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RANDOM DIARY TOUR
鳴海諒一日記 SINCE 6/18.2000



7月31日

▼アホアホバイトM、退店

 本日付けでアホアホバイトMが退店した。Mのことは6月24日の日記以降、何も
書いていないのだが、Mは相変わらず毎日大ボケをかましまくり、その度に僕は毎日
幾度となくMを叱り飛ばした。お客様に良いサービスを提供しながらその合間にMを
叱るのはとても大変だ。彼と一緒に働く日の僕の精神状態は常に不安定で、彼の存在
は大きなストレスだった。そして当店に於いてこの先バーテンダーになれる可能性0
のMを使い続けることに、とうとう我慢出来なくなってしまった。10日ほど前に、
僕は「辞めるときは早めに言ってくれ」とMに吐き捨て、そして彼は退店を決意した。

 Mは悪い人間ではない。人当たりの良い好青年である。しかし当店には向かない。
Mには従業員全員がのんびりとしていて細かいことを求めない職場が合う。これはM
を悪く言っているのではなく、人には向き不向きがあり、彼は当店には向かなかった
ということだ。

 本日閉店後、Mは僕のところへやってきて、「短い間でしたが、大変お世話になり
ました」と挨拶し、そして僕に手を差し出した。握手を求めているのだ。僕は苦笑し
ながら言った。「おい、握手は目上の方から差し出すものなんだよ」 「あっ」と言っ
てMは手を引っ込めた。最後の最後まで大ボケをかましてくれた。

 Mは当店で働いたことにより、これまでの人生では考えもしなかったことを数多く
学んだだろう。自分がどんなことを考えていて、それがどの程度のものであるかを知っ
たはずだ。この経験を今後生かせるかどうかは彼次第である。血の滲むような努力を
重ね、ぜひとも頑張ってほしいと願っている。どうか僕の予想を覆し、立派なバーテ
ンダーになって僕を見返してほしい。


7月29日

▼マヨガリータ

 先日、ある番組でマヨネーズ料理専門店を紹介していた。その店ではマヨネーズを
ふんだんに使った料理を供しており、客は皆その店でマヨネーズのボトルキープをし、
みそ汁やコーヒーにもマヨネーズをニョロニョロドボドボと加えて、美味しそうに食
していた。

 その店ではマヨネーズ入りのカクテルも供しており、マルガリータにマヨネーズを
加えた「マヨガリータ」、ソルティドッグのグラスの塩をマヨネーズに代えた「マヨ
ティドッグ」などを出している。あほらし〜と一笑に付すことはたやすいこと。僕は
これらのカクテルが、いったいどんな味がするんだろうと興味津々だった。

 本日、仕事の準備中にマヨガリータを作ってみた。マルガリータの通常のレシピに
マヨネーズを少々加えたのだが、これが実に綺麗な良い色合いで惚れ惚れしてしまっ
た。味はというと、うん!ウマクナ〜イ。

 そこで、マヨネーズにはやっぱクリーム系リキュールだぜいと、今度はベイリーズ・
アイリッシュクリーム、カルーア、コアントロー、ウォッカをミックスしてシェイク
した。しかしこれはマヨネーズの量が少なすぎて、マヨネーズらしさをあまり感じな
い。失敗だ。隣で副店長がトマトジュースを使ってカクテルを作った。むむっ、この
味はまるでサウザンアイランド・ドレッシングではないか。これを飲むならドレッシ
ングをそのまま飲んだ方がいいぞ。

 その時僕はひらめいた。マヨネーズはカクテルの王様マティーニに加えることこそ
ふさわしい。さすがにミキシンググラスを使用するのは憚られ、ロックグラスに材料
を入れてステアした。するとななななんと!、マヨネーズが混ざらね〜〜〜〜(笑)
考えればすぐわかりそうなものだが、普段使用を考えたこともないマヨネーズによっ
て、思考が麻痺している。くそ〜、こうなりゃシェークだ。僕はグラスの中身をシェー
カーにぶち込み、激しくシェイクした。シェキシェキシェキシェキ。

 急いでカクテルグラスに注いで飲んでみると、うへ〜〜、まじぃ〜〜〜〜! あま
りの不味さに、思わず嫌がる副店長とバイトの子に無理矢理飲ませてやった。2人と
も顔を歪めてオエ〜〜ッと吐きかけた。危ねえ。

 というわけでマヨカクテル初日(初日なのかよ!)は大失敗。本日のショックから
立ち直ったら再チャレンジしてみよう。果たしてその日は来るのか!?


