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RANDOM DIARY TOUR
鳴海諒一日記 SINCE 6/18.2000



6月26日

▼新メニュー作成中

 来月1日から新メニューに変える。当店のメニューは僕が作っているのだが、会社
(店)にはマックもワープロもなんにもないので、この作業は帰宅後に自宅で行うの
だ。前回までのメニューデータが消失してしまったので、1からやり直しているとこ
ろだ。さて7月1日までに間に合うのだろうか。って、何としても間に合わせなけれ
ばならない事情がある。内装をプチリニューアルするので、どうしてもメニューを完
成させなければならないのであった。

 系列他店ではパソコンを扱える者がいないので、メニューは印刷屋に発注するのだ
が、この金額が莫迦にならない。すぐに10万円を超えてしまうのだ。それにひきか
え当店は、僕のプリンターのインクとコピー用紙代だけで出来上がってしまう。電気
代と労力は僕持ちだし(笑) 社長、浮いた金で店にマックを買ってくれ〜。

▼モタンシャランテ

 前回、当店で使用しているカマンベールチーズ「モタンシャランテ」について触れ
たが、このチーズは乳脂肪分が高くてとても美味しいチーズなのだ。当店では最初、
近所のデパートで購入していた(値段は1300円)。しかし先日、バイトが別の店
で880円で売っているのをみつけ、その店に乗り換えた。ところが、また別のバイ
トが今度は530円で売っている店を発見。あまりの安さに仰天してしまった。

 モタンシャランテは高級チーズだと思っていたのに、いったい原価はいくらなんだ
ろう。いくら何でも2.5倍も価格差があるっておかしくない? 怪しすぎるぜ某イ
タリアのデリカの姉妹店。

 この店は以前、もの凄〜くサービスが劣っていて、従業員の態度がアホみたいに悪
かったのだが、ある時突然、愛想が良くなった(ほんの一時だが)。あれおかしいな
と思ったら、どうやら売り上げが下がる一方なので、本社の社員などが付け焼き刃で
販促にかけつけ、愛想を振りまいていたのだった。今さら遅〜いのだ、まぬけ。

 一度離れていった客は2度と戻っては来ない。一度落ちた評判は2度と回復しない。
接客はいつも1回勝負なのであ〜る。僕は極端に態度の悪い店へは2度と行かないし、
こんな店、潰れちまえばいいと心底願う。そしてその何軒かはしっかり潰れてくれる
のだ(笑) 一瞬、僕の超能力のおかげか、と思ってしまうのだが、そうではないよ
うだ。僕には予知能力も霊感もないし、スプーンも曲がらない。UFOも見たことがな
いし、瞬間移動も1度しかやったことがない(うそ)。できることは、道に迷って目
的地にたどり着けないことぐらいだ。

 特殊能力がなくても、みんなで「この店にはもう行かね〜」と願えば、店の1軒く
らい潰すのはたやすい。当店はそんなふうに思われないように、従業員のケツ(失礼。
おケツ)を蹴っ飛ばして、笑顔でヒーヒー頑張ってもらおう。(どんな店だよ!)

 というわけで、こんな駄文を羅列してるといつまでたってもメニューが完成しない
ので、今月はもう日記を更新しない予定。また来月お会いしましょう!

 でも何かやらなきゃいけないときに限って、他のことに集中しちゃったりするんだ
よなあ・・・それって現実逃避・・・


6月24日

▼おまぬけな誤字

 アホバイトMの昨日の日記に誤字が2カ所あった。カマンベールチーズのモタンシャ
ランテが“モダンシャランテ”、ヘーゼルナッツリキュールが“ヘーデルナッツ”に
なっていた。そこで今日、店で「違ってたよ」と教えてあげたら、Mはなぜかもの凄
く愕然としてしまった。

「・・・生まれてからこれまでの23年間、ず〜〜〜っとヘーデルナッツっていうの
かと思っていました・・・(しょぼん)」

「えっ? なんちゅう大袈裟なヤツだ。生まれてから23年間って、おまえは赤ん坊
の頃からお袋さんに、ほらヘーデルナッツだよ、ヘーデルナッツ、これがヘーデルナッ
ツだよ〜、って教えられてたのかよ。あっ、わかった。お袋さんが屁をするときに、
屁が出る屁が出る屁〜出るナッツって言ってたのを、そのまま覚えちゃったんだろう。
失敬な! あっオレか。でもおまえがヘーゼルナッツを知ったのは、せいぜい高校生
以降だろ?」

