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RANDOM DIARY TOUR
鳴海諒一日記 SINCE 6/18.2000
8月27日▼元バイトが飲みにきた(らしい)
先日、僕が休みの日に、7〜8年前に当店でアルバイトをしていたという者が飲み
に来たらしい。後日、バイトから聞いたところによると、そいつは少々胡散臭い感じ
の男で、「あのさあ、鳴海さんまだこの店にいるの? 彼、相変わらず細かいこと言っ
てんじゃないの? オレさあ、どうでもいいような小さいことでよくゴチャゴチャ言
われたよ」と言っていたそうだ。この話をバイトから聞いて僕は苦笑した。僕に細かいことをよくゴチャゴチャ言わ
せるなんて、その元バイトは当時よほど仕事が出来なかったとみえる。僕が出来の悪
いバイトに教えることは、“これ以下のレベルでは絶対に困る”というボーダーライ
ン上程度の仕事なのである。自分の不出来を棚に上げ、僕が教える事柄を“小さいこ
と”と片付けてしまっているようでは、この男は現在もしれている。人はそうそう変われるものではない。だからこそ自分の力を過信せず、正しく進歩
できるように日々努力することが大切だ。ここで一句。『 愚者話、反面教師で吉と成す 』 (30点)
8月26日▼いくつか質問してもよろしいですか?
今日の夕方、アルバイト応募の電話がかかってきた。
「アルバイトをさせていただきたいのですが、どうしたらよろしいでしょうか」
「それでは、今いくつか質問してもよろしいですか?」
「24です」
「はっ? はい??」
「24歳になりました」
なぜじゃ、なぜこの若者はいきなり年齢を言い出すのじゃ〜。こちらの質問を想定
して先回りして答えているのか。この時、僕はなぜ彼がいきなり年齢を言い出したの
か全くわからなかった。後で副店長に話したら、すぐに「ああ、今(歳が)いくつかって聞かれたと思った
んですね」と言い当てた。さすが駄洒落系は強いなあ。なるほどそうだったのかと納
得したものの、しかしこの質問で年齢を答える人ってちょっと心配だ。以前日記に書
いたが、お客様に「お電話ありますか」と尋ねられ、「“おでん”はおいてないんで
すよ」と答えた天然ボケの元バイトを思い出した。
8月25日▼メルマガ読者発見
今日、知人であるライターのTさんが女性を伴って飲みに来た。Tさんに開口一番、
「最近メールマガジンが送られてきませんね。楽しみに待っているんですよ」と言わ
れ、僕は配信が滞っている理由を説明して詫びた。その後しばらくして、Tさんから
連れの女性が偶然にも僕のメルマガ読者だったことを聞いて驚いた。彼も女性も驚い
ていた。以前にも、別の知人がある講演会会場で隣の席の人とたまたまメルマガの話になっ
た際、僕の読者だったことがわかって驚いたと、興奮して話してくれたことがある。だいたい自分が登録しているメルマガについて人と話す機会などあまり無いと思う
のだが、その数少ない機会に2人も読者が見つかるなんて、とても凄いことだ。世の
中は広いようで狭い。
8月23日▼蕎麦奢りシステム
最近、軽いダイエットと節約を兼ねて、終業後に店で簡単に作れる流水タイプの蕎
麦を食べている。それが従業員たちの前で1人で食べているものだから、僕が食べて
いる様子とズズズッと蕎麦をすする音が、彼らの目と耳を刺激しているようだ。少し前からバイトの女の子Cが「店長、ちくわの天ぷら一口下さ〜い」と甘えた声
で寄ってきて、ちくわを齧ったついでに蕎麦もちょこっと食べるのが習慣になってし
まった(しかもこいつは丼を僕に持たせたまま立って食べる)。これではなんだか他の子たちに悪いので、先日の超忙しかった日にみんなに振る舞っ
たのが運の尽き。うまいうまいと食べてくれたのは良かったが、「麺つゆはやっぱり
“にんべん”ですよね〜(この時は違う麺つゆだった)」とか、「わたし、デパート
で美味しそうなちくわの天ぷら見つけたんです。今度買って来ますね」とか、「刻み
海苔を入れたらもっと美味しいですよ」などと皆好き勝手なことを言い始めた。僕が、
「ってゆーか、これからいつも食べる気なのかよ」と突っ込んだら、バーテンダーの
