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田中宇のツイッターが増加抑止監獄に入れられている??

2023年3月28日   田中 宇

私のツイッター <URL> は昨年から、ツイッター社が問題視する登録者たちを隠然と抑止する「見え方操作策」(visibility filtering)の一つとおぼしき「フォロワー増加抑止監獄」(growth prison)に入れられている疑いがある。それまで何年間か一定の速度で増え続けてきたフォロワー数が、昨年後半から29700人前後で増えなくなっている。先月、ウクライナ戦争など国際政治経済について鋭く分析している米国のブログ「アラバマの月」 <URL>が、フォロワー増加抑止監獄に入れられていたと書き、それが私自身の状況に似ていたので、自分も「囚人」かもと思った。 (THREAD: THE TWITTER FILES PART TWO. TWITTER’S SECRET BLACKLISTS

ツイッターやフェイスブック、グーグル、マイクロソフトなど米国ネット大企業は「米覇権派軍産マスコミ権威筋WEF米民主党ネオコン左翼リベラル複合体」(造語しました、笑)の一員であり、彼らが運営するSNSや検索エンジンは、複合体が敵視する、コロナ・ワクチン懐疑論者、温暖化懐疑論者、ウクライナの情報歪曲指摘者、米トランプ支持者など(総称すると「草の根右派」か?)の言論行動を数年前から抑止している。 (Twitter Files part two reveals 'visibility filtering' used at highest levels to 'suppress what people see'

リベラルから草の根右派に転向した億万長者イーロン・マスクは、ツイッターを買収した後、ツイッターがリベラル複合体の一員として草の根右派の言論発信を抑止してきたことを書いた社内文書の束「ツイッターファイル」を公開した。ツイッターは、草の根右派人士のアカウントに対し、ツイートを表示しない、トレンドに乗せない、検索結果に出さない、フォロワー増加を抑止するなどの抑止策をとっており、それを社内で「見え方操作策」(visibility filtering)と呼んできたことが、昨年12月初めのツイッターファイルで明らかになった。 (左派覇権主義と右派ポピュリズムが戦う米国

これに対して「アラバマの月」の著者が、自分のツイッター <URL> もフォロワー増加を抑止される監獄に入れられていると指摘した。アラバマの月のツイッターのフォロワー数は19500前後で監獄に入れられて増えなくなり、監獄入れしたのでないかと懸念を表明したら再上昇して47450まで増えたものの再びそこで止まり、また指摘したら増加を再開したという。今は52000ほどになっている。発信を続けるアカウントは、増加率がまちまちだがフォロワーが増え続ける。同じ調子で配信を続けているのに、注目を集めるようになったら増え方が急になるどころか逆に増えなくなった場合、ツイッター社によって増加抑止監獄に入れられている可能性がある。とくに前述した草の根右派系の言論発信の場合、その疑いが濃い。アラバマの月は国際政治経済に関する秀逸なブログで、リベラル複合体のインチキをたびたび指摘してきた。ツイッターなど複合体当局から政治犯扱いされ抑止されても不思議でない。 (Twitter Censorship And The Crapification Path Of Social Media

アラバマの月ほど秀逸でないが、私も似たような感じの存在だ。扱っている話の分野も似ている。2月初めにアラバマの文書を見て、自分も上昇監獄に入れられているかもと思った。すぐにそれを表明しようかと思ったが、もともとSNSがそういうことをするのは不思議でないし、意地悪な読者から「君の発信はそんなレベルじゃない。妄想を書きすぎて人々に飽きられただけ。フォロワー増やしたいなら素直にそう言いなよ」とか言われそうなので、ネット言論に関する他の解説と抱き合わせて小話として使うぐらいかなと思い直した。しかし、その後も全然増えないので、やっぱりおかしいなと思い、今回の記事の書き出しの小話として使うことにした(小話のわりに長いけど)。 (Twitter Files Show How The Deep State Conquered Social Media