7月28日

▼絶叫マシン的バー

 昨日は6名〜10名の団体客が多かった。世間は給料日直後の会社が多いので、飲
むカクテルの杯数も多いし、皆一様にテンションが高かった。どの団体も非常によく
騒ぎ、普段の落ち着いた雰囲気は、楽しさを体いっぱいに表現しまくるお客でこっぱ
微塵となってしまった。撃沈。無念。

 あるグループなど、女性が3名とも「キャ〜〜〜ッ!」「ヒャ〜〜〜ッ!」「ギャ
〜〜〜〜ッ!」と悲鳴を繰り返し続けている。なんだなんだと見に行ってみると、な
んとこの悲鳴は、同じグループの男性の話に反応して発せられるただの“相槌”だっ
たのだ。“相槌”だけに発する回数はすこぶる多い。うんうん、へえ〜、あっそうな
んだ、という言葉が全て悲鳴に変換されている。言葉の文字化けだ。

 彼女たちのおかげで当店の雰囲気はめちゃめちゃになってしまった。このグループ
の周辺は騒がしい団体客で埋め尽くされていたので致命的ではなかったものの、しか
しざわめきの中に混じった悲鳴は、店内にくっきりと浮かび上がっていた。

 悲鳴女たちに言いたい。当店は飲むアミューズメントパークではない。1日フリー
パスも夕方から安くなるお得なチケットも置いていないし、入り口でキスをしても割
引にならない。絶叫マシンから聞こえてくる悲鳴は順番待ちをしている人々の期待感
を高めるが、バーではその効果をいかんなく発揮しない。バーで悲鳴を上げても周囲
の人々に自分の魅力をアピールできにくいし、ほとんどの場合、感謝されにくく、ま
た、この釘は引き抜きにくい。よってそのまま放置しておくと、たいてい錆びついて
どうにもならなくなってしまうので注意が必要である。つまり、悲鳴あげてんじゃね
〜、このボケ〜ということだ。キマッタ! いや、キマッてね〜〜(笑)

 悲しいとき〜。自分たちが楽しければそれでいいって思っているとき〜。悲しいと
き〜。他の客が騒いでるから、こっちも騒いじゃえって思う時〜。悲しいとき〜。お
客が来店したので挨拶したらトイレ帰りの客で、「いらっしゃい」で言葉が詰まって
しまった時〜。悲しいとき〜。満席のお知らせを間違えて「“満室”でございます」
と言ってしまった時〜。悲しいとき〜。夕陽が沈むとき〜。悲しいとき〜。悲しいと
き〜〜・・・。   (「いらっしゃい」「満室」は僕ではありません。念のため)


7月25日

▼潰し

 副店長が言うには、僕はカウンターで連れの女性を口説いている男性をたまに潰し
ているらしい。カップルには相手から話しかけられなければ、こちらからはあまり話
かけないのだが、男性がしょーもないギャグを僕に振ってきたりすると、つい反射的
に気の利いた返しをしてしまい、それが女性にウケて、その結果、男性が戦意を喪失
して潰れる(らしい)。最近では十分注意して、あまり面白い話(女性にとって)を
しない男性にはナイスな返しをしないように努めている。しかしそれでも、僕の何気
ないちょっとした返しに女性が爆笑してしまうことがあり、やばい、と焦ったり、な
んでそんなにウケるんだよ〜と困ってしまう時がある。

