政争になる米国のコロナ2021年3月10日 田中 宇米国のテキサス州とミシシッピ州が3月2日、マスク義務化や店舗閉鎖要請など、新型コロナの蔓延防止策をすべて解除すると発表した。飲食店もイベントも100%の収容人数で再開される。それぞれの州内のコロナ感染者数が減ったことが全面解除の理由だ。 (Texas Ends Covid Mask Mandate, Lifts All Anti-Virus Restrictions, Allows All Businesses To Reopen) これに先立ち、2月8日にはアイオワ州、2月12日にはモンタナ州が、それぞれマスク義務化を解除した。2月22日にはノースダコタ州議会が、マスク義務を解除すると同時に、学校や企業などが入場者にマスクを義務づけることも禁止する新法を可決した。その他、アラスカやフロリダ、オクラホマなど、合わせて16州が3月2日の時点で州としてのマスク義務化策を採っていない。 (16 States Are Now Following The Science) 16の州は、すべて州知事が共和党だ。対照的に、カリフォルニアやニューヨークといった州知事が民主党である諸州は、マスク義務化や店舗閉鎖命令など、厳しいコロナ対策をとり続けている。連邦政府もバイデンの民主党政権だ。バイデンは1月20日の大統領就任と同時に、全ての米国民にマスク着用を義務づける大統領令を出した。マスク義務化をやめた共和党知事たちは、連邦の政令に違反する決定をしたことになる。事態は、厳しいコロナ対策に賛成する民主党と、反対する共和党との政争になっている。 (Texas among 16 states with no mask mandate amid COVID) (List of current United States governors - Wikipedia) マスコミはコロナを大変な病気であると喧伝し、都市閉鎖や閉店要請、マスク義務化をコロナ対策として「科学的に」必要不可欠なものと報じている。報道を信じるなら、厳しいコロナ対策をとる民主党が「正しく」、コロナ対策をやりたがらない共和党が「間違っている」。テキサスやミシシッピの共和党知事がコロナ対策を解除したことに対し、バイデンは「(科学を知る前の)原始人と同じだ」と批判した。 (Gov. Abbott Punches Back at Biden’s ‘Neanderthal’ Comment, Hits Him Where it Hurts the Most) 実のところ、コロナの報道の多くは意図的に歪曲誇張され、正しくない。これまで何度か書いているように、コロナの脅威は、偽陽性満載のPCR検査や、死因の歪曲などによってひどく誇張されている。都市閉鎖や店舗閉鎖、マスク義務化は、コロナの対策として正しいものでない。コロナは危機、科学をねじ曲げた「エセ科学」「ニセ現実」を人々に信じこませることで成り立っている。コロナは科学としてでなく、政治的な詐欺の話として理解すべきだ。米国の多くのマスコミは民主党寄りだ。ニセ現実を軽信させられている民主党の「現代人」より、エセ科学を信じず拒否する共和党の「原始人」の方が正しかったりする。 (Covid Cases, like Political Careers, are Dropping Like Rocks) 民主党知事のカリフォルニアやNY州は都市閉鎖など厳しいコロナ対策を採っているが、都市閉鎖をやっていない共和党知事のフロリダやテキサスに比べ、コロナ感染者数が大きく減っているわけでない。厳しい都市閉鎖をやっても感染者が大幅減少にならない。都市閉鎖が愚策であることがわかる。ここでいう感染者数は、いろんな誇張が入った公式統計だ。米国や世界の上層部がコロナ危機をうまく演出したいなら、都市閉鎖を厳しくやると公式統計上の感染者数が減るようなトリックを作れば良いのに、それがうまくいっていない。 (Texas Ends Covid Mask Mandate, Lifts All Anti-Virus Restrictions, Allows All Businesses To Reopen) 加州やNYの人々は、民主党支持者であっても、自州のコロナ対策にうんざりし、州知事に対する支持率が落ち続けている。加州の民主党知事は、テキサスなど共和党知事の都市閉鎖解除を強く批判したが、加州が都市閉鎖に固執するほど、知事に対する州民の支持が落ちていく。NY州の民主党知事は、都市閉鎖の愚策性に加え、老人ホームでのコロナ感染を隠した疑惑と、側近女性とのスキャンダルまで重なり、州議会の民主党勢力が知事辞任要請を出す事態になっている。民主党を主導すべきバイデンからは主導性が感じられない(やはり認知症?)。民主党内部のコロナ軽信の態勢が崩れかかっている。 (In Bombshell Statement, NY Senate Majority Leader Demands Cuomo Resign "For The Good Of The State") 都市閉鎖を延々と続けてもコロナ危機が去らないので、軽信的な人々ですら、都市閉鎖やマスク義務化への不信感をつのらせている。コロナのニセ現実が続く限り、民主党は人気が下がり、トランプ派が隠然と席巻している共和党側への支持が増える。共和党はトランプ政権時代、軍産(諜報界)の傀儡であるエスタブ勢力と、草の根右派の勢力との混合体で、トランプは軍産を懐柔する意味でコロナ危機のニセ現実に一定の理解を示して放任していた。 (コロナの歪曲とトランプvs軍産の関係) だが、昨秋の選挙後の混乱で共和党内の軍産エスタブがトランプ敵視に回り、トランプを擁立する草の根右派との党内対立が強まった。党内は軍産が弱まり、トランプ派が席巻している。トランプ派は軍産に配慮する必要がなくなり、コロナ危機がニセ現実のインチキであると公式に主張するようになった。トランプ政権時代にコロナの都市閉鎖をやっていた共和党の州知事たちが、最近急に都市閉鎖をやめる傾向に転換したのは、このような背景がある。コロナがニセ現実であることは、トランプ時代には共和党と民主党の間の政争のタネになっていなかった(ニセ現実の受容で2大政党が談合していた)。だが今はコロナのニセ現実性が、2大政党の政争の最大級のタネになっている。 (コロナのインチキが世界的にバレていく) コロナのニセ現実性・脅威の誇張が露呈するほど、民主党に不利になり、トランプ派に有利になる。ほかにも最近、コロナのインチキさが露呈しかける事態が散見される。英米など世界的に今冬、季節性インフルエンザの発症者がほとんどいない。英国ではインフル発症者がゼロである。PCRの偽陽性によって、インフルの発症者がコロナ発症者と誤認されている。米国では当局筋でそのような推測を表明した人もいる。マスコミや権威筋の全体としては、インフルがコロナ誤診されている件が無視されている。 (Not a single case of flu detected by Public Health England this year as Covid restrictions suppress virus) (What happened to “flu season?” In the age of COVID, “the flu” has been reclassified as coronavirus, says epidemiologist) WHOは1月、コロナの陽性者を判定するPCR検査の増幅のサイクル数が、世界の多くの国で38-40という高すぎる設定になっているので下げた方が良いと表明した。日本も40サイクルだ。40サイクルだと、陽性と判定された者の90%が偽陽性だ(陽性判定が実際の10倍になってしまう)。その後、各国がコロナ判定用のPCRのサイクル数を下げたのかどうかわからない。だが、そのころから世界的にコロナ陽性者が減少傾向にあり、これは各国がPCRのサイクル数を下げたせいでないかと推測されている。 (Fact-Check #10: Why “new cases” are plummeting) また最近、今夏ぐらいまでにコロナの蔓延が集団免疫に達すると予測する「専門家」があちこちから出ていている。ゴールドマンサックスは、株価をつりあげる策略っぽく、米欧が6月までに集団免疫に達すると言っている(集団免疫への到達が確認されて都市閉鎖が終わると経済が蘇生し株価が上がるとのシナリオ)。対照的に、コロナの恒久化を画策するビルゲイツの配偶者は「集団免疫は2022年あたり」と豪語している。どちらさまも、自分たちの見せたいコロナ像を描くことで、感染問題の解決以外の自分らの利益のために使おうとしている。以前の標語は「ワクチン完成まで都市閉鎖をがんばりましょう」だったが、ワクチンが完成して接種が始まっても効果に疑問があって都市閉鎖が続くことになったので、こんどは「集団免疫までがんばりましょう」に標語が変わっている。上からの都合で「現実」がコロコロ変えられている。コロナはまさにニセ現実だ。 (Goldman Now Sees Most Advanced Economies Reaching Herd Immunity In 3 Months) (Covid: Melinda Gates says we could reach global herd immunity sometime in 2022) コロナと並んで地球温暖化の人為説も、共和党と民主党の政争のタネになっている。温暖化人為説は、コロナと並んで、国際的な「上」の方が人類に幻影を信じこませているニセ現実の一つだ。後発だがよりパワフルなニセ現実であるコロナが昨春に出現した後、しばらく温暖化人為説の誇張は下火になっていたが、米国がバイデン政権になって人為説の誇張を全力で再開し、息を吹き返した。コロナと人為説はバイデンの米国の「双子のインチキ」になっている。共和党は以前から人為説をインチキとみなしてきたが、最近党内で軍産が弱まってトランプ派が席巻するとともに、共和党は人為説のインチキさをより強く指摘するようになっている。 (ニセ現実だらけになった世界) (金融バブルを無限に拡大して試す) コロナと人為説に関して、トランプ派が席巻する共和党はニセ現実のインチキを暴露しようとする側で、民主党はインチキを積極的に軽信して「事実」と言い募り、共和党の主張を陰謀論と断罪して犯罪者扱い(共和党側から見ると共産主義的な言論弾圧)する側だ。昨秋の大統領選挙で民主党が不正をしたかどうかという選挙不正疑惑に関しても、共和党は不正を暴露する側で、民主党は不正を隠蔽する側だ。マスコミや司法界は旧来の軍産エスタブ(世界の「上」の方、深奥国家)の一部なので、ほとんどの勢力が民主党の側につき、共和党側を「間違ったことを信じ込んでいる危険な妄想集団」とレッテル貼りしている。 (America in Decline on Many Fronts: Our Political System Is Broken, Our Industrial Base Is Vanishing) (More Election Fraud, Medical Tyranny, Economic Update) ダボス会議を運営してきたWEF(世界経済フォーラム。世界の「上」の方の代理人っぽくふるまう勢力)が提唱する「大リセット」は、コロナと人為説のニセ現実を積極的に軽信して「事実」とみなして、統合的な「人類の未来」を描き出す「ニセ現実の屋上屋」的な(ニセ)構想だ。WEFや、その傘下と思われる英国ガーディアン紙は先日「コロナのようなバンデミックが2年ごとに世界を襲い、そのたびに世界的に都市閉鎖が行われれば、人為で排出される2酸化炭素の量が大幅に減り、世界を破滅させる地球温暖化を防げるので好都合だ」という趣旨を表明した。 (Guardian Promotes "Global Lockdown" Every Two Years To Combat Climate Change) 世の中にはいまだにコロナや温暖化人為説をマスコミ報道通りに丸ごと軽信している人(理性放棄者)も多い。だが、コロナや人為説の喧伝が長期化するほど、なんだかおかしいと(上からの植え込み・洗脳でなく)人間に本来備わっている理性を使って知覚・考察し、ニセ現実のインチキさに気づく人が増える。医者・記者・学者・役人・政治家などの権威筋やマスコミは、ニセ現実のゴリ押しを続けるだろうから、権威筋の権威がしだいに落ちていく。米政界は、権威筋=民主党vsニセ現実に気づいた人々=共和党という対立軸になっていく。日本や欧州でも、左翼は今後もずっとニセ現実を軽信し続けるだろうから、ニセ現実に気づくのは右翼(極右とレッテル貼りされている勢力)になる。日本には右翼がいない(日本で右翼と称してきた勢力の多くは官僚機構の傀儡)ので、日本人は今後もばらばらな個人の領域を超えた集団的なニセ現実への気づきがなかなか起こらない。 (Why America Will Want Donald Trump Back in the White House) 米共和党では、カリスマ性のある指導者がトランプしかいない。トランプを敵視してきた軍産系のミット・ロムニー上院議員でさえ、このままいくと2024年の大統領選の共和党の統一候補はトランプになると予測している。次の大統領選は再びバイデン対トランプになる(バイデンが認知症の露呈で辞職すると民主党の統一候補は替わる)。次期選挙の最大の要点は、民主党(と軍産)が郵送票や投票機を悪用した選挙不正を再びやれるかどうかだ。民主党が議会両院と大統領府というすべてを支配している連邦政府では、民主党が選挙不正を恒久化できるようにする新法律(HR1)が制定されかけている。対照的に、共和党がわりと強い各州の州議会では、郵送票制度の厳格化など、民主党による選挙不正をやりにくくする選挙改革の法律が制定され始めている。次期選挙で民主党が選挙不正をやっても、昨秋と同様、マスコミはほとんど報道しないだろう。マスコミは軍産傘下であり、軍産はニセ現実の長期定着を狙っているのでトランプや共和党の復権を望まないからだ。 (Mississippi Gov: ‘I Don’t Think Mail-In Voting Should Be Allowed,’ ‘Lots Of Opportunities For Fraud’) (バイデンの認知症) 民主党は政権をとったので、トランプが止めていたメキシコから米国への違法移民の流入を再び容認している。中南米系(ラティノ)の人々は伝統的に民主党支持だ。米国では身分証明書がなくても投票できるので、違法移民も有権者になれる。民主党に投票する人を増やすため、民主党はオバマのころから違法移民の流入を容認している。トランプは、民主党に投票する人を増やしたくないので、違法移民を入れない「国境の壁」の政策をやっていた。この話は、外国人である違法移民に投票させようとする民主党が不正な「悪」である。 バイデンになって再び違法移民の流入を容認する「悪政」が再開されたが、この策を過激にやって失敗させようとする「隠れ」の勢力が、民主党支持のふりをした米諜報界内にいるようで、犯罪者を含む大量の違法移民が米墨国境を超えて国境沿いの南部各州に流入し、各州の犯罪や住民へのハラスメントが急増している。移民の一時収容所もあっという間に定員超過でパンクしている。南部各州では「違法移民の流入を取り締まっていたトランプ政権下の方が良かった。あれに戻すべきだ」という意見が強まっている。 (Biden Border Failure Is Now Impacting US Cities As San Diego Suffers Record Rapes By Illegals) 違法移民の移動を請け負うメキシコや中米の業者(マフィア系)には、米諜報界の要員や資金が入り込んでいる。米諜報界がうまく制御すれば、混乱が少ない形で違法移民が米国に入り込んで民主党に投票してくれる。今の現実はそれと正反対で、意図的に混乱が大きい形で違法移民を米国に乱入させ、違法移民を取り締まるべきだという世論が高まり、違法移民を使った民主党の選挙謀略が失敗するように誘導されている。
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