タックスヘイブンを使った世界支配とその終焉2011年4月19日 田中 宇英国人のジャーナリストで、ニコラス・シャクソン(Nicholas Shaxson)という人がいる。彼は、英国の王立国際問題研究所(チャタムハウス)の研究員で、チャタムハウスの兄弟機関である米国の外交問題研究会(CFR)が発行するフォーリン・アフェアーズの論文執筆者でもある。チャタムハウスとCFRは、米英中枢のために世界戦略を考える組織だ。シャクソンは、米英中枢から一目置かれる存在といえる。 (Nicholas Shaxson From Wikipedia) だが、シャクソンが調べて書いていることは、米英の世界戦略を批判する、米英中枢にとって過激な内容だ。彼は以前、西アフリカ諸国の石油利権を米国がどうあさっているかを描き、石油収入を得たアフリカの産油国が豊かにならず、権力者の腐敗や内戦、国民の貧困がひどくなる構造を、石油利権をあさる米欧がアフリカに植え付けていることを批判していた。 (Six Questions for Nicholas Shaxson on African Oil and American Foreign Policy) そして彼は今、米英の金融界が大きな利益をあげているタックスヘイブン(租税回避地)について「世界にとって有害な存在だ」と攻撃する論文や本を相次いで書いている。 (The truth about tax havens) ▼米国の危機もアフリカの危機も欧州の危機もタックスヘイブンのせい シャクソンによると、タックスヘイブンが世界にとって有害である理由は、脱税(節税)を可能にするからくりであるという点にとどまらない。タックスヘイブンを使えるのは、資金を国際展開できる大企業や大金持ちの投資家、有力な政治家など一握りの人々であり、彼らがタックスヘイブンを利用して税金を少ししか払わないことが、米英などの貧富格差の増大につながっている。米国の所得税率の上限は35%だが、大金持ちの実質的な所得税率は10%以下だろう。公表されている数字でも、様々な減税措置の結果、米国で最も大金持ちの400人の実質的な平均税率は17%でしかなく、これにはタックスヘイブンに流れた所得が勘案されていない。 (Super rich see federal taxes drop dramatically) アフリカの人々や政府、企業が持つ資産総額は、アフリカが世界から借りている負債総額をはるかに上回っており、アフリカは本来的に「黒字大国」だ。しかしアフリカの資産の大半は、各国の権力者などが私物化してタックスヘイブンに隠しており、その結果、アフリカは多重債務国の集合体になっている。このような本質は、世界のほとんどの人々の目から隠されている。 (Offshore Banking and Tax Havens Have Become Heart of Global Economy) 昨年から欧州を困窮させているギリシャなどユーロ圏周縁諸国の国債危機も、タックスヘイブンから流入した後、激しく流出した資金が元凶だ。ギリシャに流入した資金の多くは、ルクセンブルグ、英領バージン諸島、アイルランドといったタックスヘイブンを経由しており、資金の流れを統制するのが困難になっている。 (Tax havens at the core of the Greek crisis By Nicholas Shaxson) このように、世界にとってタックスヘイブンが有害なのは、そこに巨額の資金が秘匿されることで、金に絡んだ世界の問題の本質を見えにくくしているからだとシャクソンは書いている。タックスヘイブンが存在しなければ、米国の財政赤字問題やアフリカの貧困問題、ユーロ圏の金融危機といった世界的な大問題が、完全といわないまでも、かなり解決される。 (Explainer: what is a tax haven?) ▼英国の世界支配の曖昧戦略 シャクソンによるとタックスヘイブン(オフショア金融拠点)に蓄積される資金は、英米が金融を自由化した1985年から爆発的に拡大した。今では、世界の金融資産の半分以上、多国籍企業による投資金の3分の1がタックスヘイブンにある。