「あっ、は、はい。そうでした(顔まっか)」

「ったく、大袈裟なんだから。わっけわかんね〜よ。あっ、それからさあ、前に日記
に、パーティーで残った“プリマ産生ハム”を食べて美味しかったって書いてたろ。
あれ、プリマ産じゃなくて“パルマ産プロシュート”だかんな。プリマじゃプリマハ
ムじゃね〜か。そのへんのスーパーで売ってる普通のハムになっちゃうぞ。そしたら
プリマ産じゃなくてプリマ製って書かなきゃな、あはははは。直しとけ、以上!」


6月23日

▼新人バイト良好

 先週入店した2名の新人アルバイトの働きがすこぶる良い。2人とも今日で5日目
の勤務だというのに、「早く仕事を覚えたいオーラ」を体中から発しながら、懸命に
頑張っている。そうだよ、これだよ、こうでなくっちゃね。

 接客業はある程度カンの良さを持ち合わせていないと、指示を聞き間違えたり、仕
事がなかなか覚えられなかったりして、成長するのに時間がかかる。しかし今回採用
した新人は2名とも、こちらが1を言えば1を理解してくれるので、日本語がちゃん
と通じて嬉しい(笑) 1を聞いて1を知るのは当たり前のようでなかなか難しいら
しく、トンチンカンな受け取り方をする輩がしばらく後を絶たなかったので、この新
人バイト2名にはとても期待が持てる。

 とはいえ、負けず嫌いな性格だったら、早く仕事を覚えたい、先へ進みたい、とい
う思いが強いだろうから、最初に一生懸命働くのは当然だといえる。問題は仕事を一
通り覚えてからどう変化するのか、である。こちらとしては、基本業務を一通り覚え
たら、基本を忠実に守りつつ、更なる発展を目指して頑張ってほしいのだが、これが
出来るバイトはあまりいない。慣れると同時にダレ始めるケースが多いのだ。よって
現時点で新人2名の今後を楽観視するのは、まだまだ危険である。今後も当分、飴と
鞭は手放せない。あっ、今んとこ鞭の方が断然多かった(笑)


6月20日

▼マクドナルドの肉って・・・

 マクドナルドがハンバーガーの原料に牛肉でなく食用ミミズを使用しているという
噂は、はるか昔から流れているのだが、最近また、まことしやかな話として僕に伝わっ
てきた。

 妻の母親が友人から聞いた話である。先日、その友人の息子がマックでハンバーガー
を食べたら、肉の中から原形をとどめたミミズが出てきた。息子がクレームをつけた
ら店の事務所に案内され、詫び金1万円を渡された。そして「このことはどうか御内
密に」とお願いされたというのだ。ああ、アホらしー。その辺の噂と全く同じじゃねー
か。ひとひねりもねー。

 だいたいマックが本当にミミズを使っていたとして、もしそのことがバレたら「牛
肉100%」を謳っている以上、会社は一巻の終わりなのである。倒産してしまうか
もしれない。そんなリスクを抱えて、なぜ入手しにくい食用ミミズなんぞを使うとい
うのか。よけいコスト高だっつーの。それともマックはリスクマニア、リスクフェチ
が動かしている会社なのか。「ミミズだってバレたら当社は大打撃を受けます。バレ
ないように、よりいっそう頑張りましょうね。えいえいおー」とか言って、社員の志
気を高めてんのか。んにゃ、違うだろ。

 牛丼屋の肉なんかも、食用犬やネズミの肉を使ってるという噂を聞く。大真面目な
顔をして「吉野屋の肉はあれは確かに犬ですよ」などとしたり顔で言うバカ客も当店
には存在する。そいつのその話を聞いただけで、出入り禁止にしたくなる。犬を捌い
てるとこ見たのかよ。お前が食った犬と同じ味がしたのかよ(犬食ったのかよ!)

 ミミズの噂は、業界トップのマックに向けられたものだから一笑に付すことができ
るが、これが中小ファストフード会社に対して囁かれたら、突然、真実味を帯びてく
るから不思議だ(笑)「バーガーキングはミミズを使ってるのがバレて、日本から撤
退したんだよ。表沙汰にはならなかったけどね」などと耳元で囁かれたら、半信半疑
ぐらいにはなるかもしれない。で、「良かった、バーガーキングで食ったことなくて」
とか言って、胸を撫で下ろしたりして(笑) ああ、噂って怖い怖い。


6月19日

▼劇物大量含有洗剤

 今日、準備中に食器洗浄機の業者がやってきた。薬事法改正に伴い、洗剤に5%以
上の劇物が含まれるときは、その由を使用者に説明しなければならなくなったとのこ
と。彼の説明によると、当店で使用している洗剤には20数%の劇物扱い成分が入っ
ているため、取り扱いには十分注意してほしいとのことだった。アンビリーバボー!
そんなのちっとも知らなかったよ。

