―――――――――――――――――――――――――
★ 主治医が手引本読み違え 埼玉医大の凡ミス
―――――――――――――――――――――――――

 僕は9月中旬から埼玉医大総合医療センターの耳鼻科に通院していたのだが、29
歳前後の主治医はとても頼りなかった。彼の診察は極めて不明瞭で不的確。聴力検査
をしただけで、「失礼ですが鳴海さんの耳鳴りは、残念ながら年齢から来るものです」
などと断言するものだから、残念ながら僕もカチンと来てしまった。

 40歳になるとグオオオ〜〜〜って地響きのような激しい耳鳴りがするようになるっ
つ〜のかよ! バ〜ロ〜!

しかし、僕の中に医者を聖職と崇め奉っている部分があったため、それがストッパー
となって嫌悪感を表面に出すまでには至らなかった。

 それでも我慢して数回彼の診察を受けたのだが、「年齢のせい」以外の原因を発見
出来る資質無しと見限ってからは、もう行くのをやめてしまった。

 その数日後のこと。知人から「埼玉医大の耳鼻科で医療ミスがあって、女子高生を
死なせてしまったようだ」と聞き、「そりゃ僕が通ってる耳鼻科じゃないか!」とぶっ
たまげてしまった。以下はその日のWeb新聞記事の概要である。


【 
主治医が手引本読み違え 埼玉医大のミス

 川越市の埼玉医大総合医療センターに入院した鴻巣市の高校2年生のYさん(16・
女性)が、抗がん剤を誤って大量に投与されて10月7日午後1時35分に死亡した。

 安倍所長らが10月11日に記者会見し、ミスの原因や経過を詳しく説明した。投
薬の手引本に記載された薬の量「2mg/week」(週に2ミリグラム)を「2m
g/day」(日に2ミリグラム)と主治医が読み違えてしまい、激しい副作用に気
づくまで7日間連続して薬を投与し続けたという。

 治療チームは5年目の主治医を含む耳鼻咽喉科の男性医師3人。投与内容を示した
手引本(治療プロトコール)に基づき、27日から静脈注射を始めた。

 ビンクリスチンという薬を誤って毎日2ミリずつ投与したため今月2日に高熱が出
始め、3日には筋肉痛や血小板の減少といった激しい副作用が出た。医療チームの判
断で4日以後の投薬は中止したものの、病状は回復しなかったという。

 治療の責任者にあたる川端五十鈴教授は、「(意識障害や呼吸困難があらわれた)
6日まで、過剰投与にだれも気づかなかった」と説明した。(10/12) 】


 この記事を読んで僕は激しく興奮した。なんとこの「5年目の主治医」は、あのマ
ヌケだった僕の主治医なのだ! 彼はYさんが亡くなる数日前に、僕の次の予約日に
緊急手術が入ったので診察日を早めて欲しいと、自ら電話をかけてきた。「耳鼻科の
緊急手術ってなに?」と思ったが、仕方がないので変更に応じたのだが、今考えると、
彼はこの時点ですでに己の身辺整理を開始していたのかもしれない。

 テレビのニュースによると、病院側は最初、医療ミスを不正隠ししようとして、Y
さんのご両親に「手を尽くしたのですが状態が急に悪化して・・・」などと嘘をつい
たのだがすぐにバレ、ご両親は怒り心頭だったそうだ。そりゃそうだ。往生際の悪い
ことするなっつ〜の。

 それにしても、業務上過失凡ミス致死なのに、医師の名前が伏せられていることに
納得がいかない。1本1週間分の注射を7日間も連続で打たれて無駄死にしたYさん
や、彼女の父親の名前が実名報道されているのに、主犯医師の名はなぜ報道されない
のか。医師は聖職だから実名を伏せてもいいのか。それとも、たった5年目のお子様
医師だから、少年法で守られているのか。いや、刑罰にも処されないのなら、少年法
よりも甘甘ではないか。

僕の主治医だったこの男はすでに埼玉医大の耳鼻科から姿を消しており、もしかす
ると、もう日本のどこかで何事も無かったようにこっそり働いているかもしれない。
                                  <END>

                            (2000年10月20日)