻したら、米欧の新たな社会主義もおしまいだ。 ドル崩壊は米国覇権体制の不可逆的な終わりになる。世界は多極型になるしかない。多極化を大昔から推進してきたのは、左翼でなく、ニクソン・レーガン・トランプの流れをくむ「隠れ多極主義」の勢黒幕力だ。彼ら多極屋が、左翼が飛びつきたくなる棚ボタの社会主義体制と、コロナの都市閉鎖でそこに行き着く「左からの米国覇権自滅」の道筋を用意してやり、今の事態を作ったのでないかと私は分析している。コロナ危機の黒幕は隠れ多極主義の勢力だ。彼らの目的は、米国覇権の根幹にある既存のリベラル資本主義の世界体制を破壊することだ。左翼が台頭して社会主義的な政策をやる動きは、そのために道具にすぎない。UBIなどはQEの行き詰まり・ドル崩壊とともに終わることが運命づけられている。左翼は、多極屋に動かされているだけだ。 これまでリベラル資本主義をやってきた米欧諸国は、歪曲誇張されたコロナ危機によって資本主義を自滅的に壊し、長続きできないQEやUBIの社会主義体制に移行し、移行から10年前後でそれも経済破綻・ドル崩壊し、単なる貧しい国々になっていく。対照的に、これまで「社会主義市場経済」「集団指導体制」などと言って無理やりリベラル資本主義に似せたことをやってきた中国は今後、習近平による内需主導型経済への転換(双循環)戦略や、「一帯一路」の地域覇権的な広域経済戦略によって、大量生産・大量消費・完全雇用のリベラル資本主義的な経済体制を維持できる唯一の経済大国として存在し続ける。資本主義だった米欧が社会主義になって破綻していき、社会主義だった中国が資本主義になって繁栄を続けるという逆説的な世界になる。ここでも、力なく笑うしかない。 ("The Great Reset" Already Happened) 日本や韓国や豪州や東南アジアは、中国の繁栄に便乗したい。日韓豪亜は、これまでのように米国を絶対の従属先としていたら経済的に自滅してしまう。世界で唯一、まともな経済体制を広域的に今後も保ち続けるのは中国だ。だから日韓豪亜は、中国と周辺諸国との貿易協定であるRCEPの締結を急ぎ、中国も自国の覇権拡大になるので喜んでRCEPを急いで締結した。この事態を作ったのは米国自身である。右翼モリソンの豪州は今のところ中国敵視を続けているが、それをやめるのも時間の問題だ。豪州は、中国との経済関係なしに生きていけない。 (How Australia-China relations have hit 'lowest ebb in decades) 中国と日韓豪亜(ASEAN+5)がRCEPを締結した直後、中国の習近平や商務省が、日豪が主導する海洋アジア・太平洋地域の貿易圏TPP11に中国が加盟することを前向きに考えていると表明した。TPPはもともとオバマ時代の米国が中国包囲網的な貿易圏として構想したものの、覇権放棄・隠れ多極主義なトランプ政権になって米国が離脱し、代わりに当時の安倍の日本が主導役になってTPP11(CPTPP)として進めてきた。安倍は2017年夏、中国に対し「TPP11は中国包囲網でなく一帯一路(中国覇権)と連携する貿易圏です」と表明し、中国敵視をやめて対中従属に日本の国是を転換する動きの象徴としてTPP11を位置づけた。日本は首相が安倍から菅に交代して、むしろ中国に対する擦り寄りを強めた。今回、RCEPの締結とともに、中国は初めて「TPP11に入っても良い」と言い始め、RCEPとTPP11と一帯一路を相互乗り入れ・合体し、日本の対中従属を確定する動きが始まった。 (中国と和解して日豪亜を進める安倍の日本) 中国は今週さっそく外相を訪日させ、日中関係の緊密化に入る。新たなる属国化だ。日本はしばらく「米中両属」になる。琉球を見習うしかない。右翼は紫禁城と首里城に向かって土下座しなさい(右翼なんてもういないってか??。ここでも力なく笑うしなかい)。日本は、米国の次の誰になるかを見極めることすらせず、むしろ米国が大統領選挙後の混乱で同盟諸国へのにらみが効かなくなっていることを利用して、従属先を米国から中国に替えていく。これは不可逆だろう。米国の次期大統領が(万が一)バイデンになったらトランプが放棄した米覇権を修復すると予測されているが、そんな予測がお門違いであることを示すかのように、日本や韓国はどんどん中国の覇権下に入っていく。 コロナ危機は欧米の経済に大打撃を与えているが、それと比較して、日本や中国の経済にはあまり打撃となっていない。中国は早々と国内経済を立て直し、内需主導で世界最速のプラス成長に転換している。日本は都市閉鎖をできるだけやらない姿勢をとり続け、不況を最小限に抑えている。コロナ危機の黒幕をやっている米国(多極屋)は、日本が都市閉鎖をやらなくても圧力をかけてこない。