 当店では、洗浄した際、シェイカーのトップ部分(フタ)が逆さになって、その中
に洗剤が残っていることがある。そんな時は念入りに水洗いしてから拭くようにして
いるのだが、それでもなお劇物が残っていたら、と考えるとかなり怖い。

 そこで業者に、劇物成分が少ない洗剤、もしくは全く含まれていないものはないか
と尋ねたら、含有率の低い洗剤も取り扱っていると言う。ならば次回の洗剤交換の時
にそちらのものに切り替えたいと伝えると、「えっ、切り替えますか!」と驚かれて
しまった。なぜ驚くのじゃ?? 

 低劇物洗剤は現在使用している洗剤よりも洗浄効力が格段に落ちるというわけでは
ないそうなので、とりあえず次回試してみたいと再び言ったら「ああ・・・そうです
か。切り替えますか・・・切り替えますか」と、とても残念そうなのだ。何か変だゾ。

 そこで、低劇物洗剤には何か問題でもあるのかと聞いてみた。するとすでに使用し
ている店舗の人から、洗浄の際、少し塩素臭が漂ってくると指摘されたとのこと。ど
のくらい臭うのかと尋ねたら、直接嗅いだことがないのでわからないと言う。そんな
バカな!自社製品のことぐらいちゃんとわかってろよ。まったくわからんちんだなあ。

 その後も業者は、残念そうに「切り替えますか」を連発したが、とにかく次回試す
ので交換して下さい、と僕は言い切った。

 結局、業者がなぜ残念そうな顔をするのかは、僕もあまり突っ込んで説明を求めな
かったので、よくわからないままだ。なぜ聞かなかったのかというと、この件に関し
ては自分の勘に従おうと思ったのだ。

 洗剤の切り替えを嫌がっている業者を見て、僕は、低劇物洗剤は現在使用している
ものよりもかなり優れた洗剤なのではないかと予想した。業者は高劇物洗剤の在庫を
多くかかえており、在庫を一掃できるまで店舗に切り替えさせないようにとの指令が、
上層部から下っているのではないだろうか。それで切り替えられたら営業マンにマイ
ナスポイントが科せられるとか、何かペナルティがあるのかもしれない。もしくは、
低劇物洗剤の方が原価が高い、とかね。

 まあ、予想ばかりしていても仕方ないのだが、業者が洗剤の切り替えに難色を示せ
ば示すほど、僕には低劇物洗剤が魅力的に思えてくる。彼がこれだけ嫌がってるんだ
から、その洗剤はさぞかし良いものなんだろうなあと思ってしまう。ああ憧れの低劇
物洗剤、って感じ(笑)。こんな僕はやはり天の邪鬼なのだろうか。

 それにしても、洗剤のことであ〜でもないこ〜でもないと言ってるオレって、なん
だか人間の器が小さいような気がしてきた。がっくり・・・(悲しいオチだね)


6月16日

▼新人バイト2名入店

 おととい、新人アルバイトが2名入店した。ずっとアホアホバイトMに悩まされっ
ぱなしだったので、とても嬉しい。今後に期待をかけられるバイトがいないと、仕事
に張りも出ないってもんだ。新人2名は面接での印象ははまあまあだったけど、仕事
が出来そうかどうかは今のところまだわからない。

 新人が入った初日、Mが自分より下っ端が入ったことをどうも喜んでいるようだっ
たので、

「人数が2人増えて、お前も合わせると3人になったけど、いま別に3人もいらない
んだ。2人いりゃいい。まあ仕事ぶりを見てから、場合によっちゃ誰かにトコロテン
式に卒業してもらうかもなあ」

と脅かした。Mは目をキョロキョロ泳がせながら「ええっ? ええっ?」と焦り、そ
して上目遣いに言った。

「あ、あのお、一生懸命がんばりますから・・・僕を見捨てないで下さい・・・」

見捨てないでとか言うなボケ〜。縁起でもない。

「オレたちは仕事で繋がってるんだ。まず仕事が出来なきゃしょ〜がね〜だろ〜」

「そそそそうですね。がが頑張ります」

 ショック療法が効いたのか、この日のMの働きはけっこうまあまあだった。下っ端
バイトは後輩が入ると兄貴(姉貴)モードに切り替わり、急に少し仕事が出来るよう
になることは珍しいことじゃない。今までにも度々あった。