米国に近い英領のケイマン諸島は、世界第5位の金融拠点で、世界のヘッジファンドの4分の3以上が登記し、ニューヨークの銀行口座の総額の4倍にあたる1・9兆ドルの資金がたまっている。 (The truth about tax havens: part 2) タックスヘイブンには、英国系のもの(英仏海峡のジャージー島など英王室属領、カリブ海のケイマン、バミューダ諸島など英国海外領地、アイルランド、ドバイ、香港など旧英国領の3種類に、さらに分類される)、欧州大陸系のもの(スイス、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、モナコ)、その他のもの(パナマ、ガボン、ガーナなど)という3系列があるが、その中で最も大きな影響力と組織力を持っているのは英国系のものだ。 (Book Review; Treasure Islands, By Nicholas Shaxson) 英国系のタックスヘイブンが強力な理由は、それが大英帝国が持っていた世界に対する影響力を維持するシステムを目指す、英国の隠れた国策として行われているからだとシャクソンは言う。英国は2度の大戦に勝ったものの戦争で国力を使い果たし、第2次大戦直後、ほとんど国家破産の状態だった。英国は国力復活のため、米国政府による厳しい金融規制に縛られていた米金融界(ウォール街)の資金をロンドンの金融界(シティ)に流入させて運用して儲けられるよう、1950年代にロンドンをオフショア金融市場として機能させた。 その後この戦略は洗練され、1960年代末に英国は、世界に対する植民地支配を全廃していったのを機に、英仏海峡やカリブ海、アジア地域にある自国の領土や旧植民地を、オフショア金融の拠点(タックスヘイブン)として機能する衣替えを行った。これにより、ロンドン金融街の代わりに、世界各地に点在する旧英国領が、米国など各地から集めて運用し、英国の金融の儲けを維持拡大する機能を果たすようになった。 (英政府がケイマン諸島の議会に信託法を制定させてタックスヘイブン化を開始した1967年は、英国が「スエズ以東」のアジア地域から軍事政治的に総撤退することを決め、その対策としてイスラエルが第三次中東戦争を起こしてアラブ地域を占領した年でもある) ロンドンのシティがタックスヘイブンのままだと、英国政府は、米国など資金を吸い取られる側の諸国から苦情を言われ、タックスヘイブンで儲ける戦略をやめねばならなくなるが、英国の旧植民地は60年代末以降、法的に英国政府と直接関係ない存在になっており、英国政府は「すでにわが国と関係ない地域なので、わが国としてはどうしようもありません」としらを切れる。英仏海峡の英属領は欧州大陸やアフリカから、カリブ海の英領は米国や中南米から、ドバイやシンガポール、香港などの旧英領はアジアからの資金流入を誘導した。 ▼米国を巻き込んだあげくに崩壊 英国の帝国運営は昔から、意図的に法的な曖昧を維持する策略をとっている。ジャージー島、ガーンジー島、マン島といった英国周辺の海域にある英王室属領は法的に英国の外にあるし、ケイマン、バミューダ、バージン諸島、タークス・カイコス諸島、ジブラルタルといった英国の海外領土は、行政長官(総督、弁務官)が英政府の任命だが、立法議会など自治組織があり、法的に英国と別な存在になっている。これらのタックスヘイブンは、経済的に英金融界と強くつながり、地元議会の議員のほとんどは英金融界の代理人である。 英国が植民地のネットワークをタックスヘイブン網に衣替えしていくに際しては、69年から71年にかけて、英政府内で賛成反対の議論があった。中央銀行(イングランド銀行)は金融界の儲けが増えるので賛成だったが、英財務省など財務当局は属領から来る税収が減るので反対した。英外務省は曖昧な態度をとり、最終的に賛成派が勝った。 (The truth about tax havens: part 2) 英国がタックスヘイブンの国際網を形成し、世界から資金を吸い上げ始めた同時期の1971年に、米政府が金ドル交換停止を決め(ニクソンショック)ドルの金本位制が崩れた。