 接客は基本的に、男性の話が途切れて続かなくなった時に話しかけ、その話をきっ
かけにカップルの会話が息を吹き返したら、静かにその場を離れる、というのが理想
で、あくまでお客様の会話の潤滑油的存在に徹することが大切である。しかし、男性
のつまらない下品な三文ジョーク(しかも悪意を感じる場合)をしつこく浴びせられ
ると、僕はついついエッジの効いた返し(ギャグ、ツッコミ、ボケ)を繰り出してし
まう。すると今まで死んだような目をしていた女性の瞳が、にわかに輝き始めるので
ある。

 男性は僕に対抗してしょーもない話を繰り出し続け、僕はその話をてきぱきと美味
しく調理してお返しする。女性の目は更にキラキラと輝きを増し、やりとりを聞きな
がらクスクスゲラゲラと笑い始める。男性はその後もしょーもない話を連発し、そし
て最後は自滅する(らしい)。

▼鬱病に苦しむAさんの情報

 20日に鬱病に苦しむ女性Aさんのことを書いたが、最近Aさんがあるサイトの掲示
板に書き込みをしているという情報メールを読者さんからいただいた。さっそく訪れ
てみると、あったあった。21日に書き込んでいる。よかったよかった。死んでなかっ
たんだね。急に胸につかえていたものがスーッととれた。Aさんの情報をお教え下さっ
たNさん、本当にありがとうございました。


7月24日

▼テレビチャンピオン 早食い世界一決定戦

 今日は休日。夕食時に19日に放送された「テレビチャンピオン・早食い世界一決
定戦」を見た。以前にも書いたが、僕はこの番組の「大食い選手権」と「早食い選手
権」に目がない。そしてこの番組を夕食時に見るのが大好きなのだ。

 今回の決定戦では、アメリカ独立記念日にホットドッグの老舗チェーン「ネイサン
ズ」が主催する早食い競争に出場する新人を1名選出するための予選と、「ホットドッ
グ早食い世界一決定戦」本選の模様が放送された。

 予選では、今までの大食い、早食い大会で優秀な成績をおさめた若手鉄人たちが壮
絶バトルを繰り広げ、そして最近実力ナンバーワンの小林 尊(23歳)がダントツ
の食べっぷりでアメリカ行きを勝ち取った。小林は大食いでは圧倒的な強さを誇るが、
早食いまでもこんなに強いとは思わなかった。その速さは尋常ではない。彼は超人だ。

 予選は4回行われ、制限時間は全て12分間。ホットドッグ選手権の制限時間と同
様に設定された。小林の超人ぶりを記してみよう。

 第1回戦 「極太ちくわ」    29本59グラム

 第2回戦 「まい泉カツサンド」 40個

 第3回戦 「寿司ロボット対決」 104カン(4分01秒)

 第4回戦 「わんこそば」    387杯

 信じられるだろうか。小林はこれらを毎回12分間で食べ尽くした。しかも4時間
ごとにだ。人間じゃね〜。対戦中、小林の目は非常に鋭い。もの凄い集中力だ。自分
の限界を超越しようと思っているのか、彼は2位を大きく引き離しても決して手を止
めない。素晴らしい。

 小林は「ホットドッグ早食い世界一決定戦」の前回の覇者・新井和響と共に大会に
出場した。前回、新井が優勝したホットドッグ本数は25本と1/8。小林は驚異的
な超高速スピードでなんと前人未踏の50本を平らげ、そして優勝した。2位の新井
は自己記録を更新して31本、3位のアメリカ人は22本だった。小林の足下にも及
ばない。圧倒的な差をつけた。新井が「こいつ人間じゃないっすよ」と言っていた。

 今まで早食いは新井の天下だったが、世代は完全に交代した。現在のチャンピオン
は小林である。彼は日本一、いや世界でも一番だろう。僕はこの番組を見ることが出
来て幸せだ。小林という超人に出会えて本当に嬉しい。彼を超える早食い大食いはも
う現れないだろうと思ってしまう。これからの早食い大会、大食い大会での小林は、
他人との勝負ではなく自分自身との戦いになるだろう。彼がこの先、我々をどう驚か
せてくれるのか、とても期待してしまう。これからも小林から絶対に目が離せない。