 Mの日記にこの日のことが書いてあった。『新しい人の前では叱られたくない恥を
かきたくないということで頑張った』とのこと。まあ頑張りたまえ。天然ボケの君に
出来ることは、死ぬ気で頑張ることしかない。オレは今までマジでお前のトコロテン
卒業を何度も思い描いてたんだからね。

 Mが入店したときは基本業務の説明をバイトに教えさせたんだけど、今回は2人いっ
ぺんだったので、僕が教えた。その様子をMは入り口に立ってジッと見ている。Mの
視線があまりに熱かったので、

「なあ、お前は最初、バイトのKさんから教わったんだよな。今日はオレが直々に教
えてるのを見て、嫉妬した?」

と唐突に尋ねたら首をプルプルプルと横に振りながら懸命に「いいえ、いいえ」と言っ
ていた。しかし、彼の日記には次のように書かれている。

【 2ヶ月半前に自分が入った時同様に新人の2人の方は基本的なことを教えてもらっ
ていました。自分は入り口立ちつつ、オーダーとったりってかんじだったんですが、
チラチラ店長と新人さんを見て思ったこと・・・

『いいな〜〜店長に教えてもらって〜なんか期待されてるって感じじゃ〜〜ん』とジェ
ラシー感じてたところに店長の一言。

「君は確かKさんに教えてもらったんだよね? 僕が直接教えてるのみて嫉妬した?」
(半笑い) ずぎゅう〜ん!!!マジで驚愕しました。ビンゴ〜ビンゴ〜。言葉では
とっさに『いいえ!』とでたんだけど、心を見透かされたようで本当にドキドキした
(苦笑)

 3人も新人(僕も含めて)がいるんじゃあ誰か卒業だな〜という店長の一言が頭か
ら離れません(苦笑) 自分だけは卒業しないように『露骨』に頑張ります。今以上
に考えて今以上に動けるように。一日一日に重みをもって頑張っていきます。

え〜〜と・・・見捨てないでください。(魂の叫び)>軍曹殿 】

 これを読んだ僕は、次の日彼に「おい、“軍曹殿”って書いてたけど、“殿”は目
下に使う言葉だぞ。“様”と書け、“様”と」と叱ったのはいうまでもない。

 僕の日記を見に来て下さってるMのお友達の皆さん、あまり見に来てると、彼のイ
メージが崩れちゃうかもしれませんよ(笑) これからもずっと仲良くしてあげて下
さいね。

▼田口ランディさん 再び直木賞にノミネート

 田口ランディさんが前回に引き続き、直木賞にノミネートされました。やったね!
ノミネート作品は「モザイク」です。このことはまだ一般公表されていないかもしれ
ないのでここに書くことは憚ってしまいましたが、嬉しさのあまり書いてしまいまし
た。今度はぜひ受賞してほしいな。


6月15日

▼眼精疲労

1ヶ月ほど前から、睡眠不足の影響からか眼精疲労がひどく、先週あたりから瞼が
腫れぼったくていっそう目が疲れやすくなった。今日は最悪で、目を開けているのも
辛い。先日眼科医院で処方された2種類の点眼液を1日数回差しているのだが、なぜ
か一段と症状が悪化しているような気がする。点眼液が合わないのか、それとも一度
悪化してから治るのか、よくわからない。もうしばらく続けてみるつもりだ。

 今、うちのATOK13で「もうしばらく」と入力したら、「もうしばらk」のところで
フリーズしてしまった。アウトルックを強制終了、再立ち上げをして同じように入力
したら、またまたフリーズ。何度か繰り返したが、やはり「k」で固まってしまう。
バグだなこりゃ。もうしばらく「もうしばらく」を続けて入力するのはやめることに
しよう。

▼17日(日)22時 NHK教育テレビをお見逃しなく!

 12日の日記にチャイコフスキー・ピアノ協奏曲1番について書いたが、17日
(日)22時30分からNHK教育テレビで、巨匠マルタ・アルゲリッチが演奏する
ピアノ協奏曲1番が放送される。僕はホロヴィッツとアルゲリッチの1番が大好きで
ある。

 アルゲリッチのチャイコフスキー1番は、94年のライブ録音CDが音楽之友社か
ら出版されている「名曲名盤300(20世紀のベストレコードはこれだ!)」で、
堂々第1位に選ばれている。今回のN響と指揮者:アントニオ・パッパーノとの相性
はどうなのかという点も興味があるが、主導権はアルゲリッチにあると思われるので、
かなり良い演奏をするのではないかと期待している。

 同じ曲でも演奏家が変われば曲の印象は著しく変化する。今まで興味がなかった曲
でも、突然大好きになることだってある。もしお時間があったら、アルゲリッチの名
演奏をぜひお聴きになっていただきたい。できればビデオに録って、くつろぎのひと
ときに(お掃除どき向きの曲ですが)小さな音量でBGMのように時々お聴きいただ
くうちに、あ〜ら不思議。知らず知らずのうちに曲を覚えてしまい、あなたはこの曲
の虜になることでしょう。以上、インチキ催眠術師からのお知らせでした。

 また、この日は22時からの番組「芸術劇場」で、20世紀後期の代表的ピアニス
ト、マウリツィオ・ポリーニの特集がある。こちらも超〜おすすめ! 

