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多極型世界システムを考案するロシア

2023年12月4日   田中 宇

米国がマイダン革命以来ウクライナにロシア敵視・国内露系住民殺しをやらせ、それが昨年2月末のロシアの正当防衛的なウクライナ開戦につながった。
開戦後、世界は、ロシアを敵視する米国側(G7やNATOなど)と、米国側のロシア敵視に追随せず対米自立の傾向を強める非米側とに、決定的(おそらく不可逆的)に分裂した。

非米側は、米国が単独覇権主義・文明の衝突戦略(中露イスラム潰し策)を強めて911テロ事件を(自作自演的に)起こした2000年前後に、中国とロシアが結束する上海協力機構(上海ファイブ)を作った。非米側は、米国がリーマンショックでドル崩壊した直後の2008年にはBRICSを立ち上げた。
非米側はこれまでも四半世紀かけて、米国覇権から自立した自前の世界体制の構築を試みてきた(米国側はこれを軽視・無視して報じていない)。非米側が独自の世界体制を構築する動きは、ウクライナ開戦による画期的な世界二分化後、大幅に強まった。

中国はそれまで国家戦略として、トウ小平以来の米国側との協調と、習近平が開始した非米側の強化(一帯一路など)との両方をバランスして続けてきた。だがウクライナ開戦後、中共は米国側を見限り、ロシアと相談して非米側の世界体制を強化する策を重視するようになった。
中国は非米側の主導役の一つだ。だが、中国は国家戦略の詳細や決定過程を外部に見せず、機密にしている。中共が多極型世界や非米側のまとめ方についてどう考えているか、全く漏れてこない。
対照的にロシアは、ウクライナ開戦前から、多極化に対する分析や、非米側をどうまとめるべきかについての提案や考察を割と発表してきた。開戦後、分析や提案の度合いが急拡大し、ロシアは非米側の世界システム構築の提案者・指南役になった。ドルを代替するBRICS共通通貨を作れないかずっと試行錯誤しているのはロシアだ。
露政府(プーチン)は、国内の大学やシンクタンクに分析や提案を出させ、世界戦略の立案に使っている。

世界の分析や露政府の戦略の提案を行ってきた大学の一つに「HSE大学」(国立研究大学経済高等学院)がある。HSEはウクライナ開戦後、何度も分析書・提案書をまとめて政府に提出・公開してきた。
HSEは、さる11月30日と12月1日に、世界の多極化や非米側のあり方に関する5回目の国際会議を開いた。議題は「新たな現実下での世界多数派: 地域研究の視点から」。
私流に言い換えると「多極型世界における非米側の各地域の状況」。会議の内容(予定表や出席者一覧など)は、英文でネットに公開されている。
V International Conference 'The World Majority in New Realities: the Regional Dimension''The World Majority in New Realities: the Regional Dimension'
発表者の一覧と発表題名のリストのpdfはこちら

私はこの会議に呼ばれて出席し、米国の隠れ多極主義の傾向について英語で7分間話した(グーグル翻訳を多用して文を作って朗読した)。朗読した文書を公開しておく。
From US-centered World Order to Multipolarity

分科会形式の2日間の会議で50人以上(プログラム上は100人近く)の研究者や外交官らが発表した。ロシア人を中心に、非米諸国の研究者や外交官が参加した。米国側諸国からの発表者は、日本からの私と及川幸久さんの2人だけだった。発表者一覧を見ると、私が聞かなかった分科会に討論参加者としてスペインから1人来たことになっている。
米国側から日本人が2人参加したのは、HSE大学のガリーナ・タキガワ教授の尽力によるものだ。タキガワ教授とご主人の瀧川敬司・東京貿易ロシア法人代表が日本からの会議参加者を探したが、日本の学術界やマスコミなど権威筋の人々は世界やロシアに対する見方が頓珍漢でダメで、私のような肩書なしの市井人に声がかかった。

私は2日間で20人ほどの発表を聞いたが、従来型の地域研究者による漫談発表も多かった。世界の転換に対応できていない研究者も多いようだ。
私から見て重要だったのは、研究者らの発表よりも、冒頭の全体会合で配布された、HSE大学が露政府に提出した世界分析と外交政策提案の英文冊子「世界多数派に向けたロシアの政策」だった(Russia's Policy Towards World Majority)。

