広州市内でニセ証明書が横行

1997年6月30日

 6月23日の星島日報によると、広東省の省都、広州市では、北京大学の卒業証明書が300元(約3000円)で買える。広州にある大手企業各社や病院、ホテルなどのマークが入った領収書も売っている。もちろん全部ニセモノ、もしくはモノとしては本物だが、不法に流出したものである。

 売っている場所は、広州市内の中心部にある繁華街、北京路である。北京路の雑踏を歩いていると、30-40歳代の中年女性があちこちで、まわりの人々に小声で「ファーピャオ、ファーピャオ」などと言っているのに気づくだろう。「ファーピャオ」とは中国標準語で「発票」と書き、領収書や証明書のことだ。

 通行人が「売ってくれ」と答えると、彼女たちはその鋭い視線で、こちらが公安関係者でないことを見極めた上、「どれがほしいんだ」などと言いながら、路地の隅の方に買い手を誘導する。そこで、小脇に抱えたカバンの中にあるニセ領収書などの束をちらりと見せてくれるだろう。

 星島日報によると、おばさんたちが売る領収書の出来栄えはなかなかのものだ。広東省内の会社や役所に勤める人が、近くの別の会社や役所のニセ領収書を提出したらバレることもあるだろうが、北京や上海から出張してきた人なら、ニセ領収書をごっそりと買い込んで帰り、適当に金額を書き込んで経理に提出し、一もうけするというのも十分に可能だろう。広州で売っているということは、上海や北京でも同様のものが手に入る可能性は十分にあるということだ。

 また、この記事を見て思い出したのが、以前、知り合いの日本語学校関係者が、中国から届く入学願書の書類の中に、ニセモノの証明書類が入っていることがある、と言っていたことだ。(5年ほど前の話なのだが) このホームページの読者の中には、中国からの留学生の方々も多いようなので、失礼な推測なのではあるが、ニセの卒業証明書には、そういう使い方もあるかも知れない。

 街頭で売っているものの中には、ニセの鉄道切符もあるらしい。注意せねばならないのは、日本人が中国を個人旅行する場合、駅前をうろついているダフ屋から切符を買う人がいるが、その中にはニセモノが多くなっている可能性があるということだ。ニセ切符で乗ったことがバレれば、たとえ本人がニセモノと知らなくても、かなりやっかいなことになることは間違いない。

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