強いが弱いイスラエル2007年10月9日 田中 宇9月下旬、イスラエルがアメリカに対し、毎月受け取っている経済援助を、ドル建てではなくユーロ建てで支払ってほしいと要請した。イスラエル政府は要請の理由について、急速に値下がりしているドルで受け取ると、援助金が減価してしまうから、と露骨に表明している。貴国の通貨が弱くなったので、もっと強い他国の通貨で受け取りたいというのは失礼な話だが、アメリカのライス国務長官は9月21日「イスラエルに対する責任を果たすことは、アメリカにとって最重要のことなので、ユーロでも何でも、イスラエルが望む通貨で支払います」と発表した。(関連記事) 同じ時期にエジプトも、イスラエルの動きを見て、似たような要請を行ったが、こちらはアメリカから拒絶されている。イスラエルとエジプトは、いずれも1979年のキャンプデービッドの中東和平合意以来、アメリカから経済援助を受け取っている。だがアメリカは、イスラエルの要請には言いなりになる一方、エジプトなどアラブ諸国の要請には冷淡である。 ガザの反イスラエルの過激派組織ハマスは、イスラエルを攻撃するための武器を、国境の地下に秘密のトンネル群を掘り、エジプトからガザに搬入しているが、米議会は、エジプトが秘密のトンネル掘削を十分に取り締まっていないとして、エジプトに対する経済援助(軍事援助)を減額することを検討している。米政界は、イスラエルに手厚く、アラブに厳しい。(関連記事) アメリカは、イラクなどの戦費やメディケア(官制健康保険)の財政支出増と、金持ち向け減税の長期化による歳入減で、財政赤字がひどくなる傾向にある。このため米政府は、いろいろな口実をつけ、世界の諸国に対する経済援助、特に軍事以外の援助を減額している。(関連記事その1、その2) そんな中で、イスラエルはアメリカからの援助の増額を要請している。従来24億ドルだった年間軍事援助を、来年から10年間、毎年5千万ドルずつ増額してほしいと求めている。(代わりに、年1億2千万ドルだった軍事以外の経済援助は今年で打ち切る)(関連記事) ブッシュ政権になってからのアメリカは、発展途上国など世界に対する経済援助を軍事援助に切り替え、援助金でアメリカの武器を買うことを義務づけている。だが、イスラエルに対しては、この条件は緩和されており、援助金で自国の武器開発を進めたり、パレスチナ占領地での入植地の建設費に流用したりできる。(関連記事) ▼いくらもらっても足りない軍事費 イスラエルがアメリカから手厚い援助を受けられるのは、AIPACやネオコンなど「親イスラエル」と言われる右派勢力が米政界で力を持っているためだ。米政界がイスラエルの言いなりになる傾向は、911以降強まり、今年の夏には、米議会の議員が80人近くもイスラエルを親善訪問した。政治ウェブログ執筆者からは「いっそのこと、米議会はエルサレムで開いた方が話が早い」と揶揄されている。(関連記事) イスラエル内情に詳しい記者のセイモア・ハーシュは、来年のアメリカ大統領選挙に立候補しているすべての主要な候補が、イランとの戦争に積極的に賛成しているのは、主要候補のところに「ニューヨークのユダヤ人の資金」(この言葉は従来、米政界で絶対の禁句だった)が大量に流れ込んでいるからだ、と述べている。(関連記事) ブッシュ政権と米議会が、イラクからの米軍撤退をやりたがらないのも、なるべく長くイラクに米軍をとどめておきたいイスラエルの差し金であると見られている。今後、米軍がイラクから撤退する際は、イラクをシーア・スンニ・クルドに3分割して相互に恒久的な内戦を続かせ、イラクを二度と強い統合された国に戻さないのがイスラエルの国益に合っている。米議会では最近、イラクを3分割する決議が出された。(米政府と、イラク政府は反対している)(関連記事その1、その2) このようにイスラエルは、思うがままにアメリカを動かせる恵まれた状態にあるかのように見える。