7月21日

▼MY BIRTHDAY

 先日、僕は誕生日を迎えた。今まで年齢をはっきりと書くのを憚っていたのだが、
今日は暴露してしまう。41歳になった(文句あっか)。なぜ今回バラす気になった
のかというと、それは他でもない。気が向いたからだ。それだけだ。

 以前は歳をとるのがカッコ悪いような、恥ずかしいような、体力が衰えるような
(これはそのまんまだ)、そんな気がして嫌で嫌でたまらなかったが、40歳を境に
その気持ちはすっかり消え失せた。今では、僕のこの40歳ぶりを見て〜〜ってみん
なに見せびらかしたい衝動に駆られている。嫌だな、中年の露出狂みたいで。ってゆー
か、これこそが中年の感覚なのだろうか(愕然)。今頃気づいたぜ、このまぬけ。

 今の僕の物事に対する考え方は、今でなければこうは考えられない。やっと少しず
つ成虫に近づいて来ているというのに、若返って愚か者の幼虫時代に戻るのは、まっ
ぴらごめんである。

 歳をとり、少しずつだが成長もしている。くだらないことは、よりくだらなく考え
られるようになり、ハチャメチャ度は確実にアップしている。ナンセンス度だって以
前よりパワーを増しているし、ブチ切れ度も高まってきた。物事の考え方もいい感じ
で凝り固まってきているし、毒舌度も真っ赤っかの中にどす黒いものが混じるように
なってきた。なんて素晴らしい人生だ。よっ、この幸せ者!

 「普通」って何てつまらないんだろうって考える時がある。物事を的確に理解し、
そのうえで、ぶっ飛びまくりやがってるぜこのヤロー、がはははは、ヘックショイ、
きしょーめ、っていうような人間になることを、僕は夢見ている。そのためには現在
のプチ愚か者のさなぎから早く脱皮し、僕が何虫かは知らないが、とにかく大空をブー
ンと羽ばたいてみたいと願って止まないのである。まあブーンよりはパタパタ、バサ
バサと優雅に羽ばたいてみたいものだが、それは僕が虫である以上、望むべくもない。
僕は僕らしく低地をブンブン飛べれば、まいっかって感じかな。


7月20日

▼鬱病に苦しんでいたAさん

 少し前まで、鬱病に苦しむAさん(女性)のWEB日記を毎日読んでいた。彼女は日々
薬とアルコールの過剰摂取を繰り返しながらどんどん衰弱し、精神状態が悪化してゆ
く。「自分をリセットするには死ぬしかない」と何度も自殺をほのめかし、誰かが励
ましても「それは普通の人の考え方」と退けて、心変わりすることはなかった。

 先日、とうとう彼女は自殺決行を予告し、その数日後、大量の睡眠薬を飲んだ。し
かし寝ている間に薬を吐き出し、自殺は失敗。翌日HPに戻ってきた。彼女は「決行
して良かった。気分がいい。体調もいい」というようなことを書き込み、その翌日、
突然HPを閉鎖した。

 これは彼女の内面のリセットが完了したので、今まで書き連ねた鬱日記の存在をも
リセットしてしまったのか。それとも自殺を再決行するために身辺整理を行った結果
なのだろうか。

 「鬱病に悩む人は鬱状態が酷い時に死ぬことはない。元気になった時が危ない」と
いうことを人から聞いたことがある。彼女はHPを閉鎖する前日、元気だった。まさ
か再決行はしないだろうと自分に言い聞かせてはみるものの、しかし一抹の不安を拭
い去ることが出来ない。