この冊子に書かれていることは、プーチンら露政府高官の演説や、ネット公開されている露政府系の他の文書にも載っていそうだが、私にとっては目新しい考え方や示唆がこの文書に多かった。
この文書はまだネットにないが、私のような敵性外国人にも配ったものなので、グーグルレンズで電子文書化して公開することにした。
Russia's Policy Towards World Majority

この英文冊子の中で、私が重要だと思った点だけ日本語に意訳し、さらに★を記した私のコメントもつけた文書を作成した。原文だけ見たい人はこちら。
この冊子の論文は8章から成るが、全文についてコメントすると膨大になるので、とりあえず今回は導入(イントロ)と1章と2章だけコメントした。
私の興味は露政府の政策でなく、出現しつつある非米的な世界システムがどういうものであるかを知ることだ。新世界システムに対する見立ては、露政府の政策決定の基礎にある。
新システムについて国を挙げて分析・立案しているのは多分世界中でロシアだけだ。中国は、すでに書いたように分析を機密にしている。他の非米諸国は露中よりも受け身だ。米欧日は無視もしくは頓珍漢だ。
私はずっと多極化や非米化について分析し続けてきたが、情報量がとても少ない。そんな中で、HSE大学のこの冊子(や、この分野のロシアの演説や論文)は重要だ。

「多極化」「多極型」は一般的な言葉になったが「非米側」「非米化」は私の造語だ。「非米側」についてロシアではこれまで「グローバルサウス」という言葉が使われてきた。今回のHSEの会議も、当初の題名は「新たな地政学的状況下におけるグローバルサウス」だった。
私はこの議題に関する考え方(会議発表のたたき台)を11月初めに書いて瀧川夫妻に送り、それを有料配信の記事にもした。(非米側が作る新世界秩序

だが、グローバルサウスは発展途上国と同義で、ロシアを含んでいない。発展途上国は中国が主導してきた。ロシアとしては、自国が中国と並ぶ主導役になれるように命名したい。それで新世界システムの呼び名を「世界多数派」「ワールドマジョリティ」に変え、HSE会合の議題も変わった。
この新名称も暫定だ。下に書いたが、この名称には「世界には統一的なあり方が必要で、それを多数決で決めるのが良い」という考え方が潜んでおり、その考え方をすると米単独覇権と同質なものができてしまう。それはダメだとロシアの学者たちが言っている。彼らはとても根本的に世界を考えている。面白い。

などなど、前書きのつもりでうんちくを書いていくと、それだけで終わってしまう。2005年ごろから多極化を論じてきた私は、ずっと妄想屋扱いされてきた(今も?)。
だが日本など米国側が無視しているうちに、すでに世界は多極化し、ロシアでは権威筋が国を挙げて多極型世界について考察・立案している。米国側がいつまで無視するのかわからないが、多極型世界はどんどん確定していく。私でなく米国側全体が妄想屋になっている。私は至福を感じている。

以下、HSE大学の冊子の論文についての紹介。各項目の前にある数字は、原文の項目番号と連携し、どの文からの意訳・コメントなのかを示している。英文と一緒に読みたい方はこちら。英語の原文は婉曲表現が多く、一文が長くて難解で、直訳だと意味がとれない。


◆導入章

Intro・この論文で使われている「世界多数派」とは、米国との間で拘束的な関係を持っていない国々と、その傘下の組織が集まる共同体を指す。
この定義はもっと明確にする必要があるが、本論文で暫定利用する。「世界多数派」は(世界を多数決によって一つの意志にまとめねばならないと考える)リベラル派による時代遅れなグローバル化の概念なので、できれば使わない方が良い。