しかし、もう少し事態を詳細に見ていくと、実は、イスラエルは恵まれた状態からほど遠い、追い詰められた苦境にあることが分かる。 イスラエルは、アメリカから手厚い援助を受けているが、同時にパレスチナ占領地や周辺諸国との敵対がひどくなり、軍事費が急増している。昨夏のレバノンでのヒズボラとの戦争が、決着のつかないまま終わっており、イスラエルはいずれ再びヒズボラと戦争しなければならない状態だ。イスラエル政府は、昨夏にこの状態になって以来、軍事予算を必死に急増させ、公務員の待遇や教育予算などを削っているが、間に合わない状態だ。昨年以来、パレスチナ占領地のガザでも過激派のハマスが台頭し、イスラエル軍は南と北の2正面の戦争準備を迫られている。 ▼ホロコースト年金をドイツに肩代わりさせる イスラエルは、アメリカからいくら軍事援助をもらっても足りない状態になっている。そのため、他の分野の政府支出を切り詰めねばならない。最近、第二次大戦中にドイツでナチスのユダヤ人弾圧の被害に遭った、イスラエル在住の老人たちが、生活に困り、イスラエル政府に特別年金の支給を要請したが、イスラエル政府が出せたのは、わずかに一人当たり月20ドルという少額だった。 イスラエルは1950年代以来、ドイツ政府から、ナチスのユダヤ人弾圧(ホロコースト)の賠償金として、総額800億ドルを受け取ったが、その資金はこれまで、弾圧の被害に遭ったとされる被害者本人たち(イスラエルに24万人いる)に手渡されたことはなく、すべてイスラエルの国家建設費や防衛費に流用されてしまった。独仏オランダなど欧州では、1950年代からナチスの被害を受けたユダヤ人に特別年金を支給し続けており、その額は、たとえばオランダでは月に約4千ドルとなっている。(関連記事) 軍事に金を取られて金欠病のイスラエルは、月に20ドルしか出せないことの穴埋めとして、代わりにドイツに金を払わせようとしている。ドイツの収容所に入れられていた8千人のイスラエル在住生存者への年金支給を肩代わりしてくれ、とイスラエルはドイツに求めている。(関連記事) アメリカの政界やマスコミでは「親イスラエル勢力」の影響力が強いが、EUなど他の国々の多くは、世論が反米・反イスラエルに傾いている。欧州議会では、パレスチナ人を抑圧し続けるイスラエルに対する経済制裁が検討されている。(関連記事その1、その2) ▼徴兵忌避の増加も イスラエルは、聖都エルサレムを首都と宣言しているが、エルサレムは第二次大戦後の国連決議によって、イスラエルに属さない国際管轄地域であると決められいる(国連の認識では、イスラエルは中東戦争でエルサレムを不当に占領している)。このような事情があるため、アメリカを含む世界の多くの国は、大使館をエルサレムではなく、とりあえず約50キロ離れたテルアビブに置いている。イスラエルは、世界各国との関係を良くして、なるべく多くの国の大使館をエルサレムに置いてもらおうと努力し、中央アメリカ諸国などいくつかの国は、エルサレムに大使館を置いていた。 しかしイラク戦争後、イスラム世界では、イスラエルがアメリカを動かして中東で占領を拡大しているという認識が強まり、イスラム世界との良好な関係を維持するには、世界各国は、大使館をエルサレムに置かない方が良い状況になっている。その結果、昨年10月には、エルサルバドルとコスタリカが大使館をテルアビブに移し、エルサレムに大使館を置く国はなくなってしまった。(関連記事) 世界からの非難を受け、イスラエルでは、軍の徴兵を忌避する若者が増えている。パレスチナに対する占領が「アパルトヘイトに劣らぬ人権侵害」と世界的に酷評されるに至って、占領地でパレスチナ人を統制するイスラエル軍の任務に対するイメージが悪化し、若者が兵役を嫌がるようになっている。徴兵対象者の27%が、兵役を忌避しているという指摘もある。(関連記事その1、その2) イスラエルを捨てて、ドイツやハンガリーなど、祖父母の代まで祖先が住んでいた欧州の国に戻ったり、いつでもイスラエルから逃げ出せるよう、とりあえず二重国籍を取得しておく動きも増えている。