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★ よく使われているワンポイント「間違った日本語」講座  
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▼vol.1                    (2000年1月10日)

そもそもこのタイトル自体が間違いだらけの日本語なのですが、それはさてお
き、知らず知らずのうちに間違った日本語を使い、恥をかいていることに気が
付かないことはよくあることです。僕もそうです。「順風満帆」をジュンプウ
マンポ、「御中」をゴチュウだと思っていました(最近のことではありません
よ!) そこで、本日は皆様が毎日どこでも聞くことの出来る「間違った日本
語」を取り上げてみましょう。

▽ 買い物をしてレジで1万円札を支払いました。

【不正解】(お釣りがある場合)「1万円いただきます」
     (お釣りが無い場合)「ちょうどお預かりします」

【正解】 (お釣りがある場合)「1万円お預かりします」
     (お釣りが無い場合)「ちょうどいただきます」

揚げ足を取っているようで恐縮ですが、しかし、日常頻繁に耳にする言葉なの
で、やはり正しい日本語を使って欲しいなと思います。特にお釣りを渡される
際、先にお札を渡されて、その後「残り800円のお返しです」などと言われ
ると「残りって言うなよ」と心の中でつい怒ってしまいます(笑)



▼vol.2                     (2000年3月20日)

 飲食店で会計をお願いする時によく使われている言葉に「おあいそして下さい」と
いう言い回しがあります。普段、何気なく使われている「おあいそ(御愛想)」です
が、実はこの言葉は元々、お客様が使うものではありませんでした。本来はその店の
主人がお客様がお帰りになる際に、「本日は御愛想もありませんで、申し訳ありませ
んでした」と、お客様に対して言う、文字通り御愛想だったそうです。

 現在では「会計」=「おあいそ」が定着していますし、そもそも店側が本来の使い
方を皆さん御存知だとも思えません。今まで通り使っても問題は無いと思います。た
だし、店主が年輩の方だったら、場合によっては避けた方が無難かもしれません。店
を出た後に「あいつぁ言葉を知らね〜なあ」などと悪く言われたら嫌ですものね。

 先日、雑誌で『「死に様」という言葉は昔からあったが、「生き様」という言葉は
新たに作られた言葉で、これは本当は間違いだ。今では辞書にも載っているのが悲し
い』と嘆いている方の記事を読みました。言葉は時代と共に変化しますし「生き様」
に悲しんでいる方の若き時代にも、同様に嘆いていた方々がいたに違いありません。

「おあいそ」は今のところ「会計」の意味では辞書に載っていないようです。
(三省堂・大辞林 第二版 新装版調べ)



▼vol.3                     (2000年11月21日)

 当店に入店した新人アルバイトの多くが使用する間違った丁寧語を御紹介してみた
い。それは「飲まれる」「食べられる」「行かれる」である。普段喋っている言葉に
「れる」を付ければ、それで丁寧な言い回しになると思っている若者が多いようだ。
こんな言葉をお客様に向かって使われたら最悪である。

 「れる」言葉について、僕は次のように例をあげて、こんなふうにお客様がお思い
になるかもしれないよ、と従業員に説明している。

「何か飲まれますか」→「そうだなあ、酒に飲まれてみるか」

「何か食べられますか」→「たまにはワニに食べられてみるか、がははは」

「どちらか行かれたんですか」→「おつむがちょっとイカれ・・・ほっとけ、ボケ〜」

しかしこんな説明をするとかえってわかりにくいようで、憮然として「じゃ、何て言
えばいいんですか」と半ば食ってかかる者もいるが、そんなヤツはクビにして、じゃ
なくて、「お飲みになる」「お召し上がりになる」「いらっしゃる」という言葉を教
えて「れる」言葉は絶対に使用してはならぬと指導している。(「お飲みになります
か」という言葉は接客時に使用する頻度は低い)

 また、お客様から「◯◯ありますか」と尋ねられ、「あります」「ありません」と
答えられるのも困る。「席は空いてますか」「はい、空いてます」ではタメ口に等し
い。この場合、「ございます」「御用意できます」などを使用しなければならない。
しかし、瞬時に別の言葉に変換するのは、アルバイトにはなかなか難しい。そこで、
多少受け答えがおぼつかなくても、失言を払拭できるような心のこもったサービスを
行うこと、と指導している。

 いまだにあちこちの店のレジ係が、代金を「ちょうどお預かりします」と言ってい
るのを聞く度に、ああ無知とは恐ろしい、これが仕事なのに、と思ってしまう。それ
と同時に、僕自分が知らず知らずのうちに相手に「こいつアホ(無知)だなあ」と思
われないように、日頃から十分注意して話しているつもりだ。しかし、かく言う僕も、
たまにうっかり間違った言葉遣いをしてしまうことがある。使ってしまって「ひっ!」
と焦ることがある。また使っちゃったよ、と落ち込むこともある。つまり人のことを
とやかく言っている場合ではないのであった。ああ、言葉遣いは本当に難しい。一生
勉強だな、こりゃ。 <END>


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