北朝鮮核交渉の停滞2008年1月29日 田中 宇アメリカの外交戦略の立案に関与してきたシンクタンク「外交問題評議会」(CFR)が「北朝鮮は、アメリカが来年1月に次の政権になるまで、米朝などが6者協議で合意したことを完全には実行しそうもない。ブッシュ政権は、そう考える傾向を強めている」という主旨の分析記事を1月25日に発表した。(関連記事) 分析記事は、クリントン政権の軍縮担当だったゲイリー・サモア(Gary Samore)に対するインタビューの形をとっている。サモアによると、昨年2月に6者協議で合意した核廃棄プロセスのうち、北朝鮮側が寧辺の原子炉を解体する件はすでに進み、解体開始の見返りとして北朝鮮に提供されることになっていた原油も、すでに6者協議参加国の日本以外の4カ国(米中韓露)が5万トンずつ、合計20万トンが提供されている。(関連記事) 問題は、北朝鮮がすべての核関連の事業内容を発表し、アメリカはその見返りとして北朝鮮をテロ支援国家リストから外すという、もう一つの合意事項の方だ。北朝鮮は、この事項を昨年末までに実施することが義務づけられていたが、まだ実施されておらず(実施されたと米が認識していない)、見返りのアメリカによるリスト除外も行われていない。北朝鮮は今年に入っても新たな動きを見せないため、ブッシュ政権は、北朝鮮はもうブッシュの任期末まで核問題を解決するつもりはないだろうと考えている、とサモアはCFRのインタビューで述べている。 ▼推定の範囲内なのに「少なすぎる」 CFRは、合意を守っていないのは北朝鮮であるという論調だ。しかし実際の経緯は、北朝鮮が合意を守ろうと核開発の全容を明かしたのに、アメリカの側が北朝鮮はウソを言っていると考えて満足せず、米朝の対立が解けなかったというものだ。 北朝鮮は、11月にアメリカの北朝鮮問題担当のクリストファー・ヒル国務次官補が平壌を訪問した際、ヒルに対し、自国の核関連の事業内容を報告している。北朝鮮側は、寧辺の原子炉から出た使用済み核燃料を再処理して30キログラムのプルトニウムを抽出し保有しているが、ウラン濃縮の事業はやっていない、とヒルに報告した。核爆弾には、プルトニウム型とウラン型があり、北朝鮮はプルトニウム型については進めたことを認める一方で、ウラン型はやっていないと報告した。この報告は北朝鮮にとって、6者協議の合意事項の履行としての報告だった。(関連記事) ここでもし、ヒルが北朝鮮の報告を事実として受諾していたら、北朝鮮の報告を米朝共同で世界に発表し、昨年11月の時点で合意事項は達成されていた。しかしヒルの返事は「こんな内容では、報告が事実だとは認めがたい」「プルトニウムの量が少なすぎる」「ウラン濃縮をやっていないはずがない」「この内容では、私はワシントンに戻っても、政府高官たちを納得させられない」というものだった。 北朝鮮の報告を聞く前、ヒルは、北が持っているプルトニウムは60キロ近いはずだと言っていた。また米政府は以前から、北はウラン濃縮を手がけているに違いないと言い続けていた。「プルトニウムは50−60キロ。ウラン濃縮もやっている」というのが、米政府の期待していた答えだった。北がそれを大きく異なる報告をしてきたため、ヒルは拒否した。 「北朝鮮は嘘つきだ」という、日米のマスコミでここ数年流されてきた価値観に基づくなら、北朝鮮は虚偽の報告をしたに違いないのだから、米側が拒否するのは当然だ、ということになる。 しかし、米の北朝鮮問題の専門家であるデビッド・オルブライトは、1月24日のワシントンポストに「30キロという数字は、米政府が推測していた北朝鮮保有のプルトニウム量の下限であり、米側の推定の範囲内である」と書いている。オルブライトは、ウラン濃縮についても「米政府の高官は以前から、北朝鮮が大規模なウラン濃縮をしていると言い続けてきたが、これは少なくとも誇張された表現であり、もしかすると誇張以上のもの(虚偽)である」という主旨のことを書いている。