 ポリーニは1960年のショパンコンクールで、18歳にしてダントツ優勝した。
この年のショパンコンクールは「ポリーニのためのコンクール」とも呼ばれ、彼は審
査員と聴衆から圧倒的に支持された。審査員だった巨匠アルトゥーロ・ルービンシュ
タインは、最終審査の時に「この審査員の中で彼を批評できる人(ポリーニより上手
く弾ける人)は1人もいない」と言ったのは有名な話である。ポリーニは現在も第一
線で活躍中で、優れた演奏を奏で続けている。こちらも絶対にお見逃しな〜く!


6月13日

▼ずうずうしいオヤジ

 来月、当店でまたオーナーの後輩のパーティーが行われる。昨年行われたパーティー
は通常料金よりもかなり安くしたのに参加人数が半分しか集まらず、当店は大赤字と
なってしまった。普段なら最終報告人数分の料金は保証してもらうのだが、オーナー
の「今回はまあいいじゃない」の一言で終わってしまった。そして後輩は図に乗って
今年も予約の電話をかけてきた。

 幹事は、時間を1時間半延長しろ、料金をもっと安くしろ、いろんな飲み物を飲み
放題で出せ、と要求してきた。挙げ句の果てには、

「去年そこでやった時、たくさん残ったフードをみんなで分けて持って帰ったんだけ
ど、それがすごく好評だったんだ。だから今年も持って帰れるぐらいたくさん残るよ
うに出してくれ」

などと言い出す始末。どこまで図に乗れば気が済むんだ。ったく。

 次の日にこのことをオーナーに話したら、顔をしかめて「料理は普通でいいよ」と
言った。そうだろうそうだろう、ホクホク。時々飲みに来てくれるならともかく、普
段まったく来ないくせに、パーティーだけ美味しい思いをしようなんて甘い甘い。

 昔、雑誌「ぴあ」の「はみだしゆーとぴあ」にこんなことが書いてあった。

【私が働いている喫茶店で、「ピラフ、大盛りじゃないけどちょっと多めにして」と
言うサラリーマンがいる。そんなせこい客にはむしろ少な目に出してあげる】

 だはははは。その気持ち、よくわかるぞ。まあしかし僕は私的感情を剥き出しにし
て料理を少な目に出すつもりはない。オーナーに恥をかかせないように通常のパーテ
ィーよりは多めに出そうとは思っている。でも正直言って、あんまり出したくね〜〜。

 オーナーの後輩だったら、逆に気を遣ってみたらどうだろう。相手にやる気を出さ
せる言い方なんて、いい年をしたオヤジなんだから簡単に出来るんじゃないの? そ
れとも恥じらいを忘れたオヤジだからできないってか。自分の要求ばっかり好き勝手
に垂れ流して、それに相手が100%答えると本気で思ってるのだろうか。それは浅
はかってもんじゃにゃ〜きゃ? 


6月12日

▼チャイコフスキー・ピアノ協奏曲1番

 今日、中古CD店でイーヴォ・ポゴレリチ(p)の「チャイコフスキー・ピアノ協
奏曲1番」(1985年録音)のCDを買った。この曲はホロヴィッツとアルゲリッ
チの演奏が大好きで時々聴いているのだが、今日はちょっと気分を変えて、奇才ポゴ
レリチがどんな演奏をしているのか聴いてみたくなったのだ。

 ポゴレリチは1980年のショパンコンクールで、そのあまりに個性的な演奏が聴
衆には熱狂的に支持されたものの、審査員の物議を醸し、結局3時予選で落選した。
その結果に不満だった審査員の1人、巨匠アルゲリッチが「彼は天才よ!」と言い残
して審査員を辞任したことで、逆にポゴレリチの名を世界に広めることになった。

