他の記事を読む

ウクライナ停戦機運の強まり

2024年9月24日   田中 宇

フランスのマクロン大統領が9月23日、欧州はウクライナ終戦後にロシアと関係改善すべきだと表明した。
マクロンは、対露関係に関してもともと風見鶏だ。ウクライナ開戦直後の2022年6月にはロシアを追い詰めない方が良いと言っていたが、その後ウクライナが勝ちそうだと思ったのか、好戦派に転じた。
今年初めには、ウクライナの対露敗北を避けるため、NATO軍のウクライナ派兵が必要だと発言し、代理戦争を態勢を変えたくないNATO諸国の多くから拒否されている。
Macron calls for new international order in response to war in Ukraine

そして今回マクロンは、ウクライナがもう勝てない状態になっていることに加え、マクロン自身の人気低下と連立政権内の不和拡大への対応策として、フランスや欧州での厭戦機運の高まりに呼応するかたちで、対露停戦和解を語り出した。
マクロンの発言は、キリスト教会系の集会で発せられた。
Macron calls for new world order
Macron Calls for New European Order

最近、ウクライナ停戦と対露和解を進めるべきだという世論が全欧で強まり、フランスのルペンやドイツのAfDなど対露融和的な右派政党が選挙のたびに優勢を増している。
戦場でも、欧米が支援するウクライナが潰れかかっている。マクロンは、仏政界で勝てるうちに勝っておこうと考えて前倒しで議会を解散して7月の総選挙に打って出たが、1回目の投票でマクロンの中道派が見事に負け、ルペンらの右派に最優位を奪われた(左派が2位)。
欧州エリート支配の崩壊

仕方がないのでマクロンは、これまで仲が悪かった左派と結託し、左派と中道派が選挙協力して右派を負かす目的で候補者を再調整・統合した。その結果、右派は選挙技術的に敗北し、左派が1位、中道派が2位となり、左派と中道派が連立して右派を排除する議会運営が始まった。
だが、マクロンと左派の仲の悪さがすぐに露呈した。左派は、マクロンが指名した中道系の首相候補を繰り返し拒否し、8月から9月にかけてマクロン弾劾決議案やマクロン反対の左派のデモが行われた。
French Left Calls For Mass Protest Against Macron After He Blocks Its Choice For French PM

左派の反対を何とか乗り越えて、9月5日に中道派のバルニエ首相が就任して9月21日に組閣したが、閣僚はマクロンが好む中道右派が多く、左派は不満いっぱいだ。
マクロンと左派の連立政権は短命に終わりそうだ。マクロンの任期は2027年までだが、その前の来春ぐらいに辞任せざるを得なくなるという予測も出ている。

仏独など西欧諸国は、ウクライナ敗色、無根拠な温暖化対策で燃料費高騰、移民(経済難民)積極受け入れの負担増など、エリートたちの超愚策の連続で経済社会の自滅が加速している。不況がひどくなっていく。
エリート諸政党が選挙で負け、各種超愚策に反対し続けてきた右派(極右)が優勢になって与党化していく流れは必然だ。
Olaf Scholz has a sudden moment of clarity about Russia

欧米日のマスコミは、欧州の市民がとんでもないナチスな極右を支持していると喧伝するが、マスコミ自体が超愚策の喧伝屋で大うそつきだ。マスコミを含むエリートは超愚策を拡大し続けたのだから、選挙で負けるのは当然だ(マスコミも早く潰れるべき)。
エリートは対米従属やWEF大リセットなどに縛られ、超愚策をやめられない。右派は、縛りの枠外にいるので民意を汲み取って愚策反対の政策を掲げ、政治優勢を得ている。民主主義が機能している。
欧州は、米国のような大規模な選挙不正をしておらず、まともだ(ドイツ地方選で少し不正があったが、あの程度が限界なのだろう)。米国のように、バレずに不正をやれるなら、もっと早くやっていたはずで、マクロンの窮地もなかっただろう。
West rethinking stance on Ukraine