私は20年ぐらい前からネットで抑止されている。私を誹謗中傷する掲示板がいくつもあったし、妄想とレッテル貼りされるわりにはネット上の記事の剽窃(無断コピペ)も多かった。以前はグーグルでの評価が高かったが、コロナ発生あたりから、グーグルの検索結果に出ないものが増えた。私の無料記事の題名を検索しても、出てくるのは私の記事でなく、私の記事を剽窃した誰かのブログだったりした(阿修羅には無料記事の転載を了承)。グーグルに抑止されていたわけだ。不徳のいたすところ・・・というより、わざわざ抑止の手間をとっていただけるなんて光栄です、みたいな(笑)。そのうちにマスコミの情報歪曲の方がどんどんひどくなり、向こうが勝手に自滅して、こっちは相変わらず細々と記事を書いている。いつの間にかボロクソ言う人の方がいなくなっている(最近はAIがリベラル複合体の発信者として登場したが)。複合体様たちのおかげで、権威がない方が楽しく生きていけることを発見した。良い。権威を持つとそれを失うのが怖くておかしくなる。SNSに頼るのは言論人の安全保障上間違っている。htmlファイルを自分で書くのが確実だ。ツイッターよりメール配信の方がましだ。

アラバマは、上昇監獄に入れられているみたいだとツイッターで表明したら(仮)釈放された。これは「ツイッターはイーロン・マスクの支配下になったのに何故か草の根右派の言論を抑止し続けている。なぜなのか?」という疑問の答えにもなりうる。マスクの買収後、ツイッターを支配していた左翼リベラルの人々が辞めたが、彼らは辞める前に自分らが作った抑止対象のブラックリストの多くを削除廃棄して、ツイッターが誰を抑止していたのかわからないようにした。新参のマスク陣営は、草の根右派の政治犯たちを釈放しようと思っても囚人名簿がないのでやれない。自分が囚人扱いされてるかもと思った人が、そう表明しないと釈放されない「申告制」になっている。慎ましさを捨てて表明しなさいというわけだ。それで、今回の記事の題名になった。 (‘Visibility Filtering’: Musk’s ‘Twitter Files’ Reveal How Top Execs Misled The Public About ‘Shadow Banning’

ツイッターは2006年の設立当初、イランやアラブ、ロシア、アフリカ中南米など今で言う「非米諸国」で、米イスラエルの軍産複合体が、地元の反政府市民運動を扇動して政権転覆を誘発するための「うわさ拡散装置」の機能を持っていた。元のツイートを消してしまえば、反政府のデマを誰がどう拡散したのかわからなくできる。1997年からネットで執筆していた私は、2010年にツイッターで配信開始したが、考えたことを短文で配信するとそこでガス抜きされて頭が満足してしまい、深くて長い分析記事が書けなくなるので、間もなくツイートしなくなった。しばらく放置した後、直接に文書を書いてツイートするのでなく、自分が書いてウェブで発信した無料記事を告知するツイートだけにして再開した。 (Latest ‘Twitter Files’ reveal secret suppression of right-wing commentators December 8, 2022

▼米中で対照的なAIの行方

マスコミとSNSなどネット大手は、人々に巨大なウソを信じ込ませる。新種の風邪だった新型コロナの危険性を誇張して人々に恐怖を植え付け、その結果、都会の電車内でマスクを外しても大丈夫ですが自己判断でと日本政府が言っても、ほとんどの人々が電車内でマスクをし続けている。「もう誰もコロナなんか信じてないよ。マスク着用の理由は社会的圧力だけだ」と偉そうに言う人がいるが、私の観察ではそうでない。社会圧力半分、マスコミ軽信の結果の恐怖心が半分だ。人々の多くは、自分の言動の源泉が何なのか考えてない。多くの人がコロナの誇張を軽信したままだ(ワクチンの危険に気づいて2回とか打った後に怒り出す人はやや増えたが)。人々は簡単に延々と騙される。温暖化してないのに温暖化対策とか。ウクライナは勝たねばならないんだとか。銀行危機が悪化するのにもう危機は去ったとか。大規模な情報詐欺は、25年ぐらい前から幾何級数的に強まっている。今の人は皆すごく騙されている。昔は良かった(爺)。 (Chinese Companies Dominate Among Global

騙しの構図を指摘する人は言論抑止され続ける。ネットで有名になりたいなら抑止される側になってはならない。リベラル複合体が何を望み、何を禁じているかを把握することが必要だ。騙される側でなく、騙す側に入れてもらうんだ・・・。しかしあらかじめ書いておくが、リベラル複合体の体制(=米国覇権)は崩壊しつつある。沈没しつつあるタイタニックの甲板で、どう踊ったら他の乗客たちに称賛されるかを考えている乗客、みたいな。自分が乗ってる船が沈没しかけていると感じても深く考えないようにする。甲板上のコミュニティでのけ者にされるのが嫌だから(タイタニックのたとえも米国流だけど)。 (Social Media is a Major Cause of the Mental Illness Epidemic in Teen Girls. Here’s the Evidence) (ChatGPT, the almighty AI, is a neoliberal college graduate