さて、ポゴレリチの「チャイコフスキー・ピアノ協奏曲1番」は、全体のテンポが
どっしりと遅く、重厚だがとてもロマンティックな素晴らしい演奏で、僕は大いに共
鳴した。彼がライナーノーツで述べている通り、「私の目標はチャイコフスキーが書
いたピアノとオーケストラの心からの対話を示すこと」、が巧みに表現されており、
彼独自の解釈に思わず唸らされた。これで950円(中古価格)は激安だ! 幸せ気
分を満喫できた。

 このCDの曲目解説を読んでゲラゲラ笑ってしまった。チャイコフスキーはモスク
ワ音楽院教授時代にこの曲を完成させ、最初に校長でありモスクワ最高のピアニスト・
ルビンシテインに聴かせたところ、彼はこれ以上けなせないという程ボロクソにけな
したのだった。その内容は次の通り。

「この協奏曲が無価値であり、

 絶対に演奏不可能であり、

 経過部がすべて稚拙で、

 作品として訂正もできないほど悪く、

 浅はかで平凡をきわめ、

 他人の作の引用が多く、

 2,3のページ以外は破り捨てたほうがよく、

 でなければ全面的に作り直す必要がある」

 がはははは。よくもまあこの名曲をここまで徹底的にけなせたものだ。ルビンシテ
インはチャイコフスキーのことが嫌いだったのかもしれない。それはさておき、罵倒
されたチャイコフスキーはブチ切れて部屋を飛び出したが、その後をルビンシテイン
は追いかけ、再び演奏不可能だと繰り返し、曲の全面的変更を迫った。しかしチャイ
コフスキーは、「絶対に1音符たりとも変更せずにそのまま印刷する!」と吐き捨て
た。そりゃキレるだろう。

 翌年、この曲はアメリカで初演され、大成功を収めた。数年後、ルビンシテインは
チャイコフスキーに謝罪し、友情は(一応)回復。そしてルビンシテインが亡くなっ
た後、チャイコフスキーはこの曲を改訂した。別にルビンシテインが亡くなるのを待っ
ていたわけではないのだろうが、さぞかし根には持ってたんだろうな。


6月8日

▼アホアホバイトMの日記

 先日から時々、当店のアホアホバイトMの日記を探しているのだがなかなか見つか
らない。「見つからないからもう諦めた!」とMに言う度に、「ええ〜っ?寂しいじゃ
ないですか。探して下さいよお」と言ってなぜかヒントをくれるので、じゃ、もう1
度探してみようという気になるのだが、それでもぜ〜んぜん見つからない。次第にあ
んなアホの日記探しに時間を費やしている自分の愚かしさにムカついてきた。

 今日、とうとうMに僕のこの日記のURLを教え、お前のも教えろこのヤロ〜、今こ
のメモに書けバカヤロ〜、と脅した(冗談半分に)。両足を踏んづけて、おらおら、
とか言って後ろに倒そうとしたのだが(マジじゃないよ)、Mは恐ろしく背筋が発達
しているとみえて、体がビヨ〜ンとしなるだけでびくともしない。すげえ若竹のよう
なその体にちょっと感心してしまった。のはどうでもよく、とうとうMの日記の在処
をゲットできた。

 帰宅してすぐヤツの日記を見て笑ったのなんの。僕の知ってることがたくさん書い
てある。当然といえば当然なんだけど、これはおもろい。なになに? 

『店長は鬼軍曹・・・』 

 なんだとこのやろ〜。鬼軍曹とはなんだ鬼軍曹とは。オレはこの店の責任者だぞバ
〜ロ〜。せめて鬼指揮官とか鬼司令官と書け! それにしても軍曹とはまた中途半端
な位置だなあ、おい。

 彼がどんなことを書いているかはここでは紹介しないが、まあ彼は彼なりに仕事の
ことをある程度一生懸命考えていることはわかった。ただピントがずれているだけだ。
この天性のピントズレをどう軌道修正していくかが僕の仕事でもあるわけだけど、M
はホント思い込みが強いので、治すのは大変だ。無理かもしれない。

 今後、Mはこの日記を毎日見に来ると思われるので、アホアホバイトと書くのはア
ホなことをしでかした時以外はやめることにする。でもアホなことをしでかした時に
彼は登場するだろうから、やめられないかもしれない。Mよ、目標、脱アホアホだぜ。
そのうちお前の日記をリンクしてやるから、店名と所在をデリートしておくように。


