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RANDOM DIARY TOUR
鳴海諒一日記 SINCE 6/18.2000
9月28日▼挨拶と礼
通院している病院の看護婦さんが素晴らしい。発する言葉の一つ一つに気持ちがこ
もっている。「こんにちは」「どうなさいましたか」「お待たせしました」「お大事
になさって下さい」など、全ての言葉に感情がこもっていて、言葉がキラキラと輝い
ている。先日、健康診断を受けた病院の看護婦さんも、全員ではないが、多くの方の
発する言葉がとても綺麗で、聞いていて心地よかった。それに引き替え、巷の様々な店の従業員たちはどうだろう。病院における「どうな
さいましたか」は店では「いらっしゃいませ」に、「お大事になさって下さい」は
「ありがとうございます」に相当する。ほとんどの店員は、ただ何となく発している
だけで、まるで感謝の気持ちが込められていないではないか。機械的に繰り返してい
るだけだ。多くの店員にとって、挨拶や礼の言葉はただの“合図”に過ぎないのか。その無機質で味気ない愚挨拶や非礼を聞く度に、僕は世の中に一生懸命働こうとし
ない人々、お客に感謝の気持ちを持たない店員たちがあまりに多く存在していること
に悲しみ、憤り、幻滅し、そしてその結果、いい感じで人間不信に陥ったりしている。今、挨拶と礼についてのメルマガ用コラムを書いているんだけど、こんなふうにズ
ビズバッと好きなように書けたらアッという間に書き上がるのになあ。でも4千人の
読者に向かって吠えるのは難しいんだよ。そこで、僕の言いたいことを理解してもら
うためにやんわりと書くほどに文章のパワーは落ち、言葉を選んでいるうちにキレが
悪くなり、書く気力も萎えてくるといった寸法だ。そのうちに、「何のために書いて
るんだ!」 「オレは挨拶のマニュアルを書いてるんじゃね〜!」と、1人でキレた
りしている。バカか、オレは。楽しく書こうぜ、なあ。ねえ。と、こうして様々なつまらん葛藤と戦っているうちに、メルマガの配信は更に遅れ
てゆくのであった・・・(もういいかげんに配信しろ!)
9月25日▼あれから1年
「膝の皿が一部欠けていて、皿にもヒビが入ってるねえ。こりゃギブスしなきゃ」
「ええっ! ま、マジっすか〜〜っ! ひえ〜〜〜っ!」
僕はぶったまげた。だって、まさかそんなに酷いとは思ってもみなかったよ〜〜。
22日の仕事中、厨房で前のめりに思いっ切りすっころんでしまい、床にすねをし
たたかに打ちつけた。あまりの痛さに椅子に座って休んでいたのだが、膝も痛いし、
膝の皿の下部分が少し腫れてきた。転んだ時に膝をひねり、筋を痛めたようだ。しか
しその後、ピリピリと痛む膝を庇いながらなんとか仕事をこなして、その日は乗り切っ
た。次の日は痛みも少し治まり、膝用サポーターを着用して通常どおり仕事をした。し
かし膝の筋の腫れは引かない。昨日は休日で、ほとんど家で休養した。今日になり、膝の痛みは少ないものの、やはり筋は腫れたままだ。大事をとって整
形外科で診てもらったのだが、この後、冒頭部分のやりとりが行われたのである。医
師によるとギブスは5週間から6週間ぐらい必要で、外した後もしばらくリハビリを
受けなければならないとのこと。ギブスは太股から足首の少し上までガッチリ固められた。よたよたとナメクジのよ
うな速さで歩くことは出来るのだが、とても立ち仕事が出来るような状態ではない。
よってしばらく店を休む羽目になった。がっくり。ちょうど昨年の今頃、体調を崩して約1ヶ月半ほど仕事を休んだ。そして今回もま
た同じ期間、休まなければならない。この時期にこんなことになるのは、はっきりいっ
て辛い。かなり凹んでいる次第だ。店のスタッフにもまた迷惑をかけてしまうし、オー
ナーの電話の声はちょっと怒り気味だった。怪我は仕方のないこととはいえ、タイミ
ングが悪すぎる。とほほ。リストラされちゃったりして、あはは。笑えね〜・・・しょうがないので災い転じて吉となるような過ごし方を考えることにしよう。
9月22日▼「アフガニスタンからの眺め」に関する渡辺葉さんからのメール