★世界多数派は、米国の傀儡でない諸国のこと。日本を筆頭に、G7とNATO諸国、EU、豪NZ(アングロサクソン)、韓国は、米国から拘束されている諸国・米傀儡諸国なので、それ以外の諸国が世界多数派。NATO内でもトルコやハンガリーは、法的に米国に縛られているが、指導者(エルドアンやオルバン)が米国の縛りを拒否しており、多数派に入る。NATO内では、米国の縛りを拒否する国が増えている。
イスラエルは本論文で多数派に属する(属しうる)と定義されている。米国がイスラエルを拘束する度合いより、イスラエルが米国を拘束する度合いの方が大きいので米国の傀儡でない。米国がイスラエルの傀儡。
イスラエルやトルコは、世界多数派(非米側)と米国側の両方から良いとこどりする世界戦略をとっている。日本やドイツは逆に、非米側がもう一つの世界システムを作りつつあることを無視し、世界に米国側しか存在しないかのようなふりをして、米傀儡であり続けている。
本書の「世界多数派は(世界を多数決によって一つの意志にまとめねばならないと考える)リベラル派による時代遅れなグローバル化の概念なので、できれば使わない方が良い」という表明からは、ロシアの外交政策立案者(学者など)が、既存の米英製の体制と根本的に違う世界システムを作ろうとしていることがうかがえる。

Intro・世界多数派は欧米敵視でない。欧米が追求するものと別のものを求めているだけ。多数派はウクライナ開戦後、ロシアに対して寛容で建設的な姿勢をとっている。開戦後のロシアの外交政策は、米国側からの敵対への対応と、非米側との協調という、二面を持つことになった。

Intro ・いま形成されつつある多極型・他中心型の世界体制は、小さな諸国を含めたすべての国々に対して平等なものでなければならず、(極となる地域大国がその地域を率いる大国中心主義になりうる)多極性と、平等性が矛盾・衝突してしまう。
この問題を解決できるよう、今後の国際政治は、中心的な動きが地域的・域内諸国間の活動になる。

★多極型世界の国際政治が極ごと、地域ごとになるとの予測は、数年以上前から、多極化を指摘する米国側の言説の中でも出ていた。ウクライナ開戦後、多極化の主導役が露中BRICSになったことを感じる。
日本は、韓国や北朝鮮(やモンゴル?)と一緒に、中国が極・主導役になる東アジアの中に入る。ロシアも関与し「準極」になる。日本も大国なので東アジアの準極になるうるが、今の米傀儡を続けて非米側に関与するのが遅くなるほど、東アジアでの中露の主導性が確立し、日本は影響力がなくなる。
西太平洋の、日本から台湾、フィリピン、ベトナム、インドネシア(など東南アジア全体)、豪NZなどに続く海洋アジアがどのような位置づけになるか不透明。
本書では、多極型世界において文明ごとに極を構成する考え方があり、中南米や中東が一つの文明としてくくられている。だが、文明のくくりだと、日本と韓国と中国が別々の文明になるのでないか。それとも「漢字圏」「儒教圏」など(強引な)くくりで一つにされるのか??。
ロシア極東は正教徒だけど。海洋アジアは文明圏なのか??。などなど、不明な点が満載だ。米英流の厳密から解放されるのが多極型世界の良さでもあるが。

Intro ・米主導の欧米は500年間の覇権を守ろうとして、世界の資産を自分らの好きなように采配し、欧米流の文化や政治理念を世界に押しつけてくる。繁栄しつつある非米側の諸国は、その押しつけを跳ね返し、米側の独断理念から解放された完全な国家主権の獲得を目指している。

★いま起きている多極化は、戦後の米覇権の終わりだけでなく、コロンブス以来の欧米の世界支配の終わりにもなる。

Intro・「世界多数派」は、未来の世界についての試論・試作品・予想図であり、定義によって一般化すべきものでない。

Intro・非米諸国間の関係は、どこかの国が支配的な力(覇権)を持つべきものでない。世界に関する概念は(露中などが勝手に決めるのでなく)参加諸国の自主的な合意に基づいて決めねばならない。

★非米側は今後の世界体制について理想主義で考えている。第2次大戦終結時に国連を作った時に米国が掲げたのと同じ理想主義だ。やはり今の非米化・多極化は、米国の隠れ多極主義者たちが米覇権を自滅させつつ非米側を誘導してやらせた感じだ。

