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★ 「買ってはいけない」生活活用法      
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(1999年8月17日)

先日、現在100万部突破の勢いで売れ続けている「買ってはいけない」(週
間金曜日別冊)を読んでみた。実はこの本がこんなに売れているのを知ったの
は、読んでから数日後のことだった。ベストセラーだとは知らなかったので、
知人に「この本は面白い。絶対に売れるよ」なんて宣伝していた。ちょっと恥
ずかしい。

僕が説明するまでもなく、皆さんはこの本のことをすでに御存知でしょう。そ
う、一般企業が発売している食品、飲料、洗剤、化粧品、薬、雑貨などの製品
を名指しで批判しているというもの凄い本である。この本をパラパラとめくっ
てみると出てくる出てくる、なんと我が家にあるものばっかりだ。

今まで気にしたことがあるのは食品のカロリー表示ぐらいで、原材料、添加物、
保存料なんてまるで気にしたことがなかった。なにも皆さんに僕がいかに無知、
無教養、無頓着なのかさらけ出さなくても良いと思ったのだが、この本を読ん
で、僕のライフスタイルが変わりつつある現状を、無理矢理お読みいただいて
しまうのだ。

■我が家にあった「買ってはいけない」物たち

この本に掲載されている品々の大半をかつて購入したことがあり、現在まで多
くの品々を所有していたのだ。最近まで所有していた元グッズたちを、おっか
なびっくりリストアップしてみることにする。

<食品>
日清ラ王、カップヌードル 、セブンイレブンおにぎり、サンドイッチ、味の
素、ほんだし、パルスィート、特選ポークあらびきソーセージ、岩下の新生姜、
キシリトールガム

<飲み物>
キリンラガービール、nude(清涼飲料水)

<洗剤>
naive洗顔フォーム、ミューズ、キレイキレイ、アタック、カビキラー、ジョイ、
モンダミン、ハミング1/3、キッチンハイター、トイレクイックル、ブルーレッ


<化粧品>
メンソレータム薬用リップ、new8×4

<薬>
エア−サロンパスEX、液体ムヒ、ガスター10、新ルル-A錠、正露丸、ラリンゴ
ール、ウナコーワ虫よけスプレー、

<雑貨>
電気カミソリ、金鳥の渦巻き、サランラップ、テフロンのフライパン、クサノ

恥ずかし〜〜。掲載数89品目中、37品目を使用していた。これに他社の同
等製品を加えると45品目になる。う〜ん、これは相当多すぎるぞ。

■特にヤバイもの

我が家で消費しているものの中で、特に頻繁に利用していたヤバイものがミュ
ーズ(液体石けん)、ラリンゴール(うがい薬)、パルスィート(合成甘味料)
の3点である。それぞれ1日の使用回数はミューズ3〜6回、ラリンゴール3
〜5回、パルスィート3〜4回である。

ミューズが「買ってはいけない」品目に含まれていたことが、僕にはとてもシ
ョックだった。ミューズの殺菌成分がバイ菌を殺すのだからと思って、いつも
ミューズで念入りに手を洗っていたのだ。実際はバイ菌と一緒に手の皮膚細胞
も殺していたのである。更には成分の中に発ガン性、皮膚や粘膜への毒性、病
原菌の繁殖などの可能性があると書かれている。いったい何のために僕はミュ
ーズで手洗いをしていたのだろうか・・・

ラリンゴールはうがい薬の中で唯一、のどの痛みに効くと書いてあったので使
用していたのだ。成分の1つである殺菌剤物質は、口中の有用な細菌を殺して
抵抗力を低下させる。6種の添加物には遺伝子障害、消化器障害、発ガン性を
発生させる疑いがあるという。どうしてうがい薬で消化器障害が起こるわけ?
 信じられないのだ。極めつけは、うがいが風邪予防の有効な手段であること
を、明確に示した医学論文はどこにも無いと記されている点だ。ホンマかいな。
森田健作は毎日10回くらいうがいするから風邪をひかないって言ってたけど、
単に風邪をひきにくい体質だったのか? 妻に話したら「森田健作の健康法は
早寝早起きと乾布摩擦だよ」と、突っ込まれてしまった、う〜〜〜っ。

パルスィートは人工甘味料アスパルテームの商品名である。甘さは砂糖の18
0〜200倍、カロリーは20分の1。有害性は脳神経異常(オー!ノー!)、
発ガン性、ポリープ発生、目に奇形、骨格異常、内臓異常、脳内伝達物質に変
化、脳障害児、分解物毒性の恐れがあるという。もともとパルスィートは有害
性を指摘されていた人工甘味料だったのだそうだが、これを販売するために発
売元の味の素が取った手段が、買収による安全性のねつ造とのこと。僕はこん
なものを毎日欠かさず、かれこれ8年間使用し続けてきたのだ。今のところ、
まだ体感できる症状は現れていないような気がするのだが、脳神経異常は目に
見えないし・・・ ちょっとトホホな気分である。

■「買ってはいけない」を読み終えて

この本を読んで真っ先に感じたのは、自分の身は自分で守るしかないというこ
とだ。有害な食品、雑貨、薬などを企業から与えられるままに、疑問も持たず
に使っていた自分が悪いのだと思った。勿論、企業に対して「こんなもの売り
やがって。合法なら何を入れてもいいのか!」という怒りは覚えるが、自分に
見識があれば使用を回避できたわけであり、これは悔しいけれど逆恨みと言わ
ざるを得ないのかもしれない。まっとうな商品を見極める知識を持ち、正しい
商品を選択出来るようにならなければならないと、肝に銘じることにした。

