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★ 素晴らしき出会い
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                            (2000年10月31日)

 先日、書店で週間宝島の特集記事「日本一読まれているメールマガジン50」を立
ち読みした。ビジネス部門1位は国際ジャーナリストの田中宇(さかい)さんの「国
際ニュース解説」で15万7千部。そしてエンターテイメント部門2位に田口ランディ
さんの「コラムマガジン」(6万7千部)がランクインしていた。同部門の1位は
「週間セクシーマガジン」だったので、個人名での配信は田中さんとランディさんの
メルマガが、日本で一番多くの人に読まれているメールマガジンということになる。

 この記事を読んで、僕はこの偉大なお二人とおつきあいをさせていただいてること
を、あらためてとても不思議に思った。出会いとは本当に不思議なものだ。

 田口ランディさんとは1年半ほど前に当店でお客様としてお会いして以来の仲であ
る。それ以来、公私にわたって親しくさせていただいている。

 田中さんはランディさんと当店に御来店された際に御紹介していただいた。当時、
ランディさんは読者数3万人をかかえるメルマガ「田口ランディのマジカルミステリー
ツアー」を配信されていたのだが、僕が冗談半分で配信数1と書いてランディさんに
送っていたメルマガ「マイキィ鳴海のランダムヒストリーツアー」の存在を、田中さ
んはなぜかすでに御存じだった。「マイキィ、メルマガ読んでるよ」と田中さんに言
われて、僕は心底驚いた。

 その頃、田中さんはMSNジャーナルの編集をされていた。MSNジャーナルにジ
ャーナリスト以外の人に書かせたいと、ネット上で活動しているランディさんを見い
出し、コラムの依頼をしたのは田中さんである。田中さんはランディさんから送られ
てくるコラム原稿を、メルマガ形式にして配信していた。そして僕は田中さんが考案
したメルマガの形式をそのまま真似て、ランディさんにメルマガを送っていたのだ。

 僕はなぜかメルマガを送る時だけ、MSNジャーナルのランディさんのアドレスに
送っていて、それを田中さんが「こいつは誰だ。僕の形式をそのまま真似て使ってい
る」と興味(不審感?)を持ち、それでお読みになったそうなのだ。それが縁で、僕
はこの偉大なお二人にメルマガ配信をするようになった。

 また、田中さんと出会ったのと同じ時期に、ランディさんから作家の桐生典子さん
と編集者のSさんを御紹介していただいた。その日、桐生さんが僕と全く同じ故郷の
出身であることが判明し、後日、Sさんがその昔、当店の副店長の家庭教師だったこ
とが判明した。もうビックリの連続である。そんなことがあって、現在に至るまで僕
は皆さんとおつきあいを続けさせていただいている。

 いま考えても恐ろしいのだが、当初、僕がメルマガを配信していたのは、なんとこ
のビッグ4だけだったのである。このプロフェッショナル軍団に、僕は神をも恐れぬ
愚かしい行為、すなわち文章(メルマガ)を送りつけていたのである。

 最近ではもう開き直って送っているものの、当時は苦しみ抜いて書いていた。もの
凄いプレッシャーだった。そのわりに大したものは書けなかったが、皆さんが素人の
浅はかさに耐え、逆に励まして下さったおかげで、なんとか今まで書き続けることが
できた。

 田中さんがランディさんをネット上で発見してコラムを依頼し、そのコラムを桐生
さんがお読みになって「面白い文章を書く人がいるよ」とSさんに紹介し、それを読
んだSさんが「あなたは長編小説を書ける人だ」と小説を依頼し、そしてランディさ
んは「コンセント」を書き上げた。

 この「コンセント」の産みの親ランディさんと、才気溢れる田中さん、桐生さん、
Sさんとの交際が今もなお続いているのは驚きであるのと同時に嬉しくてたまらない。
話していてこんなにも刺激的でスリリングで素敵な方々は、僕の周辺には存在しない
からだ。

 時々、僕はもしかしたらこの方々に出会うために、バーテンダーになったのではな
いか、などと考えてしまう。この出会いは偶然を装った必然なのではないかと、本気
でそう思ってしまうのだ。

 この大好きな方々に接する度に僕は我が人生を振り返り、どうしたらもっと自分が
成長できるのか、どうしたらのほほんと過ごしてきた年月を取り戻せるのかと、いつ
も考え込んでしまう。そんなふうに多大な影響を与えてくれる皆さんに、僕は言葉で
言い表せないほど感謝している。

 もともとお客様とバーの従業員という間柄だったはずなのに、全く利害が絡まない
学生時代からの友人のように、僕は皆さんを想っている。末永くおつきあい出来るよ
うに、これからもっともっと自分を磨いてゆくつもりだ。
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