オルブライトの指摘に基づけば「保有プルトニウムは30キロ。ウラン濃縮はやってない」とする北朝鮮の報告は、米政府が事実として受諾できる範囲内のものである。(関連記事) ▼北朝鮮は事実を言っていた? ブッシュ政権は、イラクとイランの大量破壊兵器について、誇張やウソをさんざん言い続けてきた。イラク侵攻の理由だったフセインの大量破壊兵器は存在していなかったし、イランのウラン濃縮も低濃度の発電用であり、米政府が主張してきた核兵器用ではない。米政府はすでに、これらが誇張であったことを認めている。(関連記事その1、その2) イランとイラクの大量破壊兵器に対する米政府の主張が誇張だった以上、「悪の枢軸」の残る一つである北朝鮮に対する米政府の主張も誇張であると疑われる。北朝鮮の核開発の内容は、アメリカもはっきりわかっていない。30−60キロという保有プルトニウムの推測も、寧辺の原子炉を何年稼働させたらどのぐらいプルトニウムが出るという大雑把な見積もりでしかない。 事実を報告し、テロ支援国家リストから外されれば、北朝鮮はアメリカや他の国々と自由に貿易し、世界から投資を受け入れることでき、経済発展が可能になる。北が事実を報告するインセンティブは高かった。北朝鮮の指導者である金正日は、大胆な交渉術を好むことで知られてもいる。「保有プルトニウムは30キロ。ウラン濃縮はやっていない」という北朝鮮の報告が事実だった可能性は十分にある。 北朝鮮が核開発の内容について事実をアメリカに伝えたのに、アメリカが「それは事実ではない」「もっと多いはずだ」と言ったのだとしたら、北朝鮮は「ブッシュは信用できない。次の大統領になるまで待った方が良い」と考えて当然である。ブッシュ政権は、自分たちが北朝鮮の核開発について誇張してきたことを認識しているだろうから、核問題の解決に向けた動きを止めたのは、北朝鮮の意志ではなく、アメリカの意志である。 北朝鮮側は昨年末以来「アメリカが北朝鮮をテロ支援国家リストから除外しないのは6者協議の合意に反している」と主張しているが、この主張の意味するところは、北側が核開発の全容を明かしたのに、アメリカが勝手に「信用できない」と言ってテロ支援国家リストから除外しないのは合意違反だということである。北朝鮮側は「早くアメリカと和平条約を結びたい」とも言っている。(関連記事その1、その2) その一方で北朝鮮は最近、昨年から進めている寧辺原子炉の解体工事の速度を半分以下に落とした。また韓国の外相は1月28日、6者協議の停滞はしばらくは続くと述べている。北の核問題は、ブッシュ政権の任期末まで停滞し続ける見通しが強くなっている。(関連記事その1、その2 ▼中韓に任せる姿勢は変わらず アメリカは、2003年に6者協議の枠組みを作って以来、北朝鮮の核問題を解決する主導役として中国と韓国を引っぱり出そうとする一方、強硬な北朝鮮を中韓が持て余すと、ヒル国務次官補ら米政府代表が出てきて北朝鮮と裏で交渉して話をまとめ、それを中韓中心の6者協議の体制に戻すという、中韓の対北朝鮮外交を助ける補助輪的な役割を続けてきた。(関連記事) アメリカは当初、北朝鮮に対し、核開発施設の「完全な、検証可能な、不可逆的な破棄」(CVID)を求めていた。イラクを潰したのと同様の「まだ隠された核施設があるはずだ」という濡れ衣をいくらでもかけられるやり方である。しかしアメリカは、昨年1−2月に北朝鮮と話をまとめた時からCVIDを主張しなくなり、北朝鮮の自己申告に基づいて核施設を特定し、それを廃棄していくという宥和的な戦略を採るようになった。(関連記事) アメリカはその後、寧辺の原子炉解体の見返りに米中韓露が原油を北に供給するという話でも、以前の「解体が完全に終わってから原油をわたす」という厳しい条件から、「北が解体を開始した時点で原油をわたす」という、中韓が望む甘い条件に替えることを認めた。