6月6日

▼災難続き

 先月は固定資産税、自動車税、車検、保険、WOWOW聴視料の支払いがドバッと
重なってヒーヒーフーヒーヒーフーだったんだけど、全ての支払いが済んでホッとし
たのも束の間、今度は電化製品が次々に壊れはじめた。CDデッキがCDを認識しな
い。ビデオデッキが2台、テープがすぐからまって使用不能。足裏マッサージ器が動
かなくなった。ダイニング天井のライトのリモコン調節不能。テレビの色が滲む。車
のトランクを開けるスイッチも作動しなくなった。バッテリーも交換しないとヤバイ。
腕時計もオーバーホールを何年もサホッてたら具合が悪くなってきた。ああ、なんて
こったい。

 ビデオデッキは昨日、持ち込み修理店に持っていった。修理見積もりは3万〜5万
円。足裏マッサージ器は製造元に送って見積もり待ち。天井ライトはさっきライト本
体の埃をはらってリモコンをくっつけたらやっと消灯できた。来週の休みにCDデッ
キも修理に出す予定。これだけでなんだかんだで7〜8万くらいかかりそう。どれも
そろそろ寿命なのかもしれないが、みんなモノが良いだけに、安物の新品に買い換え
る気はまだしない。

 そのうちきっと、うちにある10数台のレコーディング機器の内蔵電池がいっせい
に切れて、苦労して作ったメモリー音色が全てイニシャライズしてしまうだろう。内
蔵電池取り替えは本体を製造元に送らなければならないらしいから、これは一大事だ。
ラックの裏側の数百本の配線を外したら、元通りにつなぐのに何日かかることやら。
万が一のために、今のうちにシンセのデータをパソコンにバックアップする方法を考
えよう。それにしても、はふ〜。


6月4日

▼ピアニストという蛮族がいる

 中村紘子さんの著書「チャイコフスキーコンクール」( 中央公論社刊)に次いで、
「ピアニストという蛮族がいる 」(文芸春秋 )を読んだ。どちらも多くのピアニス
トの面白話がてんこ盛りに綴られており、あまりの面白さに目を皿のようにして一気
に読んでしまった。この本に収められている逸話からとても信じられない話を1つ抜
粋してみたい。

【19世紀から20世紀にかけて一世を風靡したウラディミール・ド・パッハマンと
いう巨匠は奇行の人で名高かった。演奏中に間違うと、自分の間違った方の手をもう
一方の手でピシャリと叩いて大声で叱る。ショパンの名演で世界を沸かせた人だが、
途中を忘れて盛大に間違え、自分で即興的に作曲して弾き終わったあと、聴衆に向かっ
て、この方がいいのだ、と演説した。彼のリサイタルに解説や演説はつきものだった
といわれる。(中略)嘘でしょうという人のためには、証拠を示すことができる。彼
の遺した数少ないレコードのうちに、間違った手をピシャリと叩いて叱っているとこ
ろや、自分の演奏の出来映えに思わず「ブラボー」とつぶやいたりしているところが、
すべて音として残っているのである(RCA赤盤復刻シリーズ・RVC1573M)】

 僕はこの箇所を店の厨房で休憩しているときに読んで、笑い転げてしまった。こん
なピアニストがいるのか。面白すぎるぜ。普段電車の中で読んでいるのだが、この部
分は厨房でよかった。だって電車でも絶対に声を出して笑っちゃうよ。

 本当はこの後にド・パッハマンの更なる爆笑仰天エピソードが綴られているのだが、
あまり抜粋しては申し訳ないので、御興味のある方はぜひお読みになってみてはいか
がだろうか。この本は面白ネタも豊富だが、日本のピアニスト第1号の女性の生涯に
ついても詳しく書かれていて、明治時代の日本の西洋音楽史を知ることが出来る。僕
は歴史は苦手なのだが、音楽史なら脳の情報吸収率は高いようだ。文庫本も出版され
ているので(447円)、クラシックファンのみならず音楽ファンの方にお奨め!
「チャイコフスキーコンクール」(571円)も秀逸だった!


6月3日

▼歌詞とメロディ

 数年前に絶対音感ブームになった元(たぶん)の本、「絶対音感」(小学館)を読
んだ。僕には絶対音感が無いため、ちょっと憧れている部分があったのだが、この本
を読んで、絶対音感がある人はそれはそれで大変なのだということがよくわかった。

 いったいどこが大変なのかというと、音程がジャストでなく音の周波数が微妙に狂っ
ているととても不快な気分になったり、全ての音がドレミで聞こえてしまったり(照
明や空調の音まで!)するという。また、歌詞のある曲が他の楽器と同じように音色
として聞こえてしまう人もいる。って、これに関しては僕もそうだ。

