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米国と世界を非米化するトランプ

2025年2月20日  田中 宇 

トランプ米大統領が、米国を「非米化」している。2022年春のウクライナ開戦後、世界は、ロシアを徹底的に制裁する「米国側」(米英EU、NATO、G7、豪NZ、ウクライナなど)と、米国側の対露制裁を無視してロシアと付き合う「非米側」(中国イラン印度などBRICS、ASEAN、トルコ、中南米アフリカ諸国など)に分裂した。
米国は、これまで米国側の主導役(覇権国)だったが、トランプは米国の態度を大転換し、英EUやウクライナを批判しつつ、ロシアと仲良くし、米露の話し合いでウクライナ戦争を終わらせようとしている。
Trump Blasts Critics Of His Ukraine Peace Initiative, Including Zelensky, Questions Where Hundreds Of Billions Went

ロシアを敵視してウクライナ戦争を続ける米国側の陣営は、トランプの米国が抜けて英EUだけになってしまった。トランプはウクライナ支援もやめた。バイデン政権は、ウクライナ上層部の超腐敗を無視して巨額資金を注入してきた。
トランプは正反対に、これまで支援した分を埋蔵されている希土類で返せと言い出している。イーロン・マスクのDOGE(政府効率化省)は、バイデン政権時代の不正な資金注入を捜査している。
Ukraine must pay Americans back - top Trump aide

EUではフランスのマクロン大統領が欧州諸国を集めてサミットを開き、米抜きでウクライナ支援を続けようとしたが、欧州の多くの指導者(イタリアやハンガリーなど以外)は米国(諜報界)の傀儡で、自分たちだけでは何も決められない。カネもない。欧州は選挙のたびに対米自立した右派政権が増え、諜報界の傀儡から離脱していく。
AfG candidate for German chancellor seeks end to policy of sanctions on Russia

米国側の政府の多く(トランプ以外の米国自身を含む)は、米諜報界(英国系。DS)の傀儡だ。諜報界に逆らう政治家は、次の選挙で落とされたり、過去の不正行為がマスコミにリークされたりして無力化される。(安倍晋三はちょっと独自路線を行こうとして殺され、DS傀儡である日本のマスコミは統一教会の話にすり替えて安倍の自業自得だと報じた)
Paris Summit was theater, and much ado about nothing

トランプは、米諜報界を潰すために大統領になった。一期目は諜報界に抑止されたが、2期目は改善した。諜報界が使う資金の多くは、使徒を明確にできない不正な不明金だ(明確にしたら諜報界の活動がバレてしまう)。トランプ返り咲き後、マスクのDOGEが米政府内の使徒不明金を捜査して不正支出を止め、諜報界を抑止した。
不正支出を犯罪捜査していけば、要員たちを逮捕して諜報界を潰せる。トランプはまだそこまでやらず、弱みを握ることで諜報界を止めている。諜報界の傀儡であるEU英独仏ウクライナなどの指導者たちも動けなくなった。マクロンのウクライナ問題サミットは、やったふりだけだ。
Musk’s DOGE claims multi-trillion gap in US government spending
諜報界の世界支配を終わらせる

米国側の本質は、諜報界だ。トランプが諜報界を抑止したので、米国側全体が機能停止している。この状態を作った上で、トランプはやりたかったことをどんどん進めている。まずはプーチンとの関係改善。米露が和解すると、米主導の露敵視機関だったNATOも自動的に機能停止する。
NATOは、諜報界(英国系)の道具だ。英国が欧州を引き連れて米国を縛る機関であり、米国の欧州支配(支配というより、米国が欧州の面倒を見させられる構図)の機関でもある。NATOを機能させるために、冷戦後もロシアを極悪に誇張して敵視し続けることが必要だった。
Riyadh meeting first of its kind ‘since after Cold War’

トランプは、諜報界を捜査して抑止しつつロシアと和解することで、この構図の全体を潰している。米国側(米覇権)は、中心にあった米英諜報界やNATOを潰され、急速に崩壊している。トランプは、ロシアと和解することで、米国を米国側(諜報界の傀儡)から引き抜くとともに、米国側(米覇権、諜報界)自体を壊している。大統領就任からまだ1か月。すごいことになっている。
Riyadh Meeting May Be ‘Beginning of the End of NATO’

サウジのリヤドで行われている米露対話には、トランプのウクライナ特使であるケロッグ(Keith Kellogg)が参加せず、代わりに中東特使であるウィトコフ(Steve Witkoff)が参加した。ウクライナ問題が対話の中心ならケロッグが参加するのが筋だ。代わりに参加したウィトコフは、ネタニヤフとトランプの両方と親しいユダヤ系の不動産実業家で、トランプ発案のガザ抹消策や、イスラエルとサウジなどを和解させるアブラハム合意の推進を担当している。
US Special Envoy: Trust-Building Key to Ending Ukraine Conflict in Saudi Talks
Putin-Trump summit expected this month

米露対話の主題がウクライナ終戦なら、ウクライナのゼレンスキーを参加させてプーチンと和解させることが必要た。ちょうど(意図して)ゼレンスキーは中東を歴訪しており、トランプからの電話一本でリヤドに行ける状態だった。
Zelensky Abruptly Cancels Planned Saudi Visit After Being Sidelined From US-Russia Talks

だがトランプはゼレンスキーを米露対話に参加させず外した。ゼレンスキーは「トランプはロシアに騙されている」と批判しながらウクライナに戻った。トランプは「ゼレンスキーは任期が終わっても選挙をやらずに居座っている独裁者だ」とやり返した。米露関係が改善するほど、米ウクライナ関係が悪化している。
Europe & Zelensky Throw Tantrum After US Sidelines Them From Russia Peace Talks