その後、世界の通貨体制はG5やG7による先進諸国の協調介入による為替安定策に転換した。私が見るところ、これにもタックスヘイブンが関与している。タックスヘイブンにある巨額資金を英金融界などが動かすことで、一般の人々に手法を知られぬまま、為替相場を隠然と動かすことができる。タックスヘイブン網にある資金が増えると、G7諸国による政府介入すら不必要になる。 1985年には米国が英国と一緒に金融自由化を開始し、それまで厳しい金融規制が特徴だった米国自身が、英国のタックスヘイブン網を活用して儲けることを是認し始めた。これは70年代以降、米国の製造業が日独などに抜かれて衰退し、米経済の活路が金融サービス業しかなくなったことと関係していると思われる。英国系タックスヘイブンのジャージー島に流れ込むアフリカの独裁者たちの資金が急増したのは85年からだったと、シャクソンが書いている。金融自由化は、タックスヘイブンの公然化だった。 (The truth about tax havens) その後、米国を中心に90年代の金融的な乱痴気騒ぎが始まり、デリバティブなど当局すら実態を把握できない債券金融(影の金融システム)が拡大し、米国自身の内部で巨大なタックスヘイブン(当局が実態把握できず、課税できない金融市場)が急拡大し、課税不能な債券金融界の資金総額が、課税可能な旧来の銀行界を超えるまでになった。 全世界がタックスヘイブン化するかに見える中、そのバブルは07年のサブプライム金融危機を皮切りに崩壊し始め、08年のリーマンショックを引き起こした。その後も債券金融システムは崩壊過程にあり、米連銀の買い支え(QE2)などによって何とか延命しているが、最近はQE2が延長されずに終わりそうだという話になり、ドルや米国債の崩壊感が強まって、ついに4月18日には格付け機関S&Pが米国債を格下げ(AAAポジティブからネガティブへ)した。 (Why S&P's Official Statement is Nothing But a Joke) BRICの5カ国はドル忌避を強め、ドルの代わりに5カ国の相互通貨で貿易決済する体制を強化することに決めた。タックスヘイブン網と、その進化系である米中心の影の銀行システム(債券金融)は、ドルや米国債など世界金融の全体を巻き込んで、崩壊していこうとしている。 (BRICS Take Aim at dollar) ▼タックスヘイブンは金融兵器 シャクソンは書いていないが、私が見るところ、英国(英米)のタックスヘイブン網には、英米にとって脅威になりそうな国々を金融的に潰す「金融兵器」としての機能がある。タックスヘイブンから新興諸国に資金を大量に流入(投資)させ、バブルを拡大してから急に潰すことで、その国に大打撃を与えられる。90年代以降、メキシコ、東南アジア、韓国、ユーロ圏周縁諸国などが、その被害にあっている。英米にはジョージ・ソロスのように反英的な人もおり、英国がソロスら投機筋に振り回され、ポンドを暴落させられたこともある。金融兵器の操縦桿をめぐる暗闘がある感じだ。 タックスヘイブンの中には、英国の息がかかっていないものもある。たとえばスイスだ。第一次大戦後、欧州諸国が戦後復興のためこぞって増税した時、スイスは永世中立国だったがゆえに戦火に遭わず、復興も必要なかったため増税しなかったことから、周辺諸国より税率が安く、諸国から資金が集まり、それ以来タックスヘイブンとして機能している。スイスは、社会主義者やナチスなど、英国の脅威となる勢力の資金をも受け入れ、英国がタックスヘイブン戦略を強化した80年代以降「ナチスの資金を隠匿したスイスはユダヤ人に巨額資金を賠償し、情報公開してタックスヘイブンをやめるべきだ」と圧力をかけられた。スイス側は「タックスヘイブンとしては君たちの方が悪質だよ」と英国系勢力に言い返している。 (Stolen Assets and the financial system II: in trusts we trust By Nicholas Shaxson) (タックスヘイブンが隠然とした「金融兵器」であるのと似て、ホロコーストは英米イスラエルの脅威となる勢力を無力化する「倫理兵器」である) (ホロコーストをめぐる戦い) 北朝鮮の金正日一家は、資金の運用先や師弟の留学先としてスイスを愛用しているが、これはスイスが伝統的に英国の逆張りとして社会主義勢力の資金を受け入れていた歴史と関係しているかもしれない。スイスは英国の逆張りとして機能しているが、英国の方が、より隠然と(つまり狡猾に)大規模に(スイスは一国だけだが英国は世界各地に属領の島がある)タックスヘイブンを運営している。 (Tax haven From Wikipedia) タックスヘイブンは英米関係の裏舞台でもある。南北戦争の時、英国はバハマ諸島を経由して南軍に資金援助した。1930年代以来、米国の犯罪組織がフロリダからキューバをつなぐ資金洗浄のルートを作った。キューバルートは1958年のキューバ革命後、一時的に消えていたが、英国は60年代末からそのルートを再利用し、英国のタックスヘイブンであるバハマやケイマンとフロリダをつなぐ資金洗浄ルートが再開された。フロリダはCIAの大拠点だ。70年代から米国が中南米で展開した「麻薬戦争」(麻薬撲滅の名目で中南米に介入した)も、この資金洗浄ルートが使われた。タックスヘイブンは、米英の諜報機関が外国で政権転覆や介入作戦をやる際の重要なネットワークでもある。 (The truth about tax havens: part 2) タックスヘイブン網を使った英国の世界戦略の流れを知った後で再考すると、これまで「英国が作ったブレトンウッズ体制をぶち壊した反英的な転換」と私が考えていた71年のニクソンの金ドル交換停止も、実は英国によって誘発された転換だったのかもしれないと思えてくる。タックスヘイブン網という巨大な資金の隠し場所を得た以上、ドルの発行量を限定する金本位制は、むしろ英国にとって邪魔なものになる。米当局にドルをどんどん増刷させ、それがタックスヘイブンに流れ込むほど、英国が隠し持つ金融兵器は強大になる。 ▼タックスヘイブン網と相性が良い中国人 半面、タックスヘイブンには「金融兵器」の側面とは別に、新興諸国に経済発展をもたらす資金源の機能もある。たとえば香港は、中国の経済発展のための資金源として長く機能してきた。70年代に中国の発展のための設計図を描いたトウ小平は「英国の手先」である香港を忌避せず、むしろ積極活用し、香港のとなりに新セン市を新設して「中国全土に香港を拡大する」戦略をとった。 中国の共産党や中台の財界人は、華人の隠然ネットワークに似た使い勝手のタックスヘイブン網が大好きで、中国の国有企業はヘイブンに置いた企業で資金調達したり、海外企業に非公式に投資したりしている。中国はタックスヘイブンの凶暴性も知っており、人民元の為替を自由化したがらない。自由化するとヘイブンの投機筋が中国のバブルを拡大して潰す攻撃を仕掛けるだろうからだ。タックスヘイブン網の発展性と凶暴性は、私の以前からの推論である「資本と帝国の相克」とうり二つだ。タックスヘイブンからの資金で中国など新興諸国を発展させるのは資本の論理そのものだし、金融兵器で新興諸国を潰すのは帝国の論理そのものだ。 (資本の論理と帝国の論理) 60年代末に英国がタックスヘイブン網の世界戦略を開始してから85年に米国が英国の戦略に相乗りする時期には、資本と帝国の相克に関する重要な出来事がいくつも起きている。72年のニクソン訪中や71年の中華人民共和国の国連加盟(中華民国の追放)は、中国の台頭という資本家側の策略の基盤を作った。米国主導の89年の冷戦終結は86年ごろから画策されていたが、これも東側地域の経済発展を可能にする資本の論理に基づく戦略の感じだ。「帝国」の側としては、中露が台頭しても金融兵器で潰せると考え、ニクソンやレーガンら米国の行動を容認したのだろう。 半面、今起きている巨大な金融崩壊を意図的なものとして考えると、85年に米国が英国製のタックスヘイブン戦略に積極的に乗って英米協調の金融自由化をやったのは、資本家の側が帝国の側を25年がかりで引っかけて潰す策略だったのかとも思えてくる。