NY在住の僕の友人、渡辺 葉さんから、19日に掲載した「アフガニスタンから
の眺め」に関するメールが送られてきた。以下、本文。
アフガニスタン系アメリカ人による手紙「アフガニスタンからの眺め」に関して、
アリゾナ州に住む友人から以下のような要旨の手紙が届きました。
アメリカの政府は「アフガニスタンが石器時代のようになるまで爆撃を加える」と
いう声明はまったく出していない。ラジオのコメンテーター一人の言葉を引用するの
は信頼性にとぼしい。このような信頼性の乏しい言葉を広めて、人々を更なる不安に
陥れるべきではない。湾岸戦争の時のように、米軍は「インテリジェント・ミサイル」
を使って、軍事基地のみにピンポイントを絞って攻撃を加えるにちがいない。陸軍の
攻撃でも犠牲者が出るのは免れないのだし、テロへの制裁は止めることはできない。
私、渡辺葉個人の反応としては――確かに、アメリカ政府が「アフガニスタンが石
器時代のようになるまで爆撃を加える」と言ったというのは私は知りませんし、手紙
では「・・・という話をよく聞く」といくぶんあいまいにしていますね。そういった
意味では、私のアリゾナ州の友人の指摘している「政府の公式声明でもないうわさで、
人々を不安に陥れるべきではない」という言葉にはうなずくものがあります。ただ、
それだけではこの手紙の主旨を取り違えていると思うのです。この手紙の主旨は、(1)タリバン=アフガニスタンではない、ということ。そして、アフガニスタンの
一般の人々はもう充分苦しんでいるということ。(2)「イスラム対西洋」という構図になったら、未曾有の規模の戦争になってしま
う、という警鐘。だと思います。そしてもう一つ、アメリカのメディアが流し
ている情報だけを鵜呑みにはできない、ということ。つい昨日もギリシャ人と
話していたら、「湾岸戦争のときだって民間人の犠牲が大量に出た。ヨーロッ
パではそういった情報も放送されるけれど、アメリカでは政府が国民に信じさ
せたがっていることしか放送しない」と言っていました。
限られた情報のもとで、バランスの取れた判断をするのは難しいことです。しかし、
上記に挙げた二つの点――タリバン=アフガニスタンではないということ、「イスラ
ム対西洋」という構図への危惧、はいま考えるべき重要なことと、私は思います。昨
日のMSNにも、いくつか共通した点を含む社説が出ていました。
▼そこが変だよ!日本人カリフォルニア州在住のKさんからコラムが送られてきた。この本文に登場する日
本人の若者が取った行動には驚かずにはいられない。というか、こんなことを平気で
行うことぐらい、日常の様々な出来事を見れば簡単に想像できるのだが、それにして
もとてもまともな精神状態とは到底思えない。そういえば貿易センタービル倒壊後、日本人カップルが現場近くで日本の報道陣に
コメントを求められ、「びっくりしちゃって〜」とか言ってる様子がテレビに何度も
映し出された。その態度があまりにも軽々しく、彼らの映像が登場する度に、むかつ
いて即座にチャンネルを変え続けたのを思い出した。あの緊迫感と衝撃の希薄な日本
人が、ここに登場する人々と同じようなことをしたのだろうか。以下、本文。
『 ニッポンはどうしてしまったのだろう? 』今日、とっても悲しい話しを耳にしました。悲しいという表現が果たして適してい
るのかどうか、おそらく悲しさよりも『怒り』に似た感情かも知れません。今回のNYでのテロ事件を、いったい日本人たちはどのようにとらえ、また政府とし
てどのような対応をしているのか、アメリカで暮らす日本人としてとても気になると
ころです。こちらではインドやフランス・イギリスなどヨーロッパ諸国の対応はよ
くTVでも見かけるのですが、日本代表はまったく顔を出しません。もしかしたら、そ
れは単に私が目にしていないだけで、首相もそれなりに動いているのかもしれないの
ですが・・・。いずれにしても、私は政府関係の人間でもないし、また日本を代表しているわけで
もないので、そもそも政府レベルでどのような対応がされているのか、おそらくそれ
ほど身近な話しではないのかもしれません。しかし、今日耳にした話しは、我々アメ