 AさんがHPを閉鎖して、もう2週間が過ぎた。僕は毎日彼女のHPを訪れ、そし
て画面に現れる決まり切った文字を見つめる。

【Not Found. ページがみつかりません。URLが間違っているか、HP開設者がペー
ジを閉じた可能性があります】

 彼女はどこへ行ってしまったのだろう。僕はAさんがまたWEB上にひょっこり戻って
来るような気がして、毎日アクセスし続けている。


7月15日

▼ドラムスコンテスト

 今年もまたドラムスコンテストの季節がやってきた。毎年7月にドラムスマガジン
主催の誌上コンテストが行われているのだ。雑誌に課題曲CDが付いており、今年の
曲はインストロック(歌なし演奏のみロック)で、僕の好きなリズムのノリだ。今月
末が締め切りなので、そろそろ練習を始めなきゃ。


  


 僕が叩くのは普通のドラムセットではなく、写真のドラムパッドを手で叩くのだ
(足下にはバスドラ用のパッドもある)。このパッド自体はおもちゃのような代物だ
が、パッドのMIDI信号をマック経由で2台のドラムモジュール(ドラムシンセ)に通
して調節し、更にもう1台のドラムモジュールで鳴らせば、本格的なドラムサウンド
を得ることができる。そのへんのスティックで叩くエレクトリックドラムよりも数倍
いい音がする優れものだ。どうかこれからは僕のことを“叩くバーテンダー”と呼ん
でほしい。 

 当店の新人アルバイトSがバンドを組んでおり、ドラムスを担当しているので、彼
にも応募させるつもりだ。昨日、仕事の時の口調で「おい、おまえにも応募してもら
うからな」と命令しておいた(笑) 「ええっ? 録音の仕方がわかりません」とビ
ビっていたが、「オレが教えたる」と言っといた。逃げ道は無いのであ〜る。


7月13日

▼自宅での仕事、終了〜〜

 終わった〜〜。やっと自宅でのプライベート時間を駆使した仕事たちが終了した。っ
たくもう、代休をよこせってんだ、バーロー、と、心に余裕が出来るとすぐこれだ。
急に強気になるんだから。しかしそれにしても疲れたびー。ここんとこ毎日の睡眠時
間が平均3時間くらいだったのでいいかげん眠いだろうと思ったら、これがぜ〜んぜ
ん眠くな〜いのだ。おとといなんて恐怖の2時間半睡眠だったのに、普段よりも眠く
なかった。毎日通勤電車で爆睡して首が折れそうになるのが習慣のこの僕が、電車で
も眠らない。こりゃ絶対、体のどっかがイカれたに違いない。そこで今日は体をいた
わるために少し早く床に就こうと思ってたのだが、現在、時計はもう朝7時を回って
いる。これじゃ、いつもどおりやんけ、ケッ! じゃ、ここで一句。

『 楽(たの)時間、アッという間に過ぎぬりぬ 』 (詠み人知らず)


7月12日

▼多忙の理由

 また長い間、日記をサボってしまった。毎日アクセスして下さっている方々、失礼
致しました。この間、何をしていたかというと、あれやこれやでと〜っても忙しかっ
た。そして今もなお忙しい。実は先月中に完成させなければならなかった新メニュー
が全く間に合わず、夕べやっと完成したのだ。

 今日が最終締め切りだったので、昨日は妥協に妥協を重ねて、ようやく僕的に見て
ボーダーライン上の出来映えのメニューが完成した。やっぱ締め切りは大切だね。放っ
ておかれたら、いつまでもあ〜でもないこ〜でもないと考え、もっと良いものを追い
続けてしまう。

 新メニューには僕の新作オリジナルカクテルを4種類掲載した。そのどれもが当店
従業員たちにすこぶる評判が良い。毎日仕事準備中に試飲を繰り返し、時にベロンベ
ロンに酔ったりしていた甲斐があったってもんだ。皆様は考えられないだろうが、僕
は商売柄、オープン準備中によく酒やカクテルの試飲をしている。皆様時間でいうと、
朝9時から11時くらいか。午前中から酒を飲んでいる計算だ。アル中か、オレは!