マクロンや独ショルツなど、西欧のエリートが権力を維持するには、民意を汲み取り、右派と同じ政策に転換するしかない。今回のマクロンの対露和解提案は、このような背景で出されている。
独ショルツ首相も8月8日、テレビのインタビューで、ウクライナを早期に停戦したいと表明した。ドイツはこれまで(米国に求められるまま)欧州で最も多くの兵器をウクライナに送り込んできた。
German chancellor wants to end Ukraine conflict ‘faster’

(独仏などは最近、移民問題でも、これまで国民がいくら反対しても中東やアフリカから大量に移民・経済難民を受け入れ続けてきた策を反転し、移民の流入停止や送還を開始した。EU・シェンゲン条約機構内の無検査の自由移動も廃止し、ドイツなどが国境検問を再開している)
リベラル全体主義・リベ全の強まり

仏独の支配層は、自分たちが不利になる中で、ようやくウクライナでの敗北を認め、停戦や対露和解を望むようになった。だが、視野を広げて俯瞰すると、ウクライナ停戦や対露和解は、少なくとも当面、実現しそうもない。
独仏は、安全保障に関して対米従属であり、独仏を支配する米国(諜報界=深奥国家・DS)は、停戦や対露和解を進める気がなく、ウクライナもしくはその他の地域での対露戦争をずっと続ける姿勢を変えていない。

仏独の首脳よりも、対米従属の傾向が一段高いEUの国防相(リトアニア元首相のアンドリウス・クビリウス)は最近、欧米NATOとロシアとの戦争は今後まだ6-8年続くとの予測を発表した。ロシアは戦争を長期化したがっており、EUはロシアとの長い戦争を覚悟せざるを得ないという。
EU’s Defense Chief Says Europe Must Be Ready To Fight Russia in 6-8 Years

仏独の政府は選挙で選ばれるので民意を反映せざるを得ない。EUにも議会(欧州議会)があり、そこでは停戦や対露和解を求める右派が強くなっているが、EUの政治は多様な派閥の連立制になっており、エリート系の中道派や左派が組んで反エリートな右派を排除し続けている。
そのためEU最上層部の人事は、欧州の民意が反映されない。その分、EU上層部は米英覇権(諜報界)からの介入を強く受け続け、米国の言いなりで対露好戦的な勢力がEUを上から握っている。
いま欧州で最も対露好戦的なのは、ロシアと国境を接するバルト三国だ。ウクライナが兵力の使い果たしなどで対露戦争を継続できなくなったら、次はバルト三国かポーランドで、ロシアやベラルーシとの戦争が始まりそうだ。ポーランドの上層部は最近、親露派と反露派が内紛し続けているが、バルト三国はバリバリのロシア敵視派が握っている。

EUトップの首相職(欧州委員長)には、米諜報界の傀儡で、リベラル全体主義が大好きな、元独国防相のフォンデアライエンが続投している。彼女は、WEF(ダボス会議)の申し子で、1月のダボス会議では、欧米右派に対する大規模な言論弾圧・言論を理由にした右派弾圧を大々的に開始するリベ全を提案した(リベ全=偽情報禁止策は、今年ダボス会議の主題だった)。
そんなフォンデアライエンは最近のEUの組閣で、EU外相にエストニア前首相のカヤ・カラス、EU防衛相にリトアニアのクビリウスを配置した。いずれもバルト三国を代表するロシア敵視な政治家だ。
EU President Demands Globalist Control Over All Information

EU上層部は、欧州の民意を全く無視し続け、ゴリゴリの米傀儡として、ロシア敵視とウクライナ軍事支援を継続する構えだ。NATOは、EUよりもさらに対米従属だ。
このような状態なので、仏独など欧州諸国の多くが、民意を反映してウクライナ停戦と対露和解を求めるようになっても、民意と関係ないEUやNATOは、加盟諸国の意向を無視し続け、ロシア敵視と戦争継続を志向し続ける。
ウクライナが兵力的にへたばって戦争継続できくなったら、ポーランドやバルト三国に戦場を拡大・移動してロシア敵視の恒久化を試みるかもしれない。米諜報界が動けば、何もないところから戦争を起こせる。