北はまだ原子炉解体の途中だが、すでに原油は予定の全量の供給が完了している。 昨年11月、北朝鮮が明かした核開発の内容をアメリカが「ウソだ」と言って拒否したことは、アメリカが北朝鮮に対する宥和的な戦略をやめて、米朝国交正常化まであと一歩というところで、再び濡れ衣的な強硬な戦略に転換したのではないかという推察も成り立つ。しかし、ブッシュ政権の世界戦略の全体を見ると、戦略転換は起きていない。中東では、イランやイラクのイスラム主義勢力の台頭を容認する傾向を強めているし、中国の大国化を容認し、米中の軍事交流を強める政策を続けている。 韓国に対しても、在韓米軍の司令官は1月28日、「朝鮮半島有事の際の軍の指揮権を在韓米軍から韓国軍に委譲することは、以前からの予定どおり2012年に実施する」と表明している。有事の指揮権を韓国軍に委譲すると、在韓米軍の存在意義がなくなり、米軍は韓国から撤退する流れができあがる。アメリカは北朝鮮と対立せず、逆に戦線を離脱していこうとする傾向を止めていない。(関連記事) ▼隠れ多極主義の一環? ブッシュ政権は、中国やロシア、イランなどの反米・非米的な国々を敵視する戦略を展開してきたが、これは表向きの姿にすぎないと私は分析してきた。敵視することで、中国・ロシア・イランといった国々を結束させ、アメリカが過激にやりすぎて覇権を崩壊させていくとともに、反米・非米の国々が、アメリカ抜きで国際政治を動かしていく体制を作り、最終的にはEUなどもその中に入るようにして、世界をアメリカ一極体制から多極的な体制に転換していこうとしているように見える。 このような私の見方に基づくと、ブッシュ政権が北朝鮮と関係を正常化する一歩手前で事態を止め、任期末までそのままにするのは、その間に韓国や中国が北朝鮮との関係を緊密化し、アメリカ抜きの朝鮮半島を作ることを誘発するためだと思われる。 経済面を見ると、03年に6者協議が開始されて以来、北朝鮮と韓国・中国との経済関係は、緊密化する一方である。今後、アメリカが北朝鮮との関係改善を止めている間にも、中韓と北朝鮮との経済を中心とする関係がさらに進んで行くことは、ほぼ確実である。 韓国では、2月下旬に大統領が盧武鉉から李明博に代わる。李明博は北朝鮮に対し、盧武鉉より強硬姿勢だと報じられているが、私は違う見方をしている。盧武鉉は、左派的な南北統一のロマンを韓国民に売り込んで南北関係を強化したが、李明博は、左派的なロマンを排除する一方で、現実的な南北間のビジネス関係を強化しようとしている。(関連記事) 中国は以前から、朝鮮半島の対立の解消は、南北がいきなり統一する「ドイツ式」ではなく、中国が20年前に香港の隣に深セン市を作り、市場経済のノウハウを体得していったように、北朝鮮が中国と韓国から時間をかけて経済開放のノウハウを学び、経済的に自立できるようにしていく「香港深セン型」でやるべきだと考えてきた。金正日は、以前は中国のやり方を「社会主義の道を外れた修正主義」と呼んで嫌っていたが、2000年に中国を訪問したころから、中国の忠告に従うようになった。 ブッシュ政権が、隠れ多極主義の一環として、北朝鮮との関係を正常化せず、その間に中国や韓国に北朝鮮の問題の経済的な解決を進めることを誘発しても、ブッシュ政権の残る任期は1年しかない。ヒラリーなりオバマなり、来年1月からのアメリカの次期大統領が北朝鮮との関係を正常化し、朝鮮半島に対する覇権を回収しようとするかもしれない。 しかし、アメリカの全体的な状況を見ると、今年から来年にかけて金融危機と不況がひどくなり、米政府は税収減からの財政難や、ドルの信用不安に悩むようになると予測される。ドルは下落し、中国人民元は上がる。