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秩序が崩壊する米国

2021年12月5日  田中 宇 

米国で秩序の崩壊が進んでいる。とくに民主党が知事や議会を握っている州で秩序崩壊が激しい。サンフランシスコ、ニューヨーク、シカゴなどの大都市の繁華街で店舗の略奪が増えている。サンフランシスコでは11月19日、繁華街のルイビトンなど高級店が若者らの集団に次々と襲われてブランド品などをごっそり盗まれた。買い物の日である11月26日のブラックフライデーの夜も、カリフォルニアなど各地で略奪が起きている。ミネソタ州の2大都市圏では、2か所の家電量販店ベストバイに若者が集団で押し入って手当たりしだいに商品を盗み、警察官が到着する前に全員逃げた。 (New York Crime Figures Return To "The Bad Old Days Of The 1980s") (Thieves swarm Best Buy stores in Burnsville, Maplewood on Black Friday

犯人たちは武器を持っておらず、けが人もいなかったが、誰も逮捕されずに終わっている。いずれも、事前にネットのSNSで参加者を集めて挙行されたらしい。カリフォルニア州では、窃盗の検挙率が2年前の4割から今は2割に落ちており、盗み放題な状態だ。この間、店頭での窃盗や万引きの件数は5倍に増加し、警備員を雇うコストは50倍に増えた。営業継続が難しくなり、閉店する店が相次いでいる。米国は「第三世界の国」になりつつある。 (Why Crime Is Out Of Control In San Francisco

民主党が与党をしている全米各州では、州の司法当局が「窃盗や万引きなどの犯罪の多発は、犯人だけが悪いのでなく、貧富格差や貧困の拡大を引き起こした当局の側にも原因がある。窃盗犯を厳しく取り締まるのは良くない」という左翼的な考え方をしており、犯人の逮捕や処罰に消極的だ。これはコロナ前からの傾向だが、コロナ危機やインフレの悪化による貧困の増加を受けて窃盗が急増し、手がつけられない状態になっている。民主党の左翼の政治家や検事は警察を敵視しており、警察の予算や人員を削減することに積極的だ。最近は、警察官にコロナワクチンを強制し、拒否する警官たちを待機処分や解雇して警察の人員数を削減する手口がとられている。警官は共和党支持者が多いので、ワクチンに懐疑的な人が多い。全米の警官の3割が辞めたという話もある。民主党系の各州は犯罪を取り締まる力が低下し、窃盗や殺人が検挙されずに放置されている。逮捕起訴されても判決前に釈放されることが多く、犯罪が繰り返される。 (Vaccine mandates decimating police forces across U.S.) (Third-Worldizing America

(ニューヨークやカリフォルニアでは、警察だけでなく消防も署員にワクチン接種を強要し、拒否者を自宅待機にした結果、署員が足りなくなって多くの消防署が閉まっている。犯罪だけでなく火災も放置されている。コロナよりもそっちのマイナスの方がはるかに大きい) (26 FDNY firehouse companies out of service over vaccine mandate staff shortage

カリフォルニア州では左翼的な考え方に基づき、2014年に「950ドル以下の窃盗を微罪とみなし、重犯罪から軽犯罪に格下げする案」(投票事項47)が住民投票にかけられて可決された。犯罪性の格下げは、窃盗や万引きを多発させる結果になった。民主党当局は警察の縮小も手がけ、加州の治安を悪化させている。当時カリフォルニアの司法長官で投票事項47を強く推進したのが、いま副大統領をしているカマラ・ハリスだった。ハリスは、加州で実現した「犯罪天国」を全米に拡大しようと頑張っている。 (Letters: If you voted for Prop. 47, don’t be shocked by the mass thefts) (Governor Newsom Deflects Criticism Of Prop 47

連邦政府のバイデンとハリスの民主党政権は、左翼的な政策によって、犯罪を増加させ治安を悪くしただけでなく、ワクチンや都市閉鎖の強制などコロナ独裁によって不必要な人権侵害や経済悪化を引き起こしている。新種のオミクロン株はすでに世界の38か国に広がっているが、WHOによると、まだ1人も死者が出ていない。オミクロン株は感染しても誰も死なない「風邪以下」のウイルスだ。それなのに米国や欧州のコロ独地域ではワクチン追加接種や都市閉鎖の厳格化が強要されている。バイデン政権は全く不要な厳格化を米国民に強要していると、共和党支持者が怒りを強めている。 (WHO: Omicron in 38 Countries, No Deaths Reportedv) (覚醒運動を過激化し米国を壊す諜報界

またバイデン政権は流通網の障害を放置し、インフレを激化させて庶民の生活を悪化させている。白人に対する逆差別であるCRT(critical race theory)を教育現場に強要するなど「覚醒運動」によって人種問題を解決すると言いつつ逆に悪化させ、人種対立を激化させている。人種問題やコロナ対策など多くの分野で、民主党と共和党の支持者が各地で対立したままになっており「今後の10年で米国が内戦に陥る可能性が30%」だと言われている。 (Hedge fund founder Ray Dalio predicts there is a 30% chance of US Civil War in the next 10 years because of 'emotional' political polarization) (This Is A Leading Indicator Of A Civilization In Decline

バイデンの米民主党政権は、米国の秩序を崩壊させている。インフレやコロナなど、秩序を立て直す対策をとろうとするほど、逆に秩序が悪化する。民主党支持者の中にもバイデン政権はダメだと考える人が増えており、来年の中間選挙や2024年の総選挙(大統領選挙)は民主党が敗北し、トランプらの共和党が巻き返すと予測されている。だが、これからの選挙で民主党がすんなり負けるとは限らない。民主党は諜報界の支援を受け、2020年の大統領選挙でやったような選挙不正を再びやって、来年と2024年の選挙を不正にねじ曲げて民主党の勝ちにしてしまうかもしれない。 (MEV – Midterm Election Variant – Democrats Need Excuse for Mail-in Voting, Will Do Anything to Cheat) (ずっと続く米国の選挙不正疑惑

民主党内では「コロナなんだから郵送投票制に全面移行するしかない」という主張が出ている。郵送投票は、2020年の大統領選での民主党の選挙不正の最大の手口だった。米墨国境を国境を開けっ放しにしてどんどん入れた違法移民に選挙権を与えて民主党に投票させる準備も進んでいる。共和党支持者の多くは、2020年の大統領選で民主党が不正をやってバイデン勝利に結果をねじ曲げたと思っている。今後の選挙不正の再来は、共和党と民主党との草の根からの対立を激化し、米国を内戦へと誘導する。(このシナリオだとトランプは大統領に戻れない) (New York City could soon allow more than 800,000 non-citizens to vote in citywide elections) (放置される米国のインフレ

コロナ危機は、政治的に歪曲されたものであると気づく人がしだいに増える中で来年も続く。インフレは来年にかけてさらに悪化する。2大政党間の政治対立もひどくなっていく。米国は、秩序崩壊が進んで覇権を喪失していく。



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