 いや、僕はアル中ではない(自問自答かよ!) というわけで、僕はこの時間帯以
外に酒を飲むことはめったにない。休日に少々たしなむ程度である。休み以外の日に
は帰宅してからも一滴も飲まない。もちろん店の営業中も飲まない(試飲が営業時間
に多少食い込むことはある)。終業後に飲みに行くこともめったにないし、行かなけ
ればならないつきあいもない。飲みに行きたい店もあまりない。美味しいカクテルが
飲みたかったら、自分で作るのが一番好みに合う。

 なんだかまとまりなく書いているが、実は今日もあまり時間がない。当店の屋外置
き看板の店内写真を差し替えるので、そのレイアウトをこれから考えなければならな
いのだ。店内を紹介する写真には客が写っていた方がいいというオーナーの意見に、
僕は真っ向から反対している。お客役のサクラを配して、こんな雰囲気なんですよお、
と参考例のように伝えるなんて邪道だ。箱(店内)をいかに魅力的に見せ、期待させ
るかという点に全力を注ぐべきだ。店の雰囲気はその都度お客様が作り出すもの。参
考例など全く以て不要である。ところがオーナーときたら、おかしなことばかり言い
出すので困ってしまう。

オーナー「営業中のお客さんが入っている時間帯に写真を撮ろうか」

僕 「撮られては困るというお客様もいらっしゃると思いますが」

オ 「そうだよねえ(笑) いろんなお客さんがいるもんねえ」

僕 「(はふ〜)」

オ 「そうだ、常連のTさんにサクラになってもらえないかねえ。彼、奥さんと  
   一緒に来てくれないかねえ」

僕 「しかしその日は撮影直後に貸し切りパーティーとなりますので、お呼びしても
   すぐにお引き取りいただくことになりますが」

オ 「それでも来てくれないかねえ」

僕 「御迷惑ではないかと思いますが」

オ 「それもそうだねえ。(バイトに向かって)君、彼女いるの? 彼女と一緒に来
   られないかなあ」

僕 「彼はその日、バイトに入ってますから、撮影後、彼女だけ帰ってもらうことに
   なってしまいますが」

オ 「(バイトに向かって)撮影はすぐ終わるから、何とかならない?」

バイト、しどろもどろ。

僕 「せっかく彼女に来てもらっても、撮影後、1人だけ帰してしまうのは、可哀相
   ではないでしょうか」

オ 「それもそうだねえ(笑)」

などなど、アホ問答は延々と続くのであった。というわけで、サクラ抜きの写真で良
いのだとオーナーに納得してもらうために、これから写真のコラージュ作業を開始す
る。Ciao! A domani!


7月3日

▼愚メールの暴力

僕のメルマガの読者さん、OLのAさんのHPをよく見に行っている。彼女は現在熱愛
中で、日記には日々彼氏への熱い想いが綴られている。その日記をアッチッチーと火
傷しそうになりながら読むのが、最近の習慣である。ところが、Aさんは1週間ほど
前にこのHPを突然休止してしまった。もしや悪い男から誹謗中傷メールが届き、そ
れがショックで休止してしまったのではと心配になって、 Aさんにメールを書いた
(僕にしては珍しい)。彼女からすぐに返事が届き、やはり休止の原因はその通りだ
ということがわかった。

 中傷メールには「あなたのHPはつまらない。共感できない。文章が下手。一般的
な感覚をもつべきだ」などと書かれていたそうだ。僕が読む限りAさんはとても常識
的な人で、人の神経を逆撫でるような文章は書いていないし、文章も下手ではない。
これはきっと幸せ真っ只中のAさんに嫉妬した愚か者が、彼女を傷つけるために書い
たものなのだろう。

 僕はたまにいろんな人の日記を読むが、その中には死ぬほどつまらないものもある
し、全く共感できないものもある。でも日記を書いている人に意見しようと思ったこ
とは一度もない。僕は人の日記を読んで感じた不満を自分1人で処理したいし、そも
そもネット上に誰が何を書こうが自由だと思っている(あんまり卑劣なのはちょっと
いただけないけどね)。