Intro・世界多数派(特に中国印度などアジア諸国)との関係強化のため、ロシアの経済的・文化的な発展の中心地を(モスクワから)ウラルやシベリアに移さねばならない。

★だからロシアはBRICSや上海機構の会合を自国でやる際、カザンやエカテリンブルクで開催するんだ。


◆第1章、ロシア外交政策の2つの側面

1.3 ・ロシアと米国側の対立は、文明的・価値観的・地政学的・地理経済的な深いものなので、この対立はずっと続く。15-20年は続く。対立はウクライナ戦争だけの話でない。ロシアは世界体制の転換に伴って世界の構造転換(非米化)を進める必要があるが、米国側と和解・関係正常化は、不可能だし、構造転換を阻害するので望ましくない。

★ウクライナ戦争など決定的な米露対立が長引くほど、米国側と非米側の分断が続き、ロシア(中国BRICS)などが非米側を率いて非米的な新世界システムを作り、非米側が米国側をしのいで米覇権が終わり、世界が多極型に転換していく。
非米化(新世界システムの構築)には時間がかかる。15-20年かかると露政府の立案者たちは考えている。その間、米国側と非米側の徹底対立が続いていることが望ましい。非米側は多様で、まだ結束が弱い。今後短期間で徹底対立が解消されてしまうと、非米側の結束が崩れて個別に米国側と再和解し、米覇権体制が蘇生し、新世界システムの構築が頓挫してしまう。
世界を非米化するために、ロシアがウクライナ戦争をとろ火で長引かせたがっていることは、戦争の早い段階から感じられ、私はそれを繰り返し指摘してきた。

1.4.1 ・非米諸国のエリートの中には、欧米システムの中で生きてきた人が多く、非米化に対して明確な意思決定ができなかったりする(中国のトウ小平派とか??)。非米諸国の国民は非米化を望んでもエリートは違ったりする。

★これは、親米的なエリートが支配する非米諸国の政権転覆を、ロシアなど諸大国がこっそり支援する意志があると示唆しているのか??。

1.4.2 ・非米諸国の多くは、ウクライナ戦争が生んだ米露対立が、非米諸国の対米自立と国家主権の強化をやりやすくしていると考えている。だから非米諸国はロシアの側に寄ってくる。

1.6 ・世界多数派(非米側)は、NATOなど米側の国際支配機構と異なり、一枚岩の組織でなく政治ブロックでない。
非米側には、中国や印度のように一カ国で一つの文明を構成する国のほか、アラブ・イスラム教世界、アフリカ、ASEAN、中南米、カリブ海諸国など、複数諸国による文明圏もある。文明ごとの多中心型(多極型)の世界を作っていく。

★中国が一カ国で一つの文明を構成しているのなら、日本も一カ国で一つの文明だ。米国側の「文明の衝突」戦略でも、日本は1国1文明の「孤立文明」とされていた。韓国と北朝鮮は2カ国で一つの文明。
今後の多極型世界において中東は、サウジ(GCC、アラブ)、イラン、トルコ、イスラエルの4極下部構造を持つように、東アジアも中国、日本、南北朝鮮、モンゴル(、ロシア)という多極な下部構造を持つようになる。

1.6 ・ロシアは開放的な文化なので「文明の中の文明」であり、世界を統合する役目を果たす。★すごい自負だね。驚いた。日本も、もともとかなりの文明力があるので、文明力の点だけで見ると、ロシアがやれるなら日本も世界を統合をやれるはず。

1.6.2 ・非米側は、正常な人間の価値を共有する国々・人々であり、いわゆる「保守」だ。非米側は、この保守の価値観を掲げて団結することで、欧米で(リベラル派の)エリートが自国社会や全世界に強要している非人間的・反人間的な価値観の強要(伝統的なジェンダー観を攻撃・否定し、改革と称して社会を混乱させる左派の覚醒運動など)に対抗できる。

★この分野では、米国側が(過激で自滅的な)リベラル派で、非米側が(極右とレッテル貼りされて攻撃誹謗される)保守派である。欧州で政権をとりつつある「極右」など、米国側の保守派は、非米側と同じ立場にいる。露中を敵視する日本の保守派は、単に米国側の歪曲話を軽信する米傀儡であり、間違った命名をされている。