 日本語で唄っている曲は、僕には全部楽器の音のように聞こえてしまう。はっきり
と聞き取れる日本語でも、その言葉の意味を認識せず音階の羅列として受け取ってし
まう。インストゥルメンタルの曲を聴いているのと同じなのだ。だからどの曲も何に
ついて歌っているのかわからない。大概は恋や愛についてだろうから、わざわざ知る
こともないか、と思ってしまっている。僕は異端なのかもしれない。


6月2日

▼アメックスの営業マンがやってきた

 今日、オープン前に店の掃除をしていたら、アメリカンエキスプレスの営業マンが
やってきた。彼はアメックスカードの申込書の束を抱えて言った。

「こんにちは。アメリカンエキスプレスです。こちらの公衆電話のところに置いてあ
る当社の申込用紙が切れているので、補充しておきますね」

 カチ〜ン! 補充するのが当り前か、まるでサービスであるかのような口振りに、
僕はキレた。なぜならアメックスの申込書を置いていたのは、もうかれこれ7〜8年
前のことである。その後、今日まで一度も用紙の補充に来たことなどないのだ。用紙
が入っていたケースなどとっくの昔に捨ててしまっている。当然そのことを知ってい
るはずの彼のすっとぼけた小癪な態度が癇にさわったのだ。僕は言った。

「えっ? 何ですか?」

「あっ、電話のところの申込用紙が切れているので、置いておきますね」

「なんで?」

「いやあ、恥ずかしながらしばらく営業活動をしていませんで。今回またこうして回っ
てるんですよ」

「おたくのはもうずっと前から置いてないんですよ。ってことは、置かせてほしいっ
てあらためてお願いするところから始めるべきなんじゃないの?」

「いやあそうでしたね〜。で、よろしいでしょうか」 ←(お願いになってない!)

「(そんなんじゃ)うちには置かなくていい」

「そうですか〜、はは。じゃ、失礼しま〜す」

 外道めが。まったくどいつもこいつも、まともな営業が出来るヤツなんていやしな
い。うちに来るのはこんなヤツばっかりである。

 もし彼が最初に「また置かせていただけないでしょうか」と言っていれば、僕は2
つ返事で、ああいいですよ、どうぞ、と答えるのである。話は実に簡単なのだ。僕が
相手に望むのは、お願いするべき時はきちんと正攻法でお願いする、そういうことだ。
筋が通っていれば、たかがこんなことを断わったりはしないのである。しかし、彼の
ようにさも補充に来たなどと嘘をつき、さっさと置き逃げを図るようなバカヤローの
言うことは決して受け入れない。職務を全う出来ない、もしくは楽に済ませたいと考
える浅はかなヤツと関わりを持つのは御免である。

 クレジットカードの申込書を当店に置くメリットは何1つ無い。お客様は皆様すで
に数枚のカードを所持している。当店に置くのはカード会社に対するボランティアに
過ぎないのである。それどころか、酔ったお客様が申込書を周辺にばらまいたり、手
に取った後、元に戻さず放り投げたりしたのを集めて入れ直す手間がかかる。ほんの
僅かなこととはいえ、僕たちにとっては余計な負担を背負い込むだけなのだ。

 カード会社の営業マンなら店サイドのこういう負担ぐらい当然考えて然るべきだし、
このことがちゃんとわかっていれば、最初にきちんとお願いせずにはいられないはず
なのだ。僕はこのバカ営業マンと十数秒間接しただけで、彼の物事に対する甘甘な考
え方が手に取るようにわかってしまった(ような気がした)。人間から滲み出るほん
の些細な一端は、その人間の僅かな部分しか占めていないとは限らないのだ。日々精
進せい!ダメもとで(今日もキツ〜)。

▼お願いの言い方は難しい

 何かを頼むときに「〜〜していただけます(でしょう)か」とお願いする人がいる。
これはラフに言うと「〜〜してくれる?」という強い言い方である。お客様や上司が
言うのならオッケーだが、目下の立場の人が言う時は気を遣わなければならない言葉
である。下手(したて)にお願いをするのなら、「〜〜していただけないでしょうか」
を使用した方が良い。このどちらの言葉でお願いするかによって、僕は相手のお願い
する気持ち度数を思わずチェックしてしまう。

 僕が相手のお願いを聞く筋合いではないときに「〜〜していただけます(でしょう)
か」と言われると、なんでだよ、と思う時がある。言った本人はこんな僕の心の動き
を知る由もない。この言い方だといくら他の言葉が丁寧でも、僕には「〜〜してくれ
るよね」という相手の安易な期待がビンビンと伝わってくる。もちろん言い方のニュ
アンスもあるので、言葉だけで判断することはないが、これがメールだったりすると、
わかりにくくて相手の本意を誤解する場合もあるだろう。言葉はとっても難しい。


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