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有料配信を半額にします

2024年1月7日  田中 宇 

米覇権が崩壊していくとともに、米国側のマスコミ報道の歪曲や、意図的な誤報・無視などの機能低下がひどくなりました。
米国側のマスコミは20世紀初頭に形成されて以来、人々の頭の中を統制歪曲する役目を与えられた英米覇権体制の一部であり、米覇権の崩壊とともにマスコミの歪曲がひどくなって機能低下するのは自然なことです。
マスコミが米覇権の崩壊をきちんと報じたら、崩壊を防ごうとする動きが強まります。米覇権隠然と崩壊に誘導してきた米諜報界(マスコミのネタ元)の隠れ多極派が、人々の気づかぬうちに覇権崩壊を進めるため、意図的にマスコミを歪曲している可能性があります。

私は以前から米覇権の崩壊と多極化を予測・指摘してきました。私はマスコミ軽信の方々から妄想屋扱いされてきましたが、今や米覇権崩壊と多極化(BRICS台頭など国際秩序の非米化)は確実です。
分析が当たったのは良いですが、同時にマスコミが機能低下し、マスコミ情報をもとに歪曲を勘案して本当はどうなのかを書くオルトメディアも有意義な情報が減り、私が記事を書く際の参考情報が減りました。この状況は今後さらに進みます。

米覇権崩壊や多極化については以前から情報が少なく、私は見えない部分を推測・洞察して分析してきましたが、推測の部分が拡大・長期化する傾向にあります。私は、以前より少ない情報で洞察しており、配信記事数が減っています。1年間に52本の有料記事配信が必要なところ、昨年は43本しか配信していません。今年もこの傾向が続きそうです。
日本には、米覇権崩壊や多極化について深い分析を続けている人がとても少ないです。私は、自分の分析作業を多くの人に読んでほしいので、有料記事でなく無料記事を増やしたいです。

そのため、今年から購読料を半額にすることにしました。実のところ、田中宇プラスの購読料は昨夏から半額でした。私は、配信本数が減り出した昨年7月から、皆様に発表せず、購読料を半額にしてきました。
田中宇プラスの購読システムは、皆様の購読権の残存日数を毎朝1日ずつ減らす操作をしていますが、1日ずつ減らすのを毎日でなく奇数日だけにすることで、昨春から実質的に購読料が半額になっています。あと180日読めると書いてあっても、実際は360日読める状態でした。

本日、半額化を正式なものにしました。会員メニューにある購読できる日数(購読権の残存日数)を実際の日数(昨日までの2倍)にして、購読料も実際の日数にしました。以前は3000円で180日の購読だったのを、3000円で360日の購読にしました。1500円で180日の購読を新設しました。
購読できる日数は以前から実質的に2倍だったので、昨日までの支払い分も損になっていません。

半額化とともに、有料配信の最低目標配信数も「半年間に26本」から「1年間に26本」に減らします。これは最低目標であり、実際はこれまでと同様を目指しつつ、無料記事の増加につとめます。

私が田中宇プラスの有料配信を開始したのは2009年でした。当時はちょうど、リーマン危機で債券金融システム=米経済覇権の崩壊が始まり、米覇権後の多極型世界を主導するBRICSが初サミットを開いた後です。今から思うと、米覇権崩壊と多極化が加速した時に、私はそれまでの無料配信に、有料配信を増設しました。

それから15年が過ぎ、世界はかなり多極化し、BRICSは昨年拡大して多極型世界の司令塔として機能し始めました。あとは米覇権の大崩壊がいつ顕在化するのかというところです。
多極化の過程が後半期に入り、多極型世界が立ち現れてきています。多極型世界は、前任の米覇権体制に比べて情報発信が少ないです。
米英は、人々に歪曲情報を大量に与えて軽信させる策略だったので、これまで歪曲の度合いを測定・推測する私のようなオルトメディアが存在できました。

だが今後の世界を誘導する非米諸国、とくに中国は、孫子の兵法なのか世界運営について寡黙で、自分たちの戦略について教えてくれません(相棒のロシアは、欧州の影響を受けているせいか能弁ですが)。
覇権運営者(米英)が、歪曲的であれ能弁だった従来は、私の深読みの仕事もたくさんありましたが、主導役が交代する今後は、出てくる情報が減ったままになりそうで、おぼつかないです。とりあえず半額にして様子を見つつ書き続けよう、というのが今回の転換です。

今後ともよろしくお願いいたします。

田中宇



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