Sさんがすかさず「わかりました。蕎麦を買うのは交代制にしましょう」と言った。
このように、終業後の僕の夕食は着実にシステム化されてゆくのであった。とほほ。昨日はもう蕎麦に飽きてしまって買い置きを切らしてしまったのだが、こんな時に
限ってCが蕎麦と天ぷらを買ってきている。昨日は“彼女の番”になってしまった。
こんなことをされると僕は次第にプレッシャーになってくる。この分は早めに奢り返
さなければならない。バイトには借りを作りたくないのだ。仕事中に叱れなくなって
しまう(なんちゃって気にせず叱るけどね)。そこでさっそく今日、松屋の牛丼を奢ってチャラにしてしまった。Cはとても申し
訳なさそうな顔で「店長、こんなことされると困ります〜」と言っていた。やったね。
牛丼ぐらいでそんなに恐縮するなんて、Cもいいとこあるじゃん。ってゆーか、おま
えのせいでおかしなことになってんだよ、プンプン! 危ねえ、騙されるとこだった。
ああ早くこの悪しき蕎麦奢りシステムがなくなってほしい・・・なんだかとてもまったりとした日常を綴ってしまった。僕のキャラじゃなかったね。
ちょっと普通すぎて恥ずかし〜かもしれないに近いに値するに等しい。明日からまた
せっせと怒らなきゃ(笑)
8月19日▼愚か者Mに告ぐ
先月、半分クビ同然で当店を辞めたアホアホバイトMだが、彼のその後の日記に、
『店長以外(注:の従業員)は凡人だったっていうのを最後の方で何度も確信した』
と書いてあるのを読み、僕は怒りを素通りして呆れてしまった。当店の基本的な業務も満足に覚えられずにへまばかり繰り返していた学習能力の乏
しい人間に、いったい何がわかるというのか。自分の不出来を認識することも出来ず、
何事も責任転嫁することで人生を騙し騙し希薄に過ごして来た底浅人間に、当店の従
業員のことをとやかく言われたくない。ダメな人間はダメなりにダメな批評をする。そして自分の考えが正しいと盲信し、
更にダメ街道を驀進しながら考える道を大きく逸れてゆく。自然の摂理だな。それにしてももう当店との関わりが全て無くなったのなら、どこで何を書こうが知っ
たこっちゃないが、Mは来月、最後の給料を受け取りに当店へやって来るのである。
それなのにこういうことを平気で書くというのは、まさにアホアホと言うより他ない。Mよ、君の日記を読んでいるのは僕だけではない。当店の数人が読んでいる。そし
て上記の凡人発言はすでに全員が知っている。「こっちは確かに凡人だけど、じゃあ
M、おまえはいったい何なんだよ」と怒っている者もいる。「今まで散々手を焼かせ
たうえにこれかよ。ちくしょー」と呟く者もいた。僕自身は君が給料を取りに来た時にこの件に触れるつもりは毛頭無いが、他の者が
君に何か言ってもそれに口を挟むつもりも無い。しかし僕としてはつまらない揉め事
だけは絶対に回避したいので、君の銀行口座番号をメールにて僕に知らせてくれれば、
そのメールに書かれるであろう凡人問題釈明内容次第では、次回給料を君の口座に振
り込む用意があることを、ここに記しておく。給料日までにこれを読んでおいた方が
いいと思うぞ。ついでに以前、見出しだけ書いて現在は削除されてしまった「前の店の不細工によ
る濡れ衣」の件の詳細も教えてくれるとなお結構(でもこれは任意)。
8月18日▼当ビルのエレベーターが故障
今日の夕方、当ビルのエレベーターが故障して使えなくなってしまった。お盆中で
少々客の入りは悪いとはいえ土曜日である。これはまずい。すぐに修理は始まったも
のの、故障原因がなかなか発見できない。このままでは一日中エレベーターが使用で
きないかもしれない。そこで各階の店長、副店長が交代で1階のエレベーター前に立
ち、来客に階段の利用をお願いすることになった。僕は7時過ぎから2時間ほど“お詫び&誘導係”を行った。来客に階段の利用をお
願いするのは非常に心苦しいので、お客様の不満をなんとか最小限に留めて階段を利
用していただけるようにと考えながら、懸命に誘導を行った。目標は「一組たりとも
帰さない」である。立ち位置、話しかけるタイミング、言葉遣い、お願いの仕方等、全てに細心の注意