などなど、米露対話は、ウクライナ終戦より先に、トランプのガザ抹消策やアブラハム合意にプーチンが協力するなど中東問題を話し合っているのでないかと勘ぐれる。
トランプは、米諜報界を牛耳ってきた英国系を潰すために、米諜報界に食い込んでいるイスラエル(リクード系)と組んでいる。ガザ抹消やアブラハム合意といったネタニヤフの念願をかなえてやることがトランプの最重要課題だ。リヤドの米露対話でイスラエルの話が出ていることは間違いない。
米露和解と多極化の急進

シリアでアサドを追い出して政権をとったアルカイダ系のHTSはイスラエルの傀儡だが、HTS政権は、アサドを守るためにシリアに駐留していたロシア軍の継続駐留を許すことになった。
これは、ネタニヤフがプーチンを悪く思っていないことを示している。ユダヤ人はロシア経済(や安保)の重要勢力で、プーチンは以前から親イスラエルだ。プーチンはイスラム世界との関係を考えてパレスチナ支持みたいな姿勢を出しているが、深層はトランプと同じぐらい親イスラエルだ。
中東の敵対関係を扇動維持してきたのは英国系(米諜報界)だ。トランプが諜報界を無力化してプーチンと組むと、中東の対立関係を一つずつ解消していける。イランと米イスラエルの対立も、いずれ解消される。トランプはイラン敵視だが、プーチンはイランと親密だ。米露は役割分担できる。
Russia Is Close To Securing 'Reduced Military Presence' Inside Syria

イスラエルはアラブとの中東戦争(独立戦争)で圧勝したのに、英国系がイスラエルの台頭を恐れ、アラブを扇動してパレスチナ問題を長引かせてきた。諜報界の英国系が無力化されたので、実のところ、ガザや西岸の抹消は自然な流れだ。
パレスチナ人がエジプトやヨルダンやソマリランドで幸せに暮らせるなら、それで良いはず。ダメだと言っている人の多くが(うっかり)英傀儡だ。傀儡たちがダメだと言っても話は進む。
パレスチナ抹消に協力するトランプ

米露対話がサウジで行われた理由の一つは、サウジだと秘密が漏洩せず、トランプとプーチンが敵方の英国系(諜報界)への情報漏洩を気にせず話せるからだ。もう一つの理由は、米露がサウジ王政を巻き込んでパレスチナ抹消を話し合う適地ということ。
そして3つ目の理由は、米露対話を仲介することでサウジ王政(MbS皇太子)の国際地位が上がることだ。今後の多極型世界で、中東はサウジの他、イスラエル、イラン、トルコが立ち並ぶ多極型の中の多極型になるが、その中で米露はサウジを押し上げようとしている観がある。
これまでサウジは対米従属で、他の貧乏なアラブ諸国にカネをせびられるだけで、権威や地域覇権が低かった。今後は違う。米露は中東を安定させるために、サウジの覇権を高めたい(イスラエルと均衡させたい?)のかもしれない。
Can Saudi Arabia help mediate a new Iran deal?

中東と欧州のゴタゴタが一段落したら、次は東アジアだ。トランプは中国を敵視する姿勢をとっているが、それは中国が経済面で米覇権(グローバル経済)の傘下にいた状態から自立(米中分離)させ、経済面の米覇権構造を壊したいからだ。
(トランプは強いドル=米経済覇権維持に固執しているが、これも長期戦略でなく、自分の任期中に金融崩壊させないための短期策だろう)
Alibaba's Jack Ma Reemerges, Shakes Xi's Hand As CCP Renews Confidence In China Tech

対中国の安保面でトランプは、台湾独立を支援するかのような姿勢をとっているが、それは目くらましだ。トランプは、プーチンと習近平に軍事費の半減や核軍縮を提案するつもりだと言っている。そちらが本質だ。
China Furious After State Dept Changes Line On 'Taiwan Independence'

東アジアでトランプは、北朝鮮の金正恩との対話を再開する。そして、尹錫悦を追い出して親北にした韓国と、北朝鮮を和解させていく。在韓米軍も在日米軍も大幅削減できる。削減したくないなら、もっともっとカネを出せ、とトランプは言う。日本は出すかもね。トランプの意図を理解する気がないなら仕方ない。政府も国民も、こざかしさのあまり大局や本質を見たがらない小役人。
Trump wants to reconnect with North Korea’s Kim

マスコミは、欧米も日本も、米諜報界(DS)の傘下にある。学術界など権威筋も同様。これまでマスコミは諜報界からの情報提供(リーク)で報じてきた。トランプが諜報界を潰しているので、マスコミは中身がますます薄くなっている。
米国側のマスコミは、トランプ1期目あたりから歪曲報道がひどくなり、自分たちがニセ情報ばかり流しているくせに、マスコミの歪曲を指摘する者たちをニセ情報とレッテル貼りして逆制裁してきた。
Now Everyone Can See It: The Economy Is Terrible

マスコミやジャーナリズムは歪曲がひどくなって自滅していったが、この流れを起こした黒幕は諜報界の英国系でなく、ライバルの多極派(ロックフェラーとか)の方だったと考えられる。トランプを誘って米政界に入れたのも多極派だろう。
トランプの返り咲きで、諜報界もマスコミも機能低下がひどくなった。マスコミの歪曲を補正するかたちで発信するオルトメディア(ゼロヘッジなど)もスカスカ感が強まっている。私の記事もスカスカだ。有料配信を値下げしておいてよかった。



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