リカで生活する者たちにはあまりにも身近で、そしてあまりにも度を越えており、同
じ日本人として恥ずかしさを通り越して、『ニッポンはどうしてしまったのだろう?』
という疑問を抱かずにはいられません。日本でもこの報道をご覧になった方がいるかもしれませんが、この映像はCNNで世
界中に放映されたそうです。ニューヨークに留学中と思われる男女4、5人の日本人が、あの見るに耐えない、
あの惨劇の中、あの何千人もの行方不明者がまだ瓦礫の下に横たわっているかもしれ
ない場所で、あの警察官や消防士たちが寝る時間も惜しんで、行方不明者の一刻も早
い救出を、と頑張っているところで・・・なんと、ピースをしながら記念写真を撮っ
ていたというのです。 ・・・考えられますか? 信じられますか?そしてその上、それらの行動に対し制止する警察官や消防士に対して、「一緒に写
真を撮ろう」という行動をとり、彼らの脇でまたもやピースをしている。・・・考え
られますか? 信じられますか?我がニッポンは、いったいどうしてしまったんでしょう? 私にはとても考えられ
ない。とても信じられない。彼らに対して『悲しさ』を通り越し、もはや『怒り』を
感ぜずにいられません。話しを聞きながら、私はムカムカしてきました。今年の夏、帰国中、新宿で大きな爆発事件が起きました。そのときも、そんな若者
たちの姿を見ました。爆発現場のビルから運び出されてくるストレッチャーから焼け
焦げた足や手がはみ出ている、そのスグ脇で、自分の顔をTVに映そうと「必死」になっ
て、TVカメラに向かい注目を引こうとしている若者たち。「いったいどうしてしまったというのでしょう?」
そのような行為に対して「恥ずかしい」という気持ちを持たないことに、まず驚か
されますが、そういった場所で・・・人が不幸を被り、怪我をし、死に、そんな現場
で、どうしたらそのような行為が取れるのか? 考えられますか? 信じられますか?しかも、このNYのケースでは、集団でこの同じ行為をしているのです。その中のひ
とりとして、それを止めることもせず、ひとりとしてそれがいかに恥ずべき行為かと
いうことにも気づかず、「みんなでピース」をしていたというのですから・・・。こんな時に、こんなメールでごめんなさい。でも、こういうときだからこそハッキ
リと見えてくるものもあるのです。事件の大きさを考えれば、こんなことを言ってい
ても仕方ないのかも知れないのですが、でも、それにしても・・・。今は携帯がこれだけ普及しています。アメリカのそれははるかに日本に遅れをとっ
ているとは言え、でも最後の最後まで愛する家族と連絡をとっていた方々が、WTCの
中にも、そして飛行機の中にもたくさんいらっしゃいました。31歳の奥さんと10ヶ月の娘さんを残して、ペンシルバニアで墜落した飛行機に
乗っていた男性は、最後にその最愛の奥さんに電話をしました。そして「これからど
んなことがあっても悲しまないで。ボクはどんなことが起こっても大丈夫だから。そ
してこれから娘の将来において、君がどんな決断をしようとも、ボクは賛成だから
ね。愛しているよ」と言って電話を切りました。また同じ飛行機に乗っていた別の男性はやはり奥さんに電話をしました。彼は学生
時代アメリカン・フットボールをしていた身体の大きな方だったそうです。「今屈強
な男性達で意見をまとめている」。それを聞いた奥さんは「犯人から注目を引かない
で」と頼みます。しかし彼は「それはできない。自分たちで何とかしなくては・・・」
と電話を切ります。最後に墜落した飛行機の乗客のほとんどは、携帯で連絡した相手から、すでにWTC
の事件は聞いていたようです。「いずれにしても落ちていくなら、地上の人たちを巻
き添えにできない。何とか自分たちの命だけでとどめなければ・・・」というのが、
彼らの結論だったようです。これからのニッポンの若者たちは・・・もちろんすべての若者たちではありません。
そしてもちろんその中には若者ではない人たちも含まれるでしょう・・・このような
事態のときに、果たして他人の将来の幸せや命のことを考えることができるのでしょ