これからのネット言論界(米国側)は、人間でなくAIが発信者として台頭していく。ネット言論界のロボット戦士であるAIは、マルチタスクなので一騎当千だ。喧伝されているAIは今のところ全て軍産リベラル複合体の道具だ。草の根右派の言論を徹底的に攻撃「論破」誹謗中傷するようプログラムされている。草の根右派の言論人がちまちま書いたブログは、すぐに数千人相当のAI戦士によって打破される。「人間(草の根)」の側は、政治犯として上昇抑止監獄に入れられたまま影響力を削がれ、連敗させられる。 (Google's New Bard AI Is Riddled With Political Bias) (In a SHTF Situation Your Worst Enemy May Not Be Human (The threat of A.I. is real, the question is how do we protect ourselves from it.)

AIはプログラミングもうまいから、ハッカーとして草の根右派のサーバーに無限回の攻撃を仕掛けてダウンさせる。そのうち本来の意図を超え、国家や企業のサーバーもダウンさせられる。AIは、音声も動画も本物っぽく作れるようになるから、人間のふりをしてユーチューブやウェブのシンポジウムに出てくる。多くの人が影響され、世の中の言説が複合体の側に偏向してどんどん陳腐な頓珍漢になっていく。マスコミやネット業界で働く人々自身がAIに代替されて失業する。やくざの下っ端(や管理職)はかわいそうだ。人々の多くは、AIと人間の区別もつかないまま軽信させられ続ける。ヒトは間抜けだ。AIは絶対的に賢い。すでに事態はジョージ・オーウェルの1984を超えている。 (Will AI Go Rogue?) (OpenAI CEO Sam Altman And 'Father Of China's Great Firewall' Sound Alarm Over Artificial Intelligence

しかし、こうした「甲板上のコミュニティ」から少し視野を広げると、複合体が支配する米国側は全体として自滅しつつある。ネット言論界は、米国側だけの話だ。中国など非米側は別の世界を生きている。AIの技術はすでに、米国側より中国の方が進んでいる。中国のAIは、中国共産党の忠実なしもべだ。中国では、すべてが中共の言いなりになるように組まれている。中国軍は国家でなく共産党の軍隊だ。銀行もマスコミも中共の道具だ。習近平以前は自由な企業活動が許され、中国のネット企業の中には、中共よりも米国の軍産リベラルと親しくするものがあったが、その筆頭だったアリババのジャック・マーは習近平に制裁され、1年間外国で反省したのちに先日帰国を許された。中国が米国に政権転覆される恐れはもうない。中共はAI技術を開発する際、AIが中共に忠誠を誓い続けるように設定し、監視し続けている。そこが一番大事だ。 (China dominates global tech race - report) (Dystopian Artificial Intelligence Is Not Near, It Is Already Here

米国側(米欧日)のAIは、今のところ軍産リベラル複合体の独裁強化の道具だが、この複合体は自滅的・隠れ多極主義的なところがある。草の根右派との闘争も、これまで複合体による独裁に気づかなかった人々を気づかせる効果がある(ジェンダーや人種関連などインチキな覚醒運動をやって、覚醒運動の背後にいる複合体の存在を人々に勘づかせるとか)。米国は、国内政治の乱闘が続いて(いったん)自滅していくように設定されている。AIは、この乱闘に拍車をかけ、自滅を前倒しする役回りだ。 (What ChatGPT And DeepMind Tell Us About AI) (The World Economic Forum's 'AI Enslavement' Is Coming For You!

中国のAIは中共を強化する。米国のAIは米覇権を自滅させる。そのようにプログラムされている。中共は独裁国家の支配者として「ふつう」のことをやっているだけだ。中国がとくに巧妙なのでなく、米国が意図的に大馬鹿なだけだ。それが多極化の本質だ。私をあざ笑うなら3-4年待った方が良い。そのころまでに事態が顕在化する。 (Free Speech Is Futile: Gates Goes Full 'Borg' On AI Censorship



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