を払って懸命に行った。最初は、皆様怒って帰ってしまうのではないかと思っていた
のだが、説明するとほとんどの方がクスッと笑って、「頑張って上るか」とか「こりゃ
大変だあ」と言って、不満も漏らさずに階段を利用して下さった。今日はあまり暑く
なかったとはいえ、店は2階や3階だけではない。9階10階までハアハアと息を切
らしながら上って下さるのだ。なんてありがたいことだ。僕は感謝の気持ちで胸がいっ
ぱいになった。今日のこの経験から、僕は普段お客様に感謝の気持ちで接しているつもりだが、そ
の度合いは今日の比ではないということがわかった。これはすなわち“普段の感謝の
気持ちが足りない”ということを表している。わざわざ階段を上って来店して下さる
お客様のみならず、普段、エレベーターでお越し下さるお客様に対して、もっと感謝
の気持ちを持たないでどうするのだ、と自戒した。誘導係を交代して店に戻った。店内にいらっしゃるお客様は全て先ほど僕が誘導し
たお客様である。全てのお客様の顔に見覚えがあるなんて、なんだかとても素敵な気
分だ。中には先ほどの誘導中、「あなたのいらっしゃる店はどこですか」と尋ねられ、
店名を言うと「あなたの店にうかがいます」と嬉しいことをおっしゃって下さった方
の姿もあった。僕はいつも当店内にしかいないため、たまに今日みたいなことがあっただけで、も
の凄く勉強になる。今後こんな経験はなかなかないだろうが、通常業務の中で自分の
考えを常にリフレッシュ、発展させられるような技を身につけなければならないと、
強く感じた次第である。(ええ話やなあ)(んだんだ)結局、本日僕が誘導した数十組中、お帰りになってしまったお客様はたったの1組
だけだった。当店の来客数は約50名様。これは普段の週末の半数にも満たないが、
今日の状況から考えると、かなり健闘したといえるだろう。この話をもっと詳しくメルマガに書けば、早く配信出来るんだよな。惜しげもなく
日記に書いちゃったりして、このサービス心旺盛男め!(自己満) よってメルマガ
は更に遅れるのであった。
8月14日▼優れたお客様
今日はバーの楽しみ方を実によくわかっている“振り”(俗にフリーと呼ばれる)
のお客様が御来店になった。飲み方、接し方、振る舞いのどれもがパーフェクトで、
おかげでとても刺激的なひとときを過ごすことが出来た。優れたお客様に御満足していただくためには、僕の持っている力の全てを注いでも
足りないに違いない。この考えが自分の気持ちを更に引き締め、火事場の馬鹿力的サー
ビスを産み出す。優れたお客様によって僕が普段以上の力を発揮でき、そのサービス
がお客様に伝わったと実感できる瞬間が、僕にとって至福の瞬間なのである。
いいかげん遅れに遅れているメルマガを配信しなければと思っている。よってしば
らく日記の更新は超まばらになると思われます(人ごとかよ!)。
8月8日▼akに会った
今日は仕事前に渋谷でコンポーザー・シンガーのakに会った。会うのは10数年ぶ
りなので、akがコーナーを持っている番組『流派R』(テレビ東京・金曜日深夜)を
見て予習。昔とは全然違うサバサバした雰囲気にちょっとビビッた。まるで別人のよ
うだ。何だか知らない人に会うみたいで、ちょい不安。でもそんなぎこちなさは会っ
て15分くらいで吹っ飛んだ。な〜んだ、変わってなかった。ちょっと表現方法が発
展しただけだったのだ。akのニューシングル「@my best」はすごくカッコイイ。詩、曲はもちろんのこと、
ほとんどの楽器も自分で演奏しており、ニューヨークで録音されている。彼女は自分
の世界をしっかりと持っている「本物」だ。CDを売るためにただ歌わされてるだけ
の、そのへんのアーティストと呼ばれる商品とは違う。食事後、レジで1万円札を差し出したら、「1万円からで・・・?」とコンビニ店
員のように中途半端に言われた。ホテルのレストランでもこの有様だ。情けね〜。お
まえのその一言で、この店の格が下がるというか、しれるというか、でもそんなこと
気づきゃあしないよなあ。そんな言い方、うちの店ならぶっ飛ばされっぞ(もちろん
オレに、きゃはっ)。可愛く言ってもダメで・・・?