 僕にとっては、他人の文章から自分が何を受け取り、物事をどう考るべきかが重要
だ。この人はなぜこんなふうに考えるのだろうと推測もするが、自分にとってマイナ
スな考えを読んでも、それをプラスに昇華できれば、つまらないものを読んだ意義が
生まれる。サービスに関しても同じだ。僕は巷に溢れる愚サービスを見て嫌悪感を持
ち、それを自らのサービス向上に役立ててきた。

 愚サービスを行っている人たちに言いたいことは何もない(よほどの時にブチ切れ
る場合を除いて)。てめーらふざけたまねしやがってとか、こんな働きでいつまでも
のほほんと給料もらえると思うなよ、などといろんなことは考えるが、決して口には
出さない。目がモノを言うだけだ(そっちの方がこわー)。しかし今では悟りを開き、
おまえらのおかげでオレのサービスが引き立ってくれてありがとう、と感謝の意を表
するまでになった(誰に表してんだ!)。

 前述の中傷メールの差出人にも、愚サービスを行う「己を知らぬ族」と同じものを
感じる。こんなヤツを決して相手にしてはいけない。これによって自らの成長に役立
てれば良いのである。また、それしかない。

 Aさんには、これからも個性溢れる素敵なHPの存続をお願いする由のメールを書
いた。そしてAさんも近々復活することを約束してくれた。そのうちAさんは愚メール
に対する免疫ができ、「バーカ、そら削除。無駄な労力、御苦労さん」と言えるくら
いのレベルに達するだろう。そしたら、なぜそんなにズバッと割り切れるのか、その
コツを伝授してもらおう。(って、オレは免疫ねーのか!だっふんだ!)


7月1日

▼カクテル処方の心構え

 今日から店がプチリニューアルオープンした。リニューアルといっても、ホントに
ちょっとしたマイナーチェンジを行っただけで、大した変化ではないのだが、何かが
変わるってのは気分が良いもんだ。

 国際ジャーナリストの田中宇さんが飲みに来た。お会いするのは半年ぶりだ。超う
れし〜。田中さんはメルマガではとても真面目な印象を受けるが、実はとてつもなく
面白い人で、今回も僕はお喋りしながら時折、抱腹絶倒の洗礼を受けることとなった。
普段、アルバイトには、自分の方が楽しんじゃいけないとか、声を出して笑ってはい
けないと指導しているのに、今回も僕は田中さんのお話を心底楽しんでしまった。ま
あこんなことはめったにあることではないので良しとしよう。

 今日、某有名超能力者のお客様に、僕の新作オリジナルカクテルをお出しした。そ
したら「これは・・・僕が一番好きな味です。甘からず酸っぱからず、バランスが良
くてとてもいい。僕はこういう味、この味が一番好きなんです」と褒められた。やっ
たね! 今まで褒められた中でも最高の褒め言葉だった。嬉しさのあまり、ちょっと
幽体離脱したかもしれない。それほど天にも昇る気分だった。

 先日作った別のオリジナルカクテルが、当店従業員にすこぶる好評だ。皆、カクテ
ルを一口飲んで、反射的に「美味しい!」と声を発する。やったね!(パート2) 
まあ手放しでは喜べない事情もあるのだが、とりあえずよかったよかった。

 「手放しでは喜べない事情」とは、お客様に当店のおすすめカクテルを注文された
際に、従業員が安易にこのカクテルをお勧めしてしまうこと。これが事情の1つだ。
確かにこのカクテルは良い味わいだと思うが、お客様に、甘さ、アルコール度数が最
適かどうかは、経験が浅い従業員にはわかりようがない。僕はお客様が次にお飲みに
なりたいカクテルのお好みを詳しく伺い、それと今お飲みになったカクテルの強さ、
甘さなどを総合して、よりお客様のお口に合うカクテルをレシピを微妙に変えて作っ
ている。せっかく飲んで下さるのだから、記憶に残るカクテルを作りたい。今日の良
き思い出になるカクテルを作りたい。それが僕の務めであり願いなのだ(キマッた!)


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