不況の結果、アメリカは世界の大消費地ではなくなり、代わりに中国が大消費国になっていく。 アメリカの政界や財界は、中国を今よりさらに重視するか、もしくは孤立主義に入るしかない。昨年までなら、アメリカが北朝鮮と国交を正常化し、北朝鮮と韓国を親米の方向に戻し、朝鮮半島への覇権を復活することは可能だったが、今年から来年にかけて、それは難しくなる。財政難を強めるアメリカは、在韓米軍や在日米軍を縮小していかざるを得なくなる。朝鮮半島は、不可逆的に中国の影響圏に入っていくと予測される。 ▼キティホーク寄港拒否の深層 ブッシュ政権は、北朝鮮に対してだけでなく、中国に対しても、宥和策を拡大する裏で、敵対関係を解かない戦略を採っている。昨年11月下旬、横須賀を母港とするアメリカの空母「キティホーク」が、香港に親善寄港しようとして中国政府から拒否される事件が、その一つの象徴である。 米中間では、軍艦の親善寄港は「30日前までに寄港する側が申請し、寄港予定日の5日前までに受け入れ側が可否を返事する」という取り決めになっている。キティホークは11月21日に香港寄港を予定し、その30日以上前に中国政府に申請したが、返答を得る前に横須賀を出港した。太平洋での軍事演習などの任務をすませた後、香港に向かったが、その途上で中国政府から寄港不許可の返事を受けた。中国政府が何日に不許可の返事を米側に送ったか報じられていないが、この点が問題にされていないため、中国からの返事は入港予定日の5日以上前だったと考えられる。(関連記事その1、その2) 手続き的には、米中ともに、非難されるべき間違いはない。香港寄港は、アメリカの感謝祭の休暇期間に当たっており「乗組員たちは休暇を楽しみにしていたのに、中国側からの冷たい拒否で休暇を奪われた」という感情論が、この問題をめぐるアメリカでの中国非難報道の要点だった。 中国政府は、アメリカでの感情論の高まりを受け、いったん不許可を通知した何日か後に、人道的な事情を重んじて、前言を撤回して寄港を許可すると米側に通知し直したが、キティホークはすでに香港沖から遠ざかっているためもう寄港しないと返答し、寄港を許可されなかった報復に、中国が「国内の海」と考えている台湾海峡を通過して横須賀に戻った。 中国がなぜキティホークの寄港を拒否したか、その後、真相はわからないままだったが、さる1月14日、米海軍の太平洋司令官であるキーティング大将が中国を訪問した際、キーティングと面談した中国軍の陳炳徳将軍は、面談の前後に米ABCテレビのインタビューに答えて「米軍艦は、中国に寄港してもらってかまわないが、その際には、必ず国際的な規約を守ってもらわなければならない」と述べている。つまり中国側は、米側が寄港に必要な手続きをきちんと取らなかったため不許可にした。(関連記事) 香港には、キティホーク寄港予定日のしばらく前の同じ11月に、2隻の機雷掃海艇が燃料不足のために寄港しようとして、中国側に拒否され、香港沖合で給油を受けた。掃海艇が寄港を試みた際、中国側から見て国際規約違反だと思われる行為が米側にあり、この問題で米中間の信頼が崩れ、その直後のキティホーク寄港が不許可となったのではないかと推測される。(関連記事) その後、キティホークが腹いせに台湾海峡を通航したことが、さらに中国側の神経を逆撫でし、その後中国側は、米側が申請した米軍艦の正月の香港寄港も断っている。米中間の緊張が解けたのは、1月中旬のキーティング大将の訪中によってだった。 ▼一触即発報道を鵜呑み後追い 中国政府は、1989年の天安門事件でアメリカから経済制裁されて以来、アメリカから挑発されても感情的に反発しないことを国是としている(トウ小平の遺言的な「24字箴言」として表されている)。だから、11月の一連の米軍艦の香港入港問題で、米側から挑発されても、中国政府はその真相も世界に発表せず、挑発を飲み込んで、低姿勢をとり続けている。