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大門小百合の東京日記(1)

東京でカルチャーショック

2001年7月12日

 10ヶ月ぶりに東京に帰ってきた。アメリカに行っている間は倉庫に全家財道具を預けていたので、ホームレスの私たちは、うだるような暑さの中、不動産屋さんを巡り、一日中物件をみて歩くと夕方にはふらふらになっている。東京ってこんなに過ごしにくかったのだろうか?暑さと湿気と人ごみ。おまけにこの暑さのなか、サラリーマンの人はご丁寧にも背広を着ている。下のシャツが汗でぐっちょりなってもだ。

 インドのニーマンフェローのアニールがいっていたっけ?インドでは長袖シャツをきればそれでいちおう正装になると。最近の東京の平均温度を考えると、バンコクやニューデリーにもおとらないそうだ。だったら、日本もそれでよしとするようにすれば、冷房もそれほどかけずにすみ、エネルギー消費も減り、結果的に涼しく快適な都会になるのではないだろうか。

 そして、以前の私は気づいていなかったが、空気が悪い。車がぶんぶんいう大通り沿いを歩いていると、暑さと排気ガスでめまいがしてきそうだ。私、神経過敏になったかしら・・・と思っていたら、弊社のスタッフの原稿を直していて、新発見をした。なんと6月は過去10年間として、都が光化学スモッグ注意報をだした回数が過去最高だったそうだ。おまけにスモッグで倒れた人の数もここ10年間で最高。

 低公害車が増えつつあるとはいえ、なんと光化学スモッグのレベルはあの杉並区の学生が集団で倒れた1970年代からほとんど改善されていないそうだ。こりゃすみにくいわけだ・・・

というわけで夫と二人でこの都会で緑を捜し求めてしまった挙句、ようやく都会でも有数の森の近くの物件にきめた。

ところが、引っ越してみてびっくり。なんとお隣はハーバード出身のアメリカ人のご夫婦ではありませんか・・・やはり、ケンブリッジの緑を堪能した後は、この人たちも森を捜し求めてしまったのかもしれない。共通の知り合いがいることも発見して、なかなか話が弾んだ。その上、反対側のお隣は、フランス人のジャーナリストと日本人女性のカップル。残念なことにだんなさんの方は数年前になくなった。

物件を見に行った時すぐに、管理人さんに「お隣さんは外人さんだけど大丈夫ですよね?」と聞かれ、「もちろん大丈夫です。むこうでは私たちの方が外人でしたから」と答えた。

最近はどうだか知らないが、以前私の外国人の友人が憤慨していたことがある。不動産を探しにいったら、「犬、猫、外人不可」と張り紙が張ってあり、「私は犬や猫と同列か」と嘆いていた。そんなことを考えると、日本人が気がつかないうちに差別しているということってあるのかもしれない。

 結局アパートの9世帯中4世帯は外国人または国際結婚されているご夫婦ということが判明した。(断っておくが、ここは青山でも六本木でも広尾でもない。山手線外側です)なかなか国際色豊かで楽しそうだ。

一息ついて、久しぶりに渋谷に出てまたびっくり。まつげがびゅんとなっているメークと赤や金にそめた10代の女の子たちの髪を見ていると、まるで別の惑星にたどりついたかのような錯覚に陥っていしまう。そして、手には必ず携帯電話が光っている。

 ちょっと前に韓国に行ったとき、日本と同様髪をカラフルな色に染めている若者にたくさん出くわしたが、若者のファッションそのものにはにそんなに違和感を感じなかった。韓国のファッションは数年前に日本ではやったのが上陸した感があるが、そうすると数年後には韓国の女性もつけまつげをくるんとさせソウルの町を闊歩しているのだろうか・・・ でも、やまんばギャルが韓国ファッション界に上陸したという話はまだ聞かない。

 こんな風に夏ばてしたり、若者文化にカルチャーショックを受けるようになったら、私もオバさんの仲間入りかもしれない。



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