8月7日▼おっさん化
7月の日記に僕が41歳になったことを書いたら、「41歳だなんて信じられない。
もっと若いのかと思ってました」というメールが多数送られてきた。これはひとえに
僕の書く文章が、若々しく瑞々しくツルツルでピチピチとはち切れんばかりのムッチ
リプルルンと爽やかで冷たく澄んだ岩清水のような清涼感溢れる内容のため、皆様に
は実年齢よりも若く思えたに違いない、とは全く思っていない。つまるところ、僕は
この歳になっても内面が昔と全然変わっていないのだろう。10年前に当店で働いていたアルバイトたちが時々飲みにやって来る。彼らも僕同
様、何も変わっちゃいない。昔、話がくどかったヤツは今でもくどいし、つまらない
話ばかりしていたヤツは相変わらずつまらない。皆、変わったのは外見ばかりで、中
年太り、薄毛、白髪、ヒゲなどのせいで、見た目がおっさん化しているだけだ。僕も次第におっさん化が加速度を増し始めている。肌の艶はなくなり瞼は近年次第
に腫れぼったくなり、顔の造作も全体に下がりつつある。確実におっさんへの道を全
うしているのだ。もう少ししたら、自分のことを「わし」とか「我が輩」と呼んで、
落ち着いたムードをかもし出してみよう、と小生は目論んでいるのじゃった。▼老人言葉
昔の日本映画を観ると、若い人が現代のお年寄りみたいな喋り方をしていて驚くこ
とがある。今では古臭く聞こえるものの、これはきっと当時の若者言葉だったのだろ
う。現代の若者は、「ちげーよ(違う)」とか「ゲロまず(不味い)」とか「まいうー
(美味い)」なんて言っているが、これをずっと使い続ければ数十年後には立派な老
人言葉となる。常にその時代の王道的言葉遣いを察知し、無理なく自分に取り入れれ
ば、言葉はジェネレーションギャップを緩和する。▼素顔想像
僕は女性の顔を見るとつい、頭の中で化粧を落として素顔を想像してしまう癖があ
る。最近ではバージョンアップして、おっさんを見てその若き頃を想像し、現在と比
べてどっちがモテそうかなどと、とんでもなく余計なお世話なことを考えたりする。恰幅の良いとても「おっさんがよく似合っているおっさん」の全身の贅肉を取りスッ
キリさせ小顔にし、顔の造作を持ち上げてロン毛にし、ジーンズを履かせたりすると、
全然違った人になる。その想像した姿を現在と比べて、昔の方がモテたねとか、この
おっさんは現在のおっさん状態こそがジャストフィットだ、などと妄想を膨らませて
いるのだ。まったく、他に考えなきゃいけないこと、たくさんあるのになあ。
8月3日▼自分で調べる、ということ
たまにメールで質問が送られてくる。知らない人から件名「カクテル依頼」で「シェ
リーベースのカクテルを教えて下さい」である。何で依頼なんだよ、お願いじゃない
のかよ。ったくもう、勝手にカクテルブックで探せよ。あと「友人が持っている◯◯
シェーカーはどこへ行けば買えますか(その友人に聞けよ)」とか、「黒ビールとス
タウトの違いを教えて下さい(ビールの本ちょっと見りゃ必ず出てるだろ)」もある。
これが皆、バーテンダーからのメールだから恐れ入る。他業種の方からだったら答え
なくもないのだが、プロがそんなこと聞いてくるんじゃねー。同業者になんか教えて
やるもんか。たとえかけだしでも、てめーなりに調べろってんだ。挙げ句の果てに、「(僕に聞いた方が)そこいらの本を読むより詳しく、解りやす
いのでおねがいします」だと? ふざけたことぬかしやがって。他力本願もいい加減
にしろよ。オレはおまえのジャポニカか、いやさ、百科事典かっつーの。おまえに教
えてオレに何のメリットがあるんだよ。テイクばっかじゃなくて、何かギブしろよ。
例えば真心とかさあ。僕は知りたいことがあればいつも自分で調べてきた。酒やカクテルやサービスもそ
うだし、今でこそ操作が簡単なマックのシステムが6.xxの時代の情報薄(ビギナー向
けの情報誌などなかった)の頃から、1人で悪戦苦闘しながら使用してきた。音楽機
材も長い時間を費やして理想的なシステムを1人で構築してきたし、楽器演奏(ギター
、ベース、ドラムス)なども独学でそこそこの技術を習得した。なぜ人に聞かないのかというとそれは簡単な話で、僕の周辺には僕が知りたいこと
を知っている人が誰1人いなかったからだ。だからどんなことも全て自分で調べるし
かなかった。でもそのおかげで、今では知りたいことをどのように調べればよいかい
くらかわかるようになったし、トラブルが発生してもどう対処すればよいかわかる。自分1人で答えを見つけるのはとても大変だし時間もかかるけど、あーでもないこー
でもないと悩むことにより、次第に“調べ方”がわかるようになる。そうなるともう
あまり人を頼ろうという気持ちはなくなってしまうのだ(情報収集に関して)。僕はこういう人間なので、何でも安易に聞いてくる人は大嫌いだ。なぜとりあえず
自分で出来る限り調べてみようと思わないのか疑問に思う。「人に教えてもらえれば
楽だから」と考えているとしか思えない。もちろん自分でどうやって調べたらよいの
かわからないタイプの人々が存在することは知っているが、だからって教えてあげよ
うってことにはならない。自分なりに努力することを怠っている人には魅力を感じな
いからだ。でもそんな人に限って、自分は頑張ってる努力してるイケてる、なんて勘
違いしてるんだよな。一生勘違いしてろっつーの。僕のこういう文章を当店の従業員が読むと、「あっ、いつもの店長だ」ってホッと
するらしい。でも店ではもうちょい暴言吐いてるかな。放送コードに引っかかりまく
りだもんな。くわばらくわばら。
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