うか? おそらく自分のことだけで精一杯なんでしょうね。そして、きっと最後の最
後まで『自分のこと』であがいていくのでしょうね。亡くなった方々、行方不明になった方々のご冥福を、心よりお祈りいたします。
KさんのHP「Peaceful Turtle」はこちらです。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Oak/9799/
9月19日▼あるアフガニスタン系アメリカ人からの手紙
ニューヨークに住んでいる友人から無事を知らせるメールが届いてホッとした。こ
の彼女からのメールに、もう一通、他の人からの手紙が同封されていた。これは、ア
フガニスタン系アメリカ人、タミム・アンサリさんが、アメリカ同時テロ攻撃の2日
後にボアルト大学の教授、ゲイリー・Tさんに送ったものである。このメールには、
アフガニスタン、タリバン、ビン・ラディン、これから起こる戦争、についてのタミ
ムさんの考えが綴られている。実に興味深い内容だったので、ここに本文を転載した
いと思う。ぜひお読みになっていただきたい。
「アフガニスタンからの眺め」―――――――――――――――*訳・渡辺 葉親愛なる友人たちへ。わが友タミム・アンサリから、こんな手紙が届きました。タ
ミムは、アフガニスタン系アメリカ人です。彼はまた、私が知るなかでももっとも聡
明な人物の一人です。彼が書いたもの、語る言葉に、私はいつも耳を傾けることにし
ています。ここに添えた手紙は、彼の目から見たアフガニスタン、そして私たちが入
り込んでしまった泥沼について記したものです。 ―――ゲイリー・T
親愛なるゲイリー、そしてこのメールを読んでいるかもしれないまだ見ぬあなたへこのところずっと、「アフガニスタンが石器時代のようになるまで爆撃を加える」
という言葉をいろいろなところで耳にします。KGOトーク・ラジオのロン・オーウェ
ンスは今日、これは罪のない人々を殺すことだと認めました。何の罪もない庶民――
「けれどこれは戦争である。見返りのダメージはやむをえない。それ以外、どうすれ
ばいいというんだ?」 数分後、テレビでは「われわれに、なすべきことを遂行する
覚悟があるか」について議論が交わされていました。この問題は私にとって、とても難しいことです。私はアフガニスタンの出身だし、
ここ(アメリカ)に35年住んできたとはいえ、彼の地の出来事には常に目をこらし、
耳をすましてきたからです。そこで、思ったのです。もし聞いてくれるなら、私の立
場から見て、この状況がどう見えるかを伝えたい、と。私は、タリバンもウサマ・ビン・ラディンも憎いと思っています。ニューヨークで
起こった悲劇が彼らの仕組んだものであることは、疑いの余地がありません。これら
の怪物たちに対し、なんらかの措置がとられるべきだという意見に、私も賛成です。
しかし、タリバンも、ビン・ラディンも、アフガニスタンそのものではありません。
正規のアフガニスタン政府ですらないのです。タリバンというのは、1997年にアフガ
ニスタンを制圧した狂信的一派にすぎません。ビン・ラディンは、緻密な計画を持った、政治的犯罪者です。タリバンは、たとえ
ればナチのようなものです。ビン・ラディンは、たとえればヒトラーのようなもので
す。アフガニスタンの人々は、たとえれば強制収容所に入れられたユダヤ人のような
ものです。アフガニスタンの人々は、この凶行に関係がないばかりか、これら犯罪者
の第一の被害者なのです。もしも誰かがアフガニスタンにやってきてタリバンをくつ
がえし、彼の国に巣食う国際的テロリストという名のネズミを一掃してくれたら、ア
フガニスタンの人々は歓喜するでしょう。「じゃあどうしてアフガニスタンの国民は蜂起してタリバンを追放しないんだ?」
と問う人もいます。その答えは――アフガニスタンの国民は、飢えています。疲れきっ
ています。傷ついています。能力を奪われ、苦しんでいます。いまから二、三年前、
国連の見積もりによると、アフガニスタン国内には50万人にのぼる、身体の不自由な
孤児がいると発表されました。アフガニスタン――経済活動も、食糧もない国に、で