米覇権を牛耳る諜報界は、米国だけでなく英国も支配している。英国の外相(David Lammy)は最近の講演で、ウクライナ戦争は今後さらに激化・深化し、2026年まで続きそうだと予測した。
米諜報界や英国、NATO、EUは、露敵視やウクライナ戦争をまだまだ続ける気でいる。
Ukraine conflict could continue beyond 2026 - UK FM

欧州の民意や、仏独などしだいの多くの欧州諸国の政府は、ウクライナを停戦して対露和解したくなっている。だが、欧州を支配する米諜報界は、ウクライナ戦争や露敵視をずっと続けたい。停戦派と好戦派が交錯しつつ、ウクライナの現場はしだいに戦争継続が困難になっている。
露軍は今年、ウクライナのインフラを破壊する空爆を強化し、ウクライナの電力網の7割がすでに破壊されている。今冬、ウクライナの多くの地域は暖房がなく、人々は昨年よりさらに厳しい生活を強いられる。
Coming winter ‘sternest test yet’ for Ukraine - IEA

欧米は昨年、ウクライナ政府財政の50%(191億ドル)を資金援助してくれたが、今年は27%(106億ドル)しか出してくれない。欧米がウクライナを支援する余力や意欲が、しだいに失われている。
West has halved financial aid to Ukraine - media

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナの国家体制が残っている間に、ロシアと交渉して停戦和解を実現したいと思っている。今年7月には、ハンガリーのオルバン首相に仲裁役を頼んだりした。
対露和解を望み始めたゼレンスキー

だが、ウクライナ政府を傀儡化している米国は、対露和解を許していない。ゼレンスキーは本心と裏腹に、米国から命じられるままに戦争を続けざるを得ない。
ゼレンスキーは9月22日に訪米し、米国がウクライナを軍事支援し続ける計画を米政府に提案した。ウクライナ支援をやめたいトランプが大統領になっても、支援を続けざるを得ないよう、米国とウクライナの間でNATO型の拘束力のある条約を結ぶ話などが盛り込まれている。
Zelensky aiming to ‘Trump-proof’ aid

これら米国を巻き込む策略は、ゼレンスキーらウクライナ側が立案したことになっているが、実はたぶん違う。米諜報界が自分たちの利益のために立案し、傀儡のゼレンスキーに実行させている。ゼレンスキーの本心は、トランプに頼ってウクライナを停戦したいはずだが、それと逆のことをやらされている。
米諜報界は、ゼレンスキーを動かして米政府に軍事支援金を出させ、諜報界傘下の米軍事産業がフル稼働でウクライナ向けの兵器類を製造し続ける構図を作っている。
ゼレンスキーは、ウクライナのためでなく、米諜報界のために働かされている。ウクライナ戦争は、ウクライナや欧州のためでなく、米諜報界のために長期化されている。
Zelenskyy Begins Busy US Week With Tour Of Pennsylvania Ammo Plant

米諜報界は露敵視勢力だ。しかし諜報界には、隠れ多極主義者もいて、彼らはウクライナ戦争を長期化することで、こっそりロシアを強化し、露中非米側を台頭させ、欧米を自滅に導いて世界を多極化している。
ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ開戦時から、この戦争が長引くほど、ロシアと非米側が優勢になり、米国側が自滅していくことを知っていた。米国側のマスコミは、支配者である諜報界の隠れ多極派の策略に乗せられ、露軍が大敗し続けていると意図的に歪曲報道し続けたが、ロシアは米側の歪曲報道を否定せず黙認したまま、じわじわと少しずつ勝ち続け、露軍優勢な中で戦争を長期化してきた。

ウクライナの真ん中を流れるドニエプル川には20本の橋がかかっているが、露軍はこれらの橋をほとんど攻撃せず、ウクライナ軍が橋を渡って露軍を攻撃しに行くことを、この2年半の間、ずっと容認している。露軍が橋を攻撃して落とせば、ウクライナ軍の補給路を断てる。それは戦争の基本であるが、ロシアはそれをやっていない。不可思議だ、と有名な在露米人ブロガーが書いている。
Why Won’t Russia Destroy Ukraine’s Bridges Across The Dnieper?