85年以降、米英の金融バブルはどんどん拡大し、90年代末から潜在的に不安定になってバブル拡大に拍車がかかり、07年からの崩壊に至っている。ミイラ取りがミイラになった感じで、金融バブルを拡大させた後に潰す金融兵器の手法の犠牲者に、米英自身がなっている。 85年に米英の金融自由化が始まってから07年の崩壊開始まで30年近い歳月があるが、まさにその間に、中国は極貧国から経済大国へと変身し、ロシアやインドなどと合わせ、世界を米欧中心から多極型の政治経済の構造に転換することが可能になっている。これを米英資本勢力による「30年かけた多極化戦略」と見るかどうかが、もはやだれも否定できない現実として存在する多極化を「自然・偶然な流れ」と見るか「意図的な誘導」と見るかの違いとなる。世界の多極化が顕在化する前から、米英発の言説の中に「世界は多極化する」「世界の中心がアジア(ただし日本ではない)に移る」という予言が散見されるのを見てきた私には、多極化が偶然の流れであるとは思えず、意図的な誘導に見える。 ▼英国自身がタックスヘイブンを壊す構図 今回の私の分析の源泉となったシャクソンが、チャタムハウスやCFRといった英米中枢の研究機関の関係者であることも、意図的な感じを受ける。シャクソンは、タックスヘイブン網の創設は英国の国家戦略だったと書くとともに、タックスヘイブンの存在自体を非難し、タックスヘイブンで脱税(節税)している多国籍企業にもっと課税すべきだという米英の市民運動を加勢し、途上諸国が多国籍企業にうまく課税できる体制作りを手伝う国際市民運動(Tax Advisers Without Borders)まで作っている。 (Tax Advisers Without Borders - an Invitation By Nicholas Shaxson) シャクソンはタックスヘイブンの本質を暴露するとともに、その存在を潰す方向の市民運動に加勢している。これは英国の帝国的な国益を損なっているが、彼自身は英国の帝国的な国益を代表すると言われるチャタムハウスの関係者である。私は以前から、資本と帝国の相克が、米国と英国の潜在的な対立としてだけでなく、英国内部の論争や暗闘としても起きていると感じてきたが、シャクソンの動きからも、英国内部で資本と帝国の相克がある感じを受ける。米中関係の改善や金ドル交換停止をやったニクソンの戦略を立案し、今もドイツ訛りの高齢者の不明瞭な英語で「世界の中心はアジアに移る」とうわごとのように言うキッシンジャーが、ニクソン政権入りの前にCFRの研究員だったことにも通じるものがある。 リーマンショック直後、米国が世界経済の中心的な意志決定機関をG7からG20に切り替えたが、これもタックスヘイブン網と関係がある転換だ。85年に創設(秘密協定の顕在化)されたG7は、タックスヘイブン網にある巨額資金を使って為替を安定化してドル基軸制を維持する英国主導の手法のお手伝いをする組織だった。対照的に多極型のG20は、当初からドル基軸制の崩壊後の世界体制を提案し、タックスヘイブンやヘッジファンドを規制・禁止する政策を打ち出している。 G20の傘下に入ったIMFは、国際資金取引に課税するトービン税を、国連の財源として提案しているが、トービン税の課税は前提として、世界のあらゆる国際金融取引をIMFが監督する体制を必須であり、タックスヘイブンの秘密性を破壊して情報公開させる意味を持つ。G20と国連は相互補完的に、多極型の世界の上に立つ「世界政府」として機能する戦略を持っており、IMFは世界政府の財務省として位置づけられ、トービン税は世界初の国際課税となる。 (「第2ブレトンウッズ」再び) G20やIMFのタックスヘイブン規制は今のところ実現していないが、大きな流れの方向は、タックスヘイブンは規制・禁止され、英米覇権やドル・米国債は崩壊し、BRICの台頭が続いて、世界の覇権体制は多極化していく。その一環として、シャクソンによってタックスヘイブン網という英国の覇権の本質が暴露され、同時にS&Pの米国債格下げや金地金相場の史上最高値更新など、いよいよドルや米国債の崩壊感が強まっている。
田中宇の国際ニュース解説・メインページへ |