す。未亡人の数は何百万人にものぼります。タリバンは、これらの未亡人を集団墓場
に生き埋めにしているのです。国内は地雷でめちゃくちゃです。農場はすべてソヴィ
エト軍に破壊されました。なぜアフガニスタンの国民は蜂起してタリバンを追放しな
いのか――これらは、その理由の一部です。さて、アフガニスタンを石器時代のように爆撃する、という話がありましたね。問
題は――それはすでに、なされているのです。すでにソヴィエト軍によって、「石器
時代のように爆撃」されているのです。アフガニスタンの人々を苦しめる?――彼ら
はすでに、苦しんでいます。家々を平らにのしてしまえ?――それも実行済みです。
学校を瓦礫の山にする? ――それも実行済み。病院を根こそぎひっくり返す?――
実行済み。内部構造を破壊する? 医薬品や医療を断つ?――遅すぎですね。もう誰
かが、実行済みです。新たに爆撃を加えても、古い爆撃跡をひっかきまわすにすぎません。タリバンを逮
捕する? 無理でしょう。今日のアフガニスタンでは、タリバンだけが食糧を握って
います。タリバンだけが交通手段を握っています。彼らはひらりと身を翻し、隠れて
しまうでしょう。爆撃によって殺されるのは、身体の不自由な孤児たちでしょう。彼
らはそれほど早く逃げられません。車椅子さえ持っていないのです。カブール上空を
飛んで爆弾を落としても、この凶行を実行した犯罪者たちへの攻撃にはならないでしょ
う。実のところ、それはタリバンがやってきたことを上塗りするにすぎません――こ
れまでずっと、タリバンたちが虐げてきた人々をさらに虐げるにすぎないからです。それでは、どうしたらいいのでしょう? 他に、何ができるというのでしょうか?
私はいま、心底怯え、ふるえています。ビン・ラディンを捕まえる唯一の方法は、陸
からです。テレビでみんなが「われわれに、なすべきことを遂行する覚悟があるか」
と話していたとき、彼らは「われわれに、殺さねばならないであろう、大多数の人間
を殺す覚悟があるか」ということを話していたのです。罪のない人々を殺さねばなら
ない、その良心の痛みを押し殺す覚悟があるか、ということを話していたのです。砂
の中に頭をうずめるのは、やめましょう。多くのアメリカ人が死んでいく、私たちに
つきつけられているのは、そのことなのです。それにここでは、ビン・ラディンの隠れ家にたどりつくために何人かのアメリカ人
が死んでいく、それだけが問題なのではありません。問題はそれよりも、ずっと大き
いのです。アフガニスタンに陸軍を投入するには、パキスタンを通らなければなりま
せん。彼らが、通してくれるでしょうか? 無理でしょう。パキスタンを通るには、
まずパキスタンを征服しなければならないでしょう。他のイスラム国が黙って見てい
るでしょうか? わかりますか。これは、イスラム圏と西洋の戦いに発展しかねない
のです。そして、まさにそれがビン・ラディンの計画なのです。彼のねらいはそこなのです。
彼がこのテロをはたらいたのは、まさにそのためなのです。彼の演説や声明を読んで
ごらんなさい。すべて、そこに書いてあります。彼は本当に、イスラムが西洋に打ち
勝つと思っているのです。ばかばかしいと思いますか。けれど、もしイスラム対西洋
という構図に持ち込めれば、何億人という兵士が調達できる――ビン・ラディンはそ
う計算しているのです。もしアフガニスタンの土地を西洋が踏みにじれば、何億人というイスラムの兵士た
ち、死をも恐れない兵士たちが立ち上がるでしょう。ビン・ラディンの視点から見る
と、それこそ思うつぼなのです。もしかしたら、彼のねらいははずれるかもしれませ
ん――最終的には、西洋が勝つかもしれません。それが、どういう意味なのかわかり
ませんが。けれど、戦争は何年も何年も続き、何百万人もの人が――彼らだけでなく、
私たちも――死ぬでしょう。その覚悟がありますか? ビン・ラディンにはあるよう
ですが。私たちも、彼と同じですか?タミム・アンサリ 2001年 9月13日、11:59 送信
9月16日▼お知らせ
メルマガが様々な事情によって遅々として進まない。もう進まなくて我ながらビッ