アメリカでは、ユダヤ系の人々がイスラエルを支持しない傾向を強めている。(関連記事その1、その2) ▼暴露されるイスラエル軍の過去の謀略 米英などのマスコミでは、イスラエルが行ってきた謀略に関する暴露記事が少しずつ増えている。たとえば、1967年6月8日、第三次中東戦争(6日戦争)の開始後4日目に、イスラエル沖の地中海で通信傍受していた米軍の船「リバティ号」が、イスラエル戦闘機の空爆を受けた事件についてである。 この事件は従来、イスラエル戦闘機がリバティ号をエジプトの敵国船と間違えて空爆したという誤爆事件として扱われていた。だが最近、リバティ号乗務員の証言や、事件から40年経って当時の機密文書が公開され、イスラエルがリバティ号を空爆したのは誤爆ではなく、故意によるものだった可能性が増してきた。米大手紙のシカゴ・トリビューンなどが、事件の真相を示唆する記事を出している。(関連記事) イスラエルが意図的にリバティ号を空爆した理由については「エジプトが空爆を挙行したという話をでっち上げ、アメリカのマスコミで喧伝させ、アメリカをイスラエルの側に立って中東戦争に参戦させようとした。イスラエル軍はリバティ号を沈没させられなかったので、米側船員の目撃者が生き残り、この作戦は失敗した」という仮説と「第三次中東戦争はアラブ側が開始したことになっているが、実はイスラエルが開始したもので、米軍はリバティ号による通信傍受でその事実を確認しようとしたので、それを阻止するために空爆した」という仮説がある。(関連記事その1、その2) 今年6月、イスラエルで政権に参加している労働党の党首にエフド・バラク(元軍人、元首相)が就任し、バラクが国防大臣に就任する前後には、バラクが軍人時代に英雄になるきっかけとなった「エンテベ空港事件」(1976年)についての暴露が出た。このハイジャック事件は、実はイスラエル軍諜報機関シンベトのエージェントが、パレスチナの過激派組織PFLPに入り込んで誘発した事件であることが、イギリスBBCによって報じられた。(関連記事その1、その2) エンテベ空港事件は、PFLPのテロリストが、イスラエル発の旅客機をハイジャックしてアフリカ・ウガンダのエンテベ空港に着陸し、ユダヤ人の乗客を人質に立てこもった事件で、その後イスラエル軍の特殊部隊がハイジャック機を急襲し、見事テロリストを退治して乗客を救出したという、イスラエル軍の「無敵神話」を支える話である。特殊部隊の中には、後に首相となったバラクのほか、元首相ベンヤミン・ネタニヤフと、その兄のヨナタン・ネタニヤフもいた。ヨナタンは奇襲作戦の隊長で、この時の銃撃戦で死亡して英雄となったが、弟のベンヤミンが、兄の栄光を受け継いで政界に入り、首相にまでなった。 エンテベ事件は、イスラエル政界にとっても、首相にまでなった2人の英雄を生み出した神話であるが、それが実はイスラエル軍の自作自演だったとなれば、イスラエルの無敵神話や英雄談は崩れてしまう。BBCの報道は情報源が匿名になっており、信憑性に疑いがあるが、ニュースは一人歩きし、イスラエルの若者が祖国に不信感を持って徴兵を拒否し、ユダヤ系アメリカ人がイスラエルを見放すことにつながっている。(関連記事) ▼シオニスト右派の本質 イスラエルが米政界を牛耳っているにもかかわらず、国家的な存亡の危機にある理由は、米政界を牛耳っているのが「イスラエル政府」ではなく、イスラエルの代理人として振る舞っているネオコンや、シオニスト右派勢力だからである。 1948年に建国した当時のイスラエルの国家戦略は、20年かけて国家建設をやって強い国を作り、その強さをもとに、アラブ諸国との間で有利に和平条約を結んで和解し、建国時に国連から課された「パレスチナ問題の解決」を実現し、自国の周辺を安定させて発展を続けることだった。 イスラエルは、1967年の第三次中東戦争で、ヨルダンから西岸地域、エジプトからガザとシナイ半島、シリアからゴラン高原を奪って占領した。