いったいこの本に書かれていることが、どの程度本当のことなのかは僕にはわ
からない。しかし、少なからず人体に悪影響を及ぼす可能性を持つ物質を、た
とえ微量でも摂取する必要が無いことくらい僕にでも理解できた。そこで、も
しこの本を盲信したとして、それによって生じるデメリットがあるのだろうか
と考えてみたのだが、いくら考えても全く何も思いつかなかった。「疑わしき
は罰せず」ということわざがあるが、今回の場合「疑わしきは摂取せず」なの
だ。

■無添加製品を買いに行く

さっそく次の休日に無添加製品を買いに行った。西友ストアでは「環境優選」
という無添加製品が売られており、その中から固形石けん、洗濯用粉石けん、
食器洗い用石けん(全て無添加)、ポリエチレンラップなどを買った。その後、
食品売場を時間をかけて練り歩き、片っ端から製品表示を見て回り、無添加製
品を探してみた。しかし、ほとんどの商品に様々な添加物が混入されていた。
無漂白風の三温糖でさえカラメル色素で色づけされているのを見て、「だめだ
こりゃ」と下唇を突き出して西友を後にした。次はやっぱり自然食品の店へ行
くのだ。

自然食品店は良い。当たり前のことだが、無添加製品を探す手間がいらないの
だ。自然食品店は僕にとっての洋服屋に似ている。

僕は少々体がデカい。Lサイズの洋服では小さいので、洋服屋へ行くとデザイ
ンよりもまずLLサイズを探さなくてはならない。そしてやっと見つけ出した
僅か数枚のLLサイズの洋服の中から、お気に入りの一枚を選ばなければなら
ないのだ。これでは気に入った洋服はめったに手に入らない。そこで、ナイキ
のアウトレットショップへ行くと、LLサイズが実に豊富に揃っているので、
自分の好きな洋服を自由に選ぶことが出来る。いつも感涙にむせびながら店内
を徘徊している。これと同じ喜びを自然食品店で味わうことができた。自然食
品店は僕の心のナイキショップなのだ。

それはさておき、自然食品店では野菜、乳製品、パン、米、肉類、おかし、調
味料類など、ほとんどのジャンルのものを隈無く買った。まるで新居を構えて
買い出ししているかのようだ。すさまじい出費に思わず倒れそうになった。

■添加物製品との別れ

家に戻ってから、現在所有している添加物混交製品を選別して全部処分した。
すると今まで様々な商品で溢れんばかりだった棚や引き出しが、スッカラカン
になってしまった。本当に必要な物って、ごく少数だったのね。石けんさえあ
ればほとんどの洗剤が不要になってしまうことを目の当たりにして、今までい
かに企業に乗せられてきたのかを思い知った。大手企業の商売とは、不要な物
をいかにして必要品に見せかけて、上手に売りつけるかということだったんだ。
僕は常々、物事を正しく考えられるようになりたいと思っているくせに、肝心
なことは全然わかっていないんだなあと恥ずかしくなり、しばらくしぼむこと
にした。

■無添加製品の効果

僕の妻は以前から手荒れがひどく、掃除や食器洗いの後に必ずハンドクリーム
を使用していた。ところがミューズと食器洗い用の中性洗剤を止めて無添加石
けんに切り替えた途端、一発で手荒れが直ってしまった。その後ハンドクリー
ムを一度も使っていない。石けんで洗った手は潤っており瑞々しい。また、化
粧品も無添加製品に代えたのだが、今まで試した高級化粧品のどれよりも肌に
合うと喜んでいた。良い商品とは成分をむやみに増やさないことでもあったの
か。

無添加石けんをスポンジにこすり付けて食器洗いをすると、汚れ落ちや泡ギレ
も良い。皿もグラスもピカピカになった。シンクも以前よりキレイになった。

砂糖、塩、調味料類も無添加製品に代えたのだが、味見をしてみると大手企業
のものより全然おいしくてビックリした。自然な味わいが体にすんなり合って
嬉しい。これが本物の味だったのかあと興奮してしまった。

このように、「買ってはいけない」品々の使用を中止したことによって、メリ
ットはあってもデメリットは今のところ見つかっていない。よく「自然食品っ
て値段が高いのよね」という人がいるが、実際はそれほど高くない。それに今
まで買っていた余計なものを買わずに済むことを考慮に入れれば、トントンか
それ以下であることは間違いないと思う。

■これからの生活

妻が「買ってはいけない」を読んだ後に「私の実家には、この本に載っている
物が1つも無かった」と言った。妻の母親はずっと以前から、これらの商品が
本当は体に良くないことを知っていたのである。妻は僕と結婚するまで、添加
物とは無縁の生活をしていたのだ。そのことを知って僕は愕然とした。結婚後、
僕たちは添加物にまみれた生活をし続けてきた。もしかすると、妻は僕よりも
添加物に対する免疫がないかもしれない。僕が無知だったせいで、知らず知ら
ずのうちに妻の体を蝕む手助けをしていたのだろうか。ああ、無知とは恐ろし
い。

僕自身は添加物に対して過剰に反応し過ぎると、外食が出来なくなったりして
生活に支障が生じてしまうので、無理なく行える範囲で注意していこうと考え
ている。しかし、妻には出来るだけ無添加の自然食品を食べてもらい、結婚前
の体質に戻ってもらえたら嬉しい。これからは「もっと健康になれるかモルモ
ット」として生きてもらおう。

「買ってはいけない」が100万部も売れれば、実際に読む人の数はその数倍
はいることだろう。この本に共感した多くの読者が、商品購入の際に成分表示
をチェックして、買ってはいけない物を見極めていけば、今後、企業は正しい
商品を提供していかざるを得なくなる。近い将来、企業各社が「まっとう」な
商品を競って作り、近所のスーパーなどでいつでも無添加商品を気軽に買える
ような、大オーガニックブームがやって来るかもしれない。また、そうなって
ほしいと心から願う次第である。<END>