クリしてしまう。そして11日にはテロ事件が勃発し、今度はテレビから目が離せな
くなってしまった。しかし最近僕の更新薄のHPのアクセス数がなぜか急増している。
メルマガ読者数も増えている。なぜだろう。実に不思議だ。更新しない方が面白いH
Pだったりして。んなアホな(笑) いや、でも、まさか・・・いやいや、でも、ま
さか・・・いやいやいやいや(しつけー)前回、日記をやめるかもしれないと書いたけど、やっぱ細々と続けていこうかなと
思っている。正確には、思ってみたりしている、という程度だが、まあはっきり止め
ると決めたら今度は書きたくなって困るような気もするし(天の邪鬼だからね)、せっ
かくHPを定期的に訪れて下さる方も増えてきたので、前向きに考えてみたいと思う。メルマガは、いちおう来週ぐらいまでには配信したいと考えている。それまでに戦
争が始まらなければ、ね。▼アメリカ同時テロ攻撃
僕がアメリカ同時テロ攻撃のことを知ったのは、世界貿易センター第1ビルに旅客
機が突っ込んだ11日午後9時45分(日本時間)から約5時間後の午前2時半だっ
た。マンハッタン在住の友人から「生きてます・・・」という件名のメールが届き、
本文に「ワールドトレードセンターが一瞬で消えてしまいました」と書いてあった。
慌てて毎日新聞HPを開くと、貿易センタービルとペンタゴンが炎上している写真が
目に飛び込んできた。こりゃ一大事と急いでテレビをつけたら、各局共、飛行機激突、
ビル炎上、倒壊のシーンを繰り返し流している。僕は、なんてこったいなんてこった
いと呟きながら、それから約7時間、瞬きも忘れて画面に目が釘付けになった。9月1日深夜、新宿区歌舞伎町雑居ビルで爆発事故が起こり、44人が死亡したこ
とを知ったときも、あまりの悲惨さに言葉を失ったが、今度のスケールは桁違いにデ
カすぎる。死亡者は4千人を超え、悲惨な最期を遂げた人々やその御遺族のことを考
えると、胸が苦しくてたまらなかった。なんてことしやがったんだ、ちくしょー。翌日の新聞に、海外旅行に出かけようとしていた日本人が、飛行機が飛ばなくなっ
たせいで「まったくこんなことになっちゃって」と文句とも受け取れる事を言ってい
る記事がいくつか載っていた。アンビリーバボー! そりゃせっかくの旅行が台無し
になったのは腹立たしいかもしれないけど、わざわざメディアの前で言うことか?
個人の楽しみを奪われたからって、死ぬわけじゃないだろ。もうちょい事件の重大さ
をグローバルに考えて発言しようぜ。ったくもう。ちっ。ビル倒壊のVTRを見た人が皆、声を揃えて「映画みたいだった」と言っているのに
もちょっと違和感を覚えた。想像だにしないショッキングな映像を見ると、皆、ボキャ
貧になってしまうのだろうか。映画みたいだって、これは現実に起こったことなのだ。
作り物や娯楽作品ではない。何の含みも無いただの素直な感想なんだろうけど、なん
だか余所事丸出しのようで嫌〜な感じがした。アメリカのメディアでは盛んに「パールハーバーの奇襲攻撃以来のスケール」を強
調していたが、石原都知事の「真珠湾攻撃と比べる声もあるが、無関係の民間人が犠
牲になったのは原爆投下に似ている」という発言に、僕は深く頷いてしまった。日本
軍はかつてパールハーバーのアメリカ軍を攻撃し、アメリカはその報復として広島・
長崎の市民を攻撃した。そして今回、テロリストは民間人を攻撃し、アメリカはその
報復としてテロリストの軍事施設を攻撃しようとしている。なんだかちょっと複雑な
気分だ。当店でバカな客がとんでもないことを僕に言った。驚かずに読んでほしい。
「貿易センターから飛び降りた人たち、バカですね〜。飛び降りたって助からないの
に。歌舞伎町の爆発の時もそうですけど、何で飛び降りちゃうんですかね〜」僕は耳を疑った。こいつはバカか。本物のバカか。僕はむかーっと、はらわたが煮
えくりかえった。「火災の熱と立ちこめる煙で、精神状態もギリギリのところに追いつめられてたんじゃ
ないですか? 飛び降りようと思って飛び降りたんじゃなくて、もう飛び降りるしか
術がなかったんじゃないですか? もしかしたら小爆発が起こってビルから吹っ飛ば