1.10 ・ソ連は1960年代まで(欧米・西側に十分対抗できる)独自の科学や工業の技術を持っていた。(それを使って東側全体が発展し、冷戦期の前半は東西が拮抗していた)。これからの多極型世界で、ロシアが再び非米側の科学技術の下支えになることが求められている。

1.12.1 ・アフリカは(これまで米欧によって貧困におとしめられ発展を阻害されていただけに)今後世界最大の経済発展の場になる。

1.13 ・世界の9つの核兵器保有国のうち、露中印パ北朝鮮イスラエルの6カ国が非米側にいる。

★シンポジウムの冒頭に講演したドミトリー・トレニンは、非米側の核兵器保有国が集まって核兵器(使用や拡散の抑止、保有削減など)について話すのも良いんじゃないか、と述べていた。


◆第2章、世界多数派の現象

2.1 ・ウクライナ開戦は、非米側が世界の諸問題を米国に頼らず自分たちで解決していこうとする新たな機運を産んだ。

2.1.1 ・崩壊しつつある米国は覇権を維持しようと無茶苦茶な攻撃を仕掛けてくる。中国など非米諸国の多くは、米国と争って破壊されたくない。いずれ米覇権が崩壊して非米側が世界の中心になるのだから、中国などはそこへの転換を円滑にやりたい。そういう非米側の心情を理解しているので、ロシアも非米側を誘って米国側と戦うのだと言わないようにしている。

2.6・非米側(世界多数派)を構成する国々や人々は、同質でなく多様だ。中印、印パ、サウジとイランなど、いくつかの諸国は相互に対立している。そんな非米側で外交するためにロシアは、複数の原則に基づきつつも、個別のケースで良い結果を出すために、現実を考慮した対応をしている。シリア内戦終結のアスタナ会合や、アフガニスタンに関するモスクワ会合、ペルシャ湾岸諸国が地域安保システムを作る提案など。

2.6.1 ・世界には多様な文化や文明がある。世界は本来一枚岩でなく多様なものだ。多様性を反映した方針をとる非米側(世界多数派)は、人類の自然なあり方に沿っている。対照的に米国側は、一枚岩の体制や、他者を拒否するブロック政策をとり続けている。

2.6.4 ・イデオロギーという概念そのものが、欧米文明の産物だ。欧米は20世紀から、イデオロギーやその他の分野で世界を席巻支配してきたが、これは世界のあり方を歪曲してきた。

2.6.4 ・欧米は世界を支配してねじ曲げてきたが、最近はそれを(過激に稚拙に)やりすぎて、東欧など米国側を含む多くの国から拒否されるに至っている。欧米は、文明としても自滅的に孤立している。

2.7 ・非米側(世界多数派)は、冷戦期の非同盟運動のようなものでない。非同盟運動は、米ソ対立の枠外にいることを自分たちに課していた。

2.10 ・世界多数派(非米側)は反欧米の考え方でない。あらゆる覇権やグローバル化の概念・モデルから人々を解放する考え方である。米国だけでなく、中国の覇権もダメだと。

2.11 ・世界多数派(非米側)はイデオロギーを必要としている。だが、イデオロギーというもの自体が欧米文明の創造物だ。世界多数派は(教条的なイデオロギーでなく)各国の文化文明的な特性に合致した発展の必要性に誘導されていくべきだ。
自分らのイデオロギーを作る必要はないが、各国の文化や概念を包括した共通の言い方を作ることはできる。

★米国が言っていた「文明の衝突」と正反対の「文明の協調」をめざす非米側。

2.13 ・最近欧米で作られている過激に変異したリベラル思想(米国発の覚醒運動。人種や性差に関する対立や相互攻撃を誘発するばかりの超愚策・自滅策)は、リベラル派が主張するような世界普遍思想などでなく、欧米文明に特有のものだと認識されるべきだ。


とりあえず今回は2章まで。残りの章についても、希望が多ければ意訳とコメントを作って配信するつもり。
この論文にある諸概念から派生して、現実の国際情勢の動きと絡めて、いろんな面白い記事が書けそうな気もする。



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