■ お釣りの残りって?

店で買い物をすると、「お先に大きい方◯千円のお返しです」の後に「残り◯◯円の
お返しです」と言われることが多い。そのたびに“残り”ってなに?と不快な気分に
なる。

大きい方と言うのなら小さい方と言えばよい。そもそも「〜の方」という言葉遣い自
体が気に入らないが、お金(硬貨)のことを“残り”と言うくらいなら、「〜の方」
の方は(シャレではない)この際ちょいと置いておこう。

こんなふうに思うのは、僕がもう身も心もおっさんになってしまったからかもしれな
いが、やはりお金に対して“残り”などと残り物のように言うのは、ちょっとどうか
と思う。これを誰かに話したとして「ほら残り物には福があるって言うじゃない」と
諭されたら、もっと気分が悪くなるだろう。まあ誰もそんなことは言わないか。

“残り”と言われても気にならない人は、何てみみっちいこと言ってんのと思うかも
しれないが、お金を“残り”と言われることに違和感を覚える自分がおかしいとは到
底思えない。そりゃ自分が思うことだから感じないのは当然か。

サービス力を高めるには、あちこちの店で違和感を感じ、そういう駄サービスを絶対
に行わない、行わせない、勝つまでは、とこれは余計だったが、勉強していく以外に
ない。

サービスには様々な手法があるけれど、どなたにも絶対に誤解されない言葉のみを使
用する、というのが僕の信念だ。それができるようになれば、今度は使っちゃいけな
いことばを意図的に使用して遊べる(笑)

当店では「残り」「〜の方」「◯◯円から」「〜になります」は従業員一同、一切使
わせない。最初にきちんと説明すれば、これらが適切な言葉でないことは若いアルバ
イトでも皆、簡単に理解する。

釣り銭の受け渡しは、お釣りを札と硬貨を別々に渡さず、きちんと1回でお客様に手
渡すことができれば、これらの言葉は一切不要である。「◯◯円のお返しでございま
す」と、これ一発でオッケーなのだ。なんと無駄のないすっきりした言葉だろう。

レジ担当者は、つまらない言葉をズラズラと増やすのではなく、どうしたら一切の無
駄を省いた真っ当な良いサービスが行えるのだろう、ということに重きを置いて考え
なければいけない。

レジで「残り」という言葉を使用する人たちは、きっと誰からも指摘されたり教えて
もらったりしていないのだと思う。自分の言葉が不適切なために、何割かのお客さん
に良く思われず、そのことも知ることができないなんて、悲しすぎる。

                             (2005年11月4日)


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