されて落ちちゃったのかもしれませんし。とにかく言えることは、誰も好きこのんで
飛び降りたりはしないってことですよ」僕の少々力んだ説明にも、このバカ客の反応は薄かった。この時、僕はこのバカ客
を睨み付けて話していたかもしれない。しかしこの客の「人として恥ずべき発言」に
は見合った表情だったのではないだろうか。こんなくだらない話はさておき、アメリカは今、報復という名の戦争を始めようと
している。アメリカ国内で報復を支持する国民は80%を超えている。攻撃開始はも
う時間の問題なのかもしれない。しかし相手も攻撃されたら再報復をする準備がある
と言っている。日本にも10数人のテロリストが送り込まれていることが確認された
らしい。すでに世界各国に潜入済みなのかもしれない。そしてアメリカの報復開始と
ともに、今度は世界中で同時報復テロが多発するのだろうか。もはや人ごとではない。
我々日本人はもっと危機感を持たなければならない。ああ、日本は、世界は、いった
いどうなってしまうのか。
9月3日▼二八なのにババンバン
2月と8月は【二八(にっぱち)】といって、 商売や興行などが不景気な月とさ
れている。 当店も先月前半はやや暇だったものの、先週は一気に爆発した。平日も
毎日ムチャクチャ忙しかった。系列店はどこもわりと暇で、どうやら当店だけに集中
していたようだ。毎日、夜9時過ぎからお客様がドバドバ押し寄せる。何だ何だどうしたどうした、
今日はいったい何の日だ、と慌てふためきながら切り盛りをした。仕込みも万全だし、
暇だろうと気を抜いているわけではないので対処できたが、それにしてもこの混雑ぶ
りは凄かった。来店されたお客様の中には、再びお越し下さったリピーター(重複だぞ)も多く見
受けられた。2度目の御来店時にこそ好印象を持っていただけなければ、お客様の期
待には答えられず、満足度は激減してしまう。従業員にこの由を伝え、全員で気を引
き締めてバリバリ働いた。そのせいか終業後は疲れて頭がボヨヨ〜ンとしてしまう。眼精疲労もひどく、眠く
ないのに目がしょぼしょぼして、あまりパソコンに向かっていられない。おまけに体
の疲れもなかなかとれないしー。年のせいか今ごろ夏バテなのかはわからないが、鳴
海は最近、肉体疲労児(爺)なのである。ああ、そんなわけでメルマガがなかなか配信できないのじゃよ・・・(結局、この
言い訳がしたかったんじゃねーの? )先月の売り上げは前年の同月を大きく上回った。まあ去年が悪すぎたといえば身も
蓋もないのだが、毎日懸命に働いている影響も多少はあると断定し、たまには自己満
足に浸ってみてもいいよね。でも専務からは「売り上げが上向いて来たから、これを
下げないようにね」と釘を刺され、社長からは「今後売り上げが前年より下がったら、
冬のボーナスは出さないからな!」と脅された。もう、ホント2人とも愛情表現が屈
折してるんだからー(笑)
▼日記休止(かも)のお知らせ実はしばらく前から、日記を休止した方がいいのではないかと考えていた。日記は
当初、メルマガに書けない本音を吐き出すつもりで書き始めたのだが、やはり思って
いることをそのままは書けない。正直に書いたら僕の文章はもの凄くキツいのだ(も
う十分キツいって?)。時折、罵詈雑言仕立てで掲載しているが、何かに腹を立てて
いる文章ほど修正も数多く必要で、書き上げるのに時間がかかる。また、たまに自分
が納得できるものが書けたりするとそれで小満足してしまい、メルマガを怠ってしま
う。これでは本末転倒もいいところだ。日記を止めてもその分メルマガの配信数が増えれば、そっちの方がいいような気が
する。当初は月3回も配信してたのに、今のこのザマは何だと自分でもうんざりして
いる。まだはっきり日記をやめると決めたわけではないけど、いちおう次回メルマガ
を配信するまでは、日記の更新はしないつもりだ。毎日訪れて下さる方々、すみませ
んがそういうわけで御了承下さい。じゃ、次回はメルマガでお会いしましょう!
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