イスラエルは、これらの地域をヨルダン・エジプト・シリアというアラブ諸国に返還する見返りに、アラブ側と和平を結び、かねてから必要だった自国周辺の安定化と、持続的な経済発展を実現しようとした。 この構想を阻止したのは、1970年代になってアメリカとイスラエルの両方で台頭した、シオニスト右派勢力だった。彼らの多くはユダヤ系アメリカ人で、「ユダヤ人差別問題」を使って米議員やマスコミに脅しをかけ、米政界に食い込むとともに、イスラエルに移住して占領地に入植する運動を展開し、イスラエル政府がアラブ側に占領地を返還して見返りに和平と安定を実現することを不可能にした。イスラエルの軍や公務員の中にも、右派が多数入り込んだ。 これに対し、アメリカとイスラエルの旧来からの勢力(主流派)は、カーター政権の1978年にキャンプデービッド合意でイスラエルとエジプトの和平を実現したり、クリントン政権の1993年にパレスチナ和平のオスロ合意を実現したりした。しかしそのたびに、アメリカ・イスラエル双方で右派の反撃に遭い、和平は頓挫している。2001年からの現ブッシュ政権は、実権を握っているチェイニー副大統領を筆頭に、シオニスト右派の天下となった。 シオニスト右派は表向き、イスラエルのための戦略を推し進めているようなふりをしているが、実態としては、イスラエルを危機に陥れている。たとえば、チェイニーらは昨夏「イランとの戦争の前哨戦として、イスラエルがヒズボラを攻撃してくれ」とけしかけて戦争を誘発した。ハマスをめぐっては2005年に、イスラエルが反対したのにブッシュ政権は「中東民主化の一環」としてパレスチナで選挙をやらせ、ハマスが勝って台頭することに道を開いてしまった。(関連記事) ▼イラン侵攻を歓迎しなくなるイスラエル チェイニーは最近、ネオコンの牙城である「アメリカン・エンタープライズ研究所」に金を出させて、イラク駐留の長期化と、イラン侵攻の必要性を喧伝する新たな圧力団体「フリーダムズ・ウォッチ」(Freedom's Watch)を創設させた。イラク占領の泥沼化で、米国内に厭戦気運が強まり、ネオコンに対する批判も強まっている。それを乗り越えて、イラン侵攻を実現しようとするのが、この団体の目標である。(関連記事) イラン侵攻について、イスラエル政府は、アメリカがイランを空爆し、国家として破滅状態になるまで破壊してくれること自体は歓迎だが、その戦争にイスラエルが巻き込まれるのは避けたいと考えている。イスラエルの周辺には、レバノンのヒズボラとガザのハマスという、2つのイランの代理武装勢力がおり、アメリカがイランを侵攻したら、ヒズボラとハマスはイスラエルへの攻撃を開始し、イスラエルも参戦せざるを得なくなる。イスラエル政府は、アメリカとの関係があるので、イラク侵攻に対する自国の態度を正直に表明することができないが、事態がイスラエルに不利になる中で、アメリカのイラン空爆は危険だと考え始めている。 イスラエルは、イラク侵攻前の2002年の段階で、アメリカのイラク侵攻にも懸念を表明していた。当時、イスラエルのシャロン首相は、アメリカがイラクに侵攻したら、イランがイラクのシーア派との結びつきを強めて台頭してしまうので、米軍はイラクを侵攻するなら、それが一段落した後、すぐにイランも侵攻しなければならないとアメリカに通告していた。(関連記事) イラク侵攻後、アメリカはイランを侵攻しそうな素振りを何度も繰り返しながらも、実際には侵攻せず、その間にイラクにおけるイランの影響力は強まり続けている。 ▼アメリカが非難するほど人気が出るアハマディネジャド 先日、イランのアハマディネジャド大統領が、国連総会で演説するためにニューヨークを訪問し、コロンビア大学でも講演を行った。同大学での講演では、会場にシオニスト右派の学生活動家たちが陣取り、講演前の学長の挨拶も、わざわざ講演に来てもらったアハマディネジャドを独裁者呼ばわりする失礼なもので、大学自体がシオニスト右派に対しておもねっていた。 