私から見ると不可思議ではない。ウクライナ戦争が露軍優勢な中で永続することが、ロシアの国益を最大化するのだから、露軍よりかなり弱いウクライナ軍のために補給路の橋を残してやり、露軍の優勢を少しに限定する策をやっている。露軍は意図的に「飛車角落ち」にしている。

ウクライナ軍は8月に対露国境を少し超えてクルスクに侵攻して占領した。それから1か月以上が過ぎたのに、強いはずの露軍はいまだに敵軍を自国領から追い出さずにいる。これも、私から見ると意図的な「弱いふり策略」だ。
ウクライナ軍がクルスクを占領している限り、世界のいろんな勢力が「ウクライナと和解してくれ」とロシアに要請しても、ロシアは「クルスクを占領されている限り、ウクライナと和解できない」と突っぱねる。
クルスク侵攻は米諜報界の立案で、ゼレンスキーは拒否できる立場にない。諜報界は開戦時から「ウクライナは勝たねばならない」という強迫観念を米欧に植えつけてある。米欧がウクライナ軍に、クルスクからの自主撤退を許すことはない。
大状況が転換しない限り、露軍がウクライナ軍をクルスクから追い出すこともない。ロシアとウクライナは停戦交渉に入れない。
ウクライナ戦争で米・非米分裂を長引かせる

クルスク侵攻は、ウクライナにとって得るものがなく、兵力の浪費になっている。だが最近、米英の諜報長官がマスコミ主催の会合に参加し、2人揃ってウクライナ軍のクルスク侵攻を絶賛した。ウクライナ軍の士気を高める素晴らしい作戦だと。
これは噴飯ものだ。米英の諜報機関が、隠れ多極派に牛耳られていることが見て取れる。
CIA, MI6 Chiefs Praise Ukraine's Kursk Invasion For Bringing War To 'Ordinary Russians'

ウクライナ戦争は、米諜報界の隠れ多極派とプーチンのロシアの共同作業によって、露中・非米側の台頭と米覇権自滅を引き起こす策略として長期化されている。停戦は、なかなか実現できない。仏マクロンの対露和解も実現困難だ。実現する前に、マクロンが辞任に追い込まれそうだ。
とはいえ、この行き詰まりを一発で大転換できるシナリオも存在する。それは11月の米大統領選挙でトランプが勝つことだ。
トランプが勝って大統領への返り咲きが決まると、トランプは、すでにウクライナ停戦和平のために動いているハンガリーのオルバン首相などと連動し、停戦実現に向けて動き出す。トランプが来年1月に大統領に返り咲くと、諜報界の動きを上書きして、ウクライナ軍を自主的なクルスク撤退に誘導できる。
マクロンは、トランプにすり寄ってウクライナ停戦に協力し、政治的な延命を図れる。独ショルツも静かにすり寄ってくる。

少し前まで、欧州でウクライナ停戦・対露和解に賛成していたのは、オルバンや独AfDなど、マスコ"ミに「極右」呼ばわりされる右派だけだった。独仏EUの首脳などエスタブ・主流派の勢力は、こぞって露敵視・ウクライナ徹底支援だった。
欧州のエスタブ群は米民主党の仲間であり、トランプの敵だった。NATO内で、トランプが返り咲いた場合の「危機対応策」が検討されていた。EUはオルバン制裁を推進していた。
だが今や、仏独首脳が政治延命のためにウクライナ停戦・対露和平派に転向した。オルバンは、EU諸国の政界でウクライナ和平派が急増していると喜んでいる。
More EU leaders joining ‘peace camp’ - Orban

この流れの中で米国がトランプになると、欧米全体でウクライナ和平派の力が一気に強くなって主流派になる。米仏独が和平派に転換し、露敵視を維持しているのはEU上層部と英国、バルトなど東欧小国群の一部だけになる。
トランプは、米国と世界を隠然と支配する「民主主義の敵」である米諜報界を潰すために大統領になった。2期目も、諜報界との果たし合いになる。
米欧は、露敵視を続ける米諜報界とその傀儡のEUフォンデアライエン一派や英国などと、ウクライナ停戦したいトランプと欧州の仲間たち(オルバンや仏独)という対立軸になる。対立は、露敵視の優勢から、対露和解の優勢へと大転換する。欧州でトランプ待望論が強くなっている。