中国側が対抗的な発表を避けるので、アメリカの政府やマスコミは中国が全部悪いという誇張報道を続け、日本や台湾の政府やマスコミも、その尻馬に乗っている。(関連記事) ブッシュ政権は中国を挑発・威嚇する一方で、中国との軍事交流を盛んにしたり、台湾の独立運動に反対したり、北朝鮮の問題の解決を中国に主導させたりして、中国の覇権拡大を容認している。覇権拡大を容認しつつも挑発されているため、中国はアメリカを信頼せず、アメリカに協力的な大国ではなく、非協力的な大国になりつつある。 アメリカに協力的な大国なら、中国はG8に加盟したりして、米英中心の世界体制に貢献するだろうが、非協力的な大国になると、ロシアやイランなどと連携し、世界を多極化し、米英中心体勢を崩すことに貢献する。ブッシュ政権は「隠れ多極主義」なので、中国を挑発しつつ、中国の覇権拡大を容認している。ブッシュ政権は、これと似たことを、ロシアやイランに対しても行っている。 香港寄港を拒否されて横須賀に帰る途中のキティホークが、台湾海峡で中国の戦艦と潜水艦に追尾され、一触即発のにらみ合いになったと、1月15日に台湾の新聞「中国時報」が報じ、日本のマスコミはこぞってこれを「事実」であるかのように転載報道した。しかし、米国防総省はすぐに「そんな事実はなかった」と否定している。中国はアメリカとの関係を好転させたいと考えており「挑発に乗るな」というトウ小平の遺言もある。中国を挑発しようと台湾海峡に入った米空母を、中国の戦艦が威嚇するとは考えにくい。(関連記事) 中国時報の報道は、1月12日に議会(立法院)選挙で、親中国的な国民党が勝ち、1月14日からは米軍のキーティング司令官が中国を訪問するというタイミングの中でリークされ、報じられている。台湾の世論が中国寄りになることを阻止しようとする台湾独立派が、偽情報をリークした可能性がある。 米軍艦の寄港問題でアメリカから挑発される一方で、同じ時期に中国は、自国の軍艦を戦後初めて日本に親善寄港させている。中国は、日本を親中国の側に取り込もうとし、福田政権の日本もそれに応じる構えを見せている。日本は転換しつつある。(関連記事) ▼「スーパーノート」は内部犯行? このほか、北朝鮮をめぐっては、昨年9月にイスラエルの戦闘機が空爆したシリアの施設が、北朝鮮からの技術提供を受けて作られた原子炉だったという話も、アメリカのタカ派(隠れ多極主義者)が流したウソである可能性が高い。シリア政府は、空爆された後、土地を整地して、似たような建物を3カ月後に完成されたことが、衛星写真で確認されている。欧米から経済制裁を受けているシリアが、原子炉を3カ月で再建できるとは思えない。空爆されたのは、軍の施設だったかもしれないが、原子炉ではないだろう。(関連記事) またアメリカが、北朝鮮製だと主張しているニセのドル札「スーパーノート」は、実は北朝鮮が作ったものではなく、アメリカ自身(CIAなど)が作った「内部犯行」のニセ札を、北朝鮮製だと言って濡れ衣をかけている可能性が高い。スーパーノートはあまりに本物に近く「ニセ札」というより、本物の原版と紙を使って刷られ、意図的に版のごく一部を本物と違うものにして、ニセ札とわかるようにしたものと考えた方が良いと、欧州の専門家が分析している。(関連記事その1、その2) 全体として、アメリカが北朝鮮を非難している案件の中には、濡れ衣や誇張が多い。日本のマスコミは、北朝鮮を悪く描くことばかり考えて冷静な分析をせず、誇張を鵜呑みにして報じ、国民の多くはマスコミを疑わず、洗脳されている。今後数年以内に、アメリカの覇権は退き、日本は北朝鮮と国交を正常化しなければならなくなるのだから、そろそろ日本人は洗脳を解いていかねばならない。
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