日本が従属先を米国から中国に替えることは多極化に資することだから、多極屋たちは満足しているようだ。日本にも軍産やWHOの手先みたいな「専門家」たちがいて、彼らは日本政府に「もっと強いコロナ対策をとるべきだ」とプロパガンダを叫んでいる。だが、菅政権は彼らを無視する姿勢を見せ始めている。 (専門家「強い対策を」目立つ政府との足並みの乱れ) 日本が対米従属を最重要と考え続けるなら、米国から強要される都市閉鎖など自滅的なコロナ対策をとる必要がある。だが安倍や菅の日本は従属先を米国から中国に替えている。中国は、他国に特定のコロナ対策を強要していない。日本は従来どおりの甘いコロナ対策でかまわない。日本でも欧米と同様、左翼は、社会主義的な体制を強化するコロナ危機の誇張に好んで乗る傾向にある。世界的に見て、戦後の日本は左翼がかなり強い国であり続けてきた。学術界には左翼が多い。彼らは今後もコロナ危機を誇張し続けるだろうが、日本政府はそれに乗らない傾向になっていく。菅政権が就任直後に学術会議の左翼を不承認にしたのは、今後につながる動きの前哨戦だったのかもしれない。 米国の隠れ多極主義勢力・多極屋は戦前から存在している。トランプは創造的ですごいが、多極屋の新参の代理人にすぎない。トランプは「右からの多極化」をやってきた。だが新型コロナの出現後、左翼がコロナ対策を使って米国覇権を自滅させていく「左からの多極化」の流れが出ている。元祖黒幕の多極屋たちとしては、左右どちらからでも、効率良く多極化できるならそれが良いはずだ。ハリス副大統領ら米民主党の左派がバイデン政権を乗っ取って自滅的な策を連発する道筋も、黒幕たちにとって魅力的かもしれない。そう考えると、今回の大統領選で最終的にトランプが巻き返して勝つのかどうか怪しくなってくる。 (Germany Is Ready to Offer America a New Deal) 12月にかけて、いくつかの接戦州で地元の共和党勢力がバイデンの勝ちを認めないまま2重の当選証書が発行されれば最終的にトランプが勝つが、その前段階で接戦州の共和党が敗北を認めてしまうとトランプは勝てない。裁判や再開票は時間稼ぎにすぎず、本質は、トランプら連邦の共和党上層部が、各州の共和党を説得して団結させられるかどうかにかかっている。状況は微妙なところだ。最終的にトランプが負けてバイデンになる場合、黒幕の覇権屋たちが、右からでなく左からの自滅に乗り換えたことになる。 (Trump campaign drops Michigan ballot lawsuit — president called GOP county election officials) とはいえ、多極化に最も大事なのは、米国よりも、同盟諸国が米国に愛想をつかして対米自立するかどうかだ。民主党では、覇権を自滅させる左派だけでなく、覇権を蘇生させたい中道派・軍産もいて左派と暗闘しており、まだまだ決着がついていない。バイデンを勝たせると、同盟諸国の軍産エスタブたちが米国の軍産中道派と結託して米覇権を延命させかねない。民主党内で中道派が強まると、左派が力を削がれて再び傍流に落とされ、覇権の自滅が進まなくなる。それは多極屋が望むところでない。この点では、同盟諸国に喧嘩を売り続けるトランプの方が多極屋にとって良い。トランプにあと4年やらせてから民主党左派に政権を取らせるのが良い。 (Thank You for Voting and Get Out) (Giuliani Claims in Court That Pennsylvania Election Was Stolen) しかしさらに考えると、これからあと4年間もコロナ危機を引き伸ばせるのかという疑問に突き当たる。コロナ危機が長引くほど、欧米では、しだいに誰が見ても愚策とわかるようになる都市閉鎖に反対する市民の反政府運動が強くなる。すでにスペインなどでは、反政府運動を抑えられないので政府が半年間の都市閉鎖を決めており、それがまた市民を怒らせ反政府運動を扇動してしまう悪循環になっている。コロナ危機自体をあと4年間引っ張らなくても、その前に欧米はどんどん自滅していくとも読める。コロナ危機を終結して、似たような他の針小棒大な感染症を世界的に蔓延させる手もあり得る。ビルゲイツがいろいろなヤラセを考えてくれている。まずは、トランプがどうなるかだ。どうなっても、日本は中国への擦り寄りを続けるだろう。 (Anti-Lockdown Protests All Across Europe)
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