この転換は、プーチンにとって迷惑だ。だが、仲良くしたいと言ってくる人々を無視するわけにもいかない。プーチンはこれまで米大統領選について、バイデンやハリスが勝つ方が米国がどう動くか予測できるので良い(トランプになると予測困難なので嫌だ)と繰り返し言っていた。
だが、欧州でトランプ待望論が強くなり出した最近、プーチンの腹心であるラブロフ外相が「プーチンのハリス支持発言は冗談でした」と言い出した。米国は深奥国家(DS=諜報界)が支配しており、ハリスとトランプのどちらが勝ってもDSが米国を支配する状況は不変なので、どっちが勝っても良いんです、とラブロフは説明した。
Putin’s Kamala endorsement was a joke - Lavrov

なるほど。でも、トランプが勝つとDS支配を破壊しそうだけど。それはロシアにとって良いことなのかどうか。ラブロフはその辺について言っていない。
私の見立てでは、プーチンがハリス支持論を冗談だったとラブロフに言わせた理由は、欧州でトランプ待望論が強まっているので、それと対立するハリス支持論を希釈・撤回することにしたのだろう。

米大統領選の勝敗を決めるのは欧州人やロシア人でなく、米国民だ。しかし、それも建前だ。米民主党は、諜報界の協力を得て、2020年と2022年中間選挙で郵送投票制度や開票作業を使った大規模な選挙不正をやり、完全犯罪として成功している。
米諜報界では昔から、単独覇権派と多極派が馬鹿し合いの暗闘を続けてきた。これまでは民主党の選挙不正が成功したが、今年はわからない。不正が不十分に終わるかもしれないし、トランプ陣営が不正を乗り越えて勝つかもしれない。

私は最近の記事で「米大統領選は、リベラル全体主義(リベ全)の完全犯罪的な歪曲の中に入った。リベ全のウソはバレたことがない。ハリスがトランプを落とす選挙不正もバレず、トランプは勝てない」という趣旨を書いた。
無能なハリスを有能と歪曲する

だが、米諜報界の多極派は、トランプと支持者たちを頑張らせ、ハリスの選挙不正を乗り越えて選挙に勝ってトランプ返り咲きを達成するというシナリオを用意しているのかもしれない。難攻不落だった極悪なリベ全を、トランプと支持者たちが壊し、米国の民主主義と言論の自由を取り戻す。
こういう革命のシナリオを用意して人々に具現化させることで、強い政治体制を作れる(だから、かつての諜報界=ユダヤ資本家群はフランスの民衆に革命をやらせ、強国=近代国家を作るモデルを作った)。
人々を頑張らせて勝たせるシナリオを経ないと、せっかく作った新体制を、再び軍産単独覇権派に奪われかねない。だから多極派は、リベ全とか大リセットとかコロナワクチンなど、トンデモな極悪物を作り、人々にそれを乗り越えさせようとする。
もちろん世界には、どこかの国民みたいに、乗り越えずに従属・順応してしまう「劣等生」もいるが、そういうのは放っておく(ラッキーです)。

トランプが勝つと、米国側の大転換が加速する。ならば勝たせてみようかと、諜報界の多極派とかが面白がってやりたがる感じはする。プーチンは困っているが、習近平はトランプの方が各地の戦争が終わるので良いと思っている。
コロナ以来、DS(深奥国家=米諜報界=米覇権運営体)は、米諜報界と中共の共同覇権であるDH(深奥覇権)へと転換・止揚している観がある。WHOやIPCCを握っているのは米国でなく中共だ。習近平が望むならトランプが返り咲く、ともいえる。
DHの話は、まだ考察中だ。いずれ書きたい。



田中宇の国際ニュース解説・メインページへ