■ よろしかったでしょうか?
今日、当店出入り業者から電話がかかってきた。「本日、ご注文の漂白剤をお持ちしたんですけど、(店が閉まっていたので)入り口
のドアの外に置かせていただきましたが、よろしかったでしょうか?」ムカッ! よろしかったでしょうか過敏症の僕としては、こういう使い方は聞き流せ
ない。なので聞き返す。「よろしかったでしょうかってどういう意味ですか?」
「入り口の外に置いた漂白剤のご確認をされたかどうかのお電話なんですが」
「ああそうですか。確認しましたけど」
「あっ、それでしたら結構です。失礼致しました〜」
僕は深追いはせず「はいはーい」と言って電話を切った。
僕がなぜ彼の「よろしかったでしょうか」に納得いかなかったかというと、この人は
店の外に置いていった漂白剤が万一なくなったりしていないか心配で電話をかけてき
たからだ。この場合、正確には次のように言うべきだと思う。「本日、ご注文の漂白剤をお持ちしたのですが、まだお見えになっていなかったので、
(こちらの都合で)入口のドアの外に置かせていただきました。申し訳ありません。
漂白剤はご確認いただけましたでしょうか」この言い方なら、いえいえそちらにもいろいろ都合があるでしょうから置いてい?
いただいても構いませんよ。わざわざご丁寧にお電話ありがとうございます、と言う
気になる。しかしこの業者の人間は、自分が謝らなければならない部分を端折って
「それでよかったですか?」と開き直った。こちらが「はい、それでいいです」と言
えば、自分の行ったことは容認されたことになり謝らずに済む。その浅ましさが僕の
癇に障ったのである。今回の例は、「お忙しいところすいません。いまお時間大丈夫ですか?」とセールス
マンがよく使う「大丈夫」と使い方が似ている。この場合の「大丈夫ですか?」は、
本来「お時間少しいただけないでしょうか?」と言うべきところを「大丈夫ですか?」
と相手を気遣うような言い方をして誤摩化す手法である。大丈夫嫌悪症の僕には、こ
ういう言い方はとても癇に障る。近頃は、このような曖昧な言い方で責任の所在をぼかして言葉を言いやすくしたり、
自分の有利な状況に持ち込もうとする人が多い。つまり、潔くない人が増えているよ
うな気がする。こういう言い回しを聞くたびに、自分はいつでも潔い言い方が出来る
人間でありたいと願ってしまう。(2006年4月8日)
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