しかし、講演の様子をテレビ中継で見たイランなどイスラム世界の人々の目には、イスラエルに牛耳られるアメリカで、アハマディネジャドが堂々とアメリカの戦争を非難し、シオニスト右派の攻撃に反論する姿が、英雄的なものとして映った。 会場から「あなたはホロコーストがなかったと言うのか」と尋ねられたアハマディネジャドは「問題は、自由な発言や研究が許されているはずのアメリカの大学で、ホロコーストがあったかどうかについて、疑問を抱くことが許されないことだ」「ホロコーストの賠償として、イスラエルがパレスチナ人の土地を占領しているのは間違っている」などと反論した。 アメリカ以外の多くの国(対米従属の言論統制が敷かれている日本などを除く)では、アハマディネジャドの方が正しいと思う人の方が多数派である。その意味で、アハマディネジャドの訪米は、世界の反米・反イスラエル感情を煽るものとして成功だった。イスラエルの新聞は、アハマディネジャドの訪米における敗北者はイスラエルである、と厳しい分析している。(関連記事) アハマディネジャドに訪米のビザを発給する決定をしたのはブッシュ政権である。イスラエルを支援するふりをして潰そうとしているチェイニーらが、アハマディネジャドの訪米を許した上でことさらに酷評中傷することで、逆にアハマディネジャドを強化し、イスラエルを窮地に追いやる戦略を展開しているのではないかとも思える。 ▼和平したいイスラエル、阻止するチェイニー 最近のイスラエル政府は、アメリカがイラクから撤退する前に、パレスチナやアラブ諸国と和解しておきたいと考えている。イラク撤退後のアメリカは、中東に対する影響力が大幅に減少し、イスラエルの後ろ盾として機能しなくなりそうだからである。 これに対してチェイニーらブッシュ政権は、イスラエルに協力して中東和平交渉をやるふりをして、実際には和平が進展しないように細工する作業を続けている。ライス国務長官は、チェイニーのこの戦略の踊り子である。11月にはアメリカでパレスチナ和平の国際会議が開かれる予定だが、ほとんど中身のない会議となりそうだ。サウジアラビアなどは、中身が伴わない限り出席しないと言っている。(関連記事) イスラエルは、シリアとの和解も進めたいが、チェイニーやシオニスト右派は、それも阻止している。9月6日、イスラエル戦闘機がシリアの領空を侵犯し、空爆を行う事件があったが、これはイスラエル空軍内のシオニスト右派系の反乱分子が、勝手にやったことだろう。イスラエル空軍は右派の巣窟で、昨年夏のレバノンでの戦争でも、世界からの怒りをかった停戦直前のクラスター爆弾散布を強行している。イスラエル政府は、シリア空爆について奇妙な沈黙を続けたが、チェイニーの側近らが「イスラエルはシリアの秘密の核施設を空爆した」「北朝鮮がシリアに核情報を提供していた」といった確証の取れない情報をさかんに米マスコミにリークし、騒動を拡大した。(関連記事) 今後、イスラエルに対する世界的な批判はさらに強まりそうだ。イランとの戦争が起きてイスラエルにも飛び火し、中東大戦争になって最終的にイスラエルが滅亡しても、世界の人々は「イスラエルはパレスチナ人を虐待する、残虐で好戦的な国だったのだから、アメリカを牛耳って戦争して自滅しても、自業自得でざまあみろだ」と思うのかもしれない。しかし、あらかじめ言っておくが、イスラエルは自らの意志で自滅しようとしているのではない。シオニスト右派やネオコンなど、アメリカの勢力による30年がかりの作戦の結果、滅ぼされかけているのである。 シオニスト右派は、シオニストのふりをした「ニューヨークの資本家」の手先ではないかと私は勘ぐっているが、これについては、今回は長くなったので詳述しない。すでに何本かの分析を書いているので、そのリンクを以下に紹介しておく。
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